Web担当者になったら知っておきたい「基本」が学べる Web担ビギナー

Step 2-1 プロジェクトの発足

2-1で知ってほしいことは、サイト制作をプロジェクトで行う理由やプロジェクト内での自分の役割です。

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クイズ

あなたがWebサイト構築プロジェクトのメンバーになったとします。まずは何をしますか?

「サイトの目的を確認する」「ユーザーのニーズを調べる」「ユーザーの最新動向をおさえておく」など、いろいろ思い浮かべたかもしれませんね。これらはとても重要なことです。

でもたとえば、「カスタマーサービスサイトを訪れたユーザーが望んでいるのは、不具合を起こした商品の修理法をすぐに知ることだ。そのためAIを使うといいな」とあなたが考え、上司が賛成してくれたとしても、情報システム部門が「コストや制作期間を考えたら実現できない」と言えば難しくなります。プロジェクトに関わるメンバー全員でそれぞれの考えを共有して、落としどころを考えていかなくてはなりません。

こうした落としどころを決めるためにも、プロジェクトの方針や体制など、運営方法を決めておく必要があります。体制が決まっていれば、あなたが仕事上で迷ったときにも、誰に相談すればよいかがわかりますよね。

プロジェクトの発足

1-5では、プロジェクトでWebサイトを作っていく工程として、次の7つのワークフローを紹介しました。

  1. プロジェクトの発足
  2. プロジェクトの方向性の決定
  3. Web戦略の策定
  4. サイト設計
  5. サイト制作・開発
  6. 運用準備・運用開始
  7. 運用・効果測定・改善

これらの7ステップは、「戦略策定」「設計」「開発」「運用」の4つの段階(フェーズ)にまとめることもできます。

戦略策定フェーズ1. プロジェクトの発足
2. プロジェクトの方向性の決定
3. Web戦略の策定
設計フェーズ4. サイト設計
開発フェーズ5. サイト制作・開発
6. 運用準備・運用開始
運用フェーズ7. 運用・効果測定・改善

サイト構築には、こうした大きな流れがあることを知っておきましょう。そして自分が今、どこのフェーズの仕事をしているのかを意識しておけば、次に何をすることになるのかが見えてきます。

これから解説するStep 2では、1~4までの戦略策定フェーズと設計フェーズにおける具体的なポイントを解説していきます。Webサイト構築はビジネスゴールを目指す企業戦略の1つとして行うだけに、戦略策定フェーズは重要なフェーズです。そして戦略策定フェーズにおいて最初に行うのが、「プロジェクトの発足」です。

プロジェクトの運営方法

プロジェクト体制

まずは、プロジェクトメンバーが選定され、プロジェクトが発足されます。発足時にさっそく行わなくてはいけないのがメンバーの役割を確認することです。自分はどんな仕事をし、承認を得るのは誰かを知っておきましょう。体制図を記したドキュメントが作成されるはずなので、他メンバーの役割や承認経路も理解しておくとよいでしょう。

  • プロジェクトの体制図から、自分の役割と承認経路を確認する

体制図には、プロジェクト全体を統括するプロジェクトマネージャ―、開発のディレクションを行うディレクター、コンテンツ制作を行う編集者やライターなど、プロジェクトメンバーの役割を明確に記してあります。誰もがわかるようにしておくわけです。

プロジェクト体制図の例

ミーティング

また、どのようなミーティングがどのタイミングで行われるのかも確認しましょう。たとえば、プロジェクト全体で行うミーティングは2週間に1回で火曜日の13時~14時半まで、部門ごとのミーティングは週に1回で月曜日の10時~11時までというように、定例化されたミーティングが設定されることが多いです。

  • どのようなミーティングが設定されているかを確認する

定例ミーティング

定例ミーティングでは、全体のスケジュールの確認、個々の課題の確認、次回までに行うことなどを決めます。

全体ミーティング例
  • 日時:毎週火曜、13時~15時
  • 参加者:プロジェクトマネージャ―と各部門長
  • 内容:進捗状況の確認と課題と解決案、次回までの宿題などを話し合う
部門別ミーティング例
  • 日時:毎週月曜、10時~11時
  • 参加者:部門に所属している全員
  • 内容:進捗状況の確認と課題と解決案、次回までの宿題などを話し合う

規模によっては、もっと細かなミーティングが設定される場合もあれば、プロジェクトメンバー全員でのミーティングだけの場合もあります。また、頻度も異なります。

報告会

定例ミーティング以外に、報告会が開かれる場合もあります。戦略策定、設計、開発、運用の各フェーズにおいてアウトプットができた時点で報告会を行い、プロジェクトメンバー全員で情報を共有するわけです。

会社幹部にはフェーズごとにプロジェクトマネージャ―が内容を報告し、承認を得ているはずですが、メンバーも自分がやっていることを確認しながら仕事をしていきたいですよね。報告会の予定がない場合は、上司に共有してほしいとお願いしてみるとよいでしょう。

報告会例
  • 日時:戦略策定フェーズ終了時
  • 参加者:会社幹部(自由参加)、プロジェクトメンバー全員
  • 内容:プロジェクトマネージャ―、ディレクターから、各フェーズでのアウトプットを報告

プロジェクト概要書

プロジェクトがスタートすると、まずはプロジェクトの目的やゴール、予算やスケジュールなどを決めていくわけですが、その内容は「プロジェクト概要書」というドキュメントにまとめることが一般的です。主な項目は次のとおりです。

  • プロジェクトの目的・目標
  • 現状分析と課題の解決策
  • スケジュール
  • 予算 / コスト
  • 運営方法(体制とミーティング)
◇◇◇

2-1で解説したのは、プロジェクト概要書に記す項目「運営方法」の内容にあたります。次回の2-2では、他の項目について解説します。

ポイント
2-1「プロジェクトの発足」のポイント
  • プロジェクトの体制図から、自分の役割と承認経路を確認する
  • どのようなミーティングが設定されているか確認する
やってみよう

現在行っている業務上の体制図を作ってみよう。たとえば自分の上司をプロジェクトマネージャ―として、同僚は何の役割で、自分は何の役割で、外注さんは何の役割かなどを書いてみると、日常業務がはっきりします。

もっと学び、成長するために

サイト構築での役割表を作成するための資料「サイト構築での主な役割表」をご用意しました。

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本記事の監修者

濱 大洋(はま たいよう)

株式会社キノトロープ 執行役員
コンサル部 副部長 プロジェクトマネージャー/コンサルタント

2007年キノトロープ入社。
コンサルティングを中心に、プロジェクトマネージャーとして小規模から大規模まで多数のサイトリニューアルを担当。
セミナーや大学での講師も務める。 著書に『HeartCore導入・構築ガイド』(インプレス)がある。

デザイン:三苫慧子
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