英国政府のWeb担当が作った“デジタルデザインの原則10か条”がスゴい!
今日は、英国政府のWebサイトなどを担当する「政府デジタルサービス(GDS)」の部署が公開している「デザイン原則の10か条」について。「良いデジタルサービスを作り、運営していく」ためのポイントがコンパクトにまとめられています。
英国政府(gov.uk)のサイトには、「デザイン原則(Design Principles)」というページがあり、そこには、次のようなことが書かれています。
まずニーズからはじめる ―― 自分たちのニーズではなく、ユーザーニーズから。本当のユーザーを理解し、そのニーズを知る。想像や思い込みではなく、ちゃんとデータで。
なんでもかんでも手を広げず、するべきことだけをする ―― 政府がしなければいけないことだけをし、他の人がすでにやっていたら協力する。
データをもってデザインする ―― 試作し、実際のサイトで実際のユーザーにA/Bテストを行い、その結果をデザインに活かすやり方を理解する。
シンプルにすることに心血を注ぐ ―― 「シンプルであるように見える」ものを作るのは簡単だが、本当に何かをシンプルにするのは大変なことだ。しかし、それが成すべきことだ。
繰り返し、繰り返す ―― 小さく始めて、実ユーザーでテストして、フィードバックを絵ながら改善を繰り返していく。
受け入れられやすいものに作る ―― アクセシブルなデザインは良いデザインだ。どんな人でも(ネットに慣れていない人にとっても)できるだけ読みやすく、判別しやすいものにする。それによって多少エレガントでなくなるとしても、そうするべきだ。
コンテキストを理解する ―― PCのディスプレイのためにデザインするのではなく、人のためにデザインする。どんな場所で、どんなデバイスで、どんな人が使うのかを、真剣に考える必要がある。
デジタルサービスを作るのであって、Webサイトを作るのではない ―― 人々に対するサービスはWebサイトだけで完結するとは限らない。検索エンジンも関係するし、リアルな場も併せて使う必要があるかもしれない。どんどん変わりゆくそうした状況を理解し、それを把握してデザインしなければいけない。
一貫しているべし、単に統一するのではなく ―― 使う言葉やデザインをさまざまな場所で同じにするべきだ。そのほうがユーザーには使いやすくなる。それが難しい場合でも、背後に一貫したアプローチがあれば、ユーザーが理解しやすくなる。ガイドラインを暗記するだけでは良いサービスは作れない。
オープンにすれば、物事はもっと良くなる ―― 可能な限り、自分たちのやっていることをオープンにする。同僚に、ユーザーに、世界に。コードも、デザインも、アイデアも、狙いも、失敗も。そうすれば、凡ミスが見つかり、もっと良い方法がみつかり、全体のレベルが上がっていく。
上記は、一部は安田による意訳込みで、元のドキュメントに書かれていることのエッセンスを抜き出したもので、実際にはもう少し解説や補足があったり、具体的にどんな風にそれを行ったりしたのかの例が示されたりしています。
オリジナルのドキュメントはこちら(実は2012年のドキュメントです)。
- GOV.UK GDS Design Principles
https://www.gov.uk/design-principles
GOV.UKのサイトのプロジェクトと、このデザイン原則がどのように行われているかについては、IA/UXデザイナーの坂本氏が「GOV.UK and the Government Digital Service」というブログ記事で紹介しているので、興味がある方はそちらもご覧ください。
全国民という、非常に多様なユーザー層に対してサービスを提供しなければいけない政府ならではの部分もありますが、そういう部分も含めて、ふつうの企業Web担当者チームで共有しても役に立つ「10か条」ではないでしょうか。
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