マス・マーケティングはもう古い! これからはたった1人のために行うマーケティングが重要だ
これまで企業がマーケティングを考えるときは、セグメントが異なっても「マスからの出発」でした。しかし今後のマーケティングでは、「たった1人のためのマーケティング」をくり返していくことが求められているという。
「顧客エンゲージメントがビッグデータによってどのように変革していくのか」をテーマとしたカンファレンス「HP Engage 2015」から、顧客体験向上のため複数のセッションを紹介し、会場の様子なども併せて紹介していきます。
その他のHP Engage 2015のレポートはこちら
→これからの優れた顧客体験とは? 米国最新事例でカスタマーエクスペリエンス設計を稲富滋氏が解説
→消費者の生活はこの数年で大きく変革した。では企業はどんな変革を遂げたのか? & サンディエゴ探訪記
マス対象のマーケティングからたった1人のマーケティングへ
アシュ・ガーグ氏が登壇した「マス対象のマーケティングからたった1人のマーケティングへ」という内容のセッションから紹介します。
これまでのマーケティングは、一般的にマスを対象として考えられてきました。一度に何百万人を対象にした需要喚起を行います。セグメンテーションによってマスから少しずつ、小さなマスになるとはいえ、基本は「マスからの出発」です。
これに対してガーグ氏は、まったく逆の発想で次のように言及します。
「マスからの出発」ではなく、今後、企業(ブランド)はたった一人のためにマーケティングをしなければなりません。その一人を何百万回も繰り返せばマスになるのです。そのため、CMOがテクノロジーに費やす年間予算は、5年以内にCIOよりも多くなり、次の10年間でマーケティングがテクノロジーに費やす経費は現在の10倍、年間12億ドルになるでしょう。
彼はこのアプローチを「マス・パーソナライゼーション」と呼び、マス・パーソナライゼーションを実行するには、次のような課題があると指摘しました。
- ブランドと個人をピンポイントで結びつけるには膨大なデータ(ビッグデータ)のリアルタイムの処理と何百万人もの「個人消費者」の嗜好にあわせた顧客体験(CX)を準備しておかなければならない
- すべてをリアルタイムで実行するには巨額の費用がかかる
- ブランドにとって本当に個人客に向かってカスタマイズされた経験を提供するには対象ユーザーに関するデータが不十分である
- 消費者のプライバシーをどう守るか
ガーグ氏は、CMOも販売の責任をもつ時代だと指摘し、講演を締めくくりました。
従来のマーケティングは単に需要を喚起するまでにとどまり、実際の販売は営業の役割でしたが、営業がもはや会社のなかで唯一の販売部門ではなくなるということが、この10年以内に起こるでしょう。
CMOは顧客を予見して、見つけだして、販売の責任も持つことになるです。その時CMO(Chief Marketing Officer)はCEO(Chief Experience Officer)となり、結果的にChief Executive Officerになるのです。
顧客体験(CX)の良しあしが価格よりも重要になる
次に、NYタイムズのベストセラー『Hug Your Haters』の著者としても知られるジェイ・ベーア氏がセッションに登壇し、次のように強調しました。
2020年には、顧客対応(CX:Customer Experience)が価格設定よりも重要になる。
ここで言う「価格設定よりも重要となる顧客対応」とは、「顧客の期待を上回る体験を提供すること」です。
顧客の期待を上回る体験とは、たとえば次のようなことです。
- SNSを使って苦情を言う顧客の40%は、1時間以内の回答を期待している
- 電話による顧客サービスの満足度を決めるのは、何よりも解決までのスピードである
そこで、KLM航空のアムステルダムエアポートにおけるビーグル犬が活躍する忘れ物お届けサービスが紹介されました。
このサービスは、機内の忘れ物のニオイを元にビーグル犬が空港内を探し、いち早く持ち主に忘れ物を届ける、というものです。乗客が忘れ物をしたことに気づく前に届けるというこで、顧客の期待を大きく上回ることでしょう。
マクドナルドの事例
また、別の成功例としてマクドナルドの素早いクレーム対応によって、苦情を言うグループ全体の16%から信頼を勝ち得た事例が紹介されました。
この例をうけて、ベーア氏は次のように指摘します。
苦情を言う人がいることが問題なのではなく、苦情を無視する企業側の体制に問題があるのです。顧客対応部門が「忙しいので見る暇がない、ウェブをチェックする暇がない(too busy to read, too busy to see web)」といった発言をしているときは、特に注意が必要です。顧客対応に問題が生じている可能性があります。
苦情を言う人々は、鉱山につれていくカナリアのようなもので、95%の顧客は苦情のためにわざわざ貴重な時間を費やしたりすることはないのです。苦情を言ってくれる人(カナリア)を見つけたら、ただちにアクションをとることが重要なのです。
ベーア氏は、「本当の意味で顧客と信頼関係が作れるかどうかがカギとなる」と強調し、講演を締めくくりました。
80%の企業経営者は、素晴らしい顧客サービスを提供していると自負しています。しかし、その通りだと言っている顧客はたった8%だと言われています。このことを忘れないでください。つまり、顧客と信頼関係を築いて、顧客サービスの差別化できれば競争に勝てるのです。
適切な顧客体験を作る、それには情報の一元管理が欠かせない!
次に「適切な顧客体験を提供するには情報の一元管理が欠かせない」をテーマにしたセッションでは、HP TeamSiteを推進するスニル・メノン氏が登壇し、次のことを強調しました。
企業にとって信頼できる1つの情報(Single source of truth)作り上げることで、ウェブからすべてのタッチポイントまで顧客体験を最適化できる体制ができます。
つまり、アクセスする国やデバイスなどに関係なく、どこから見ても顧客に提供する情報に差がなく、顧客にとっては、必ず信頼できる情報が取得できる状態が望ましいということです。そのためには、それらの情報を一元管理できる基盤が必要なのです。
その事例として紹介されたのが「Choice Hotels」チェーンです。日本では「コンフォートホテル」として50店舗ほど展開し、世界では35以上の国と地域で、6,300のホテルを傘下にもつ巨大ホテルチェーンです。創業1939年で、米国ではホテルチェーンとして最初にオンライン予約を開始し、最初のiPhoneアプリも導入したホテルです。
そんなテクノロジーに先駆的なChoice Hotelsですが、以前はCMS(コンテンツ管理システム)も使わず、文章を修正、画像イメージを差し替えるにもIT部門に依頼をしなければなりませんでした。また、画像の管理もバラバラで、必要な画像はCDに焼いて郵送していたといいます。
マーケティングのエリアが広がるにつれてチャネルごとの使用画像の整合性が取れず、非常に危うい状況でした。
HP TeamSiteとHP MediaBinを導入したことで、この状況が大きく変わりました。CMS/DAM(デジタル資産管理)を構築することで、情報の一元管理ができるようになったのです。
その結果、Forbes紙で2014年に「最も革新的な成長を遂げた企業」にも選ばれ※、2015年5月にはさらに大幅なリニューアルをしたウェブサイトをオープンしました。
※2014年に最も革新的な成長を遂げた企業 72位(Forbes)
19世紀のマーケティング・ファネル型のアプローチでは消費者を獲得できない
メノン氏が情報を一元管理する重要性をここまで強調するのは、次のような理由があるからです。
19世紀の「マーケティング・ファネル」型のアプローチでは、顧客獲得にもはや役に立ちません。なぜなら個々の消費者は単純なファネルではなく、最終アクションにたどりつくまでのステップ、シナリオを自ら作るからです(Scripts their own journey)。
すべて主導権は企業側ではなく消費者側にあります。消費者側から見た多数のチャネルを駆使し、複雑な経路をたどるのです。しかも1人1人の経路は異なり、消費者側が決めた(使った)企業(商品)とのタッチポイントすべてで、首尾一貫性や対応の良しあしが見られるのです。
つまり、消費者はさまざまなタッチポイントから情報を得て、最終アクションにいくわけです。そういった情報という力を持った消費者のことを「Empowered Consumer(情報強者の消費者)」と表現していました。
情報強者である消費者の行動としてメノン氏は、次のような例を挙げて説明しました。
- 消費者の79%は少なくとも買い物時間の半分を該当製品を調べることに費やしている
- 評判が決定に大きな影響力を持ち、53%の消費者はネット上の否定的なコメントがあれば該当実店舗での購入を取りやめている
- 59%の消費者は自分の知らないブランドであっても、評判がよければ積極的に購入しようとする
メノン氏は、次のように言及し講演を終えました。
消費者が購入を含む企業(ブランド)との付き合いかたの意思決定する経路は千差万別です。しかもその経路のルート選択(journey)は企業側でなく消費者側に委ねられている時代で、個人消費者とのエンゲージメントを進めるには、旧来のマーケティング手法やプラットフォームは時代遅れになっていることを認識しないといけません。
つまり、企業はリアルタイムに、文脈的に首尾一貫して、適切な顧客体験を提供しなければなりません。
消費者の全決定経路の要素ポイントを通じて、どのチャネルであろうと、どのデバイスからであろうと適切に対応することが重要なのです。
旧来のマーケティング手法を次のように説明していました。
第1世代は、企業の縦割り組織そのままのアプローチをする方法です(下図左側)。第2世代は、顧客レコードの整備と共通化などで多少のインテリジェント化は進みましたが、「マーケティング」はまだ別ものとして取り扱われています(下図右側)。
しかしこれでもまだ不十分で、さらに個人消費者とのエンゲージメントを高めるためには、顧客データの活用はもとより、リアルな接点、デジタルでの接点それらすべての接点において、企業が顧客に対して一貫した対応を可能にするものでなければなりません。HPでは、第3世代のプラットフォームと呼んでいました。
ちなみに個々の消費者のエンゲージメントポイントとJourney Chartを「蜂の巣図」と呼んでいました。
マーケティング部門とIT部門の一体化
次に、「マーケティング部門とIT部門の関係性」をテーマとしたパネルディスカッションで語られていたことを紹介します。
今回の講演やパネルで何度も出てきたのが、企業内のマーケティング部門とIT部門との関係です(ここでいうIT部門とはいわゆるサーバーやネットワークの基盤そのものではなく、アプリケーション開発部門を切り出したIT部門)。
米国ではマーケティング部門の人が「IT技術部門と良い協力関係を築いている」と答えた割合はわずか17%だけです。新しい時代のデジタルマーケティングをリードするのは、マーケティング部門です。
ただそれにはITの全面的なバックアップがなければいけません。すくなくともデジタルマーケティングの時代に、IT部門の理由によってデジタルマーケティングが足を引っ張られることのないように「IT部門がボトルネックにならないこと」が求められます。
2016年はCMOが顧客体験(CX)に対して責任を持つ年になり、CIOはビジネス部門(マーケティング)のためのIT投資実行のために既存のITインフラコストを大幅に見直さなければならなくなるでしょう。
また、パネルディスカッションに参加していた、RBCキャピタル・マーケット アソシエート・ディレクターのケビン・フォーティア氏は「マーケティングとITを一人のマネジメントが担当しているが、これが今後の一般的な傾向になるだろう」と明言します。
彼自身、マーケティング・アプリケーション開発組織を作り、マーケティングとITとの企画調整の役割や橋渡しを行い、定期的に両者会議を行っていると言います。
データ解析部門は昔、IT部門にいたが、今はビジネスかマーケティング部門に所属するのが一般的です。マーケティング担当者は、アイデアを思いつくとコストを無視しがちになるが、データ解析部門が入って、コスト対効果、その結果の検証などきちんと議論ができるようになったとも言います。
このイベントを主催したHPは、情報システム部門を相手に長年ビジネスをしてきた会社です。そこでこうしたマーケティング部門とIT部門の関係がトピックに上がるということは、これら2部門の関係性が変わってきていることを表していると言っていいでしょう。
拡張現実(AR)を使った次世代マーケティングツール「HP Aurasma」
次世代のマーケティングツールとして、興味深かったHP Aurasma(オーラズマ)を担当するアニー・ワインバーガー氏(Annie Anne Weinberger WW Head,HP Aurasma)のセッションを紹介します。
「HP Aurasma(オーラズマ)」は、HP社統合前の旧オートノミーが開発した、拡張現実(AR)プラットフォームです。
HP Aurasmaを体験するには、専用アプリをダウンロードし「Auras」と呼ばれる、リッチメディアが印刷された画像や商品パッケージなどにスマホやタブレットをかざすことで、埋め込まれた動画などを再生できるものです。
DMやカタログ、印刷広告、顧客説明書類、店内キャンペーン広告、名刺などすでに多くの実績があり、実在する場所ともシームレスに融合でき、ユーザーによる共有・作成もできます。
これまでのチャネルはそのままで、何も従来の配布方法や使い方を変えることなく、デジタルマーケティングの網を何倍にも広げることができるのです。
日本企業でも東京こども新聞がHP Aurasmaを使った媒体※1で2013年のカンヌライオンズでシルバー賞を獲得しています。また、2014年にはHP AurasmaアプリがMobile Excellence Awardも獲得しています※2。
※1 http://www.tokyo-np.co.jp/ad/kodomo/
※2 https://www.aurasma.com/news/aurasma-shortlisted-for-2014-mobile-excellence-awards/?prev=1161
実際のところ、ARがこれほどまで身近になっていたことに気付かなかった私の不明を恥じるばかりです。驚いたのが米国20ドル札の裏側にもこんな仕掛けがあったとは。米国政府もなかなかやるものですね。驚きました。
大華銀行(United Overseas Bank)の事例紹介
セッション紹介で最後となるのは、HP TeamSiteとHP LiveSiteというサービスを利用しているユーザー企業のUnited Overseas Bank(以下、UOB)です。自社の改善事例をUOB自ら講演していたので、その様子を紹介します。
UOBは、シンガポールに拠点を置くPIB(パーソナル・インターネット・バンク)です。パーソナル・インターネット・バンクと言いながら、Webサイトのデザインは5年前から変わらず、スマホ対応もなかったといいます。
その間、スマホからのトラフィックは増えるばかり、したがって顧客の満足度は下がりっぱなし。顧客へのパーソナライズ・メッセージもなく、一般的なものでした。
技術的にも問題がありました。プレゼンテーションレイヤーとウェブ・アプリが一体化していたため、Webページの表示を少し変えるにもアプリケーションのコード変更が必要で、改変には大幅な投資が必要と見込まれていたのです。そのため、スマホ対応しなければならないことはわかっていても、スマホから得られる利益を超える経費がかかりそうだと二の足を踏んでいたそうです。
これをHP TeamSiteとHP LiveSiteを使うことによって※フロントエンドのデザインが一新され、ナビゲーション、ユーザビリティも大きく改善しました。すべての顧客にパーソナライズしてメッセージングができるようになりました(HP LiveSiteの活用)。
※プレゼンテーションレイヤーとアプリを切り離してHP TeamSiteをプレゼンテーションレイヤーのコンテンツ管理に使うことによって、PC・タブレット・モバイルすべてにレスポンシブにできる。
分割によるイントラネット再構築(HP人事部システム部門)
ここからは、HP分社化に関する情報と会場の様子について紹介していきます。
第1回の冒頭でも触れましたが、HPがエンタープライズ事業が中心の「Hewlett Packard Enterprise」と、PCやプリンティング事業が中心の「HP Inc.」に分社化して、行われた初めてのカンファレンスがこの「HP Engage 2015」です。
HP社にとっては分社化したことで、人事関連の社内イントラネットも分割しなければならず、再構築した事例を聞くことができましたので紹介します。
特徴的なのは、自社ソリューションであるHP TeamSiteとHP MediaBinをフルに利用したことはもちろんですが、パートナー企業のソリューションと連携してクラウド環境を利用したことです。
HP社の分社前は従業員30万人、マネジャーが25,000人、106カ国で展開し、200の人事サイトと6,500ページ以上というイントラネットの規模でした。
以前の人事イントラネットは使いにくく、リンク切れ1つ修正するにもチケットを切らなければならない状態だったそうです。HP TeamSiteとHP MediaBinに加え、次のようなパートナー企業と協力したことで、社員の満足度がマネージャーでは62%→83%、社員では78%→87%へ向上したそうです。
HP人事部門の事例資料はこちら
自社での成功は顧客へも説得力をもって話す良い材料になります。
HP社分割の評価
休憩中、食事時など参加者のみなさんにHP社の分割についてどう思うかを尋ねてみました。ほとんどの方は、概ね前向きな評価でした。
パートナー企業(米国)のエンジニア
これまでのHP社は、何もかも幅広く一度にやろうとして必ずしもうまくいってなかったね。どこに焦点があてているのかもわかりにくかった。これからは、両社がそれぞれ集中する分野がより明確になってくるでしょう。ただ、Hewlett Packard Enterprise社のほうが少し苦労するでしょう。HP Inc.にとっては動きも早く自由になれると思うので良かったよ。
メイヤパン・アラガッパン氏(Mr. Meyyappan Alagappan, CTO Trilibis Co.)
カンファレンスの内容が昨年と比べると格段に良くなった。これまではメッセージがわかりづらくて、あれもこれもと並べるばかりだったが、今年は全体的にすっきりとしてHPの「Digital Marketing」にフォーカスするというメッセージと製品のロードマップも明確に伝わってきたよ。分かれたことは良かった。分割は大賛成だ。
ジャパン・セッション
二日目の午前中は日本と米国から参加したお客様とHP TeamSite導入支援パートナー企業、HP ExstreamのコンサルタントなどとHP Enterprise社、HP Inc.社のエグゼクティブとの特別セッションが日本HP マーケティングソリューション本部 熊代事業本部長の司会で開催されました。
日本側からは現行HP TeamSiteのバージョンアップに対する支援強化、海外事例の積極的な紹介を求めたり、パソコンからスマホを含めたコンテンツ管理として「HP TeamSiteひとつですべて管理できる」と言っているがスマホのアプリまで含めて「ひとつのプラットフォームとして」管理できるのか(できるようになるのか)と言った具体的な質問も出たり活発な議論が行われました。
セッションの途中からはアンドリュー・ジョイナー氏(VP and GM HP Marketing Optimization)も参加して日本およびアジア地域は昨年度の売上高成長率が世界でNo.1となったことの報告と感謝を述べていました。今後も継続的な投資をおこなっていくこと、特に技術支援、コンサルティングなどプロフェッショナル・サポートを強化していくとの話がありました。さらに、分社化によって動き易くなることも強調していたのが印象的でした。
全体印象
大会期間中なんども「これからはビジュアルが大切」という言葉を聞きましたが使用するチャートもそれに習い、私が参加したセッションではVisual重視のチャートが多用されていました。1枚のチャートに大きなVisualとメッセージひとつが主流でした。
私の時代は基本的にテキストを箇条書きにしたり文章をそのまま写して、読ませたりで余分なVisualを排する傾向でしたが、今の方がはるかに見やすいことは間違いありません。そのかわり、そのメッセージに込められた背景などは演者のスピーチをしっかりと聞く必要があり、たいへんはたいへんですね。
日本のカンファレンスではあまり見かけない豊富なお菓子
海外での会議参加者はセッションの合間にもよく語り会いますが、そのとき必要なのが潤沢なお菓子と飲み物なのです。
私も、以前の会社で、大きな会議を準備するとき「運営側として特に注意すること」の1つに「Good food, good conference」という言葉がしきりにスタッフの間で交わされていました。これは「参加者のお腹を満足させることができれば会議はそれで半ば成功だ」という意味です。
そんなに食べてダイエットは大丈夫なのかと、心配する向きもないこともないのですが、心配はさておき、今回の会議でもその「ゴールデンルール」はしっかりと守られていました。
日本で同様の会議をするときは会議本体の準備に力を入れることはもちろん重要ですが、このあたりにももう少し力を入れるべきでしょう。冗談ではなくとても本質的で大切なことです。会場を提供するホテル側ももっと強引に提案しても良いのではないでしょうか。その点、今回の会議は大成功。大いに見習うべきです。
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