ついつい悩む「エンゲージメント率」の計算方法、分母と分子はどう決める?
「エンゲージメント率」って、そもそもどう計算してる?
ソーシャルメディアを企業が運用し効果を計るうえで、重要な指標の1つが「エンゲージメント率」です。クライアント様と戦略ミーティングなどをしていると、よく出てくる言葉です。しかし、意外と「エンゲージメント率」の定義が人によって異なり、会話が噛み合わないということがあります。
みなさん、「エンゲージメント率」ってどんな数値だと考えていますか?
「率」というからには、なんらかの数値を分母と分子に置き、それに100を掛けた数値になります。小学校の算数ですが、分母が4で分子が1なら、答えは1/4=0.25。これに100を掛けると25。つまり「25%」となります。
では、エンゲージメント率の場合は、何が分母で何が分子なのでしょうか。
まずはググってみた
まずGoogle先生に聞いてみたところ、「weblio辞書」「Social Media Lab」に、以下のような説明がありました。
エンゲージメント率
企業のFacebookページにファンとして登録しているユーザーの10人に1人が、いいね!ボタンやコメントなどの反応をしたとすれば、同企業は10%のエンゲージメント率を得ていることになる。(weblio辞書より)Facebookの「エンゲージメント率」の定義
Facebookにおけるエンゲージメント率は、投稿がリーチし、投稿に関していいね!、コメント、シェア、またはクリックした人数となっています。エンゲージメントの内訳として数えられているのは「いいね!、コメント、シェア、投稿のクリック」です。(以下、Social Media Labより)Twitterの「エンゲージメント率」の定義
Twitterにおけるエンゲージメント率は、アナリティクスの「ツイート」タブで以下のように定義されています。エンゲージメント(クリック、リツイート、返信、フォロー、いいね)の数をインプレッションの合計数で割って算出します。Instagramの「エンゲージメント率」の定義
Instagramのエンゲージメント率を計算する際、分母になり得る項目は、「フォロワー」「インプレッション数」「リーチ」の3つが考えられます。
まあ、こんな感じでいろいろです。専門サイトでも定義が分かれており、かつすべてが正解です。これでは、企業の担当者さんも混乱するのではないでしょうか。
具体的な事例で、数値の差を確認してみよう
では、「こういったサイトに書いてある方法で、いっぺん計算してみるか」というふうに思いますが、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。分子と分母をちゃんと考えてみてください。
分子はカンタンです。「いいね」やコメントの数、TwitterならRT数、Facebookならシェア数など、その他、各メディアの解析データで取れる「ユーザーが各投稿にアクションしてくれた数」を設定すれば問題ありません。
問題は分母です。ファン(フォロワー)を分母にするのか? 投稿のリーチ(インプレッション)を分母にするのか?
ここで具体的な事例を考えてみましょう。フォロワーは約3万人の某Twitterアカウントで、こちらの投稿では、エンゲージメントの総数が2,213でした。
1.「フォロワー」を分母にした場合
2,213÷30,000=7.38%がエンゲージメント率となります。
2.「インプレッション」を分母にした場合
2,213÷15,579=14.21%がエンゲージメント率となります。
ぜんっぜん違う数値が出てきますね。
もう1つ、今度はInstagramで見てみましょう。こちらはフォロワー約3,000人です。769(いいね)+12(コメント)=791(エンゲージメント数)として計算します。
1.「フォロワー」を分母にした場合
769÷3,000=25.6%がエンゲージメント率となります。
2.「リーチ」を分母にした場合
769÷2,175=35.4%がエンゲージメント率となります。
これも大きく差が出ています。
エンゲージメント率計算で大事なのはブレないこと
これだけ差があると、「どういうふうに計算すればいいの!?」と悩みたくなるところですが、正直どれでもいいです。もちろん「7月はリーチを分母に、8月はファンを分母に」とかブレたらダメです。でも、いずれかに統一すれば問題ありません。同じ基準で推移を確認することが大切なのです。まずは、分母と分子を明確に決め、運用の指標にしましょう。
ただ、(いつをスタートとするかが難しいのですが)日本でソーシャルメディアの普及が始まってから、まもなく約10年が経ちます。2013年から始めていてもすでに5年。2015年にアカウントを開設していたとしても、もう3年が経過しているのです(くどい)。
アカウント開設初期にフォローしてくれたユーザーも、いまはもうそのアカウントを使っていない可能性があります。
ソーシャルメディアをやめちゃったケース、機種変してパスワードがわからなくなってしまったケース、環境が変わって前のアカウントを捨てたケース、など、ひとはソーシャルメディアのアカウントを捨てる動物なのです。
ですから、「ファン(フォロワー)」をベースにエンゲージメント率を計算していると、可動していないユーザーも分母に入ってしまうことに注意してください。
「でも、ウチはついこないだTwitter始めたところだから、フォロワーベースでいいのでは?」という反論もあるでしょう。ただ、この先何年も運用を継続していくとなると、やはり、エンゲージメント率はリーチやインプレッションをベースに計算したほうが、より正確であるはずです。
ファン(フォロワー)は多いけどリーチが出ないときは?
ちなみに、ファン(フォロワー)の多寡とリーチの大小は、まったくの別問題です。ファンは多いけどリーチが出ないという企業の場合は、リーチやインプレッションを獲得できる策を別途講じましょう。本連載の次のような過去記事が参考になるのではないでしょうか。
まとめ
もちろん、「ファン(フォロワー)」をベースにエンゲージメント率を算出すること自体は、間違っているわけではありません。
獲得したファンのうち、どのぐらいのユーザーが反応してくれたのかを見たい場合もあります。ただ、いいねやコメントなどのアクションをしてくれるユーザーは、ファンだけに限りません。
たまたま自分のフォローしているユーザーがRTしたツイートに対して「いいね」をタップすることもあります。逆に、いくら自分のタイムラインにあなたの投稿が流れてきても、まったく反応しないユーザーもいます。
こうしていろいろ考えてると、やっぱりエンゲージメント率は、「リーチ(インプレッション)」をベースに見るべきという結論に至ります。ちなみに、私は自身のクライアント様には、よっぽどの理由がない限り「リーチ(インプレッション)」を分母にしてエンゲージメント率を計算してもらうようにしています。
「なーんか肌感とエンゲージメント率が合わないなー」というご担当者さんは、ご参考に。それではまた。
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