【レポート】Web担当者Forumミーティング 2020 Autumn

コロナ禍で注目が集まる「MA」どう活用すべきか? 才流・栗原氏×SATORI・植山氏対談

アナログ前提で回ってきたビジネス慣行をいかにデジタルへ置き換えるのか? DXをスモールスタートで実現するためのノウハウを語る。
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IT業界にも流行の波があると言えど、2020年はまさに「デジタルトランスフォーメーション(DX)」一色の年だった。紙中心のアナログ前提で回ってきたビジネス慣行をいかにデジタルへ置き換えるのか。それとも完全一新するのか。その手段を巡って各社が今まさに悩み苦しんでいる。

そんな中、電話や訪問が中心だったセールス(営業)の在り方を、よりWebに最適化させる「MA(マーケティングオートメーション)」に注目が集まっている。「Web担当者Forum ミーティング 2020 秋」のセッションでは、DXをスモールスタートで実現するためのノウハウについて、MAツール「SATORI」を開発・販売するSATORIの植山代表と、才流の栗原代表が議論した。

ツール先行で考えるべからず

SATORI株式会社の植山氏と株式会社才流の栗原氏
SATORI株式会社 代表取締役の植山浩介氏(左)と株式会社才流 代表取締役社長の栗原康太氏

才流は2016年設立。BtoB企業の営業・マーケティング活動のオンライン化支援を得意とするコンサルティング会社だ。代表を務める栗原氏自身、BtoBマーケターとして約10年に亘って活動している。

DXがここまで注目される背景として考えられるのが、新型コロナウイルス問題だ。

コロナ問題をきっかけに、展示会、テレアポ、既存客へのこまめな訪問といったアナログ型の営業に頼れなくなり、これらをどうデジタル化できるかという相談が多く寄せられている。ただ実際に耳を傾けてみると、「まずデジタル化」で動いてしまった結果、ツールの導入や、どのSNS広告を出すかなど、手段だけが先行する例が多い(栗原氏)

栗原氏はこうした状況を“ドーナツ化現象”と評する。マーケター向けツールが近年充実し、広告メニューの種類や、分析できるデータが増加する一方、「どんな目的で」「いつ」「どのように」といったマーケティング施策の根幹・中心が抜け落ちたままの企業が多いのだという。

B2Bマーケティングの“ドーナツ化現象”
栗原氏が指摘する、B2Bマーケティングの“ドーナツ化現象”

営業部門にとって、リード(見込み顧客)集めは売上目標達成の第一歩として大変重要である。しかし新型コロナウイルス感染症拡大によって得意先がテレワーク体制に移行してしまった結果、そもそもオフィスに人がいない、電話をかけても繋がらない、セミナー・展示会が開けないという事態が顕在化。

アナログ型営業でリードを集めていた企業は、オンラインでの営業体制を整えるべく、急いでITツールを緊急導入する…というパターンが増加した。

実際、才流に寄せられる相談には「MAとSFA(セールスフォースオートメーション)の導入だけは決まっているが……」というものが少なくない。ただデジタルでの営業やマーケティングにほとんど取り組んでいなかった企業がMAやSFAをフル活用するのは、操作や運用の難易度を考慮すれば現実的ではないと栗原氏は指摘する。

さらに「何故MAを導入するのか?」「どうやってSFAを活用し成果を出すのか?」が企業内で目的化・言語化されていないままでは、なお難しい。

DXに取り組むうえでMAツールやBIといったデータ基盤整備のための道具は必要だが、導入後の自社での具体的な活用イメージが導入前にきちんと理解できている企業は多くないと栗原氏は語る。

言葉としては10秒~20秒で語れるが、これを実現するのは難しいし時間もかかる。これを果たして、本業の傍らでやりきれるのか(栗原氏)

つまり、一足飛びでいきなり理想的環境を構築できると見誤らせてしまうケースがありはしないかと、栗原氏は自戒をこめて話す。

またマーケティングツールを導入すると言っても、導入企業の実情はさまざまだ。顧客基盤をこれから作るスタートアップ企業、すでに過去に蓄積した顧客基盤がある大企業では課題感がそれぞれで異なる。つまり、各社各様の事情を踏まえた上でツール導入を検討すべきなのだ。

スモールスタートから始めるMA活用のアイデア4選

こうしたデジタルマーケティングの諸課題に対して、できるところから始めるという「スモールスタート」志向を提案するのが「SATORI」だ。リリース5年目を迎え、国内では約900社導入を達成。今年2月からは、女優の上戸彩さんを起用したテレビCMも放映している。

MAツール「SATORI」は、自社サイトに訪問してきた匿名顧客に対し、訪問状況に応じた個別メッセージを表示して実名転換を促したり、サイトの閲覧状況から顧客の購買意欲を見極めメールやポップアップを出し分けるなど、顧客の購買状態に合わせたアプローチを行うことが可能だ。

「SATORI」は活用事例の公開にも積極的だ。今回の講演では、実際のユーザー活用事例の中から、すぐに実践できる具体例4つを解説した。

多数の事例の中から4つをピックアップして紹介
多数の事例の中から4つをピックアップして紹介した

事例1
見込み顧客属性で分けたイベント/セミナー

セミナーは、新規顧客獲得の有効な手段の1つだ。

新型コロナの影響で、会場を用意したオフラインセミナーの開催は難しいが、オンラインセミナー=ウェビナーという手段も定着しつつある。では、セミナーを成功させるためにはどんなポイントに注意して企画すればよいのだろうか。

植山氏はずばり「セールス(営業担当者)のマネをしよう」と、シンプルに提案する。名刺交換、世間話、業界動向、そしていよいよ本題という具合に、できるセールスパーソンは少しずつ顧客との距離を縮めていく。この順序をセミナー企画に落とし込むのだ。

例えばSATORIの場合、いきなりMAの提案をするのではなく、まずはMAの周辺にあたるデジタルマーケティング情報を解説するセミナーを開催し、そのセミナー内でMAツールを1つの例として紹介する。すぐに購入には至らないが、今後商談につながる顧客を徐々に育成することが肝だ。

「潜在(客)」層の発掘を目的としたセミナーを開催
「潜在(客)」層の発掘を目的としたセミナーを開催

潜在層である「そのうち客」に向けたセミナーでは、最新トレンドの解説であったり、複数社共催で一度に沢山の話が聞けたりだとか、とにかく参加者のメリットを増やす。時間も短くしたい。3社共催なら1社30分で全90分。ウェビナーならもう少し短くしたほうが良い。また「本セミナーでは営業をしません」という宣言も有効(植山氏)

この他、全ての内容を解説し尽くすのではなく、その後にもつなげるため「80点のコンテンツ」を意識することも重要だという。

ただし、全ての業界業種でこうしたセミナーが有効かどうかは注意が必要だと栗原氏は補足する。ITやマーケティングの業界はトレンドが常に動いており、これにキャッチアップしようという意識から情報収集をする担当者が多くウェビナーが効果的といえるが、業界によって事情は異なり、「各社各様」という意識が重要だ。

事例2
匿名顧客のウェブサイト回遊を促進

検索や広告を通じて自社サイトに訪れてくれた見込み顧客は、企業側から見た場合、氏名・勤務先名などがわからない匿名状態であっても、見込み顧客になりうる十分有望な存在だ。そうした匿名顧客からニーズを引き出し、商談へとつなげることもMAの機能で可能だ。

考え方は、前述のセミナーと同じ。サイトに初めて訪問してくれた顧客には、業界動向などをわかりやすく解説するコンテンツを表示し、それをスクロールして全部読んでくれた場合には、その次のステップとなるコンテンツを提示するという流れだ。

サイトを読んでいると、途中にポップアップメッセージが出ることが多いが、そこで『資料請求』などのリンクを用意して申込フォームへ遷移させるのではなく、あくまで次のステップのコンテンツを出すのがポイント(植山氏)

「SATORI」では、実名だけでなく匿名ユーザーの訪問頻度などを確認できるため、購買意欲の度合い──「そのうち客」「もうすぐ客」「今すぐ客」を判別できる。その熱量に応じて、コンテンツを出し分け、回遊させるのだ。

購買意向の度合いによってコンテンツを出し分ける
セミナーと同様、Webサイトに掲載するコンテンツでも「そのうち客」「もうすぐ客」「今すぐ客」を意識し、MAツールの機能を使って出し分けを行う

ただ栗原氏によれば、「そのうち客」「もうすぐ客」「今すぐ客」というカテゴリ分けは理解しつつも、企業側が具体的にどんなコンテンツを用意すればいいかわからず、つまずくケースが多いという。

植山氏は、そうした時こそセールスの出番だと助言する。

営業担当者はそのあたりをよく把握していて、例えば「上司を説得するための資料を求められたら、まだまだ先は長い」「比較資料を求められたら決裁直前」といったノウハウが各社あると思うので、それを反映させるのが良い(植山氏)

また、顧客の検討度合いに応じてコンテンツを出し分けるということは、その分のコンテンツを十分に用意しなければならない。同様に、自社サイトがあっても、そもそもPVが少なければ期待する効果は得られない。

その場合は、匿名顧客の心に刺さりやすいコンテンツというより、公式サイトの情報を最新のものに書き換えたり、基本的なSEOを行ったりなどの対策も必要だろうと栗原氏は述べている。

出し分けをする以上、必要コンテンツ数が増える点には注意
出し分けをする以上、必要コンテンツ数が増える点には注意

事例3
ホワイトペーパーDLユーザーへステップメール配信

すぐには購買に至らない「そのうち客」を獲得する手段として、最新マーケティングハンドブックといったお役立ち情報系の「ホワイトペーパー」のダウンロードを促す方法がある。数十ページにおよぶ、読み応えのある資料をPDFで用意し、氏名・会社名・メールアドレスなどの情報と引き換えに資料を提供する方式だ。

しかし植山氏は、そうした顧客に対していきなり営業をかけたりしてはいけないと注意する。セールス担当者が世間話からスタートするように、ダウンロード顧客に対してもステップを踏んで情報提供する。

ホワイトペーパーをダウンロードしてくれた人にいきなり商談をかけてはダメ
ホワイトペーパーをダウンロードしてくれた人にいきなり商談を打診してはダメ

事例4
アクセス企業履歴の活用

「SATORI」はサイト訪問者のIPアドレスから、どんな企業からアクセスがあったかを特定することができる。とはいえ、サイト訪問してくれた企業の代表番号に電話をかけても、担当者につながる可能性は低い。

そこで、この分析を一歩進め、過去の商談済み企業からアクセスが増えている場合は、製品購入に向けた検討が進んでいる可能性が高いと植山氏は指摘。その段階になって、対象企業の顧客に電話をかける策は有効だという。

閲覧者IPアドレスに基づいた営業には細心の注意を
閲覧者IPアドレスに基づいた営業方法もあるが、細心の注意を

競合多数のMAツール市場、SATORIの強みとは?

市場に流通しているMAツールは非常に多く、外資系ツールをはじめとして国内発祥のツールなど競合は多い。そうした状況をベンダーの1社であるSATORIはどう考えているのか? 栗原氏からは率直な疑問が投げかけられるシーンもあった。

植山氏は、各社のMAはそれぞれが素晴らしく、導入側の企業によって各社各様の課題をどう解決できるかを、自社で考慮するのがまずは大前提だと発言。その上で「『SATORI』の勝ち筋を考えるなら、やはり匿名ユーザーの分析力、使い勝手、そしてユーザーサポート。この3つには自信がある」と答えた。

SATORI株式会社の植山氏
SATORI株式会社 代表取締役の植山浩介氏

またMAツールは注目度の高さの一方で、利用難易度が高いとの指摘が根強い。契約しても使いこなせず、そのまま解約に至るケースも少なくないとされる。

植山氏によれば、会計ソフトや名刺管理クラウドなどと異なり、MAツールは販促に特化したツールのため、導入が一気に進むフェーズがある一方、予算縮小に応じてすぐ解約に至る実情もある。

ただSATORIの場合、コロナ禍を経ても解約率は上がらず、むしろ改善する傾向だという。

MAを使いこなすのは確かに難しいが、コロナをきっかけに「使いこなさなくては」というモチベーションが上がったり、営業マンを闇雲に増やさず人員をMA担当に割り当てたりする動きもあるようだ(植山氏)

最後に、改めて栗原氏は「MA」「DX」といった言葉ありきの営業のデジタル化は危険な認識だと指摘。自社の戦略や顧客の特性、社内体制、現状の営業・マーケティングのパイプラインを踏まえ、その中からどうビジネスを改善していくか、因数分解して考えることが重要だとアドバイスし、講演を締めくくった。

株式会社才流 代表取締役社長の栗原康太氏
株式会社才流 代表取締役社長の栗原康太氏
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