初代編集長ブログ―安田英久

“良いWebサイト”ってどんなサイト? 良いサイトをつくるために必ず定めるべき3つの要素

「良いWebサイトとは何か」「良いWebサイトを作るためには何が必要か」の原則
Web担のなかの人

「良いWebサイトの例を教えてください」「どんなサイトが良いWebサイトなのですか?」……仕事柄、こんなことを、たまに聞かれます。今日は、「良いWebサイトとは何か」「良いWebサイトを作るためには何が必要か」の原則を解説します。

「良いWebサイト」とはどんなサイトのことでしょうか。

  • キレイなデザインのサイト?
  • 情報がたくさん詰まっているサイト?
  • 便利なサイト?
  • 表示が早いサイト?
  • 使っていて楽しいサイト?
  • スマホで見やすいサイト?

マーケ寄りの人は、「人がたくさん集まるサイトが良いサイトだ」「コンバージョンが多いサイトが良いサイトだ」と言うかもしれません。

でも、本当にコンバージョンが多ければ、すべて「良いサイト」なのでしょうか。

結論から言うと、「良いサイト」とは、「特定のユーザー層が、特定の状況で、特定のゴールを達成しやすいサイト」だと思っています。

だから、良いサイトを作るために定めておくべき3つの要素とは、次のものです。

  • そのサイトは、どんなユーザー層をターゲットにしているのか
  • そのサイトは、どんな状況で使われると想定されるのか
  • そのユーザーに、どういう行動をしてもらうのがゴールなのか

ユーザビリティに明るい人はピンときたと思いますが、これは、ユーザビリティを定めるISO規格で、ユーザビリティに関して定めている文章に似ています。

ユーザビリティは「使いやすさ」のことだといわれますが、その厳密な定義をISO 9241-11(JIS Z 8521)では次のように定めています(訳は安田による)。

特定の利用者たちが、特定のコンテキスト(状況)において、特定のゴールを達成するために、製品がどの程度、効果的に、効率的に、満足度をもって使われるか。

つまり、単に「使いやすい」ではなく、「どんな人が、どんな状況で、何のために」使いやすいのかを「効果的か、効率的か、満足度はどうか」という点でみるということです。

この定義って、すばらしいし、さまざまなことに適用できると思うんですよ。

「良いWebサイト」を考えるときでもそうです。

あるサイトを「良い」と思うかは、人やニーズや状況によって違います。

  • カジュアルユーザーと、熱心なユーザーでは違います。

  • 移動しながらスマホを使っているときと、オフィスでPCに向かっているときでは違います。

  • 楽しさを求めている人と、情報を求めている人では違います。

  • 詳しい情報を求めている人と、わかりやすい概要を求めている人でも違います。

  • 目的が明確な人と、よくわからなくて困って来ている人でも違います。

あるサイトが「良いサイト」であるかを判断するには、「どんなユーザーが、どんな状況で、どういうゴールを達成するための場なのか」を明確にしないと、その答が出せないということですね。

それを定めてなければ、判断する人の主観で「良い」「良くない」が揺れてしまうのです。

「コンバージョンが多い」も、単に多ければいいだけでなく、厳密には「どんな潜在顧客のコンバージョンを多くとりたいのか」を定義するほうが、より「良いWebサイト」を判断しやすいですよね。リピート購買してくれるユーザーをより多くとりたい、気に入ってソーシャルで拡散してくれやすいユーザーをより多くとりたい、といった感じです。

もちろん、企業には多くの商材があり、1つの商材にも複数のユーザーセグメントがあるでしょうから、それを明確に定めて、優先度を決めていく必要があります。

私は、以前は「良いサイトのために定めること」として「だれのために・何のために」の2つ挙げ、コンテキストは「だれのために」の中に含めて考えていました。でも、スマホやタブレットなどの隆盛もあり、たしかに「どんな状況で」を別途定めておくべきかな、と最近は思っています。

御社のサイトでは、「だれが、どんな状況で、どんなことを達成するため」を、ちゃんと定義して、ちゃんとドキュメント化して、ちゃんと共有できていますか? できていなかったら……ヤバいですよ。

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