地域によって閲覧ページや購買商品に違いや特徴がないかを分析するには?(第11回)
サイト訪問者の居住地域別に、見ているコンテンツや買っている商品を確認して施策に反映したい
インターネットは、だれでも、いつでも、どこからでも利用できるものだが、ユーザーの居住地域によって当然ユーザーの行動は変わってくる。そこで今回は、セグメントを使って、訪問者の居住地域別(厳密にはサイト訪問時のユーザーのIPアドレスから判別できる利用地域)に行動特性を分析する方法を紹介する。今回使うのは、次のことを実現するセグメントだ。
- 利用者の居住地域を「関東」「近畿」「九州」などの地域ブロック別に分けるセグメント
Googleアナリティクスには都道府県別や市区町村別でデータを確認できる標準レポートは存在するが、ここでは、標準ではできない「関東」「近畿」「九州」などの地域ブロックでデータを確認する方法を紹介する。
特に一般消費者が対象のeコマースサイトなどでは、ユーザーの居住地域の分析軸は有効だろう。居住地域は人口動態特性(デモグラフィック)と呼ばれる分析軸の1つで、前回紹介した性/年齢と同様に分析に役立つものだ。
居住地域によって行動特性に違いがあってもおかしくないし、それぞれ別々のマーケティング施策を提供するに越したことはないはずだ。そういったユーザーに適したマーケティング施策を提供するためのヒントを発見できるように、セグメントを掛けてデータを見るのは意味があるだろう。
新たなセグメントを作成して、訪問者を地域別で分析できるようにする方法
標準に用意されているセグメントには「地域ブロック」のセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメントを作成」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
注:一覧表示(図2青枠部分)を選択している場合や、自分ですでにカスタムセグメントを作成している場合などでは、図2と同じ見え方にはならない。
セグメントを指定する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されていて、今回使用するセグメントで指定する分析軸の「地域」は、セグメント条件を指定する右側の一番下にある(図3青枠部分)。
地域系のディメンションで指定可能なのは、図4のとおり「大陸」「亜大陸」「国/地域」「地域」「市区町村」の5つだ。デフォルトで「大陸」が選択されているプルダウン部分(図4赤枠部分)をクリックすると図4のようにこの5つから選択できるようになる。
今回は「北海道」「東北」など日本の都道府県をいくつかにまとめるセグメントを作成したいのだが、この場合は「地域」(図4青枠部分)を選択する。
たとえば「関東」というセグメントは図5赤枠部分のように記述して、セグメント名を「関東」(図5青枠部分)として保存(図5緑枠部分)しよう。
図5では隠れて見えない部分があるが、「正規表現に一致」の右側に書いてある記述は、たとえば関東ならば「Tokyo|Kanagawa|Saitama|Chiba|Gunma|Tochigi|Ibaraki」となっている。これは、1都6県の地域ディメンションの値を「または」を意味する記号「|」でつないだものだ(この縦棒記号は「パイプ」とも呼ばれる)。最初は面倒だが、これを各地域ブロック分作成してしまおう。
地域名 | 正規表現 |
---|---|
北海道 | Hokkaido |
東北 | Aomori|Iwate|Miyagi|Akita|Yamagata|Fukushima |
関東 | Ibaraki|Tochigi|Gunma|Saitama|Chiba|Tokyo|Kanagawa |
中部 | Niigata|Toyama|Ishikawa|Fukui|Yamanashi|Nagano|Gifu|Shizuoka|Aichi |
近畿 | Mie|Shiga|Kyoto Prefecture|Osaka Prefecture|Hyogo Prefecture|Nara|Wakayama |
中国 | Tottori|Shimane|Okayama|Hiroshima|Yamaguchi |
四国 | Tokushima|Kagawa|Ehime|Kochi Prefecture |
九州 | Fukuoka|Saga|Nagasaki|Kumamoto|Oita Prefecture|Miyazaki|Kagoshima|Okinawa |
なお都道府県の地域ディメンションは英語表記になっていて、この英語表記は地域のレポートで検索して確かめられる。たとえば「gifu」と検索(図6赤枠部分)すると図6のように「Gifu」が絞り込まれる(図6青枠部分)ので、岐阜県は「Gihu」ではなく「Gifu」が正解ということがわかる。
このようにして必要なセグメント群を作成できたら、次は実際のデータにこのセグメントを掛けていこう。
その前に、Googleアナリティクスの標準レポートにある「地域」レポートについて、簡単におさらいしておこう。
基本は[ユーザー]>[地域]>[地域]レポート
ここでは、作成したセグメントからいったん離れて、標準レポートを紹介しておく。
図7は、Googleアナリティクス標準の[ユーザー]>[地域]>[地域]レポートの例だ。デフォルトでは「国/地域」ディメンションが選択(図7赤枠部分)されており、その値には「Japan」(図7青枠部分)など、つまり国レベルとなっている。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
- メニューが開くので、[地域]をクリックする
上には地図が表示されているが、その下にある表で「Japan」(図7青枠部分)をクリックすると、図8のように日本のなかの「地域」ディメンション(図8赤枠部分)になる。いわゆる都道府県レベルにドリルダウンされるという構造だ。
標準で用意されているレポートでは、このように国レベルと県レベルで、「集客」「行動」「コンバージョン」といった指標群(図8赤枠部分)でデータを見ることができるわけだ。なおさきほどの図6は、この状態で検索した表示を示している。
訪問者の地域別で分析するには?
では、さきほど作成した地域ブロックのセグメントを使ってGoogleアナリティクスのデータを分析していこう。まずは集客系の[集客]>[すべてのトラフィック]レポートに適用してみる。
[集客]>[すべてのトラフィック]レポートに地域別セグメントを適用する
図9は、集客チャネルごとに、全体と関東で差があるかどうかを見る(図9赤枠部分)ことができるようにしたものだ。
この例では、行動特性や成果(コンバージョン)に大きな違いは見られないので、関東ユーザーを対象にした有効な集客チャネルを発見することはできなかったが、地域ブロックのセグメントをすべて利用して、各地域ブロック間の比較をしてみるとよいだろう。
[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに地域別セグメントを適用する
次に[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに適用してみる。図10は同じ閲覧コンテンツに対して、全体と関東で見られ方に差があるかどうかを見る(図10赤枠部分)ことができるようにしたものだ。こちらも地域ブロックのセグメントをすべて利用して、各地域ブロック間の比較をしてみるとよいだろう。
コンバージョンや購入など成果系のレポートに地域別セグメントを適用する
そして、さらにはコンバージョンや購入など成果系のレポートにもこのセグメントを掛けてみよう。不思議と成果が上がっている地域ブロックとかはないだろうか。
地域情報の精度はどれぐらいか?
最後に地域情報の精度についておさらいしておきたい。Googleアナリティクスの「地域」ディメンションはIPアドレスをベースに判断していると思われるが、IPアドレスで特定できる地域の精度には限界がある。100%正確なデータになるとは考えない方がよいだろう。詳しくは下記関連記事を参照してほしい。
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