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2015年、先見的なCMOが必要とする6つの新たな役割

先見的なCMOたちが2015年に備えるべき新たな、あるいは進化しつつある6つの役割を紹介する
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この記事では、先見的なCMOたちが2015年に備えるべき新たな、あるいは進化しつつある6つの役割を紹介する。

企業におけるマーケティングの果たす役割が急激に進化し、企業の戦略を担う中核機能の1つになろうとしていることは、疑いようがない。ということは、マーケティングを指揮するCMO(最高マーケティング責任者)が率いるべきマーケティングチームの構成もまた、急速に変容しつつあるということだ。

ホスピタリティと食品サービスの世界的企業であるデラウェア・ノース社のCMOを務めるトッド・メリー氏は、CMO.comとのインタビューで、次のように語っている。

マーケティングは急速に変化しており、構成するチームにおいて、そのような変化に対応するのは、CMOの責務だ。そしてそこでは、これまでマーケティングチームには求められていなかったスキルセットが必要とされる。

マーケティングは進化しようとしている」――これは、人材コンサルティング企業コーン・フェリー社のシニアクライアントパートナーで、同社のグローバル・マーケティングを率いるカレン・フレイト氏が、CMO.comとのインタビューで説明したことだ。

その進化にともない、マーケティング組織に求められるスキルもまた、テクノロジーに対する深い理解から、販売促進・営業促進のための顧客エクスペリエンスの専門知識にいたるまで、急激に変化しつつある。

そのため、今後数か月の内に人材の問題が顕在化するだろうが、これは競争で優位に立つためのチャンスでもある。センター・フォー・カスタマー・エンゲージメントの創設者であり、書籍『The Hidden Wealth Of Customer』の著者であるビル・リー氏は、CMO.comとのインタビューで、次のように語っている。

CMOにとって、今はチャンスだ。急速に変化しつつある購入者を中心に据えて、さらに効果的な組織を作り、競争力を飛躍的に向上させる良い機会なのだから。これは、間違いなくマーケティングにおける最も重要なトレンドだろう。

では、CMOが2015年に備えるべき6つの役割について、それぞれ解説していこう。

役割1顧客エクスペリエンスの「統治者」

この数か月間、「顧客エクスペリエンス」という言葉は、重役会議室の中のバズワードだった。しかし2015年には、顧客エクスペリエンスこそが、専任のマーケティング担当幹部を充てるべき、企業戦略の優先事項になるだろう。

販売ソフトウェアを開発するサヴォ社のCMOであるカート・アンダーソン氏は、次のように語る。

うまくいけば、顧客エクスペリエンス担当の幹部は、企業の全体的な市場戦略とポジショニングを左右する戦略的な存在になり得る。

顧客エクスペリエンスを担当するマーケティングの専門家は、「データサイエンティスト」「顧客満足度ディレクター」「ビジネスアナリスト」の役割を兼ねて、意味のある顧客エクスペリエンスプログラムを策定するため、データを駆使して、複数チャネルにまたがる全社的な顧客エクスペリエンスの状態について理解を深める。

リー氏は、次のように言っている。

上級幹部のレベルでは、力を持った新たな購入者の動向を把握し、実装レベルでの統合を確かなものにでき、それでいて戦略上の成果も忘れない強力な幹部の協力が必要だ。経験上、これを実装チームや取締役会に任せてもうまくいかない。

これまで顧客エクスペリエンスは、マーケティングアナリストが担当する職掌の一部だったかもしれない。デラウェア・ノース社のメリー氏は、顧客エクスペリエンスに関して次のように語る。

(しかし)顧客エクスペリエンスを把握するためのデータが大量に手に入るようになった現在、この役割を果たすためには、データサイエンティストとしての才能に加え、顧客エクスペリエンスに対する理解、マーケティングチームのメンバーと協力できる力が求められる。

ただ、多くの企業では顧客の側に立ってサポートする枠組みがまだ構築されておらず、このような役割を作って人材を充てるのは、とりわけ難しいだろう。

役割2コンテンツの「指揮者」

コンテンツマーケティングが盛んだ。マーケティング部門は、かつてない量のコンテンツを制作および収集している。

実際、コンテンツマーケティング協会が2014年に実施した調査によると、B2Bマーケターの86%がコンテンツマーケティングを利用している。しかし、うまくやれていると回答したのはわずか38%だった。

またこの調査によると、B2Cマーケターの77%がコンテンツマーケティングを利用しているが、効果があったと言っているのは37%にすぎなかった。

B2BとB2Cのどちらでも、コンテンツ制作量は前年より増えたという。

情報を取り扱うための技術ツールが不足しているわけではない。足りていないのは、コンテンツマーケティングの人間が担う部分を管理できる優秀な専門家だ。

メリー氏は、次のように語る。

必要なのは今ある(コンテンツという)不協和音から調和を生み出してみせる名指揮者だ。キュレーション、調整、配信、内容基準は必要なものの一部でしかない。

役割3セールスイネーブラー

ハーバード・ビジネス・スクールの上級講師であり、書籍『Aligning Strategy and Sale』の著者であるフランク・V・セスペデス氏によると、米国企業は全体で年間約9000億ドルをセールス部門に投じているという。この金額は、メディア広告に費やされる金額の3倍を上回り、デジタルマーケティングに支出される総額の約20倍だ。

それなのに、企業はセールス戦略から期待される販売額の50~60%しか手にしていないと、セスペデス氏はCMO.comに語っている。

セールスとマーケティングの間には緊張関係のようなものが続いていたが、2015年には、単に仲良くする以上の関係になることが求められるだろう。セスペデス氏は、次の3点を指摘している。

  • リードジェネレーションとアウトバウンドマーケティングのツールが増え、これまであったようなマーケティングとセールスの垣根が曖昧になりつつある。

  • オンラインメディアによって、マーケティングとセールスの隔たりが顧客の目に触れる。

  • セールスの成功は、これまでにないほど顧客データに左右されるようになった。

セールスイネーブルメント

営業活動や販売活動において、顧客ごとの課題解決状況や見込み状況ごとに担当者が適切なコミュニケーションを行い、案件化や販売の成果を効率良く高められるようにするための、分析やシステムを利用した最適化の戦略や戦術。

アンダーソン氏は、セールスイネーブルメントの担当ディレクターを雇うことを勧め、次のように述べている。

このポストは、チャネルの運用とダイレクトセールスに影響するため、重要だが困難が伴うものになるだろう。

マーケティングはセールスイネーブルメントの働きにおいて重要な役割を果たすが、マーケティングとセールスの橋渡しがうまくできる人材を見つけるのは難しいかもしれない。

この幹部は、セールス部門の責任者や担当者と緊密に連携してコンテンツを整備し、セールス部門が日々使う素材の開発を確かなものにする責任を負う。

セスペデス氏はさらに、次のようにも語っている。

マーケターはさまざまな取り組みのROIについて質問を受けることが増える。高レベルのビジネス戦略と事業開発の現場との間に介在するシステムインテグレーターとしての役割を、マーケティングがどのように果たすのか、その点について尋ねられる機会も多くなる。答えを用意しておいた方がいい。

企業がこのような状況の変化に対処するために、既存の人材を役不足(つまりその人の実力よりも低い役割)のポストにつけようとするケースが、あまりにも多い。そのせいで、すばらしいマーケターが平凡な販売員になってしまったり、その逆にすばらしい販売員が平凡なマーケターになってしまったりするケースもある。

セスペデス氏によれば、フィールドマーケティングのディレクターでも、セールス支援でも、リードジェネレーションの専門家でも、今いる担当者に新たな職掌を任せることが重要かもしれないという。

役割4最高マーケティングテクノロジスト

もちろん、たいていのマーケティングチームには、顧客関係管理の責任者やデジタルマーケティング担当のディレクターがいる。しかし、ここしばらく必要になっているのはテクノロジーを担当する専任の最高責任者だ。

情報管理サービスのオープンテキスト社でCMOを務めるアダム・ホワトソン氏は、次のように述べている。

企業の機能としてのマーケティングは、顧客と企業の結びつきを促進し、企業の顧客ニーズ理解を深める新しい技術の実装において、重要な役割を果たしてきた。テクノロジーを無視するCMOは、遠からずCMOの地位を追われると言っても差し支えないだろう。

しかし、マーケティングテクノロジーの最高責任者は、IT専門家であるだけではいけない。コンサルティング会社のストラテジー&社(PwCネットワーク)のパートナーであるマイケル・クック氏によると、この役割を担う人物は、テクノロジーの変化だけではなく、目まぐるしく変わる顧客の期待にも迅速に対応できなければならないという。

デラウェア・ノース社のメリー氏も、次のように語っている。

この役割を担う人は、ITとマーケティングという2つの世界を踏みしめ、CMOとCIO(最高情報責任者)のスムーズな連携を実現する現代のアトラスだ。

この15年間、この両者の奇妙な協力関係が推し進められてきたのはご存じの通りだが、今の時代にCMOが成功するには、自分の中にほんの少しCIOの要素を持っていなければならない。

しかし多くの場合、次の段階に進もうとすると関係が崩れることもある。

メリー氏は、今後1年間で最高マーケティングテクノロジスト探すことにしているとして、その役割と素養に関して次のように説明している。

ここでいうマーケティングテクノロジストは、日々プロジェクト間の橋渡しをする役割を担い、両者の言葉を話すことができる人だ。

役割5マーケティングのソートリーダー

マーケティングは、今や企業の戦略体制の一部だ。そのため、マーケティング部門はメディアとメッセージの発信だけではなく、アイデアとインサイトも管理しなければならない。しかし、マーケティング部門に対する日々の戦術的需要が日ごとに高まるなかで、マーケティング部門のイノベーションを活性化するにはどうすればよいのだろうか。

サヴォ社のアンダーソン氏は、次のように話す。

これから1年間は、多くのCMOが、マーケティングのソートリーダーを雇い、業界の課題やすべてのチャネルに渡るチャンスに関するインサイトと解説に専念させることで、この問いに答えを出していくだろう。

すでに重責を担っているマーケティングの専門家の負担を増やすのではなく、将来を考えることに専念する人材に投資すれば、すぐに元は取れる。その点に関してアンダーソン氏は次のように説明している。

自社の製品やソリューションだけを考えるのではなく、顧客へのマーケティングに専念する人物が1人いることが重要になるだろう。

顧客の日常の現実に目を向けることで、企業は顧客としっかりした結びつきを構築し、他の顧客や見込み客にも波及するような深いロイヤリティを生み出すことができる。こうして本当の支持が生まれる。

役割6万能選手

1人の人物が担うべき新しい役割というわけではなく、マーケティングチームのだれもが、この「オールラウンドプレイヤー」の役割を要求されるようになりつつある。

クリエイティブで、かつビジネスの知識を持ったマーケターが欲しい」――これは、玩具会社のステップ・ツー社でECとデジタルマーケティング担当の副社長を務めるテナ・クロック氏が、CMO.comの取材で言った言葉だ。同氏は、さらに次のように語った。

これまでは、1人の人間がこの2つのスキルを両方とも身につけるのは不可能だと見なされることが多かったが、今では、1人の専門家が両者を兼ね備えていることに非常に価値がある。

チームのスリム化が進むにしたがって、複数の分野でピンチヒッターを務めることができ、何をすべきか一から十まで言われなくても判断できる人物が求められている。

要するに、判断を下した時点で考えることをやめるのではなく、他の分野やプロセス、あるいは利益に対して、どこでどの程度の影響が及ぶのかまで考えられる人材が必要なのだ。

コンタクトセンター向けのソフトウェアを開発するNICEシステムズ社でグローバルマーケティングの責任者を務めるアイナット・ワイス氏は、両方のマインドセットが必要なポストに就ける人間を確保するためにどうするのが良いかについて、次のように語っている。

マーケティングに対する熱意を持ち、製品中心の職務を経験したことがある組織内の人材を見つけるのがいちばんだ。

2015年、マーケティング組織はフレイト氏が「アジャイル流学習」と呼ぶものが必要になる。コーン・フェリー氏のテストによると、求職者の10~15%は要求を満たしているという。フレイト氏は、そういった「学び」について次のように語る。

コンテンツマーケター、ソーシャルメディアの専門家、検索エンジン最適化の担当者など、マーケティングのスペシャリストは必要だが、そういう人たちにも、環境の変化に合わせて自分たちを作り直せるようにしてもらう必要がある。

幅のあるリーダーに育ってもらわなければならない。ほかの誰もができることではない

フレイト氏はレブロン、ゲラン、クリスチャン・ディオールなどの消費者製品企業で、20年間マーケティングに従事してきている存在だ。

CMOは潜在力の高い従業員を見つけ出し、明確な育成計画を策定する必要がある。そうは言っても、専門家はやはり必要だ。人材と組織に関してメリー氏は、次のように述べている。

マンツーマンではなくゾーンでプレイする。チームメンバー全員がマーケティングのあらゆる分野を理解し、関与できなければならない。より多くを求められるCMOが増えており、チームも能力の幅を広げなくてはならない。

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