初代編集長ブログ―安田英久

Web向けのツカミの強い文章術を、超コスパ和牛焼肉の格之進から学んだ

Webで大切な「ツカミ」について、お気に入りの熟成和牛焼肉店のコース料理を例に解説
Web担のなかの人

今日は、Webコンテンツ向けの文章の書き方について。Webで大切な「ツカミ」について、お気に入りの熟成和牛焼肉店のコース料理を例に解説します。なぜ焼肉店のコースなのか、それは……。

「格之進(かくのしん)」という焼き肉店が、東京では六本木練馬にあります。ここは、焼肉というよりステーキと呼ぶべきスゴい肉を4000円弱のコースで楽しめる超コストパフォーマンス店で、私のお気に入りなんです。

この店のすごいのは、コース料理の最初に最上級の肉が出てくること。最初の品が、サシの入った分厚いサーロインとかロース。出てきた時点で「おおおおおぉぉ」と場が盛り上がり、さらに焼いて食べてその味に驚きます。

こんな肉がコースの最初に出てくるんです
焼肉というよりもカットステーキという感じ
写真は たつをのChangeLog より許諾を得て転載、オリジナル記事はこちら(ただし記事で紹介されている恵比寿店は2011年に閉店、残念)
※2013-06-25 初出時点で「たつをのChangeLog」の名称を誤って記載していました。大変失礼しました。

フランス料理のコースだと、ワインや会話を楽しみながら少しずつ料理が進み、盛り上がったところでメイン料理なんですが、意外とその頃にはおなかいっぱいで楽しめなかったりするんですよね。

でも格之進さんでは、ふつうならコースの最後にメインとして出てくる品が、最初に出てくるんですよ。それで場が盛り上がりますし、なによりもコース全体の印象が良くなります。

……これってWeb的だと思いませんか?

ページを訪れた人に、まず一番おいしいモノをバーンと提供すると響くという点で。


Webのコンテンツを魅力的にするのに大切な構成要素として、次の2つがあります。

  • タイトル
  • 冒頭のツカミ(フック)

ここでいう「ツカミ」とは、そのページを開いた人を「グッ」と惹き付けるために、ファーストビューに置く内容のことです。

ツカミにするのは、キャッチーなビジュアル素材かもしれないし、そのコンテンツの要旨(abstract)かもしれないし、訪問者が抱えているだろうニーズに刺さって「あ、ウチそれだわ」と共感する内容かもしれないし、ユーザーが「え? なにそれ?」と興味をもつネタかもしれません。

格之進さんのブログに掲載されているコース料理の写真。こういった良い肉が最初に出てくるのがコース料理としては非常に良いツカミになり、全体の印象をさらに良くしています。

いずれにせよ、Webユーザーにまず強力にアピールしてページを読み進めてもらうためには、ページ冒頭にどんなツカミを置くかは非常に重要なんですよね。

というのも、Webユーザーは短気なので、自分が求めているものが得られることに確証がなかったり、なんだか期待していたものとちょっと違う感があったりすると、すぐにページから立ち去ってしまいます。

ソーシャルメディアでだれかがシェアしていたのを見て飛んできたユーザーも、「なんか違う」と思ったら、続きを読まずにすぐに帰っていってしまいます。

ちょっと読み進めた先にすばらしい内容があるとしても、それを初めのうちに予期させなければ、ユーザーはそこまで読み進めてくれないんですよ。

だから、ツカミが大切なんですね。

ふつうにコンテンツを作ると、「まずはちゃんと背景説明して理解してもらってから本題へ」という構成になりがちですが、そういった書籍的なアプローチは、Webではマイナスになってしまう場合が多いようです。

書籍は「その本を読もう」と決断してお金を出して買っているので、最初の数章は背景や歴史から入っても続きを読んでもらえるかもしれません。しかし、Webではそうはいきません。冒頭がおもしろくないと、せっかく後半においしいネタがあっても、そこまでたどり着いてくれない傾向があるんですよね。

というか、最近では書籍でも「最初においしいネタを出す」やり方のほうがいいんだろうなと思っています(しばらく書籍を担当していないのでわかりませんが)。

さて、Webコンテンツの見せ方のツカミの部分、御社ではうまくできていますか?

Web担? あ……たまに弱いときがありますね、はい。反省します。

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