初代編集長ブログ―安田英久

スマホ普及率49.5%に急伸 SNS利用は20代でも28%留まり 総務省の通信利用動向調査 発表

いつもならそろそろ出ている『インターネット白書』が発行されていないので、重要なデータに
Web担のなかの人

今日は、スマホやタブレットの普及率、個人や企業のソーシャルメディア利用状況、企業のホームページ開設状況やインターネット広告の実施状況など多数のデータを含む、総務省「通信利用動向調査」の最新データをご紹介します。

いつもならそろそろ出ている『インターネット白書』が発行されていないので、この総務省の通信利用動向調査が、ネットの状況を把握するための詳細な調査データとしては、最も新しく有用なものとなっています。

調査データは「世帯編」72データ、「世帯構成員編(個人編)」67データ、「企業編」62データに分かれていて、それぞれExcelやCSVでデータが提供されていますので、みなさんの仕事に関係しそうなデータをぜひ自分で確認するべきなのですが、ここではWeb担として特徴的だと思ったデータをいくつか紹介します。

スマホ普及率が倍々ゲームで49.5%に

主な情報通信機器の普及状況の推移(世帯)
世帯データ

「主な情報通信機器の普及状況」をみると、スマートフォンの普及状況が49.5%(対前年比20.2ポイント増)と依然急速に普及が進んでいます。ほぼ倍々ゲームですね。また、タブレットも同様に伸びており15.3%になっています。

いっぽう、パソコンの普及状況は徐々に減ってきているのがわかります。

主要端末別インターネット利用率(個人)、主要端末別世代別インターネット利用率(個人)
個人データ

「端末別インターネット利用率」をみると、「自宅のパソコン」が59.5%と最も多いのですが、減少傾向。やはりスマホとタブレットの伸びが目立ちます。

世代別にみると、13~29 歳の各年齢階層では「スマートフォン」の利用が「携帯電話」の利用を上回っていることがわかります。

ソーシャルメディア利用は伸びているが20代でも28.2%に留まる

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)への参加(個人・成人)
個人データ

個人のソーシャルメディア利用状況のうち「ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)への参加」をみると、全体的に前年より増えているものの、最も多い20代でも利用率は28.2%。

Web担の読者さんの感覚値よりも実際の数字は低いのではないでしょうか。こんなものなんですね。

問2(1)過去1年間にインターネットで利用した機能・サービスと目的・用途(M)
(対象:家庭内又は家庭外からのインターネット利用者)
家庭内又は家庭外からインターネットで利用した機能・サービスと目的・用途(M)
ホームページ(ウェブ)・ブログの閲覧
ソーシャルメディアの利用
動画のインターネット配信サービス
メールマガジンの受信(有料・無料を問わない)
商品・サービスの購入・取引
企業・政府等のホームページ(ウェブ)・ブログの閲覧
個人のホームページ(ウェブ)・ブログの閲覧
ホームページ(ウェブ)・ブログの開設・更新
マイクロブログの閲覧・投稿
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)への参加
電子掲示板(BBS)・チャットの閲覧、書き込み
動画投稿・共有サイトの利用
個人データ、全体平均より一定以上多いデータを赤で、一定以上少ないデータを黄色で強調

こちらは、ソーシャルメディア(やその他のインターネットサービス)の利用状況を性・年代・世帯累計・所属世帯年収・地方・インターネット利用機器などごとにみたデータです。

インターネットサービスの利用は20代~40代が中心で、ソーシャル系の利用はやはり東京を中心とした南関東で多く、スマホやタブレットの利用者ほどさまざまなサービスをよく利用していることがわかります。

企業のソーシャル活用は伸びても15.9%、目的は宣伝や情報提供

企業におけるソーシャルメディアサービス活用の有無
企業データ

ソーシャルメディアサービスを一部でも活用していると回答した企業の割合は 15.9%。業種別にみると、「サービス業・その他」が21.0%と最も高い状況です。

ソーシャルメディアサービスを利用していると回答した企業を対象に、その活用目的・目途をみると、「商品や催物の紹介、宣伝」が 53.3%と最も多く、次いで「定期的な情報の提供」(44.6%)でした。意外とマーケティング利用が少ないものですね。

以下、企業のソーシャルメディアサービスの活用状況や活用目的、さらにソーシャル利用ポリシーの規定状況に関して、産業分類・資本金・従業者規模・売上高規模・地方などごとにみたデータをいくつか紹介しておきますね。

問2(2)ソーシャルメディアサービスの活用状況(対象:全社)
建設業
製造業
運輸業
卸売・小売業
金融・保険業
サービス業・その他(計)
不動産業
サービス業、その他
企業データ、全体平均より一定以上多いデータを赤で強調
問2(2)ソーシャルメディアサービスの活用目的・用途
(対象:ソーシャルメディアサービスを活用している企業)
ソーシャルメディアサービスの活用目的・用途(M)
マーケティング
商品や催物の紹介、宣伝
定期的な情報の提供
会社案内、人材募集
消費者の評価・意見の収集
その他
無回答
企業データ、全体平均より一定以上多いデータを赤で強調
問8(2)(補問2)セキュリティポリシーにおけるソーシャルメディアサービスの利用規定(M)
(対象:セキュリティポリシーを策定している企業)
ソーシャルメディアサービスの利用規定(M)
企業名の公開を禁止
企業名の公開を義務づけ
業務に関する書き込みを禁止
業務中の利用を禁止
その他の規定を設けている
特段の規定は設けていない
企業データ、全体平均より一定以上多いデータを赤で強調

ホームページ未開設は11.1%、規模が小さいほど未開設の傾向

次に、企業のホームページ開設状況とその目的のデータを、産業分類・資本金・従業者規模・売上高規模・地方などごとにみてみましょう。

かなりの企業がホームページを開設しているものの、全体ではまだ11.1%が未開設。やはり資本金や従業員数・売上高など規模が小さいほど未開設の傾向が強いようです。

地域でみると、ホームページ未開設率が最も高いのは北海道(30.0%)、次いで東北(20.2%)です。

問2(1)ホームページの開設状況(対象:全社)
ホームページの開設状況(S)
開設している
開設していない
[産業分類]
建設業
製造業
運輸業
卸売・小売業
金融・保険業
サービス業・その他(計)
 不動産業
 サービス業、その他
[資本金]
1,000万円未満
1,000万円~3,000万円未満
3,000万円~5,000万円未満
5,000万円~1億円未満
1億円~5億円未満
5億円~10億円未満
10億円~50億円未満
50億円以上
[従業者規模]
100~299人
300人以上計
300~499人
500~999人
1,000~1,999人
2,000人以上計
2,000~2,999人
3,000~4,999人
5,000人以上
[売上高規模]
5億円未満
5~10億円未満
10~30億円未満
30~100億円未満
100~500億円未満
500~1,000億円未満
1,000億円以上
[地方]
北海道
東北
北関東
南関東
北陸
甲信越
東海
近畿
中国
四国
九州・沖縄
企業データ、全体平均より一定以上多いデータを赤で強調
問2(1)補問 ホームページの開設目的・用途(対象:ホームページを開設している企業)
ホームページの開設目的・用途(M)
商品や催物の紹介、宣伝
定期的な情報の提供
請求や利用明細の通知
会社案内、人材募集
申込や届出の受付
アンケート調査
電子公告、決算公告
消費者の評価・意見の収集
企業データ、全体平均より一定以上多いデータを赤で強調

ネット広告は27%が実施、最も多い施策はバナー広告

インターネット広告の実施率
企業データ

インターネットを利用した広告を実施している企業の割合は 27.0%で、実施率を業種別にみると、「金融・保険業」が 59.8%と最も高く、次いで「サービス業・その他」(34.7%)、「卸売・小売業」(31.9%)でした。

行った広告の種類では、「バナー広告」が 51.0%と最も多く、次いで、「メールマガジン」(37.5%)、「テキスト広告」(30.7%)。

意外と検索連動型広告やコンテンツ連動型広告が少ないものなんですね。

ネット広告の活用状況を産業分類・資本金・従業者規模・売上高規模・地方などごとにみたデータを以下に示しますが、企業規模の小さなところが検索連動型広告を活用していないのが気になるところ。

ソーシャルメディアの活用状況とのクロスデータもありますが、やはりソーシャルを使っている企業は広告もうまく使っているようです。

ネット広告を行う理由に関しても、「広範囲に情報発信できる」が最も多く、「広告効果を把握しやすい」が最も少ないというのは、なかなか微妙なところです。うーん。

問3(2)インターネット広告の実施状況(対象:全社)
インターネットを利用した広告の実施状況
実施している
行っていない
企業データ、全体平均より一定以上多いデータを赤で強調
問3(2)実施しているインターネット広告の種類
(対象:インターネット広告を実施している企業)
実施しているインターネット広告の種類(M)
テキスト広告
バナー広告
リッチメディア広告
スポンサーシップ広告(編集タイアップなど)
検索連動型広告
コンテンツ連動型広告
メールマガジン
DM広告(ターゲティングメールなど)
ピクチャー広告
コンテンツ型広告
メール型広告
その他インターネット広告
企業データ、全体平均より一定以上多いデータを赤で、一定以上少ないデータを黄色で強調
問3(2)(補問)インターネット広告を行う理由
(対象:インターネットを利用した広告を行っている企業)
インターネット広告を行う理由(M)
広告効果を把握しやすい
広告費が安い
個々の消費者のニーズに合わせた広告が可能
広範囲に情報発信できる
企業データ、全体平均より一定以上多いデータを赤で、一定以上少ないデータを黄色で強調

ECは自社サイト本店が64.7%、モール出店は45.7%

BtoCのネット取引を行っている企業がどのような形態にしているかをみると、自社サイトが64.7%、モール出店が45.7%でした。

モール出店の比率が高い地方は、甲信越・中国・四国のようです。

(対象:一般消費者へインターネットを利用した販売を行っている企業)
一般消費者向けの販売モデル(M)
電子商店(自社サイト)
電子商店(電子モールへの出店)
販売仲介
オンライントレード
企業データ、全体平均より一定以上多いデータを赤で、一定以上少ないデータを黄色で強調

クラウドを使う企業は生産性が高い?

ちょっとおもしろいデータを最後に紹介しておきます。

クラウドサービスの利用状況と労働生産性のデータです。

クラウドサービスの利用と生産性
(対象:営業利益、人件費、資本金、減価償却費及びクラウドサービスの利用の有無のすべてを回答した企業)
一社当たり労働生産性
クラウドサービスの利用
製造業
非製造業
企業データ

クラウドサービスを使うから生産性が高くなっているのか、生産性が高いからクラウドサービスを使うという選択肢に移行できているのかはわかりませんが、見ていて「うへー」と思ったデータでした。

◇◇◇

ここで紹介したもの以外にも、かなり多くのデータが整理されていますので、これまで見たことのない人は、チェックしておきましょう。

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