初代編集長ブログ―安田英久

Twitterは広告も100%オーガニック。プロモトレンド・プロモアカウント・プロモツイートを日本で開始

Twitterが3つの新しいプロモ商品サービスを日本市場で10月3日から開始する。
Web担のなかの人

※通常は火曜日掲載の編集部ブログですが、今週は特別に月曜日公開とします。

Twitterは、3つの新しいプロモ商品サービス「プロモトレンド」「プロモアカウント」「プロモツイート」を日本市場で10月3日から開始します。

「プロモトレンド」「プロモアカウント」「プロモツイート」

これらのプロモ商品サービスは米国などではすでに提供されていたものも含まれますが、日本でもバナー以外の広告サービが正式にスタートする形となります。

100%オーガニックな広告

Twitterによると、同社が提供するプロモ商品は、「100%オーガニック」であるといいます。Twitterのいう「オーガニック」な広告サービスとは、次の3点をすべて満たしていることを意味します:

  • relevance(関連性)
  • resonance(反響、反響自体を広告としての機能にする)
  • real-time(即時性)

広告は人工的で邪魔なものだと考えられがちですが、そうではない貴重な情報としての広告もあります。たとえばテレビCMでも良い広告はそれ自体が評価されてコンテンツになるし、検索連動型広告はそのときに探している情報にマッチした価値ある情報。Twitterが目指しているのは、そうした「価値のある情報」としての広告だということ。

また、これらのプロモ商品サービスは、もちろんTwitterのミッションと同じフィロソフィーに基づいています。Twitterのミッションは「瞬く間に、世界のすべての人を、その人が最も大切だと思うことにつなげる」というもの。同社によると、Twitterは「ソーシャルメディア」ではないのだといいます。ソーシャルメディアは一般的には人と人のつながりをベースとしたサービスですが、Twitterはユーザーがそれぞれ「最も大切だと思うこと」が中心だからです。ユーザーが大切だと思うことのなかには、ニュース、仕事関連の情報、ファッションブランド、有名人、アーティスト、スポーツ、アニメなどさまざまあり、人と人とのつながりはその1つに過ぎないのだということ。

「ユーザーがそのときに最も大切だと思うこと」をベースに提供することで、価値のある100%オーガニックな広告を実現しているのが、今回日本で提供が始まる3つのプロモ商品サービス。

それぞれのサービスについて、価格などを含めて解説します。

プロモトレンド

Twitterのウェブページの右サイドバーに表示されている「トレンド」の最上部に「Promoted」アイコンとともに表示される項目。

1日1社限定で420万円(日本時間の0時~24時)。

Twitterユーザーがプロモトレンドをクリックすると、指定されたキーワードまたはハッシュタグの検索結果ページが表示され、その最上位に広告主のツイートが表示されます。この広告主のツイートと、その下に検索結果としてリアルタイムに表示されるユーザーのツイートを、併せてユーザーに見てもらうこと全体が広告として設計されています。

最上位に表示するツイートは時間予約で差し替えることも可能。

検索キーワードとしてはハッシュタグだけでなく特定のキーワードも利用できるが、Twitterでは、検索結果に含まれるツイートを明確にセグメント化できることからハッシュタグの利用を推奨しているとのこと。もちろん日本語ハッシュタグも利用可能。

国レベルで地域ターゲティング可能で、1日あたりの平均インプレッションは1200万。

米国での事例でいうと、たとえば映画「Super 8」では、2回のプロモトレンドを使ったプロモーションを行いました。まずプロモトレンドを使ってTwitterのみ告知の試写会を公開日の前日に開催し、さらに試写会後にもプロモトレンドを掲載しました。これにより、試写会の感想ツイートなどを多くの人に見てもらうことができ、公開週の興行収入が予想よりも52%増えたという成果を出しています。

プロモアカウント

プロモトレンドと同様に、Twitterのウェブページの右サイドバーに表示されている「おすすめユーザー」の最上部に「Promoted」アイコンとともに表示される項目。

コストパーフォロー(プロモアカウント経由でフォローしたユーザー1人あたりの単価)での課金となり、最低入札価格40円/フォローでのオークション形式。海外では1フォローあたり平均で1ドル~1.5ドルというのが相場とのこと。

広告主のアカウントをフォローしているユーザー層に似たフォローをしているユーザーのうち、広告主のアカウントをフォローしていないユーザーがアルゴリズムで自動的にターゲットされます。また、特定のキーワードでユーザーの興味・関心にターゲットすることも可能。

海外の事例としては、XBOXのアカウント(@xbox)があるとのこと。1年運用して自然に増えたフォロワー数が2万3000人ほどだったXBOXアカウントですが、2010年にプロモアカウントを利用したところ、4日間でフォロワー数が3万5000人に増えたという成果を出しているとのこと。

XBOXの例は有名な商材であるためフォロワー獲得数が非常に多くなりましたが、全体の参考値としては、プロモアカウント利用の広告費の平均が50万円程度で、1か月の利用で5000フォロワー獲得とのこと。

キーワードでターゲットする場合は、15個~20個のキーワードを指定し、ユーザーのフォロー先アカウントやフォロー先アカウントのツイート内容をキーワードに対してマッチさせる仕組み(ユーザー自体のツイートはキーワードマッチの対象とはしない)。

また、国レベルの地域ターゲティングも可能。

プロモツイート

上記2商品はサイドバーの項目を起点とする商材ですが、プロモツイートはツイート領域を起点とする商材。「プロモツイートinサーチ」と「プロモツイートinタイムライン」の2種類に分かれます。

プロモツイートinサーチ

ユーザーがTwitterのページで検索を行った場合に、広告主が指定したキーワードで検索したユーザーに対して、検索結果の最上部に広告主のツイートを(Promoted by)アイコンとともに表示するもの。このプロモツイートに対してユーザーは、通常のツイートと同様に「お気に入り」「リツイート」「返信」できます。

「コストパーエンゲージメント」形式の課金で、最低入札価格10円からのオークション形式(米国での実績ではエンゲージメントあたり100円弱)。国レベルで地域ターゲティング可能。

※「コストパーエンゲージメント」とは、ユーザーによる「クリック」「お気に入り」「リツイート」「返信」のアクションに対する課金。

プロモツイートinタイムライン

ユーザーの通常のタイムラインの最上部に広告主のツイートを(Promoted by)アイコンとともに表示するもの。ユーザーのログイン時とページ更新時にのみ表示されます。

タイムラインが更新されていくとプロモツイートはスクロールして下がっていくほか、同じツイートの配信は1人のユーザーに対して1日1回に制限されており、ユーザーは広告ツイートを表示しないように設定することも可能。

通常のツイートは、広告主がツイートした瞬間にタイムラインを見ていなければ他のツイートに流されてユーザーの目に触れるチャンスが減ってしまいますが、プロモツイートinタイムラインを利用すれば、確実にユーザーの目に留まることになります。この「プロモツイートinタイムライン」は米国も含めて新たに開発された広告商品。

「コストパーエンゲージメント」形式の課金で、最低入札価格10円からのオークション形式。

※「コストパーエンゲージメント」とは、ユーザーによる「クリック」「お気に入り」「リツイート」「返信」のアクションに対する課金。

現在は広告主のアカウントをフォローしているユーザーに対してのみ表示される仕様ですが、今後、それらのユーザー層に似た興味・関心をもつが広告主をフォローしていないユーザーにも表示できるようにしていく予定とのこと。また、国レベルで地域ターゲティング可能。

◇◇◇

新しい3つのプロモ商品は、TwitterのPC向けWebページ(twitter.com)のほか、日本のケータイ向けtwitter.jpのWebページでも対応しています(ただしプロモツイートinタイムラインだけはPC向けウェブのみ対応)。

アプリではTwitter公式アプリ(iPhone/Android)が対応するほか、サードパーティのアプリではHootSuiteが対応(先だってTwitterに買収されたTweetDeckは未対応)。

アプリでの対応が弱いように思われますが、Twitterによるとこれらのプラットフォームでユーザーの8割以上にリーチできるとのこと。

また、新しい広告商品の取り扱いは、まずは一部の限定された広告代理店を通じて提供を始めるということです。

日本はTwitterにとって世界で2番目に重要な市場

Twitterの現状をデータでみると、グローバルで

  • 2億3000万アカウント
  • アクティブユーザー数が月間1億を超えた。
  • 1億アクティブユーザーのうち、ツイートしているのは40%
  • 60%は見ているだけだが、この層も広告としては大切なセグメント

という状況。

同社によると、Twitter利用の盛んな国を5か国挙げると、「米国」「英国」「日本」「インドネシア」「ブラジル」(順番はときにより入れ替わりあり)で、日本はそのうちでも非常に重要な市場なのだということ。

日本ではアクティブユーザーのうちツイートしている層は50%(グローバル平均では40%)と高く、1秒間あたりのツイート数の上位に日本が多く入っています(なでしこジャパンの優勝時や、新年のあけましておめでとうツイートなど)。また、ハッシュタグの大喜利的な使い方や、震災をきっかけとしたライフライン的な利用なども、日本から出てきたものだということ(2011年9月時点で政府・自治体で220アカウント超あるのも特徴)。

そのため、同社ではすでに日本独自のサポートや日本語版向けのエンジニアを置いているほか、日本法人(Twitter Japan株式会社)を2010年に登記し、2011年から活動を本格化しています。米国本社以外でTwitterが海外法人を作ったのは、日本が初めてなのだということから、同社の日本に対する熱意が見えます(現在は英国にも現地法人がある)。

本格的に活動し始め、2011年9月時点で十数名が在籍している日本法人ですが、まずはインターフェイスの日本語を自然なものにすることで、Twitter.comを英語版で使う場合と同質の体験ができるようにしているとのこと。

今後は、日本ならではの先進的な使い方や、日本の技術(たとえばモバイルの支払いシステムなど)を世界に広げられるように、日本にプロダクト開発・事業開発・営業などの機能を揃え、日本市場に注力していく予定とのこと。

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