【レポート】Web担当者Forumミーティング 2021 春

1to1マーケティングを実現するWeb接客とは? d fashion®︎に学ぶ成功に必要な3つの視点

ユーザー一人ひとりに合わせた接客を行う1to1マーケティングが注目されている。サイトの改善に取り組みつつ、すでに成果をあげているd fashionの事例から成功のカギを紐解いていく。
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ECサイトでは、ユーザー一人ひとりに合わせた接客を行う1to1マーケティングが注目されているが、うまく実現できている例はまだ多くない。

Web担当者Forumミーティング 2021 春」の「1to1マーケティングを実現するWeb接客」と題したセッションでは、すでに1to1マーケティングで成果をあげているファッション通販サイト「d fashion®」の事例を中心に、Repro(リプロ)の岡野宏輝氏と、マガシークの小手川大介氏がディスカッションを行った。

クーポンを絡めたシナリオメール、その成功事例のWeb接客展開などの具体的な施策だけでなく、成功の背景にある「3つの視点」についても語られた。

(左から)Repro株式会社 Solution Sales Div. Account Manager 岡野宏輝氏と、マガシーク株式会社 マガシーク コンシューマサイト事業部 本部長 小手川大介氏

コロナ禍においてEC需要が急増
Web接客ツールの利用も拡大

DX推進の戦略支援と顧客体験のグロースハックを可能にするSaaSツールを提供するRepro。ユーザー一人ひとりに合わせて適切な情報を、適切なタイミングで提供するために、アプリやWebのユーザー行動データ、企業が保有する顧客データを活用して、サイト内ポップアップ、埋め込みバナー、レコメンドなど、さまざまな施策に対応している。

この1年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、EC市場に変化があったという。総務省によれば、ネットショッピングの利用世帯割合は、2019年と比較して2020年は10%以上増加している。楽天の国内EC流通総額は38.5%増加、Zホールディングスのeコマース取り扱い高は33%増加というように、急速にEC利用が増えているのだ(※2019年度第4四半期(10-12月)と2020年度第4四半期(10-12月)との比較)。

コロナ禍の影響もありEC需要は急増している
コロナ禍の影響もありEC需要は急増している

小売り企業・メーカーにとって、このトレンドに乗り遅れることは致命的なダメージにつながるため、取り組みを強化している企業が増えている。ECサイトを強化する施策の一つがWeb接客ツールの導入だ。すでに54.5%の企業が導入済みという調査データもある。

調査データでは、Web接客ツールの導入目的はコンバージョンレート(CVR)の向上が最も多く69%、次いで1to1コミュニケーションの実現が58.2%、ユーザーとのコミュニケーションチャネルを増やすが52.7%となっています。

しかし、導入したあとに課題を解決できたかという質問では、CVRの改善は56.4%が解決したと回答しているのに対し、1to1コミュニケーションは27.3%にとどまっています。ここから、1to1コミュニケーションは実現が難しいということがうかがえます(岡野氏)

1to1コミュニケーションは実現の難しい課題
1to1コミュニケーションは実現の難しい課題

では、1to1コミュニケーションで成功するにはどうすればいいのか。マガシークの「d fashion®」の事例をもとに、小手川氏とともに考えていく。

マガシークは、2000年に創業したアパレルECサイト「MAGASEEK」を運営しており、2013年からはNTTドコモの総合エンタメポータルサイト「d マーケット」内のファッション通販サイトである「d fashion®」をNTTドコモと共同運営している。

d fashionのユーザー層は、40~50代が多く、男女比は1:2となっている。年々売上が成長している中、1to1マーケティングに力を入れたいということから、2020年4月よりReproのコンバージョン最大化サービスを導入し、改善に取り組んでいる。

成功した施策は深掘りして、さらに効果をあげていく

d fashionでは、1to1コミュニケーション施策として、図のような施策を実施している。

d fashionで実施する1to1コミュニケーション施策
d fashionで実施する1to1コミュニケーション施策

特に集客ではメルマガの効果が高く注力している。シナリオメールは、5年前から実施しており、年々ブラッシュアップして成果をあげ、現在は20本以上のシナリオメールを配信している。その中でも特に効果的なのは、ユーザーがお気に入り登録している商品に使えるクーポンのお知らせメールだという。

クーポンを発行したときのお知らせメールと、有効期限終了前日のお知らせメールを配信したところ、受注が跳ね上がり、月に2,000万円の売上げアップ、年間にして数億円の売上アップにつながりました。そこで配信数を増やすために、お気に入り登録キャンペーンを行ったところ、配信数が1.2倍になり、さらに成果があがっています。

d fashionのチームは、成功する施策については能動的に深掘りして、パターンを広げていくことが多いです(小手川氏)

また、以前は他のWeb接客ツールを利用していたが、レコメンドとの連携が決め手となり、Reproに乗り換えることになった。

Web接客ツールとレコメンドは、それぞれツール単体で使うよりも、目的に合わせて組み合わせるほうが、効果が出るという考えがありました。それが可能なツールということで、Reproに変更しました(小手川氏)

メルマガ施策の成功事例をWeb接客にも拡大

ReproのWeb接客ツールを使ったシナリオのうち、導入後すぐに成果がでたのが、カートに商品が残っている人に通知する施策だ。

シナリオメールでも、カートに商品が残っている人へのリマインドは効果があるので、ECサイト上でも実施してみようということになりました。

カートに商品を入れると、カート内の商品の数がカートアイコンに表示されるようにしていますが、見慣れてしまうのか、見落とされてしまうことが多々ありました。そこで、TOPページを15%スクロールしたときに、リマインドを表示するようにしたところ、非表示の場合と比較してCVRが約3倍に跳ね上がりました(小手川氏)

メルマガの施策をWeb接客でも実装することになったのは、チームメンバーからメルマガで成功しているから他にも拡大しようというアイデアがあったからだという。これについて岡野氏は「Web接客ツールのシナリオで悩む方が多いので、他の施策の成功事例をWeb接客ツールでも実現するというのは、参考になりますね」と評価した。

他にも、商品詳細ページを20%スクロールした後に、クーポンを表示するといった接客シナリオでも、非表示に比べてCVRが115%になるという成果が出ているそうだ。

ここで、岡野氏が「d fashionでは、スクロールをトリガーとしたコミュニケーションが多い印象があるが、そこにこだわるのはなぜか?」と質問した。

それに対して、小手川氏はd fashionのユーザーの95%がスマホユーザーであることを挙げ、PCに比べてスマホは1画面ですべての情報を提供できないので、アテンションを得るためにスクロールをトリガーにポップアップで情報を表示していると説明した。

成功のために3つの視点を明確化

こうした施策によりd fashionが1to1マーケティングで成功している背景には、目的、位置づけ、役割分担をそれぞれ明確化していることがあるという。

3つの視点「目的、位置づけ、役割分担」を明確化する
3つの視点「目的、位置づけ、役割分担」を明確化する

1to1成功の視点①目的の明確化

目的の明確化については、1to1で何をやりたいのかを表現することから始まる。1to1という言葉はよく使われるが、何をもって1to1と定義するのかはあいまいだ。そこで、実際の施策を考えるときはこの言葉を使わず、「好きな商品が見つかりやすい」「自分が欲しいお得な情報が見つかる」など、施策にあわせて目的を噛み砕いて表現するようにしている。

また、この噛み砕いた表現が顧客目線の表現であることにも注目したい。これは、運用担当者自身がd fashionのヘビーユーザーでもあり、d fashionが好きだからこそ持てる視点だと小手川氏は説明する。

1to1成功の視点②位置付けの明確化

続いて、位置づけの明確化では、細かいKPIを追求して施策単体を評価するのではなく、全体最適化を意識するようにしている。

ツール経由の売上やCVRをKPIにして運用する事例も多いですが、d fashionではKPIは売上、利益に設定して、これを上げるためにはどんな施策をやってもいいと考えています。

CVR、訪問者数などをKPIにすると、どうしても数値が上がらないときに数値を追い続ける辛さがあるからです。効率よく成果を出していくには、細かいKPIにこだわるよりも、大きいゴールに向かっているかどうかを意識するほうがよいと考えているからです(小手川氏)

1to1成功の視点③役割分担の明確化

そして、役割分担の明確化では、d fashionはUXデザイン部、ディレクション部、マーケティング部の3つの部署から、ツール活用プロジェクトのメンバーを構成して役割を分担しながら、ひとりに属人化させずにみんなで意見を出して進めるようにしている。また、週に1回ミーティングを開催して、進捗を確認し、成果がでた施策などがあれば共有するようにしている。

チームみんなで考える一方で、専門的なことは詳しい人に頼るようにしています。ツールを利用するときは、Reproさんにやりたいことは伝えますが、どうやって実現するかの具体的な施策は教えてもらっています。苦手なことはプロに任せたほうがよい成果につながるからです(小手川氏)

今後はファーストユーザーの攻略が鍵

最後にReproの「コンバージョン最大化サービス」の運用体制について紹介された。

マガシークとReproの運用体制
マガシークとReproの運用体制

基本的に提案はRepro側から行い、それに対してd fashionチームが承認をするような形で施策を決めていく。ただし、週末セールなど臨時施策が逐次発生するので、それはその都度マガシークより連絡して、Reproが施策の設定を行う。

プロジェクト開始時にキックオフミーティングを2~3時間かけて行い、d fashionの業務プロセス、ユーザー層、狙っているコミュニケーション、施策などについて情報共有が行われたため、その後の提案や運用がスムーズにできているという。

d fashionでは、今後次のような取り組みを強化したいと考えている。

  • 初回リピート強化の接客
  • 鉄板パターンの創出
  • クロスツール施策の促進
  • コンテンツ誘導によるファン化の促進
  • ファーストユーザーの攻略

今後Cookie規制がある中で、ファーストユーザーの攻略は特に重要と考えており、行動データがない人にどういう施策をあてて、獲得していくかが、直近1~2年の課題になると思っています(小手川氏)

d fashionの事例からわかるように、1to1マーケティングといってもアプローチはさまざまだ。自社サイトの顧客が何を期待しているのかを考え、それに合わせたコミュニケーションをしていくことが重要だ。

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