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消費者の生活はこの数年で大きく変革した。では企業はどんな変革を遂げたのか? & サンディエゴ探訪記

スマホなどのデバイスの普及に伴って消費者の生活は大きく変化しました。一方、企業はどのような変化を遂げたのでしょうか?
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この数年で消費者の生活は大きく変化しました。スマホが大幅に普及し、いつでもどこでもネットやソーシャルにつながり、情報を簡単に取得できるようになりました。一方、企業はこの数年でどのような変化を遂げたのでしょうか?

「顧客エンゲージメントがビッグデータによってどのように変革していくか」をテーマとしたカンファレンス「HP Engage 2015」の第3回の総括として、稲富氏の独自視点から今後のトレンドを解説します。また、カンファレンスの開催地サンディエゴの様子も紹介します。

快適な経験をすべてのタッチポイントで顧客に提供する

顧客が企業とのさまざまな接点を通して経験することの良し悪しで、社会全体の経済が動くようになる(Experience Economy時代)、というのは少し大げさにも聞こえますが、企業側からみれば逆にビジネスチャンスにもなります。

顧客は期待を上回り、驚くようなサービス経験をすれば、すぐにその企業のファンになりロイヤルカスタマーにもなり得るのです。第2回でも紹介したKLM航空のアムステルダム空港でのビーグル犬を使った「機内忘れ物お届けサービス」を体験したらきっといっぺんにKLM好きになってしまうでしょう。

また、あまり期待もせずにお問い合わせ窓口のフォームから問い合わせをしたところ、自動返信に続いてすぐに担当者名でメールが返ってくると、とても得をしたような気がします。

最近個人的に驚いたのは「ロイヤルコペンハーゲン」の2年間保証サービス(ブレケージ ギャランティー)です。

陶器製のマグカップを求めたところ2年間の保証が付いていると店員さんから告げられました。そのマグカップが万一割れてしまった場合、領収証と破片を郵送すれば、新品と交換してくれるというものです。

陶器ですし、2年も使っていれば何かで落として割れてしまう可能性は相当高いのではないでしょうか? そのリスクを織り込んだ価格設定になっている、と言われればそれまでですが、もともと大切に扱われるブランドですし、長年使ったとしても壊れにくいかもしれません。

それでも、「割れてしまっても安心! 新品と無料で交換」というのはかなりインパクトがあります。会社の印象がいきなり暖かく思えて個人的にはロイヤルコペンハーゲン社は「良い会社」グループに所属しています。きっと誰かにも「ロイヤルコペンハーゲン」の製品を勧めるでしょう。

企業にとってあらゆる顧客との接点を見直して、現場の属人的な対応でうまく顧客体験を作り出しているところもあります。気配りが行き届き、顧客の求めるアイコンタクトにすばやく反応して、キビキビとウエイターが走り回るお気に入りのレストラン。お客様の様子をみながら余計なことは言わず、先を読んだ動きには心地よさを感じます。

今回のカンファレンスでは、こうしたサービスを受ける側の小売店店頭やレストランでの個人的快適な経験を企業全体としてすべての顧客との接点(タッチポイント)で提供していくことがこれからは重要になるというメッセージで溢れていたのです

その背景にあるのがミレニアル世代(18~34歳)が、世の中の大半を占めるようになることです。彼らにとって個人と企業の区別をあまり考慮することがありません。企業の一方的な広告宣伝を信頼せず(信頼していると答えたのは8%)自らの経験やソーシャルネットワーク、信頼できる友人知人のコメントに重きをおいて、さまざまな「決定」をしていきます。

ミレニアル世代の推移

消費者の環境はこの数年で大きく変革した、では企業はどんな変革を遂げたのか?

全世界で毎秒45台生産され2020年までには、成人の80%が使うようになるスマホの普及で、誰もが今で言う情報的強者(Empowered Consumer)になっていきます。ネットが普及する以前は、海外からの情報にいち早くアクセスできる組織や個人はごく限られていました。

ネットワークとPCの普及でその範囲は大きく広がりましたが、まだ数的にもリテラシー的にも、情報の発信者と受信者という関係は、従来とあまり変わることはなかったのです。

スマホの普及率
情報的強者(Empowered Consumer)がとる行動
  • 消費者の79%は、買い物時間の半分を商品調べに費やす
  • 消費者の53%は、ネットの否定的な情報があれば購入を見送る
  • 消費者の59%は、ネット上の評判が良ければ積極的に購入する

しかし、スマホが人々に行き届き、誰もがどこからでもつながる時代があっという間にきてしまいました。手のひらサイズのスマホには旧来のPCが備えていた機能をはるかに凌駕し、スマホと体の一体化まで取りざたされる時代になっているのです。このスピードは変わらないでしょう。一気に加速したと言ってもいいのです。

この視点に立つとHP社の製品群のめざす重要性が見えてきます。消費者個人や社会環境が大きく変わってしまって、さらにその変化が加速しようという今、企業はどのくらい変わったのでしょうか。たとえば5年前と比べて日本企業はどのくらい変わったと言えるでしょうか。

今回のカンファレンスでは米国経営者の89%が「Digital Transformation(デジタル変革)」が企業優先課題と認識していると調査結果が示されています。

89%がデジタル変革が優先課題

日本でも調査をすれば同じように変革が重要だとの回答になるかもしれません。ただ、日本で考える変革の意味合いとは多少異なるかもしれません。このカンファレンスで伝えたかったことは、

ミレニアル世代の顧客がその企業から受けた経験(Customer Experience)は、満足のいくものだったのか?

企業から受けた経験のどこに満足したのか

と言う尺度で企業全体をデジタルの力を使って変えていきましょうということです。そのためにHPソリューションは役に立つ、という具合になります。

ただこれは簡単なことではありません。

ミレニアル世代(18~34歳)が今後のお客様の中心である

顧客も伝統的な顧客ではなく、「ミレニアル世代」が中心になります。これまでのように一種企業を甘やかすような大らかさはありません。「そんなものだろう」、「組織が大きいから面倒だけど仕方がない」、そんなコメントも周囲数メートルにとどまって、そのうち消えてしまっていた時代とは違います。これらの声はしっかりと購入間近の消費者の参考になります。

顧客エンゲージメントを向上するのに必要なこと

ただ表面的にスマホ対応をすれば良い(無ければだめですが)ということでもなく、サイトを「ユーザー・フレンドリー」にすれば良いというだけでもありません(でなければダメですが)。米国の一般企業では一社当たり平均268ものウェブやスマホサイトが顧客向けに用意されデジタルタッチポイントとして一刻一刻「経験の審判」を受けています。

企業のあらゆる顧客との接点(Touch Point)を利用者目線で、それも「ミレニアル世代の利用者目線で」良いようにすることを考えて実現するだけでいいのです。

  • 見た目、使用感覚、パーソナライゼーションも大事。裏で支える社内基盤ともしっかり連携して、新しいアプリがどんどんと増えても余裕で対応できる設計する
  • ソーシャルも含めた社内外のコンテンツ、写真、動画もしっかりと効率良く管理して、部門によってマーケティングメッセージが違うなんてことは起こさず一元管理する
  • 一度制作したコンテンツは、社内のどのチャネルでも、市販の大きいサイズから小さなサイズでもどんなタイプのメディアにでも、それからこれから発売される新しいメディアにも最適化する
  • サーバーやネット環境にも注意し、レスポンスも快適にする

そして一番大切なことは、これら列挙したもので、お金を稼ぐことです。HP Hub Platformはその答えの一つになるかもしれません。

◇◇◇

レポートに最後になりましたが、HP Engage 2015が開催されたサンディエゴの様子やカンファレンス全体の様子を紹介して、締めくくりたいと思います。

サンディエゴの様子

まず、サンディエゴの様子から紹介しましょう。

車で30分ほど走ればメキシコ国境というサンディエゴは軍港の町、横浜市とは姉妹都市、また佐世保港と姉妹港になっています。

この地の海軍航空隊基地が映画「トップガン」の舞台でもあり、実際の撮影も市内各地で行われたそうです。ちなみにゼネラル・セッションのクイズでサンディエゴを中心とする一帯は全米一の「アボカド」生産量を誇る地域であることも紹介されていました。

抜けるような青い空の下、会場に選ばれたのは「ヒルトン・サンディエゴ・ベイフロント」ホテル。

ヒルトン・サンディエゴ・ベイフロントのロゴ
ヒルトン・サンディエゴ・ベイフロントの外観

旧市街やコンベンション・センター、サンタフェ鉄道の終着駅にも近く、港に面する眺めの良いホテルです。大リーグのサンディエゴ・パドレスのホーム・グラウンド「ペトコ・パーク」も目の前にあります(地図、ホテルの写真、サンタフェ鉄道などの写真)。

サンタフェ駅舎の外観
サンタフェ駅舎の内装
サンタフェ鉄道
サンタフェ周辺の地図

カンファレンス全体の様子

ヒルトンホテルに用意された受付で、名前を告げると恥ずかしいほど大きくファーストネームがプリントされた入場パスを渡されます。

ヒルトンホテルでの受付
入場パス

大きなバッグに入れたスポンサー企業各社のパンフレット、それとサイズを尋ねられて立派なパーカーをいただきます。もちろん「HP Engage 2015」ロゴ入りです。

「HP Engage 2015」ロゴ入りパーカー

「大会期間中はずっとこのパーカーを着用してください」とのことで「少し抵抗があるなぁ」と考えておりましたが、実際に着ている人はあまり見ることはありませんでした。ただ、しっかりとした生地で縫製も良く帰国してからも自宅で愛用しています。

夕刻からはHP(HP Inc.)やパートナー、スポンサー企業のソリューション・ショーケース(デモブース)会場がオープンし、到着した参加者はさっそく会場をまわり、説明員の話に耳を傾けていました。

HP TeamSiteのブース
HP Aurasmaのブース

ゆったりしたデモブース会場にはソファやらテーブルが置かれて、そのままレセプションの会場となっています。普段は遠く離れて仕事をしている人々がこの会場で久しぶりに再会したり、メール、SNSなどでのコミュニケーションはあっても実際に会うのは初めてだったりと、形はさまざまですが和やかな交流風景があちらこちらで展開されていました。

ソファで談笑
会場の様子

ビンゴカードのシール集め

デモブースは、どうして集客にばらつきができてしまいます。入場者ができるだけ多くのブースを回る動機付けにと「ビンゴ」カードを渡されました。ブースで話を聞くたびにシールを張り、全部集めると何やら景品がもらえるとか。私も全ブース制覇を目指しましたが、なかなか「シールだけ」集めるのは気が引けるもので、途中で挫折しました。

ビンゴカード

日本からの参加者に印象と評価

日本からの参加者に印象と評価を聞いてみました。

  • これだけ大勢のユーザーやHPの皆さんと直接お会いしてお話を聞ける機会は他にありません。
  • 世界で行われている事例をたくさん聞くことができたのが収穫です。デジタル・マーケティングの潮流が見えたような気がします。
  • マスから個人に焦点を当てていくこと、マーケティングが会社の中でリードしていかなければならないことなども、日頃考えていたことなので、間違っていなかったという自信になりました。

次回の開催地

最後のゼネラル・セッションでは、ふたたび会場を巻き込んで「来年のEngage 2016の希望開催地」を尋ねるアンケートが行われました。投票総数234票の結果1位マイアミ、2位サンフランシスコ、3位ボストンという結果になりました。さてどこが選ばれることになるでしょうか。

マイアミが人気
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