キリン加藤美侑のデジタルマーケティングなう

データで本当にすべてがわかる? これからのデジタルマーケティングが担う役割とは

最終回は、これからのデジタルマーケティングの課題について、私なりに考えてみました
キリン株式会社デジタルマーケティング部 加藤美侑

ついに今回で最終回!

これまでキリンのデジタルマーケティング部で、私が実践してきた取り組みについて書いてきました。最終回は、私が考える「これからのデジタルマーケティングの課題」について、書き綴ってみたいと思います。

データドリブンだけでホントにいいの?

近年、ビジネスに活用できるデータは種類も量も増大しています。1人ひとりの状況に合わせて、必要な情報を最適なタイミングで提供することで、購買を促したり、プレゼンスを高めたりすることができます。

テクノロジーの力でOne to OneマーケティングやCRMの高度化を目指したり、データをもとに意思決定するのは、もちろん戦略として重要です。しかしながらその点“だけ”に終始するのは、少し疑問を持っています。なぜなら

  • データはあくまでも過去の結果でしかない
  • 人が行動を起こす要素は、データ以外にもたくさんある

と思っているからです。

人の感覚・感情がすべてデータで表せるわけではない

確かに、データを使えば、施策を提案するとき、実施するときなど、周囲の理解は得られやすいです。でも、そのデータは、あくまでも過去の行動を基にした結果に過ぎません。

例えば、ビールが飲みたいと思う最高の瞬間って、どんなときだろうと考えてみます。もちろん、過去のデータから最大公約数的なシチュエーションを探し当てることはできます。その結果に従って、お客様にお勧めしていく、誘導していくのも、大事な戦略です。でも、それだけに頼っていたら、新しいお客様と出会ったり、お客様に新たな喜びを提供したりする機会を逃しているんじゃないでしょうか。

私が過去最高においしかったビールは、海で釣りをした後に飲んだ一杯のビールです。

自分で釣った魚を食べながら飲んだビールが今のところ人生最高のビールを飲んだ瞬間です。

でもそれってデータだけではわからないですよね。

「飲みたくなる」や「おいしい」って、誰とどんな気分でどんなシチュエーションかによって変わります。

人間の感情や感覚が「すべて」データで表せるわけではありません。

私は、データを過信しすぎて「データで人を動せる、人の行動がわかる」と思い込んでしまうのは、とても危険なことではないかと思います。しかし日々数字に触れていると、机上の空論じゃないですが、エクセルやツールで見えるデータだけでお客様を分かった気になってしまいがちで、気をつけなくちゃいけないなと、日々自分を戒めています。

納得して買ってもらうのが大事

もはや、「新しいビールが出たから買って!」と言うだけでは、買ってもらえるどころか、新製品が出たという情報すら受け取ってもらえない時代です。作り手の想いを丁寧に説明し、そのストーリーを消費者が納得して受け入れてくれる、そういったコミュニケーションをしていかなければいけません。

難しいですけど、データ以外の情報にも考えを巡らせたうえで、情報を設計し、伝達していけるといいですよね。

もちろん、消費者自身が、「(この情報は)自分のためのものだ」と、主体的に感じてもらえるようなコンテンツ(ひいては、商品)でないと届かないので、コンテンツそのものの価値も大事だと考えます。

リアルから得る情報の影響力

マーケティングの目的は、最終的に人に行動を促すこと。今は、デジタルマーケティングというとスマホを介した施策が中心ですが、人が行動するときって、スマホからの情報だけが起点になるわけではありませんよね。

デバイスもまたぐし、オンラインオフラインも行き来します。

自分を振り返ってみても、購入行動を促すものには、ふと目にするテレビCMや交通広告、電車の中で耳にする他人の会話だったりします。

また、これが欲しい! 買おう! と思うのは、家族・友人など信頼している身近な人からの口コミが強く即購入というアクションを起こすことが多いです。

SNSを介さないクチコミは、リアルで接触するものであり、その接触はデータからはまだまだ把握できない。マーケティングに携わる者として、こういった日常に根差した感覚を忘れないようにしないといけない! と、日々気を付けています。施策に没頭していると、生活者としての感覚は少し鈍くなりがちなので、常に意識していないと忘れてしまいます(反省)。

リアルな行動を誘発するためのデジタル

もちろん人の行動を促すのは、家族・友人知人からの情報だけではありません。

例えば、お店に行って、店員さんのお勧めがあまりにも熱心だったので、つい欲しいものと違うものを買ってしまった、感じのいい店員さんから最適なタイミングで「もう1杯いかがですか」と言われたら、頼んじゃうなんてこと、ありますよね。

店員さんの圧に負けてではなく(たまにありますが)、その熱意に信頼を感じて買う。

そういった店員に相当する、マイクロインフルエンサー的な消費者をどう育てていくかは、これからの課題の1つだと思います。

直接のコミュニケーションってやっぱり強い。これからのマーケティングは、そういったリアルな行動を誘発することも含め、デジタルをどう活用していくのか、ということを考える段階にあるのだと思います。

よろこびがつなぐ世界へ

2019年2月、キリンは、長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」「2019年-2021年中期経営計画」を発表し、併せてコーポレートスローガン、CIを新しくしました。

新しいコーポレートスローガンは、「よろこびをつなぐ世界へ」です。

キリングループが提供する「よろこび」に、「人」や「社会」をつないでいくんだという意志を込め、キリングループがめざす「世の中」「社会」に、お客様と一緒に進んでいくんだという意味を「世界へ」に込めています。

これからも、「食と健康の新たなよろこび」を広げ、人と社会の絆を深めていきます。たくさんのよろこびの連鎖をキリンから広げていくよう、挑戦をつづけることを約束します。

これからAIなどテクノロジーが発達して、マーケティングの進化もさらに加速していくと思います。速い流れに遅れないようにしながらも、あくまで生きている「人」とのコミュニケーションであることを忘れずに、活動していきたいと思います。

全12回、お読みいただきありがとうございました! 書きながら反省したり、次の施策につながったり、連載読んでるよ! と言っていただけることがとても嬉しく励みになりました。またどこかでお会いできることを願って!

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