【レポート】Web担当者Forumミーティング 2024 春

森永製菓が実践するSNSとWEBデータの活用、評価と改善につなげる3つのポイントとは

SNS、WEBサイトを積極的に活用する森永製菓。Web解析ツールを駆使したデータ活用、改善への取り組みを3つの事例を中心に解説する。
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Webサイト運営において、データの分析や活用は必須だが、適切な分析を行い、次の成果につなげることは容易ではない。いかに適切かつ精度の高い分析を行うか――。多くの人気商品やブランドを持つ森永製菓では、ユーザーローカルが提供するWeb解析ツール「User Insight」、SNS分析・運用ツール「Social Insight」を使って、その課題にトライしている。

Web担当者Forum ミーティング 2024 春」にユーザーローカルの相澤輝和氏と森永製菓の二宗瑞季氏が登壇。データ分析の手法や評価と改善につなげるポイントを、3つの事例を中心に解説した。

(左)株式会社ユーザーローカル コーポレートセールス カスタマーサクセス 相澤輝和氏(右)森永製菓株式会社 マーケティング本部 広告部 二宗瑞季氏
(左)株式会社ユーザーローカル コーポレートセールス カスタマーサクセス 相澤輝和氏
(右)森永製菓株式会社 マーケティング本部 広告部 二宗瑞季氏

森永製菓が活用するSNS分析・運用/Web解析ツール

森永製菓で活用しているのが、ユーザーローカルが提供するSNS分析・運用ツール「Social Insight」、Web解析ツール「User Insight」だ。Social Insightは、キーワード監視機能により、設定したキーワードに関する投稿の収集・分析やユーザー発信コンテンツ(UGC)の取得、キャンペーン分析やリスク管理などが可能。

User Insightでは、ユーザーの属性やデバイス、検索広告の分析のほか、ウェブページ上のどの部分が多く閲覧されているかを視覚的に示すヒートマップを提供している。これはサーモグラフィー表示となっており、赤〜青の濃淡で状況が一目でわかるため、初心者でも直感的に理解しやすい機能だ。

これらのツールを使って二宗氏が担当しているのが、「モリナガ・サステナブル」「おうちでたのしくすこやかに」という子ども向けのWebサイト。来訪者に楽しんでもらえるコンテンツ作りからアクセス促進まで幅広く担当している。そのほか、チームとしては森永製菓公式サイト全体をみているという。

二宗氏が担当しているWebサイト
二宗氏が担当しているWebサイト

SNSのデータ活用・課題と疑問①
社内でのSNSの成果報告方法は?

最初に解説されたのは、社内でのSNSの成果報告方法についてだ。

やはりSNSは専門的な業務。効果を会社や担当部門外の方に説明しようと思ったときにどうしても理解されづらいという悩みがありました(二宗氏)

この課題に対し、二宗氏が取り組んだのは、SNSでの評価を広告費として換算する方法だ。

過去の広告をもとに「単価」を算出し、実際の投稿の反応数と掛け合わせ、広告出稿だった場合ならいくらかかったかを算出する。オーガニック投稿における各指標を広告費に換算することで、「この広告を出したのと同じ効果があった」と説明ができる。

その結果、担当部門外にも、SNSでの発信効果について理解してもらいやすくなりました(二宗氏)

SNSでの評価を広告費として換算する方法で、成果を理解してもらいやすくなった
SNSでの評価を広告費として換算する方法で、成果を理解してもらいやすくなった

相澤氏から単価の参考値を聞かれた二宗氏は、あくまで森永製菓の場合としながら、1impにつき0.3円、フォロワーの獲得単価は200円と説明。相澤氏によると、この数字は業界やメディアの特性によって異なるそうで、「1impにつき0.4円、フォロワーの獲得単価は300円が多い」と話していた。

日々の運用の中では、Social Insightを活用して、手作業では時間がかかる作業を効率化。普段から反応数のデータを確認していると二宗氏。広告費換算やキャンペーンの分析にも使っているという。

多くの人は、SNS専任ではなく他の業務との兼任となっているため、効率化が必要です。Social Insightでは複数SNSの数値を確認することができます(相澤氏)

たとえば、PRキャンペーン分析の際には、どれくらい反応があり、どれくらいフォロワーが増え、どのような層に拡散していったかも、Social Insightを通して確認しているという。

あるキャンペーンでは 普段と違う属性に拡散できたことがわかりました。成果として社内に報告したり、次のキャンペーンの参考にしたりしています(二宗氏)

キャンペーンの分析・効果検証にもSocial Insightを使用している
キャンペーンの分析・効果検証にもSocial Insightを使用している

SNSのデータ活用・課題と疑問②
SNSは売り上げにつながるのか?

次の議題は「SNSは売り上げにつながるのか?」。この問いに対し、二宗氏は「つながると考えて運用している」と話す。具体的な事例として、名作童話などを声優の朗読で聞けるという森永ビスケットのキャンペーンを紹介した。

商品の二次元コードからのアクセスがメインだが、Webサイト上には声優や朗読する作品の紹介のほか、声優による商品の成分表示を読み上げるというコンテンツを用意。Xへのシェアボタンも設置した。

Xで話題になった声優による商品の成分表示を読み上げるコンテンツ
Xで話題になった声優による商品の成分表示を読み上げるコンテンツ

常々Social Insightで発話量を調べている二宗氏だが、あるユーザーの投稿で成分表示の朗読がバズを起こし、多くの人がポストしていることがわかったという。さらに、同時期のサイトへのアクセス数も増加していた。流入元の7割以上はXだったため、コンテンツの話題をきっかけにサイトへ誘導できていたことが判明したという。さらに、話題の内容について調べたところ、サイトに設置したシェアボタンを活用して投稿している人が多いこともわかった。

加えて、このときの状況をUser Insightで見ると、ヒートマップで成分表示の部分が熟読、クリックされていたという。

このことから、Xユーザーと成分表示の朗読の相性がよいと判断した二宗氏は、最終的に森永製菓のXアカウントからコンテンツ紹介も行った。

再度コンテンツが話題となり、森永ビスケットの購入につながったことがわかるコメントもありました。実際に売り上げの向上も見られ、純粋想起を高めることができたと考えております(二宗氏)

ほかにもinゼリーブドウ糖味のケースでは、受験生を中心にバズがおこり、売り上げが向上した事例もあるという。このケースからもSNSの発信は売り上げにつながると二宗氏は考えている。

相澤氏は、これらの事例を受け「話題に気づくことが大事です。ポイントを把握し、発信に活かして、売り上げまでつなげています。分析と行動の結果で素晴らしい」とコメントしていた。

SNSのデータ活用・課題と疑問③
社外向けのSNSデータ活用例は?

3つ目に紹介されたのは、こういったSNSデータを社外に対して活用する方法についてだ。二宗氏は「得意先への提案でもSNSデータを活用している」と話す。

たとえば、森永製菓のラムネは、ブドウ糖配合で集中できるという評判が口コミで広がり、勉強などに集中したい場面で活用されている。ここから考えたのが、試験に絡めたプロモーションだ。テスト期間について、ポストが行われている時期や発言されているキーワードをSocial Insightで割り出し、その時期に合わせるようにすることで、提案する際の根拠を示すことができたという。

得意先への提案でもSNSデータを活用できる
得意先への提案でもSNSデータを活用できる

得意先に提案する際は、企業目線になりがちですが、SNSでお客様の生の声や具体的なデータを加えることで、顧客面のデータをもとに提案できるのです。営業活動においても使うことができるので、他部署連携でも活用していきたいと考えています(二宗氏)

アクセス解析のデータを活用したWebサイトの改修事例

これまで解析ツールを導入しても難易度が高く活用できていなかったという二宗氏。今回のデータ活用についても、ツールがあれば活用できるわけではないと話す。

ジョブローテによって、部署にデジタルツールに詳しい方がいないというのはよくある話です(相澤氏)

そこで二宗氏は、森永製菓内の各ブランド担当にも使ってもらえるように、簡単でわかりやすいツールを求めた結果、User InsightとSocial Insightに行き着いたという。

特に重視したのは、データの可視化だ。ただ数値を示されても、何を改善すればよいか判断できないことはよくある。そこで「ひと目でパッと状況がわかるヒートマップを導入したいと考えました」と二宗氏。管理画面の使いやすさやカスタマイズできるかどうかも選定のポイントで、さらに不明点を解消できる充実したサポートも重視した。

トップページの改善の際は、ヒートマップを活用した。

サイト訪問者の滞在時間や熟読エリアなどがひと目で状況がわかるヒートマップは改善ポイントがつかみやすい
サイト訪問者の滞在時間や熟読エリアなどがひと目で状況がわかるヒートマップは改善ポイントがつかみやすい

このケースでは、さまざまなコンテンツを用意した長いページで、スクロール中間の位置で離脱が起きていることがわかった。そこで、人気コンテンツを上部に集約。下部に配置したコンテンツもスクロールしなくてもみることができるよう上部にリンクを貼るなどの工夫を行った結果、回遊率が改善されたという。

また、キャンペーンで応募状況がよくないというケースでは、ヒートマップを確認した結果、応募ボタンの前に離脱していることが判明した。しかし同時期に行っていた別のキャンペーンでは応募まで到達していたため、両サイトを比較した結果、応募ボタンの位置が異なっていることがわかったという。応募ボタンの位置を変更することで、応募率を改善できた。

複数のページを比較することで、より改善点を明確にできる
複数のページを比較することで、より改善点を明確にできる

訪問するユーザー層が近いサイトがあると、このような場合に参考になりますし、比較することでより適したサイト構成に改善できます(二宗氏)

社内でデータの活用を浸透させる「活用事例の発信」と「専門用語に対するケア」

1つの部署でデータを活用していても、社内全体に浸透させることは簡単ではない。二宗氏は、具体的な事例を発信・共有してメリットを感じてもらっているという。また、専門用語に対しては、ツール側でわかりやすい説明を表示する機能にありがたさを感じているという。

その結果、社内に「ヒートマップを活用しよう」という認識が広がっていると二宗氏。ツールを見る担当者が増えたと感じているという。

今後について二宗氏は、SNSとWebサイトの両軸でうまく連携しながら盛り上げていきたいと話す。

SNSについては、お客様自身に情報を発信してもらうことをめざし、お客様に共有したくなるような魅力的な情報発信を心がけます。Webサイトについては、ヒートマップなどのデータを活用し、わかりやすいサイトを作ることに加え、SNSと連携してサイトの存在を広く知ってもらうことが重要と考えています(二宗氏)

相澤氏は「大事なことは、しっかりと分析をして、それをもとに実行し、また振り返りをすること」と振り返る。「データを活用することで、見えてくるものはあると思います。ぜひデータを活かして、戦略的に取り組んでいただきたいと思います」と呼びかけ、セッションを締めくくった。

用語集
SNS / UGC / アクセス解析 / キャンペーン / クロール / サステナブル / セッション / リンク / 訪問 / 訪問者
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