優れたコンテンツによるリンクビルディング――最少の手間で最大の被リンクを得る戦略【分析編】
検索トラフィックを獲得するには、「良質なコンテンツ」に加えて「多くの自然な被リンク」が価値をもつ。では、その「自然なリンク」を効率良く獲得するには、どうすればいいのだろうか?
「大手パブリッシャーの関係」「彼らのシンジケーション」をデータで分析すると、そのヒントが見えてきた。
ドメインオーソリティを改善する最善の方法は、オーソリティの高いパブリッシャーから大量のリンクを獲得することだ。
この結果はすでに明白だ。議論は終わった。
しかしそうしたリンクを獲得するのに、次のような手段は使えない:
- リンクの交換
- リンクの購入
- プライベートブログネットワーク(PBN)
- コメントリンク
- 有料のネイティブコンテンツやスポンサードポスト
- その他、目にしたことがあるかもしれないあらゆる方法
近道はない。これらのリンクを獲得する唯一の方法は、
- パブリッシャーのオーディエンスにとって非常に興味深く、
- 関連性が高く、
- ニュースにする価値がある
そういった、パブリッシャーがそのコンテンツそのものについて書きたくなるようなコンテンツを作成することだ。
したがって、成果を収めるには、以下の3つのことをきわめて首尾よく成し遂げることが前提となる。
ニュースに値するコンテンツを開発する(これは通常、コンテンツがデータ駆動型であることを意味する)
誰に対してアピールするのかを理解し、成功や自然なシンジケーションにとって最高の機会を得る
効果的なピッチを書いて送る
1番と3番はMozの他の記事で取り上げた。今回は2番について深く掘り下げ、コンテンツをアピールするのに可能な限り最適な場所を理解して選ぶ方法を調査してみよう。
具体的には、データ駆動型のコンテンツから「ごく一握りのリンクしか獲得できないか」「大量のリンクを獲得できるか」の違いを生み出し得る、隠れたニュースシンジケーションネットワークを明らかにする。
ニュースシンジケーションネットワークを理解する
すべてのニュースパブリッシャーが同じわけではない。パブリッシャーのなかには、ハブやインフルエンサーとして振る舞うところもある。彼らが生み出した記事やコンテンツが、同じトピックや似たような話題を扱っている他のパブリッシャーに「ピックアップ」されて、同様な記事が書かれるように効果があるのだ。
上位のハブは誰の目にも明らかだろう。CNN、ニューヨーク・タイムズ(NYT)、BBC、ロイターなどだ。これらのパブリッシャーは、その規模・ブランドオーソリティ・報道力により、ニュースの発信元として最初にアクセスする場所であり、他のメディアのジャーナリストやライターが記事のアイデアを求めてよく集まる場所ともなっている。
ということは、これらのサイトのいずれかにコンテンツを拾ってもらえたら、自分では何もしなくても、関心を持ってもらえそうなほぼあらゆる場所で自分の記事を広く配信してもらえることは、ほぼ間違いない。
大手メディアに関してはわかった。しかし残念ながら、その他にどのサイトが「ハブの地位」を享受し、特定のトピックや話題について多くのニュース記事を発信しているのかは不明なことが多い。
Fractlでは、大手パブリッシャーに売り込みをかけてきた。その経験によって、顧客のために作成しているコンテンツのシンジケーショに最も有望と思われる領域について深い直感が得られた。しかし今回、さらに一歩進んで、データを問題にしようと思った。
コンテンツ配信の最大のハブとしての役割を果たしているのは、実際、どのパブリッシャーだろうか?
この問題への理解を深めるため、私たちは、オンライントラフィックが特に多い米国のパブリッシャー上位400サイトからなるリンクネットワークに目を向けた。そして、この巨大なリンク網を理解するため、強力なネットワーク可視化ツールGephiを利用した。以下の画像は、このネットワークをビジュアル化したものだ。
さらに説明する前に、このビジュアルマップの見方を詳しく紹介しておこう。
色付きの各円は「ノード」と呼ばれる。ノードは、1つのパブリッシャーまたはウェブサイトを表す。
ノードの大きさはドメインオーソリティに基づく。ノードが大きいほどドメインオーソリティは高い。
ノード間の線は「エッジ」と呼ばれ、各パブリッシャー間のリンクを表す。
エッジまたはリンクの強さは、あるパブリッシャーから別のパブリッシャーへのリンクの総数に対応する。あるパブリッシャーから別のパブリッシャーへのリンクの数が多いほどエッジが強くなり、これら2つのノード間で互いの方向に引き寄せられる力が強くなる。
このビジュアルマップは、覇権争いの壮大なゲームのようなものと考えることができる。リンクネットワークが似ているノードは互いに近いところに群がることになる。
ノードの色は、すべてのノードを相互に比較しながらリンクネットワークの全体的な類似性を見る「モジュール性」アルゴリズムによって決まる。同じ色のノードは類似性が最も高い。Gephiに実装されているモジュール性アルゴリズムは、ネットワークの他の部分よりも緊密に結合されているノードを探す。
可視化することで認識できる重要なポイントには、次のようなものがある。
最も「中心的」なノード、つまりグラフの中央付近に表示されるノードは、最も広範なサイトからリンクを獲得しているノパブリッシャーを表す。
当然のことながら、ロイター、CNN、NYTなどの大手が中央に配置されており、あらゆる場所から大量のリンクが集まっている。
密集部分は、極めて頻繁に相互リンクしているパブリッシャーたちで、強い引力が生み出され、緊密な関係が保たれている。このようなパブリッシャーの多くは、同じ親会社の傘下にあるか、自動のリンクシンジケーション関係が組み込まれている。
その好例が、(10時の位置にある)Gawker Network※だ。このネットワークにおけるノードの近さは、サイト間で共有されているサイト全体のリンクの効果に加えて、相互リンクの多さと記事シンジケーションの効果を現している。
同様の密集部分は7時の位置にもあり、NBC傘下の大手パブリッシャー(nbcnews.com、msnbc.com、today.comなど)が表示されている。その近くには、NBC傘下の大手地域パブリッシャーも表示されており、これらの地域支社への記事シンジケーションも大量であることを示している。
パブリッシャー間の隠れた類似性も見てとれる。たとえば、FoxNews.comとTMZ.comが非常に近いところでグループ化されており、リンクプロファイルが非常に似通っているだけでなく、相互に大量のリンクも張っていることに注目してほしい。
そのほかに特筆すべき興味深い塊はBuzzfeedとViceの部分だ。両者の中核は真面目なニュースとライフスタイルの間のどこかにあり、リンクは相互に伸びている。
同じようなテーマや話題を扱っているサイトの多くは、ビジュアルマップ上で相互に近いところに位置している。一流のライフスタイル関連パブリッシャーは1時の位置を中心に集まっているのが分かる。ニュースパブリッシャーは、政治観が似ている他のニュースパブリッシャーの近くに集まっている。Politico、Salon、The Atlantic、The Washington Post(WP)の近さに注目してほしい。
同様に、Breitbart、The Daily Caller、BizPacReviewの近さにも目を向けてみよう。
グラフに現れているこうした関係は、これらのパブリッシャーが互いの記事をどのようにピックアップしているかという、隠れたバイアスや関係を示唆するものだ。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回では、さらに視点を変えながらリンクネットワークを可視化してシンジケーションネットワークについて理解を深め、また、実際に行ったコンテンツキャンペーンの結果も紹介する。→後編を読む
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