いちばんやさしいデジタルマーケティングの教本(全11回)

「買わない理由」=「現状課題」これを解決するマーケティングの典型的な施策とは? #4

消費者が買わない理由から解決策に落とし込む、具体的なマーケティング施策を紹介します(第4回)。
いちばんやさしいデジタルマーケティングの教本

この記事は、書籍『いちばんやさしいデジタルマーケティングの教本』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

Lesson 05では、売上が上がらない理由として、商品が買われない3つの主要因を説明しました。次に、買わない理由をどうやって取り除くのか、マーケティングにおける典型的な取り組み方を順番に紹介していきます。

Chaper 1 デジタルとマーケティングの関係を改めて整理しよう
Lesson 06 [マーケティングの解決策]
「消費者が買わない理由」をどうやってなくしていくのかを考えてみよう

○3つの要因を課題に落とし込み、解決策を考えてみよう

消費者が商品を「買わない」主な理由を3つあげました。

「買わない理由」を言い換えれば、現状課題です。理由を深掘りしていくと、大抵はこの3つの課題のどれかに落とし込むことができます。マーケティングの基本は、売ろうとする商品やサービスにどんな課題があるかをはっきりさせて、その課題解決を行うことです。

デジタルに限らず、マーケティングでは「売れない理由」を見極め、その課題を解決する定石を知っておく必要があります。

▶マーケティング課題の先にあるゴールは? 図表06-1

○商品を知ってもらうためにすることとは

「あまり知られていない商品」を「みんなが知っている商品」にするには、広告やプロモーション活動の展開を行うのが基本です。

しかし、知る必要のない人、商品を知ったとしても買う可能性が低い人に広告を見てもらっても広告の効果は大きくないといえます。商品を買いそうな人に広告を見てもらうためには広告手法や掲載場所を見直す必要があります。

したがって、まず「商品を知ってもらう」ためにしなくてはいけない第一のポイントは、「誰に知ってもらうのか」「何を知ってもらうのか」の優先順位を明確にすることなのだといえるでしょう。

▶「商品を知ってもらう」解決策 図表06-2

○商品の魅力を伝えるためにすることとは

商品を販売しようとするとき、消費者のニーズに合致した特徴や魅力を丁寧に伝える必要があります。「商品を知ってもらう」のはあくまで第一段階で、商品の名前や存在を知った人に向け、「これこそ、私がほしい商品だ」と気づきを与えるような働きかけをしていきます。

広告は出しているのに商品が売れていないという場合は、企業側が訴えている商品の特徴や商品の魅力が消費者にうまく伝わっていません。消費者が持っている問題意識からずれていて、「知りたいのはそこじゃない」と思われているのです。

解決策としては、まず消費者のニーズを正しく理解することからやり直します。そのうえで、ニーズに沿ってその商品の特徴をどのように伝えれば魅力的か検討し、望まれている情報を提供することです。例えば、その商品を使うと生活や利便性がどんなに向上していくのかを具体的に示す、生活提案はその典型例です。

▶「魅力を伝える」解決策 図表06-3

○消費者の評判を高めるにすることとは

どんなに優良企業であっても、消費者はまったく聞いたことがない企業の商品については、信頼していいのかどうか判断できず、購買に消極的になります。また、世間の評判が悪ければ購入が妨げられます。そこで、課題解決は、商品やブランドの評判を高めることです。

世の中の評判というものはなかなかコントロールできません。しかし、自然発生的な評判や評価を待つばかりでは、常に受け身の状態となってしまいます。

したがって、企業の発信する情報が正しく広まっていく仕組みを作り、メッセージを送り続けることが必要なのです。

さらには商品の魅力を伝える施策の一環として、自社の顧客の声を吸い上げて、購入を検討している人に対して提供するといった仕組み作りを行っていくことができます。また、ユーザーの声を聞くだけでも、商品やサービスの向上につなげられるヒントが得られます。

▶「評判を高める」解決策 図表06-4

○課題を解決するための手段が「マーケティング施策」

マーケティング上の課題がある場合、現状に問題があるわけですから、ゴールに向かうには、これまでの方針を変更したり、提供する情報の内容を見直すといった、何らかのアクションを行う必要があります。

このアクションのことを総じて「施策」といいます。マーケティング施策は、現状課題をゴールへ導くための「手段」といえます。やみくもにマーケティングを行うのではなく、ゴールに対応する正しい手段をとってこそ、ゴールに導かれるのです。

▶課題を解決する「施策」 図表06-5

○課題解決にデジタル領域が大きくかかわってきている現代

2000年代までのマーケティングといえば、どんな企業でも行っていたのはマスメディアを使った宣伝やリアル店舗でのキャンペーン、営業担当者の対面や電話を使った販売など、課題解決の施策はどれも現実社会のものでした。

しかし最近では、広告のデジタル化や商品情報の提供はもちろんのこと、実際に購入に至るまですべてをデジタルで完了するケースがどんどん増えています。もちろん、口コミもデジタル化されています。

これまではアナログで解決していた課題をデジタルで解決する例は増えています。例えばダイレクトメールは減りメルマガが増えました。友達紹介キャンペーンは電話を使わず、スマートフォンアプリに変わっています。

「デジタルのほうが解決のために使える有効な情報があるから」とか、「コストが低いから」といった理由もありますが、なにより買ってほしい消費者が次第にデジタルの場に多くシフトしているから、ということも大きな理由です。

マーケティングの課題は、決してデジタルだけで解決できるわけではありませんが、課題解決のためにデジタルをツール・手段として活用するのがふさわしいケースは増えています。

いきなり多くの課題に取り組むのではなく、まずはこのレッスンの3つのポイントに絞って、身近なところの振り返りからはじめます。

3C分析やSWOT分析から始めなくてもいいの?

多くのマーケティング戦略の教本を読むと、まず自社のおかれている環境を理解するために、顧客(Customer)、競合の企業や商品(Competitor)、自社や自社商品(Company)を分析する「3C分析」や、自社の強みや弱みを理解する「SWOT分析」などのフレームワークを通して戦略を立てる方法が紹介されています。

ただしそうしたフレームワークは経営管理などの領域までを含むことも多く、また資料収集や調査分析にかかる時間やコストも問題になってくるでしょう。本書では皆さんがWeb担当者やデジタルマーケティング担当者の一人として業務に取り組むという前提のもと、まず直面する身近な課題から実践を進める中で、それぞれの理解を深めていくことをおすすめします。

  • 著者:田村 修
  • 発行:株式会社インプレス
  • ISBN:9784295002307
  • 価格:1,980円+税

いちばんやさしいデジタルマーケティングの教本
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