編集長ブログ―安田英久

Adobe Analyticsが数倍の値上げ!? アドビはもう予算のない中小には用がないのか?

Adobe Analyticsを「アクセス解析ツール」だと考えるのが間違いで、「企業のマーケティング基盤」だと考えるべき

今日は、Adobe Analyticsの値上げの(ちょっとした)騒動の話題から、アドビの戦略や、「アクセス解析ツール」と「マーケティング基盤」の違いなどを考えてみます。

2017-09-13: 既存利用企業向け料金プランに関する情報を追記し、製品群の名称を最新のものにあわせて修正しました。

Adobe Analyticsが大幅値上げ、以前の数倍に!?

実は、いまAdobe Analyticsの利用料が値上げされています。利用している企業の担当者には代理店さんなどから連絡が行っていると思いますが、かなり大きな値上げです。

念のために説明しておくと、Adobe Analyticsはアドビ システムズが提供するアクセス解析ツールで、同社のデジタルマーケティングプラットフォーム「Adobe Experience Cloud」の中核を担うサービスの1つです(昔は「Omniture SiteCatalyst」という名称のサービスでした)。

どういう値上げかというと、料金プランが大幅に改訂され、「新たにAdobe Analyticsを使うなら、最低でも月間2億サーバーコールの契約から」というプランになってしまっています。

そのため、すでに2億サーバーコール以上で契約しているところはあまり金額が変わらないのですが、月間数百万サーバーコールで契約している場合は(SiteCatalyst時代から比べると)数倍の値上げです。

2017-09-13追記: 既存のAdobe Analyticsユーザー向けには、2億サーバーコール未満でも利用できる料金プランが提供されるとのことです(ただし価格はこれまでと同じではない)。

Adobe Analyticsの利用料は「サーバーコール」という単位で決まります。サーバーコールとは、要は解析サービスへのデータの送信回数のことで、PVやイベントトラッキングごとにサーバーコールが発生します。月間100万PVあり、1 PVあたり平均3回のイベントトラッキングを使う場合は、少なくとも月間400万サーバーコールの契約が必要というものですね。

実際には、代理店や利用企業からの反発によって、値上げ幅を調整したり既存の利用企業はその契約金額をベースに調整したりするように動いているようです。

こうしたニュースを聞くと、「Oracle Database」の保守料金の値上げでユーザー企業が困っているという話題を思い出します。

Oracle Databaseは信頼できるデータベースのデファクトスタンダードだと言われ、多くの企業が重要なデータを保存して利用しています。

そのシステムの保守料金(つまり正式にサポート対応などしてもらうための費用)で安いライセンス体系がなくなって実質値上げになり、さらに社内で利用しているすべてのOracle Databaseで保守契約が必須になるといった条件により、企業が頭を抱えるようになっているという話は、システム系ではよく耳にします。

アドビに関しても、

レポートとか計測とか仕組みを作って離れられなくなったところから金をむしり取るのか!

コンサルだトレーニングだと都度高い金を払ってるのに、さらに値上げか!

という声も耳にするように、「どんどん金額を上げる」「効率の悪い中小企業は相手にしない」方向に動いていってしまうのでしょうか?

と思ってしまったのですが、よく考えると、そうではないだろうと思うようになってきました。

アドビの製品は「マーケティング基盤」だと考えるべし

というのも、Adobe Analyticsを「アクセス解析ツール」だと考えるのが間違っているのではないかと思うのです。そうではなく、企業のマーケティング基盤をつくるための仕組みだととらえるのが、正しいのではないでしょうか。

単なるアクセス解析ツールだとしたら、大規模でそこから利益が大きくあがっているサイトでしか利用できない価格プランに変更するのには、違和感があります。

しかし、アドビが進んでいるのは、「Adobe Experience Cloud」という製品群によって企業のデジタルマーケティングのプラットフォーム(基盤)をしっかりと構築していく方向です。そのマーケティング基盤のうえで、企業のマーケティング活動や顧客とのコンタクトポイントとエンゲージメントをマネージしていくことで、企業活動にデジタルを融合させ、経営の軸の1つとしてマーケティングを活用していく方向です。

そして、そうしたマーケティング基盤の中核をなす仕組みの1つがAdobe Analyticsなのです。

つまり、Adobe Analyticsを単なる「アクセス解析ツール」「PV数やコンバージョン数を計測してレポートするための仕組み」だと考えるのが間違っているのです。そうではなく、「企業全体のマーケティング基盤を支えるサービス」「デジタルを主軸としたマーケティングで事業全体を改善していくための、データ管理&マーケティングの基盤」だととらえるべきなのです。

となると、ある程度の売上や利益率をベースにした値付けになるのも不思議ではありません。なぜなら、そこから得られるメリットがはるかに大きいからです。また、その値付けでは厳しい小さな規模では、実際にはそうした仕組みがなくても現場でのシンプルな作業で改善できることはありますし、そもそも経営層の判断で大きく方向を変えるなどもやりやすいですからね。

もしいまAdobe Analyticsを、アクセス数を調べたりレポートを自動的にメンバーに送信したりするためだけに使っているようでしたら、おそらく「製品のフィロソフィと使い方が合っていない」ということになるのでしょう。

もし今本当にやりたいことが「アクセス解析のシンプルなタスク」なら、Googleアナリティクスの無料版ででもできることは多いでしょう。

そうではなく、本当にデジタルを主軸にしてデータを徹底的に活用したマーケティングを行い事業を変革していくことが目的ならば、「無料だから」といってGoogleアナリティクスに流れている場合ではありません。変革によって生まれる(またはそうしなければ失われる)将来の利益をもとに変革プランを作って投資し、どんどん事業を今の時代に合わせていくべきでしょう。

Adobe Analytics(や、Adobe Experience Cloud)の料金プランは、そうした前提のもとに作られていると考えるのが、正しい解釈なのではないでしょうか。

ちなみに本記事の内容は、アドビさんに一切確認していません。一部のAdobe Experience Cloud製品のユーザー企業さんや代理店さんへのヒアリングをもとに、安田の独断で執筆しました。

もし、この記事の内容に対して、

そうじゃないよ、値上げの背景にあるのはこういうことだよ

マーケティング基盤を作るのにそんなにコストかけなくてもいいじゃん、おかしいよ

なんで値上げネタで記事にしてるんだよ、ちょっと体育館の裏に来い

という方がいらっしゃいましたら、コメントやメールなどでご連絡いただければと。

2017-09-13修正: 現在は以前の「Adobe Marketing Cloud」というスイート体系から「Adobe Experience Cloud」という体系に変え、Adobe Analyticsはそのなかの「Adobe Analytics Cloud」の分類のようですので、表現を修正しました。
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