【予想5】
過剰なまでに積極的な検索広告が、
グーグルに対する大きな反感につながる
検索広告業界では現在、ちょっとおかしな事が起きている。その事例を見ていこう。
僕の(かなり高解像度の)ノートPCでも、オーガニック検索の結果はたった1件しか表示されておらず、検索連動型広告の表示スペースが異様に大きい。星印による評価、売り手についてのレビュー、価格と個々の商品、写真、注目のブランドなど、あれやこれやでページが埋めつくされている。
また、次の例も見てほしい。
グーグル検索では今も、オーガニックなリスティングの上部に、フルサイズの広告を3つまで表示できる枠がある。そのため、クレジットや金融分野でグーグルが提供している「比較広告」は、オーガニックな検索結果をさらに下へ追いやってしまう。
特に大胆なものを1つ紹介しよう。
上のスクリーンショットで示したように、ログインしているユーザーのメールアドレスを自動的にペイパークリック(PPC)広告に挿入するという、グーグルの新しい機能だろう。これはまだあまり見かけないが、もっと大々的に展開されたとしても意外ではない。
僕の予想では、2012年は「検索連動型広告の無視」について研究や報告が行われ、検索エンジンの最終損益に影響を与える始まりの年になるだろう。オーガニックな検索結果は、依然として全クリックの80%以上を獲得しているが、期待される収益を出し続けようとしてグーグルが検索連動型広告に力を入れることで、この割合は下がり続けている。
【予想6】
キーワード情報を取得できない「(not provided)」の検索が
全体の25%を超える
グーグルの声明では、(SSL検索で)キーワード情報が取得できないユーザーの割合は10%未満に留まるとされている。だが、グーグルアカウントにログインしている(そのためキーワード情報が取得できない)検索利用者からのトラフィックは、2012年12月までに全体の25%に達すると僕は予想する。グーグルは、Android、Google+、Google AppsそしてGmailの普及に力を注いでおり、そのどれもが、キーワード情報を取得できない検索利用者の割合の増加につながるだろう。
僕はこのプログラムが中止になることを願っている(プライバシーのリスクは明らかに皆無だ。だって有料広告主にはデータを提供しているんだから)。しかし、グーグルは圧倒的な力を持っているし、対するマーケティング市場の顧客たちは、グーグルよりはるかにまともだが、メディアの中でそれほどうまく立ち回れそうにない。
グーグルはこの件でうまい駆け引きを見せたので、僕らとしては、邪悪な方向には向かわないとグーグルが決断してくれることを願うばかりだ。残念ながら、最近のグーグルは僕らの願いと反対の方向へ進んでいるのだが。
【予想7】
厳格な認定プログラムが躍進する
検索マーケティングやインバウン・ドマーケティングの業界は、才能のある若者が成熟した専門家になるための支援プログラムを渇望している。今のところ、SEMPO、Market Motive、(HubSpotによる)Inbound Marketing University、Search Engine Collegeなどさまざまな組織がこうしたサービスを提供しているが、この業界の人事担当者や企業から広く認められるほどの規模を持つものはまだない。
「厳格な認定プログラムの躍進」が意味するところを数値で表すことは難しい。そこで僕は、5000人以上のLinkedInユーザーを擁する業界の認定プログラムが、年末までに少なくとも1つは現れるだろうと言っておく(現在、Market Motiveが1700名近いユーザーを擁して首位にある)。
【予想8】
Google+を使わずに優れたSEOを実施することが極めて困難になる
グーグルは、検索結果にGoogle+ブランドのページを追加することをまさに始めたところだ。また、「rel=author」タグではグーグルのアカウントに登録されたプロフィールを利用している。そして、Google+のサークルや+1ボタンを検索結果ページに表示するようにした。2012年には、こうしたパターンが、オーガニック検索で高い順位を目指すための努力をGoogle+のログインおよび認証システムに結びつけるグーグル全体の組織立った取り組みになるだろうと思う。これは、グーグルのソーシャルネットワークの利用を推奨したり強制したりするだけではなく、グーグルに対して、ソーシャルネットワーク、検索順位、および露出度のそれぞれのシグナルを1つに結びつける(そして恐らくスパムやごまかしに対抗することも含めた)、より強力な能力を与えることでもある。
マーケターにとってプラスの面は、ソーシャルプラットフォームとのより緊密な統合が、SEOとソーシャルメディア・マーケティングの両方をうまく管理できる人々に恩恵をもたらすということだ。また、(希望的観測だが)これによって、(完全一致のドメインやアンカーテキストを使ったリンクスパムのような)不正操作が有効性を失い、ブランドシグナルの構築を支援するホワイトハット的戦術は恩恵を受けるだろう。
一方でマイナスの面は、グーグルが多分、ユーザーのオンライン行動すべてについてより多くのデータを得ることになり、それによってグーグル自身がウェブ上で現在にも増して、行き過ぎなほど強力な力を持つようになることだ。僕らはただ、グーグルが同時により慈悲深くなってくれることを願うしかない――とはいえ、強大化はえてして堕落につながりやすいのだが。
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