四家正紀が聞く! 顧客とのデジタルコミュニケーションで大切なこと

「初心者なんですけど教えてください」とブロガーの会合に飛び込んだ

「初心者なんですけど教えてください」とブロガーの会合に飛び込んだ

四家当時広報メンバーの皆さんが、自身でブログを運営した経験は今の「サントリーウイスキー蒸溜所ブログ」などの公式ブログに結実しています。さらに、先ほどのビール工場見学のようなブロガーイベント開催につながり、これがハイボールによるウイスキー復活プロジェクトにつながりますよね。

ところで、有力なブロガーとの接点はどういう風に作ったのですか?

サントリー公式「サントリーウイスキー蒸溜所ブログ」
サントリー公式「サントリーウイスキー蒸溜所ブログ」(サイトで見る)

室元あー、それは……飛び込みですね(笑)

四家それまではブロガー界隈には一切「つて」がなかった?

室元はい、自分でブログの力を実感したあと、「もっとちゃんとブログに取り組まれている方は、何をどう考えているのかな」と思いまして。それを知るためには、とにかく会ってみるしかないということで、ブロガーさんたちの会合に飛び込んでいったんです。

四家まったく面識がないのに、ブロガー飲み会に参加したわけですね。

室元はい。「すみません、初心者なんですけど教えてください」って(笑)。いきなりいろいろな有名ブロガーさんが集まる会に行くのもちょっとリスクが高い気がしたので、比較的目標や動き方が明確なアフィリエイト系のブロガーさんが集まる飲み会に参加しました。そこで、アフィリエイトで有名なブロガーの和田亜希子さんとお会いしました。

ブロガーさんが何をどう考えているのかを知るためには、とにかく会ってみるしかない

四家最初の飲み会はどんな様子だったか覚えてますか?

室元いや~。完全アウェーな感じでしたよね(笑)。そもそも、言ってる言葉の意味がわからない(笑)。

四家そうですよね(笑)。アフィリエイトの知識って幅広いですから。

室元ですので、次は自分でもアフィリエイトもやってみました。すると「なるほど、こういうことか」と理解できます。実際にお話したことで、アフィリエイターの方々は「何かを体験して物を書くのが好きなんだな」ということもわかりました。そういうところから「ビール工場見学」という案につながっていったんです。

四家和田さんはその後「MONO-PORTAL」というサイトを作り多くのブロガーをまとめ、僕もMONO-PORTAL経由でビール工場イベントに参加しました。こういうキーマンに出会うというのは、とても重要だと思います。

室元そうですね。ただ、「何かしらのつてで紹介してもらってキーマンの懐に飛び込む」というのは、営業の基本中の基本なんです。そういった人のつながりを作っていくという点では、営業マン時代に培ったことがすごく役立ちましたし、当時の私はそれしか芸がなかったのかもしれません。

営業時代の経験とテクニックが今のイベント企画に生きている

四家 お伺いしたいのはまさにその点です。ビール工場ブロガーイベントのとき室元さんにお会いして「優秀な営業マンとしてのスキルを効果的に生かしている方だなあ」という印象を強く受けたんですね。ネットのお仕事を担当する前の経験が、今に生きていると思いますか?

室元はい、その自覚はあります。入社して最初の7年間は、大阪の宣伝部で主にイベントをやっていたんです。90年にプロゴルフトーナメントのサントリーレディスオープンの立ち上げも担当していました。だからご来場者に楽しんでいただき、満足度を高めるためのイベントのノウハウは身に着けていました。

四家なるほど、もともとイベント企画運営の経験があったんですね。

室元95年に阪神・淡路大震災が起きて、近畿圏のイベントは1年間中止することになりました。それで異動して、大阪の中央支店で飲食店さんに樽生(生ビールのタンク)を扱っていただく営業をやっていました。

当時、サントリーにザ・プレミアム・モルツはまだありません。アサヒさん、キリンさんの2社でシェア9割を占めているなかで、こちらはモルツしかない、まったく丸腰みたいな感じで飛び込んでいって(笑)。そんななかで「つてをたどってとにかくキーマンに当たる」というのは、先ほど申し上げたとおり基本中の基本だったんです。

四家なるほど。

室元隆志氏

室元もう1つ、お店に対して絶対に「樽生を入れてください」という営業をしない、というのも鉄則でした。競合が強すぎて、こっちがビールの話をしたって聞いてくれません。だから、とにかく「お客さんが今課題に思っていること」を聞き出して、課題解決に取り組むんです。

たとえば、「お酒の客単価が低いんだよね」と言う話をもらったら「ワインボトルを入れたらどうでしょう」と持ちかける。「どうやって選んだらいいかわからない」となれば「きれいなメニューを作ってお持ちしますよ」と提案する。生ビールのことは、口が裂けてもひとことも言わない。言ったらその場で断られるからです。だからとにかくお店の相談に乗って、課題解決を積み重ねていく。

そのうち「このカウンターにあるビールサーバーが大きくてさあ」と悩みを相談してくれたりします。そうしたら「カウンター下に隠せるくらい小さいビールサーバーもありますよ、そうしたら席数2つ、いや3席は増やせるかもしれませんね」なんて返すと、「そうなの? そうしたらランチの売り上げも上がって助かるんだよね」「わかりました、いっぺん設計図描いてみましょうか」という感じで話が進んでいきます。

生ビールのことは口が裂けても言わない。言ったらその場で断られるから

四家おお! なるほど、まさに提案営業ですね。

室元小さな課題解決を積み重ねたうえで、最終的に「じゃあ、やってくれない?」とこちらの商品に変えていただく。そういう風に持っていくわけです。

だから、今もブロガーさんに「ブログを書いてくださいね」とは絶対言わないんです。「黙っていても書きたくなる」イベント設計からリレーションまでを含めて考えています。うちのメンバーにも「ブロガーさんに『書いて』と絶対に言うな」と強く言ってあります。書きたくてたまらないような場を設定しなければ、負けなんです

四家すごいですね。イベント運営と提案営業の成功体験が今に生かされている。

室元こういうスタイルの営業は、最終的には人として愛してもらえないとうまくいかないんですよ。多くの飲食店では、仕入れの決定権を持っているのはその場にいる社長や店長です。多くの人に支持されている強い競合商品があるなかで、そちらではなくうちのビールを置くというのは、お客さんに説明するのも大変です。愛されないと売れなかったと思います。

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