旬のネタを簡単に話題にする方法、雑談力を高めるちょっとしたコツ
コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。
宮脇 睦(有限会社アズモード)
心得其の365
一番の旬はワールドカップ
本稿公開予定は6月25日の午前8時。すると1時間前に結論が出ているのが、ワールドカップブラジル大会における、日本代表の結果です。果たして予選リーグは突破できているのか?
本稿の執筆を始めたのは、コートジボワール戦に敗戦してから3時間後の2014年6月15日の午後3時。残り2戦に期待をかけますが、問題はグループCの他3チームと比べ、日本は「個」の技術力の低さに加え、戦う覚悟が欠けている……とは脱線。今回は「旬のネタ」に触れるコツについて。
ワールドカップを頂点とし、サッカー日本代表戦がはじまると、日本国中が「サッカー好き」のような空気になりますが、それほど興味がない人が多いというのが事実です。しかし、Web担ならば「興味がない」と切り捨てることはできません。メルマガやブログのネタとして、「旬のネタ」は外せないからです。それどころか「旬のネタ」はビジネスに好影響を与えます。
IT業界であれば「Google Glass」「Gunosy」「Amazon Fire Phone」などの話題もありますが、本稿掲載時では、やはりワールドカップに注目が集まるでしょう。仮にサッカーが嫌いだとして、好きになれとはいいませんが、コツを覚えれば「話題」にすることは簡単。そのためにはまず「やってはならないこと」を覚えてください。
やってはいけないシッタカ
それは「知ったかぶり」と「おざなり」です。
中途半端な知識の告白は信頼性を損ないます。まして、サッカーのように、仕事を犠牲にしてまで応援するファンがいるジャンルでは、うっかりすれば炎上騒ぎになってしまいます。知識不足を「ネットで検索」補うこともできますが、今回、紹介するコツならそれは不用です。
そしてタブーのもう1つが「おざなり」。それは、こんな感じです。
ワールドカップが盛り上がっていますね。さて、……
と、キーワードを記述しただけで、具体的なエピソードになに1つ触れないケースです。便乗にならないどころか、熱心なファンの神経を逆なでするリスクがあります。「旬のネタ」を取り扱うなら、具体例の1つは盛り込まなければなりません。
旬ネタのコツ
振り返ればJリーグが開幕してから20年、横浜でワールドカップの決勝戦が行われてから12年。周囲を見渡せば「サッカー馬鹿」、もとい「サッカーファン」を探すのは難しくありません。そうした「周囲の人々」にフォーカスをあてることが、旬のネタを調理するコツです。
いわば「無名の人」をフィーチャーしたメルマガやブログをだれが読むのか、とは野暮な質問。社会全体の盛り上がりを下敷きとすることで、「無名の人」の発言でも、共感が得やすいのが「旬のネタ(時事ネタ)」の美味しいところです。そしてこのコツを使えば、サッカーの素人でも、ワールドカップをネタにできます。たとえばこんな感じです。
- 子供のサッカーにつき合ったら、右足を軽くねんざした
- 代表戦を熱く語る同僚は、本当はサッカーに詳しくない
- 今野と駒野を間違える先輩
- いまだにカズはどうした? という上司
などなど。
お気づきでしょうか。無名の人の「旬のネタ」にまつわるエピソードとは、いわゆる「あるあるネタ」のことです。
どんな話題でも応用できる
旬のネタは、関連すればどんな話題でも取り上げることができ、しかも耳目を集めやすいというメリットがあります。たとえば、こんなネタでもいけます。
「サッカーなんか大嫌い」。埼玉スタジアムに直結する地下鉄のある駅の掲示板に書いてあった一文です
試合のたびに混雑する列車を嫌ってのことか、サポーターのマナーの悪さかはわかりませんが、ここから想像と妄想を膨らませれば1つのネタのできあがりです。必ずしもポジティブ情報でなくてもよいということです。
日本代表戦があるごとに、渋谷のスクランブル交差点でのハイタッチを繰り返す、馬鹿騒ぎに嫌気がさしている人も多く、ネガティブ情報にも一定の需要があるのが「旬のネタ」です。
小学生向けなら妖怪ウォッチ
日本が敗戦したコートジボワール戦直後の渋谷での騒動を報じたテレビ朝日「サンデースクランブル!」にて、ワイプに抜かれた元日本代表 名波浩氏の苦渋に満ちた表情が「渋谷に集まらないサポーター」の心情を代弁していました。そもそも「ハイタッチ」は喜びの表現、つまり渋谷に集まった人々は、日本の敗戦をネタに馬鹿騒ぎがしたかったということです。
旬のネタはサッカーだけではありません。社会現象的なヒットも同じくで、いま、小学生向けにブログを書くなら「妖怪ウォッチ」を取り上げない手はありません。知り合いの社長は、愛娘の振り付きで毎日聞かされる「妖怪ウォッチ体操」をすっかり覚えてしまったといいます。
読者との共有体験を作る
歌と言えば主題歌が話題を集める「アナと雪の女王」も旬のネタです。タモリと同じくらいミュージカルが苦手な私は、これっぽっちも興味を持っていませんでしたが、さすがに近所の食品スーパーの有線放送が、ヘビーローテーションで劇中歌を流すに至り、「社会現象」と認識します。
そこでネタにするには……と、本稿で紹介した「コツ」をすでに用いています。どちらも内容に触れるのではなく、知人やスーパーという「周囲の人々(状況)」で旬のネタを語っているのです。今回紹介したコツを覚えれば、旬のネタへの愛情や知識は不用です。
旬のネタとは、読者との「共通の話題」です。そこに触れることで、読者との「疑似共通体験」が生まれ、親近感へとつながります。親近感がビジネスに好影響を与えることは指摘するまでもないでしょう。だからワールドカップ……とはしつこいですね。
最後にお詫びをしなければならないのは、本稿の公開が今日になったことです。一種の博打です。なぜなら、日本代表が、予選リーグで敗退すれば、マスコミはもちろん、多くの自称サッカーファンの興味が薄れ、ネタとしての価値が急速に下落するからです。旬のネタが盛り上がるタイミングは「直前」。つまり、本稿においては開幕する週の公開が最適だったのです。
そしてそのタイミングなら、Web担のみなさんが、すぐに役立てる「現場のノウハウ」になったことをお詫びします。ワールドカップに感情移入しすぎて「旬のネタ」だと忘れていました。そして、「イレコミ過ぎ」が旬のネタを取り扱ううえで、もっとも「やってはならないこと」です。
今回のポイント
避けて通れない旬のネタ
周囲の人々や状況を利用する
- 電子書籍『マンガでわかる! 「Web担当者」の基本 Web担当者・三ノ宮純二』
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