Googleアナリティクスでユーザー属性を表示 性別や年齢はどうやって確認?[第31回]
Googleアナリティクスでは、Webサイト利用者の性別や年齢といった基本属性をその人にアンケートすることなくレポートに表示してくれる機能がある。ただし、これは実データではなく推測ベースだ。利用者の基本属性を確認することで、「意外に年齢の高い層が成果に貢献していた」といった発見があるかもしれない。
筆者はもともと紙のアンケート調査をするリサーチャーだった。「雑誌購読者の一部に対して読んだ記事やその評価を聞く」といったアンケートを行うのだ。そうしたアンケートの中で必ず聞く質問項目が次のようなものだ。
- 性別
- 年齢
- 業種・職種
- 役職
今や結婚しない人も多いし晩婚化も進んでおり、性別・年齢とライフステージ(結婚、出産、子供の就学や独り立ち、住宅の賃貸や売買など)が必ずしも合致するとはいえなくなっている。そのため昔よりも性別や年齢といった基本属性の重要度は低くなっているかもしれないが、依然として基本属性は「人となり」を知るうえでの重要情報であることに変わりはない。今回は、ユーザーの属性を確認していこう。
- サイト利用者の性別・年齢などの基本属性を知る
- サイト利用者の興味・関心事を知る
基本属性を見るのは「ユーザーの分布」以下のレポート
Webサイトの利用者の性別や年齢を知ることができるレポートは、[ユーザー]>[ユーザーの分布]>[サマリー]レポートだ(図1赤枠部分)。年齢は「18-24」「25-34」など数カテゴリに分けられた棒グラフで、性別は男女別の比率を円グラフで見ることができる(図1青枠部分)。
なお、ここで紹介するレポートを表示するにはプロパティの「広告レポート機能」をオンにする必要がある。その方法は記事の後半で紹介するので、まずはどんなレポートを見られるのかを解説しよう。
どのようにしてWebサイト利用者の性別や年齢などを推定しているのかという仕組みは後述するが、「属性を推定できたユーザーは全体の何割くらいだった」の数字も表示されている(図1緑枠部分)。
次に確認するのは[サマリー]レポートの下にある[年齢]や[性別]レポートだ(図1黒枠部分)。図2は[ユーザー]>[ユーザーの分布]>[年齢]レポートの例だ。
たとえば全体の5割以上を占めるのが「年齢が25歳から34歳の層」だが、よく見るとこの層は「コンバージョン率が10.51%と最も低い」という課題が浮かび上がる(図2赤枠部分)。サイトを1ページだけ見て離脱する直帰率も一番高く、サイト内の平均ページビュー数(「ページ/セッション」指標)も最も低い。
つまり「このボリュームゾーンのコンバージョン率を改善することができれば、全体のコンバージョン率向上に効果的」ということがわかる。「どのように改善したらよいのか」というヒントや具体的な施策はデータをにらんでいただけではわからない場合も多いが、このように課題を抽出すること自体は実はそれほど難しくない。
サイトに影響が大きいボリュームゾーンを見つけ、成果が出ていれば「さらに成果を出すにはどうすればよいのか」と考え、成果が出ていなければ「どこに障害があるのか」「その障害を除くことができないのか」を考えていけばよい。
「何に興味・関心を持っているか?」を知ると集客施策にも活用できる
性別・年齢を推定するのと同じ方法を使って生成したレポートをもう1つ紹介しよう。それは[ユーザー]>[インタレスト カテゴリ]レポート群だ(図3赤枠部分)。これらは自分のサイトを見ているユーザーがどんなことに興味・関心をもっているかがわかるレポートだ。
例を挙げよう。たとえば[インタレスト カテゴリ]の下にある[アフィニティ カテゴリ]レポートだ(図4)。カテゴリ名が英語表記なので少々わかりにくいが、上位は「Technophiles」「Business Professionals」「Shutterbugs」などとなっている(図4赤枠部分)。それぞれ「ハイテクマニア」「仕事の専門家」「アマチュア写真家」といった意味を表す。
この例では、計測対象サイトを見ているユーザーの興味関心が高い分野は「ハイテクや写真」であるといったことがわかる。つまりまだ計測対象サイトを見ていないユーザーでも、「ハイテクや写真」と関連するカテゴリのサイトに広告を出せば、カテゴリ間の親和性が高いので、新規ユーザーを連れてきてくれる可能性が高い。では広告を出してみようか、といった具合に、集客施策につなげる使い方ができる。
もちろん「コンバージョン(成果)に結び付いているか」という見方もできるので、効果的な広告のターゲット選択に役立てることもできるというわけだ(図4青枠部分)。
実はこれらのカテゴリは、AdWordsの広告のターゲットのカテゴリに対応している。グーグルとしては、GoogleアナリティクスのデータをもとにしてAdWordsなどグーグルのプラットフォームで広告を出してもらいたいわけだ。
図4で表示された「Technophiles」「Business Professionals」「Shutterbugs」などのカテゴリは、AdWordsの広告のターゲット選択では「インタレストとリマーケティング」を選択したときの「アフィニティ カテゴリ」分類(図5赤枠部分)にある「ハイテク好き」「ビジネスのプロフェッショナル」「アマチュア カメラマン」に対応している(図5青枠部分)。
Googleアナリティクスではすべて英語表記だが、AdWordsの画面ではすべてこれに対応する日本語があるはずだ。
グーグルはどうやってユーザー属性を推測しているのか?
なおここで紹介したレポート群を見るためには、「管理」画面のプロパティの項目にある「トラッキング情報」のデータ収集(図6赤枠部分)の「広告レポート機能」を「オン」にしておく必要がある(図6青枠部分。
「オン」になっていないと、該当レポートは表示されていないはずだ。最初は「オフ」になっているはずなので、前述のレポート群を見たいのであれば、ここをクリックして「オン」にしてから「保存」をクリックしよう(図6緑枠部分)。
この設定を「オン」にすると、裏では何が行われているのだろうか?
まず前提としてGoogleアナリティクスでは、サイト訪問者の行動履歴は計測対象サイトが発行する「ファーストパーティクッキー」で同一ブラウザからのサイト訪問をひも付けて計測している。ファーストパーティクッキーの利用は、そのサイトのみに限定される。
一方、広告レポート機能を「オン」にすると、グーグルが管理している「サードパーティクッキー」が発行される。その結果、グーグルが広告を出している先のサイトのユーザーと計測対象サイトユーザーが一元的に統合管理されるようになる。
そうするとグーグルには「あるユーザーAがどのサイトを見ているのか」がすべてがわかるので、閲覧したサイトから考えて「ユーザーAは25歳から34歳の女性だろう」あるいは「ハイテク好きの人だろう」と推定し、その結果をレポートに表示しているという仕組みだ。
グーグルに限らず広告配信を行う事業者では、その配信元のドメインが発行するサードパーティクッキーを使って「ユーザーがどのサイトに掲載されたどの広告を見たか/見なかったか」といった広告配信データが統合管理される仕組みになっている。
ただ最近はプライバシーへの関心も高く、たとえばiPhoneで標準的に利用されているブラウザのSafariでは、このサードパーティクッキーが初期設定ではブロックされるようになっている。こうしたケースでは、広告やコンテンツの統合的な閲覧状況を把握することができないため、ユーザー属性などの推定ができない場合もあるのだ。
広告レポート機能を使うときはプライバシーポリシーの掲示を忘れずに
このようにGoogleアナリティクスでは、通常で計測対象サイトが発行するファーストパーティクッキーが利用され、今回紹介した広告向けの機能を利用すると、グーグルの発行するサードパーティクッキーが利用される。
Googleアナリティクスの利用規約では、広告向けの機能を有効にしている場合は、その機能を利用しているという情報を開示することを求めている。なお、通常のGoogleアナリティクスの計測だけの場合でも、データ収集のためにCookieを使用していることについて、サイトにプライバシーポリシーを公開して告知することを求めている。利用規約を一度確認しておこう。
- Googleアナリティクス利用規約
https://www.google.co.jp/analytics/terms/jp.html - Googleアナリティクスの広告向けの機能に関するポリシー要件
https://support.google.com/analytics/answer/2700409?hl=ja&ref_topic=3413645
📝筆者が継続的に主催している講座群(Google アナリティクス中心)に興味がある方はこちらをご確認ください。
http://xfusion.jp/train.html
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