【レポート】ネットショップ担当者フォーラム セミナー

ライフネット生命保険のサイト改善5つの鉄則に学ぶ、ネットショップのPDCAサイクル/ユーザーローカル

ヒートマップ機能を備えたアクセス解析「User Insight」を活用するライフネット生命保険の改善施策が語られた
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ライフネット生命保険では、サイトの改善に際して5つの鉄則に基づいてPDCAを回している。ヒートマップは「仮説を立てるための勘どころを直感的につかめるツール」。勘どころを定め、確証をつかみ、具体的な課題と対応策を見つけている。

アクセス解析ツールを提供するユーザーローカルのセッションには、同社のユーザーであるライフネット生命保険でマーケティング戦略の舵取りを担う2名のキーパーソンが登壇。マーケティングに臨む際の考え方や、Webサイトを改善するためのPDCAの回し方などについて解説した。

ネットでこそ重要な“信頼”をソーシャルメディアで育む

ユーザーローカルは、アクセス解析ツール「User Insight」、ソーシャル解析ツール「Social Insight」、携帯アクセス解析ツール「うごくひと2」の開発・提供を主力事業とする企業である。セッション冒頭で、同社コーポレートセールス ディレクターの渡邊和行氏がUser Insightの特徴的な2つの機能を紹介した。

1つ目が「ヒートマップ解析」。クリックが多い場所はどこか、ページのどのあたりまで見られているか、熟読されている段落はどこかといった情報を、色で視覚化して表す機能だ。もう1つが「ユーザー属性の可視化」。企業名や学校名、年齢、男女、業界、都道府県比率、訪問頻度などを解析することで、ターゲットにマッチしたユーザーを集客できているかどうかを検証する機能である。

ヒートマップ解析

このUser InsightをWebマーケティングに積極的に活用していている企業の1社が、ライフネット生命保険だ。セッションでは渡邊氏に続き、ライフネット生命 マーケティング部 部長代行の岩田慎一氏が登壇。同社のWebマーケティングの取り組みを披露した。

ライフネット生命は、2008年に開業した戦後初の独立系生命保険会社である。いわゆる“ネット生保”の草分け的な存在であり、営業担当者を置かずにインターネット経由で生命保険を販売するという形態を取っている。

「資本も後ろ盾も何もないなかで、いかに信頼度を上げるかということが大きなテーマでした」と岩田氏。顧客と長期の契約を取り交わす生命保険において、信頼性は最重要と言える要素だ。その獲得のために同社が力を入れている施策の1つが、ソーシャルメディアの活用である。

当社は、ネット専門だからこそ“顔が見えるコミュニケーション”を大切にしています。そうした当社にとって、ソーシャルメディアは最強のコミュニケーションツールだと言えます。ソーシャルメディアは、ネットのなかでも“人肌”を感じられるコミュニケーションを可能にするツールですし、世の中に広く情報をタイムリーに拡散することができます。

こうした考えの下にライフネット生命では、社長の出口治明氏や副社長の岩瀬大輔氏がTwitterで積極的に情報発信するという方法を取った。また、ユーザーローカルのSocial Insightも活用しながらTwitter上で同社がどうつぶやかれているかをモニタリングしており、特にキャンペーンを行ったときのソーシャルの初動はすべてチェックしているという。

これらの施策の結果、契約件数も大幅に増え、「開業から5年以内に契約件数15万件という目標を、半年前倒しで達成できました」と岩田氏は語る。

サイト改善を成功に導いたPDCAを回す5つの“鉄則”

加納龍二氏
ライフネット生命保険株式会社
マーケティング部 ウェブディレクター
加納 龍二 氏

岩田氏の次に登壇したのは、ライフネット生命 マーケティング部 ウェブディレクターの加納龍二氏。ライフネット生命唯一の店舗と言えるWebサイトの運用管理や効果検証などを担当する同氏は、サイトの改善に際して5つの鉄則に基づいてPDCAを回していると語った。以下、その5つの鉄則を見ていこう。

鉄則1:取りかかりの「企画」で足踏みしない意思決定

企画段階では、「多くのインプットを基に多角的かつ具体的な仮説を立てることが重要」だと加納氏。例えば、サイトのログデータに加え、ソーシャルメディアやコンタクトセンター、アンケートなどからも顧客の声を集める。User Insightのヒートマップも、そうしたインプットの1つとして役立つ。「インプットが多ければ、仮説の確度が高まり、周囲の納得を得られて早く実行へと移せます」(加納氏)。

ヒートマップについて加納氏は、「仮説を立てるための勘どころを直感的につかめるツール」だと評価する。具体的には下記のようなステップで活用し、仮説の信頼性、アイデアの生産性を上げていくそうだ。

  1. ヒートマップでアクセスが多い画面をチェック→大まかな勘どころをつかむ

  2. アクセス解析で深堀分析→定めた勘どころからさらに確証をつかむ

  3. 上記を踏まえて行動調査を実施→具体的な課題と対応策を見つける

鉄則2:とにかく早く「実行」させるためのチームビルディング

早く実行する秘訣は、検証するものと検証しないものを明確に定めておくことだという。検証が必要なのは、比較的大きな動線の変化が見込まれるものやコンバージョンに直接影響を与えるものだ。逆に、サイト上の文章の軽微な文言などの改善は、効果は検証せずに対応していく。

鉄則3:「効果検証」の引き出しを使い分ける

効果検証では、アクセス解析、ヒートマップ解析、A/Bテスト、多変量テスト、EFO、インタビュー調査、アンケートなど多様な手法を、施策によって使い分ける。ヒートマップ解析は、「ログデータでは分からない、顧客の気持ちをつかむのに有効」(加納氏)

鉄則4:「改善」後、頭に立ち戻らずにC⇔Aの「高速」振り子

PDCAを回していくなかで、「A」が終点になってしまうのはよくあるケースだ。同社の場合は、「A」から「P」に戻るのではなくて、「A」から「C」、「C」から「A」と、振り子運動のような流れを意識している。「施策の効果があまり見られなかった場合でもC⇔Aを繰り返し、少しでも成果を伸ばすようにしています」(加納氏)

鉄則5:全社横断的な「カイゼンフィロソフィー」の浸透

「サイトの改善には、いろいろな立場の人の協力が必要です」と加納氏。会社全体が一丸とならなければ、PDCAのサイクルをうまく回すことはできない。積極的に社内に働きかけて、意識形成を図っていくことが大切だ。

また、加納氏は、サイト改善を成功させる心構えをPDCAという言葉をもじって次のように語った。

「P=プロフェッショナルは」「D=どうでもいいことに時間を浪費せず」「C=力を入れる場所を的確に判断できるから」「A=新しいことにチャレンジできる」。ここで一番難しいのは「C」、つまり「力を入れる場所を的確に判断する」ことだと思います。やるべきことは山積みでしょうが、何をするのが一番効果的なのかを見極め、そこに注力していくことが重要ではないかと思います。

問い合わせ先

株式会社ユーザーローカル
Mail:support1@userlocal.jp
URL:http://www.userlocal.jp/

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