キリン加藤美侑のデジタルマーケティングなう

「イケる!」と思った企画が通らないとき…どうすれば社内の理解を得られるか?

絶対ウケそう!話題になりそう!と思った企画やクリエイティブが、社内外の理解を得られないときにどうするか。私なりの正攻法を解説します。

「これ絶対ウケる。話題になりそう!」

と思っていた企画やクリエイティブが、意外と会議での反応が薄かったり、理解を得られなかったりすることってありませんか?

マーケティングの基本はユーザーを理解して、心をキッチリつかむこと。デジタルか、リアルかを問わず、そこさえ押さえていれば、成果を上げることができる、と信じて、日々施策を考えています。

ところが、会社の上司や同じチームのメンバーでも世代や考え方、感性は違います。自分が感じた「ウケそう!」「おもしろい!」がすんなり理解されないことも多いのですよね

そんなときにはどのようにして理解を得ればいいのか。今回は私なりの対策を解説してみたいと思います。

外国映画のポスターへの違和感

先日Twitterでこんなツイートを見かけました。

同一作品でも韓国で展開されるポスターと、日本に輸入されてきて展開されるポスターのデザインが、映画自体のイメージが変わる可能性もあるぐらい違う! といった内容です。

この例に限らず、よく外国映画の邦題やポスターが、本国で公開されたものとまったく違うということは、多々ありますよね。

このツイートを見て、「へ~、けっこう大胆に変えちゃうんだな」と思いました。同時に、次のようにも想像しました。

もしかしたら映画を買い付けてきたバイヤーや、広告のクリエイティブディレクターは、元の映画の雰囲気を気に入って活かそうと思っていたんじゃないか。ところが、社内会議で承認を得る過程で、さまざまな人から「こうしないと観客に届かない」といった注文がつき、最終的に本国版とかけ離れてしまったんじゃないだろうか。

これって、私たちマーケッターが業務を進めるうえでも同じようなことが起こっているよな……としんみりしてしまいました(笑)。

社内で理解してもらえないときどうするか

SNSに投稿する内容や、コミュニケーションプランニング、デジタル広告のクリエイティブの社内承認を得るときに、

  • マーケティング部と営業部
  • デジタルマーケティング担当とブランドマネージャー
  • チームメンバーと上司

のあいだで、ギャップが生じることってありませんか? この場合のギャップというのは、

  • おもしろい/つまらない
  • ウケそう/外しそう
  • わかる/わからない

というふうに、1つの物事に対して、意見が分かれてしまうことです。

マーケッターは、いろいろな方法(デジタルマーケティングに携わるマーケッターの場合はデータやSNSでの発話内容やトレンドなど)を駆使して、ユーザーを理解しています。「完全に理解できている」とは言えないまでも、できるだけ理解しようと日々努めています。

デジタルマーケティングの対象となるユーザーというのは、世代やプラットフォームによって、大きく性質が異なります

ミレニアル世代は、生まれたときからスマホやデジタルになじんでいて、日々の生活で当たり前のようにスマホのアプリやサービスを使いこなしています。

また、同じSNSではあっても、Instagram、Twitter、Facebook、TikTokなど、プラットフォームごとに文化やローカルルールは違います。

そうしたユーザー固有の性質を考慮したデジタルマーケティングの施策は、彼ら彼女らの感覚や文化を理解したうえで、心に刺さるようなコミュニケーションをとることが中心となります。

しかしながら、それぞれのユーザーに合わせた施策やクリエイティブというのは、世代が違ったり、該当アプリやツールを日常的に使っていなかったりする人にとっては、データや論理では説明できない、なんというか感性、感覚で判断すべき事柄のため、直感的には理解できないことも多くあります。

企業アカウントで「バルス!」

ちょっと古い例になりますが、1年ほど前のこと。

テレビで『天空の城ラピュタ』が放送された際、クライマックスのパズーとシータが叫ぶタイミングに合わせて、キリンビールのTwitterアカウントで、「バルス!」とツイートしたことがありました。

当時も個人アカウントだと普通にツイートしている人はたくさんいましたが、企業のSNSアカウントでやる場合は、事前に社内で許諾を取る必要がありますよね。

そういう場合、自分の会社の企業アカウントだったらどうかな、と考えてみてください。

「バルス!」とつぶやくことに対して、

  • 「いいね! 乗ろう乗ろう!」という人
  • 「何それ、意味あるの?」という人

意見が分かれる場合も多いのではないでしょうか。

ふだんは堅いツイートばかりしている企業の公式アカウントが、Twitterのいわゆるお祭り的なイベントでちょっとユーモアのあるツイートをしたら、ユーザーも喜んでくれるかもしれない。

ただ、その喜んでくれることにいったいどういう意味があるのか。企業の公式アカウントが、「ふざけている」と批判されるリスクを冒してまでやる価値があるのかという意見もある。

こういった状況はSNSでの投稿だけでなく、キャンペーン内容を決めるとき、バナーのクリエイティブ、最近ではInstagramのハッシュタグ等々、いろいろな場面で出くわしますよね。

もしみなさんがこういうシチュエーションに直面したらどうしますか?

言葉と数字を尽くして説明する

そういうときには、私だったら、まずは徹底的に言葉を尽くして説明します。ただ、「ウケている理由」は、感覚的なものなので、説明するのは苦しいですよね……。でもなんとか、他社アカウントやツイートまとめの記事などを例に挙げながら、言語化します。

感覚を言語化して一覧にすると、陳腐だし、野暮だなぁと思うこともあるかもしれません。でも、この作業が「違う感性の人とも感覚を共有」するために、とっても必要なことなのです。

おおよそ、下記の項目に分けて、徹底的に言語化します。その成果を、現場の担当者として他の部署の人に説明するための論証として使います。

  • 目的(得たい反応)
  • ウケると想定している理由を、できれば論理的に
  • それぞれのプラットフォームでの文化やローカルルール
  • どういった効果を得られるのか(数字で出せるもの/出せないもの両方。インプレッション、エンゲージメント数、フォロワー数、いいねの数など)

しかしながら、説明を尽くしても100%の理解はなかなか難しいことも多いです。

企画やクリエイティブが通らないことも多いですし、もちろん失敗もたくさんしています。

試行錯誤を続けながら知見を溜めて、失敗しても次に活かしていくことは意識しています。

こうして社内の理解を得られて企画の実行に至っても、よく言われるのが、

「それは売上につながるの?」

です。

その疑問に答えられない場合は、どれだけすばらしい施策だったとしても、社内から真の理解を得られることはないでしょう。

デジタルの施策も、最終目的が売上である

一見、売上につながらないように見えるデジタルマーケティングの施策であっても、最終的には売上につながることを目的としている。

当たり前すぎる話だと思われる方もいると思いますが、デジタルだからといってマーケティングの目的が変わるわけではなく、手段は何であれ、最終的に目指すのは「売上につながること」です

そしてそれをきちんと理解し、明言する姿勢を見せることも大切だと思います。

世代や感性が異なっても目指す目標は同じです。「バズる」「刺さる」では理解を得にくい相手でも、目指すゴールが同じである姿勢を見てもらい、目標を設定したうえで説明すれば、歩み寄りも生まれるはずです。

ドラッカー教授は、マーケティングについて、次のように述べています。

マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。

マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。

(『マネジメント[エッセンシャル版]:基本と原則』より引用)

今さら私がここで引用するまでもなく、あまりにも有名なこれらの定義が最初に発表されたのは、今から約50年前、1969年に刊行された『断絶の時代』という本の中でした。

その当時は、もちろんデジタルマーケティングというものは存在していませんでしたが、デジタルだろうがアナログだろうが、マーケティングはマーケティング。どちらも最終的な目的は「売上につながること」です!

そして、売上に関わる要素は多岐にわたります。

マーケティング戦略で考慮すべき要素は、製品の品質、デザイン、ブランドの知名度、企業好意度、価格、広告のクリエイティブなど、数多くありますが、これらはすべて最終的には売上に関わる要素でもあります。

デジタルマーケティングって、つまり何なの?

私が「デジタルマーケティングって、つまり何なの?」と聞かれたときには、

デジタルデバイスや取得したデータを通じて、生活者に最適な内容・タイミングの情報提供やコミュニケーションによって、売上につながること

という説明をしています。

以前にWeb担当者Forumで、アイレップの田村修さんが「デジタルでもマーケティングの本質は「売上と利益」を作ること」という記事を書かれていましたが、私もまったく同意で、デジタルだからといって、目的が変わるわけではありません。50年前も今も変わらず、目的は「売上につながること」なのです。

デジタルマーケティングの手段は、確かになんとなく目新しく見えるので、新しいことをやっている感じがします。それに、次から次へと、新たなメディア、アプリ、ツール、手法が出てくるので、どうしても「なんだか効果や成果があるんだかないんだかはっきりしていないことを実験的にやっているように見えてしまう」というのは、私も実感としてよくわかるのです。

デジタルに詳しくない人にとっては、ユーザーの感覚は理解できないうえに、施策の手段もデジタルでよくわからない。そういう条件下で、完全に納得して同意し、判断をするということはかなり難しいことです。

社内外からの理解を得るために

ですから、マーケッターは、ユーザーの感覚と施策については、できる限り言葉を尽くして説明する。社内では自分が一番詳しい専門家であるから任せてもらいたい。さらには、最終的には売上に貢献することが目的である。それらを言葉にしてきちんと強調するとうまくいくことが多いです。

デジタルの市場は流動的で、つねに変化しています。他社の成功例が出揃ってから自社でも実施してみよう、では遅いのです。他の会社がまだ試していないような、新しい試みもつねに実験的に実行していかないといけませんし、そのひとつひとつがすべて将来への売上向上につながっているのです。

そういった認識を社内外に理解してもらうように説明するのも、デジタルに関わるマーケティング担当者の責任だと思っています。

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