米Metaは11日、Facebook、Instagram、WhatsApp、Messengerの各プラットフォームにおいて、AI(人工知能)技術を駆使した新しい詐欺対策ツールと、国際的な法執行機関との連携強化を発表した。巧妙化する「有名人なりすまし」や「ロマンス詐欺」に対し、テクノロジーとオフラインの両面から包囲網を敷く。
1.5億件の広告を削除
同社では2025年、ポリシーに違反する1億5900万件以上の詐欺広告を削除したほか、犯罪的な詐欺活動に関与していた1090万件のアカウントを削除したという。対象はFacebookやInstagramなどで、削除した詐欺広告の92%はユーザーからの通報前に検出・削除されたとしている。
同社の調査では、詐欺の手口が年々巧妙化し、組織化・産業化が進んでいることも確認された。これを受けてMetaは、AI技術の強化、ユーザー向けの警告機能の拡充、広告主の認証強化、さらに法執行機関との連携による摘発など、複数の層から詐欺対策を進めている。
AIで「巧妙ななりすまし」を瞬時に検知
Metaの発表によると、テキストや画像、投稿の文脈など複数のシグナルを分析する高度なAIシステムを導入し、詐欺検出能力を強化している。
特に重点を置くのが、有名人やブランドのなりすましへの対策である。AIがプロフィール情報や投稿内容、ファンの反応などを分析し、著名人や企業との関連性を偽装したアカウントや広告を検出する。
また、正規のサイトを装ってユーザーを誘導する不正リンクやドメインなりすましの検知にもAIを活用する。これにより、数千に及ぶブランドを詐欺から保護できるとしている。
「疑わしい接触」をアプリが警告
ユーザーが詐欺に接触する前に防御する新機能も順次ロールアウトされる。

- Facebook: 共通の友人が少ない、または居住国に不審な点があるアカウントからの「友達リクエスト」に対し、ブロックを促す警告を表示。
- WhatsApp: QRコードのスキャンや認証コード入力を利用した「アカウント乗っ取り」を阻止するため、不審なデバイス連携リクエストがあった際に発信元を通知し警告する。
- Messenger: 不審な求人案内などをAIが検知し、ユーザーにメッセージの共有とレビューを促す機能を世界的に拡大。
広告主認証の拡大
広告経由の詐欺を防ぐため、Metaは広告主の本人確認(認証)プロセスを拡大する。現在、広告収入の70%を占める「認証済み広告主」の割合を、2026年末までに90%まで引き上げる目標を掲げた。
Metaは「詐欺師の戦術は絶えず進化しているが、我々も同様だ」と述べ、今後も技術投資とグローバルなパートナーシップを通じて、安全なプラットフォーム体験を提供し続けるとしている。
法執行機関との連携による摘発
Metaでは世界各国の法執行機関とも連携し、詐欺ネットワークの摘発を進めている。
最近では、米FBIやタイ当局などと共同で詐欺拠点への対策を実施した。この取り組みにより、詐欺センターに関連する15万件以上のアカウントを無効化し、タイ警察による21人の逮捕にもつながったという。
また、日本人女性を装った偽アカウントを使い恋愛詐欺やギャンブル関連コンテンツを拡散していたネットワークについても調査を実施し、1万5000以上のアカウントを削除または無効化した。
さらに、ナイジェリア警察や英国の国家犯罪対策庁と連携し、仮想通貨トレーダーを装って被害者を勧誘していた詐欺拠点の摘発にも協力したとしている。
啓発キャンペーンも展開
Metaは技術的対策に加え、ユーザーへの教育や啓発活動も進めている。国際機関や政府機関、金融団体などと協力し、オンライン詐欺の見分け方や回避方法を伝えるキャンペーンを各国で展開している。
同社は「詐欺はメッセージングアプリ、ソーシャルメディア、出会い系サービス、仮想通貨など複数のプラットフォームを横断して行われる」とし、今後もAIへの投資や法執行機関との連携を強化しながら、ユーザーの安全確保に取り組むとしている。
