企業ホームページ運営の心得

セールスフォースによる非対称性の営業アプローチ

自社のサービスがすばらしいなら「自作自演」すべきです
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の346

Disるか、持ち上げるか

今年も激辛の視点で、IT業界を切りまくってください。

親交のある編集者から届いた年賀状に添えられたメッセージです。実は、つねづね新商品や新サービスを礼賛する原稿を書きたいと願っています。そのほうが、お金になるからです。売文稼業を支えるお金の出所の多くは「広告費」へとたどり着きます。

たとえば、新しいネットサービスについて、シンポジウムの主催者が「Disるライター」と「持ち上げるジャーナリスト」のどちらを呼ぶかといえば後者です。この話を別の編集者にすると、こう返されました。

(誉める原稿では)個性死んじゃいますよ。

貧しくても生きていたい。そして今年も激辛をチョイスしているのですが、今回は現場の視点的に「セールスフォースのシステム」を誉めてみます。

きっちり1月後にくる

セールスフォースとはSaaSやPaaSの第一人者で、今では「クラウドコンピューティング・サービス企業」とウィキペディアで紹介されています。業務は多岐にわたるのですが、語弊を怖れずに言えば、データベースをもとにした業務管理ツールを提供しています。

当社の業務連絡は、ほぼすべてネット上で完結しており、電話のベルが鳴る理由の9割はテレアポ(無作為、あるいは電話帳順に電話をかける営業方法)です。売り込みと思いながらも営業マン時代の習性から、私は手が空いていれば、ほぼワンコールのうちに受話器を取ります。

昨年の11月、セールスフォースからテレアポがありました。「いまは不用」と無難な断りかたをするのは、人の縁はどこでつながるかわからず、意味なく嫌われるのは損だからです。

翌12月、再びセールスフォースから電話がかかってきました。少々呆れながら、先月もセールスフォースから電話があったと告げると、「11月○日ですね」と回答し、会話の内容を復唱します。慌ててカレンダーをみると、曜日の誤差を除けばきっちり1か月後でした。

21世紀の手帳

すっかり感心しました。多少なりとも感触を得た訪問先、あるいは嫌われていないお客を定期的に訪問するのは営業の基本です。正確な内容を失念しましたが、11月の応対で手応えを感じたのでしょう。その情報を確認しながら、電話口に向かっていることから「自社製品」を使っているとみてよいでしょう。

飛び込み営業をしていた20世紀。見込み顧客の管理は手書きの手帳を利用していました。毎週、毎月、季節ごとなど、間隔は相手により変えますが、あらかじめ訪問予定日を書き込んでおいたものです。そして21世紀、セールスフォースの社員が、手書きの手帳をもとに電話を掛けているとは考えにくいことが、自社製品を使っているだろうとする理由です。

自作自演をしないネット企業

自社のサービスがすばらしいなら「自作自演」すべきなのですが、ネット企業のなかには、社員が自社製品を使っていないケースは少なくありません。私の原稿に辛口が多い理由の1つです。

売るためのサービスと、使いたいサービスの言行不一致は珍しくなく、グループ会社で検索エンジンを開発している企業が、グーグルでネット検索しているなどよくあることです。さらに「ホームページ制作」を看板に掲げ、実務を別の業者に丸投げしている会社もあれば、そのコンテンツに「JavaScript」が使われていることも調べられない「有識者」も実在します。こうした事実を指摘しているだけで、Web業界では辛口と呼ばれます。

しかし、セールスフォースの営業活動は、理にかなったアプローチで、しかも自作自演、もとい自社製品のITを活用しています(想像ですが)。そして思わず嬉しくなりツイートしました。

三度の電話の理由

そのときのツイートがこれ(誤字脱字は修正)。

売り込みの電話は面倒ですが、清々しいと感じたのはセールスフォース。きっちり1ヶ月間隔で電話してきて、しかも前回のやり取りを記録している様子。自社製品を使っているのでしょうね。利用する気はないけど言行一致の企業は好き。

リツイートしてくれた人もいましたが、さして話題になることなどありません。数日後、三度セールスフォースから電話がかかります。前回の電話で利用する予定がないことを明確に告げ、さらに電話の間隔が短かったこともあり「イラッ」として応対すると、

SNSで当社を紹介していただいたようでありがとうございます。

お礼の言葉が飛び込んできました。

ツイートをSNSと読み替えるあたりから、電話の主が直接ツイッターを確認したものではない可能性もあります。しかし、それでもお礼を言われて悪い気はしません。

非対称性アプローチ

社内にSNSをチェックする部署があり、ツイートにセールスフォースの名前を見つけ、文面から見込み客リストをたどり、担当者に指示が出されたと見ています。だとしたら、これこそが「IT」の利便性です。ツイッターに張り付いていては、営業マンは仕事になりません。

しかし、今のご時世、しかもネット企業なら余計にツイッターなどのSNSのチェックは必要で、そのための担当者を置き、見つけた情報をイントラネットやクラウドで営業マンや現場スタッフと共有化する……とは、あくまで推測ですがIT活用事例の理想型です。

感心したことはもう1つ。ツイートへの感謝はツイートで返すのがWeb業界の感覚でしょう。いわば「アプローチの対称性」です。しかし、リツイートは見逃される可能性もあり、閲覧されてもその他大勢の1人です。しかし電話なら、確実に相手と時間を共有するオンリーワンです。

自分に有利な状況を作るために、非対称性アプローチをチョイスするのは営業の基本です。電話による資料請求や直接訪問して届けるのも同じで、私が得意とした戦術の1つ。非対称性のポイントは「スピード」と「意外性」にあるのですが、これを語り出すと「営業マニュアル」になるので、ここまで。

今回のポイント

自社製品・サービスを使っているか?

情報の共有化にITは最適、という当たり前を実践する
セールスフォース

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