「おもしろい」って難しい!?―― SNSでシェア・拡散してもらうための情報発信のコツとは?
お客様に「おもしろい!」と思ってもらうことは、マーケティングにおいて重要な要素です。商品、キャンペーン内容、景品、広告クリエイティブ……、コミュニケーションプランニングはさまざまな要素の組み合わせですが、それらがおもしろくなければ、SNSなどで共有・拡散してもらえません。今回は、どのように「おもしろい」に取り組んでいるかを紹介します。
情報を拡散するためには「おもしろい」が重要
「この企画おもしろいよね!」「あの人のプレゼン、おもしろいよね」。みなさんも打ち合わせや同僚との雑談で、こんな会話をしたことがありませんか?
私の仕事では、ブランド・商品の課題を解決するため、日々どういうコミュニケーションをしたらいいかを考える中で、広告代理店の方やメディアの方とさまざまなアイディアを出し合ったり、議論します。そのうえで、企画を提案いただき、その企画を実施すべきかどうかを判断します。
提案を受けた企画を実施するかどうかの判断軸は、情報が洪水のようにあふれている今の世の中で、この企画で商品やブランドの情報をより多くのお客様にまず見ていただけるか、という点です。
そこでポイントとなるのは、第3者からのクチコミや、SNSシェアでの情報の拡がりです。クチコミやシェアをしてもらうためには、「おもしろい」ものでなくてはなりません。「おもしろい」でインパクトを与えて、強い興味・関心を持ってもらう必要があります。
「おもしろい」は感覚的・瞬間的
しかし、この「おもしろい」は、かなりのクセモノです。なぜなら、「おもしろい」というのは、感覚的・瞬間的だからです。説明しなくてもわかる一方で、かつ、人それぞれ基準が異なる主観的な感覚であるため、説明されたからといってわかるものではありません。
私はかなり右脳的思考なので、直感的に「おもしろい!」「これはイケる!」「バズりそう!」と感じたことを、論理的に説明することがうまくありません。あえて言うなら、自分の中で琴線に触れたかどうか、という点でしょうか。
デジタルマーケティング部のメンバーは日々、TwitterやFacebookなどのSNSを見ていたり、他社のプロモーションを分析したりすることも多いため、「おもしろい」という感覚を説明する際に、共通の事例を知っていたり、似たような体験をしていることが多いように思います。そのため、「おもしろい」という感覚がだいたい共通していることが多く、広告代理店の方やメディアの方からの提案を判断する際に、「おもしろい」の感覚が大きくずれることは少ないようです。
しかしながら、仕事柄、商品起点での情報接触が多い担当などは、共通のデジタル事例や似たような体験をしているばかりではないため、その時々のトレンドを踏まえた「おもしろい」という感覚を瞬時に理解してもらうのは難しいケースがあります。
「おもしろい」が伝わりづらいときにどうするか?
そういう場合どうしているか、というと、野暮ではありますが、とにかく説明するしかありません。
- ターゲットはどういう人たちか
- ターゲットには世の中的に今どういうものが受けているか、おもしろいと感じているか
- そういう文脈を踏まえたうえで、企画ではどういうおもしろさを狙っているのか
を、最終的な判断をする上司にはなおさら丁寧に根気強く(笑)説明しています。時代背景やトレンドによる根拠を示しながら説明することによって、たいがい理解してもらえています。
「おもしろい」はブランドごとに異なる
もちろんブランドによって「おもしろい」の違いはあります。たとえば、チューハイブランドの「氷結」とクラフトビールブランドの「グランドキリン」は、どちらも同じ20代を中心としたターゲットにしていますが、受け入れられる「おもしろい」は違います。
「氷結」のターゲットである若者たちは、世の中で話題になっていること、友達が言っていることがいちばんのソースであり、それらをシェアしたいというインサイトがあるため、いわゆるバズコンテンツ的なものを企画し、話題にしてもらって、言の葉に載せてもらうことを目指します。
一方、「グランドキリン」のターゲットである若者たちは、グラスによってまったく味が違うことや、実は意外とチョコとビールも合う!などの、飲み比べや食べものとのペアリングの妙を「おもしろい」と感じてもらえます。そのため、シェアを狙いながらも、クラフトビールに興味を持ってもらい、少しでも理解してもらうことを目指します。
この違いは、論理的に理解して、瞬時に判断する必要があります。
デジタルマーケティングによるブランド支援では、最終的にはこの「おもしろい」を通じて、商品やブランドに興味を持って、購買に至る、あるいは好きになってもらうことが目標です。
前職の調味料メーカーでは、バズる・シェアしてもらうといったアプローチはせず、いかに調味料の活用が日々の料理の役に立つか、という点でコミュニケーションを考えていました。このように何でもかんでもバズればいいというわけではありません。
「おもしろい」と思ってもらうことや、バズること、たくさんの人にシェアしてもらうことは、ブランドに関心をもってもらう手段であって、最終目標ではありません。デジタルマーケティングの企画を実施する際に、その点はつねに心がける必要がある、と思っています。
ソーシャルもやってます!