企業ホームページ運営の心得

グーグルの日本語解読からたどり着く全角2文字のSEO

SEOの実践を繰り返して得た、キーワードを強調する1つの方法とは
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の345

SEOは地道な繰り返し

先日、Web担当者Forumの「最新グーグルSEO要因と順位の関係7つのポイント、サイバーエージェントと京都大学が共同研究」という記事が、「930いいね!」「360ツイート」と人気を集めていました。Web担当者にとって、SEOは永遠のテーマなのでしょう。

悪質な被リンクの撲滅が進み、正しいリンクの価値が高まっていることや、「共起語」や「関連語」の有効性などが報告されていましたが、せん越ながら「目新しい方法」はありません。だからこそ価値のある記事だと言えます。SEOとは原則に従い、1つひとつの精度を高めていくこと、その地味な作業の繰り返しだからです。

そこで私も繰り返しから得たSEOネタを。「経験則」だけが論拠のオカルトSEOの類かもしれませんが、「スパム」に認定される心配はなく、お客の理解を助ける効果は確実に期待できる方法です。

リバースエンジニアリングでみれば

現象から構造を分析し、仕組みを解き明かす方法を「リバースエンジニアリング」と呼びますが、SEOとして紹介される方法の大半は、このアプローチから突き止められたものです。被リンクやタイトル、ソースの構造など、先人達の積み重ねにより解明されてきました。ただし、検索エンジンのプログラム自体を直接読み解くことはできないため、経験によるところが大きいのも事実です。

とはいえ、SEOにとって「キーワード」が重要であることに議論はないでしょう。キーワードの頻出数やリンク・被リンク数、かつての「強調タグ」による指定も、「キーワード」を注目させることが目的でした。その強調タグによるSEO効果が疑問視されたころ、私が気になったのはこれ。

グーグル(検索エンジン)はどうやってキーワードを区別しているのだろう

タグで指定したキーワードを、検索エンジン(クローラ)が認識するのは論理的に理解できます。この方法を無効とするなら、検索エンジンはどうやって「日本語の単語(キーワード)」を認識しているのかという疑問です。

日本人でも難しい

ヒントを与えてくれたのが『ネット・バカ』(ニコラス・G・カー著、青土社)で、古代ローマ時代のラテン語の文章には、人が話すとき単語ごとに音節を区切らないように、現代の欧文にあるような、単語ごとの空白による区切りがなかったと紹介していたのです。そこから、米国生まれのグーグルのキーワード抽出アルゴリズムは、「単語と単語を空白で区切る英語」をベースにしているのではないかと閃きます。すると日本語のような「続け書き」の文章からの単語抽出は苦手としているのではないかという仮説が浮かんだのです。

固有名詞の特定は日本人でも難しいもの。たとえば、室町幕府を開いた「足利尊氏(あしかがたかうじ)」と「足利尊氏(あしかがたける氏)」との区別は、前後の文章から区別するしかありません。また、漢字の連続だけではなく「てにをは」の前に来る平仮名の名称も混乱することでしょう。

漢字が連続する造語や新語を検索したとき、おかしな区切りで「○○では?」と問い返されることも足がかりとし、ならばカギかっこを使って(固有)名詞だと「明示」することで、SEO効果を得られるのではないかと至ります。

人の理解を助ける

実践したSEOの方法とは、検索でヒットさせたいキーワードをカギかっこでくくること、「キーワード」とすることです。たったこれだけですが、カギかっこで区切ることで、グーグルは「単語」を探しやすくなるはずだと。いわばグーグルへの「おもてなし」です。

グーグルがアップデートを発表するたびに、拙ブログが検索結果に反映されやすくなるように感じます。規模の小さなサイトの場合、被リンク数やインデックス数という「指標」よりも、「文章(コンテンツ)」が重視されているのではないでしょうか。冒頭で触れた研究発表でも、共起語や関連語の優位性が確認されたように、グーグルの目指す方向が「コンテンツ重視」であるなら、コンテンツを表す、あるいは関連深いキーワードをカギかっこで括り、明示することは、SEOの微力にはなってもスパムになることはないと考えるのです。

そしてカギかっこは、人間の訪問者の理解を助けます。日本語の文章において、強調したい単語や名詞は「カギかっこ」でくくるという「お約束(共通理解)」があるからです。

サーバーダウンするほどに

昨年、テレビでは触れていないキーワードを取り上げることでブログのアクセス数をアップさせる方法を紹介しました。例に挙げたのは、交際のもつれからプライベート写真をネットにばらまく「リベンジポルノ」です。その後、多くのテレビや雑誌で「リベンジポルノ」は紹介され、比例してコンテンツも増えましたが、いまでも検索結果の上位に表示されています。先行者利益だと思うかもしれませんが、カギかっこが上位キープの微力になったとすれば、わずか全角2文字の記号の記載をためらう理由が見つかりません。

ちなみにフジテレビ日曜10時に放送中の「ミスターサンデー」が「リベンジポルノ」を特集すると、先の私のブログにアクセスが集中し、サーバーダウン回避のためのアクセス制限が夜通し課せられました。ネットではテレビは「オワコン(終わっていると揶揄するネット用語)」と嘲笑されていますが、テレビを流しながらスマホで遊ぶなど「住み分け」、あるいは「共存」が進むなか、声高に「テレビは終わった」と叫ぶほうが恥ずかしいように感じます。

かっこの種類と用法

最後に「カギかっこ」と「類似のかっこ」のミヤワキなりの使い分けを紹介します。

  1. 「」 ―― カギかっこ

    強調したい単語や名詞。台詞など発言を明示するときに使う

  2. 『』 ―― 二重カギかっこ

    作品名、著書名、あるいは文章内でカギかっこを用いるとき、モノローグや異世界の声など

  3. “” ―― 二重引用符

    引用(コピペ)や少し長い注釈のとき、あるいは文章内でカギかっこを用いるとき

  4. () ―― かっこ

    直前直後の単語の補足や説明。英訳・和訳、ルビや意訳、別名など
    ※補足が長文になるときは段落を分けるほうがよい、とはSEOではなく作文的に

あくまで経験則に基づくもので、ましてやSEOの決定打になるとは言いません。しかし、微力になる可能性と、お客の理解力を高める効果が「カギかっこ」にはあります。

今回のポイント

カギかっこでグーグルをおもてなし

SEOの効果はともかく、文章の理解を手助けする

用語集
SEO / インデックス / ヒット / リンク / 日本語 / 検索エンジン / 被リンク / 訪問者
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