初代編集長ブログ―安田英久

デザインに赤十字マークは使用禁止! 不当な使用は法律違反で罰則を受けるかも

病院や救急箱や薬局など医療をモチーフにしたデザインをするときについ使ってしまいそうな赤い十字架のマーク。この赤十字マークは「戦地や紛争地で活動する救護員やその施設を攻撃から守るためのマーク」という意味があり、「ジュネーブ条約」と「赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律」で使用に制限がある。不当に使用すると懲役刑や罰金を受ける可能性も。そうならないために本記事で赤十字のルールを確認しよう。
Web担のなかの人

今日は、「赤い十字(✚)をデザインに使うと法律違反になる場合がある」というお話を。「ジュネーブ条約」と「赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律」によって、赤十字のマークは正当な理由なく使ってはいけないとされているのです。しかも罰則付きで。

日本赤十字社「知っていますか?このマークの本当の意味」より

病院や救急箱や薬局など医療をモチーフにしたデザインをするときに、ついつい使ってしまいそうな、赤い十字のマーク。でもこのマークは、だれでも勝手に使っていいものではないということ、ご存じですか?

恥ずかしながら私もこれは知らず、Web担の記事デザインで使ってしまっていたのですが、読者さんの指摘で知りました。

赤い十字のマークは病院や医療を象徴するマークだと思っていませんか? 実は違うのです。

赤い十字のマークは「戦地や紛争地で活動する救護員やその施設を攻撃から守るためのマーク」であり、赤十字マークを掲げている人や施設を攻撃してはいけないとジュネーブ条約で定められているのです。そして日本でも、赤十字社など定められた組織以外がこのマークを使うことを、「赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律」で禁止しているのです。

この法律には「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則もあります。

これは「マークの使用」に関する法律なので、商標としての利用でなくても(つまりいわゆる「デザインとしての使用」でも)適用されるはずです(商標法にはこのマークに関する定めが別途ありますし)。

この記事に掲載している冊子の引用などは、日本赤十字社に許諾を得ています。

ちなみに、勝手に使うのが禁じられているものには、赤い十字のマーク以外にも、赤い新月のマークなどもあります。また、明確な「白地に赤」でなく色が多少違っていても、また、十字が傾いていたり角丸になっていたりなどデザインが変わっていても、同様に使用が制限されます。

このあたりは、そもそもの背景やダメな例、使っていい組織などをわかりやすく示した資料を日本赤十字社が出していますので、そちらを参照してください。

日本赤十字社「知っていますか?このマークの本当の意味」より

とはいうものの、病院や薬局、テレビ番組、広告などなど、日本赤十字社ではない組織がこのマークを使っているのを見たことがあるある人は多いでしょう。

そもそも、このルールの根本の目的からいうと、主に守るべきは建物や衣類などに付けるマークです。Webサイト上でのイラストや広告に赤十字マークを使っていても、それがすぐに戦地での救護のさまたげになるわけではないので、実質的な問題につながるかというと、そういうわけではないでしょう。

しかし、そういう小さなことから守っていくことが大切なんだと思います。

特にこのルールは、傷ついた人たちを救うために戦地や紛争地に行く人たちを守るためのものであり、だれかの既得権益を守るようなものではありませんからね。

あなたも赤い十字のマークをうっかりと使ってしまっていませんか? 知らずに使ってしまっていたら、こういうルールがあることを思い出してください。

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