初代編集長ブログ―安田英久

もうアクセス解析データを見るのはやめました

なんとWeb担では夏頃からアクセス解析のデータを調べるのをやめています。
Web担のなかの人

今日は、アクセス解析の話題を。なんとWeb担では、夏頃からアクセス解析のデータを調べるのをやめています。それはなぜか、それでいいのでしょうか。

「アクセス解析のデータを調べるのをやめた」とは言うものの、実際にはまったくアクセス解析データを見ていないわけではありません。全体のトラフィックがどんな感じに推移しているのか、検索エンジンからのトラフィックは安定しているかといったデータはチェックしています。

これは、サイトの「状況やトレンド」を把握して、もし何か想定と違った動きがあれば対処するための、定点観測的・受動的なアクセス解析です。こちらは、さすがにやめるわけにはいきません。サイトの状態がまったくわからなくなってしまえばWeb担のことをだれにも説明できませんし、大きなトラフィック減少があれば原因を調べて対応しなきゃいけませんからね。

それに対して、最近やらなくなったのは、サイトの構成要素ごとのクリック率を調べたり、検索キーワードごとにトラフィックとユーザー行動の特性を調べたり、特定のコンバージョンに至る経路でユーザーがどう動いているかを調べたりといった、データを掘り下げることです。

こちらは、ユーザー行動をしっかりと調べ、サイトの問題点を見つけて改善し、良い点を伸ばすための、能動的なアクセス解析ですね。

なぜWeb担では、「改善のための能動的なアクセス解析」をやめたのでしょうか?

それは、取材や記事の編集やなんやで忙しいからです。能動的なアクセス解析でデータを深掘りしたとしても、その結果をサイトに反映する工数を割けないんです。データを分析してもその結果を活用してサイトを改善できないのならば、分析にかける時間の意味がないですよね。そんな無駄なことをする時間があったら、企画や取材や記事の編集に時間をあてたいですよね。だからやめてしまったのです。

我々は「アクセス解析をする」とひとことに言いますが、実際のところその範囲は幅広く、「何を達成するために何を解析してどうするのか」はさまざまです。ざっと挙げただけでも、

  • サイトの状態を把握するため(上司や関係者に説明するための把握)
  • 良いデータを抽出してメンバーのモチベーション向上や予算獲得に使うため
  • 想定外のトラフィック減少が起きていたらその原因を把握して改善するため
  • 想定外のトラフィック増加が起きていたらその原因を把握して活用するため
  • 何か新しいコンテンツや施策を設計する前にユーザーの特性を把握するため
  • 何か新しいコンテンツや施策をしたときにその効果を把握して調整するため
  • 特定のコンバージョンへのユーザー行動の障害を見つけてそれを取り除くため
  • コンバージョンを促進しやすい要因を見つけてそれを強化するため
  • 広告出稿先ごとにユーザー行動を把握して広告費配分を最適化するため
  • サイト上でのユーザー行動からユーザーをより深く知るため

などなど、たくさんあります。企業サイトのアクセス解析で大切なのは、そのなかで、サイトの成果を引き出し、ビジネスを進めるのに重要なことを行うことです。アクセス解析データなんて、詳しく分析し始めたらキリがありません。そもそも、Web担当者はそうでなくても(アクセス解析以外にも)することが多いので、やらなきゃいけないことの優先度を付けて進めるのが大切なのです。

同じようなことを、「月商数百万円規模のECサイトがアクセス解析を使わなくても良い理由」という記事で、SEM-LABOの阿部さんが書いていて、Web担でも木曜コラムでおなじみの衣袋さんの「解析ROI」という言葉を紹介していますので、ぜひ読んでみてください。

Webサイト運営においてアクセス解析は重要です。それは間違いありません。でも、うちの編集部は、「Web担当者Forum」というサイトを安定運営して読者さんに良質の情報を届け続けつつ、広告クライアントさんとコミュニケーションし、企画やイベントなどさまざまな手段で収益を上げていかなきゃいけません。ですから忙しい時期には、アクセス解析に割く工数を他のタスクに振り分けなきゃいけない場合もあるのです。それが、「アクセス解析のデータを調べるのをやめた」ということなのです。

「アクセス解析」といっても前述のようにいろいろありますが、「いまは忙しいから」、その一部について一時的に優先度を下げたということですね。だから、最低限チェックしなきゃいけないデータは確認していますし、状況が変わって工数に余裕ができてきたら、データを掘り下げて改善につなげるアクセス解析を復活させますよ。

あ、ちなみに、掘り下げるアクセス解析はほとんどできなくなっていますが、どんなコンテンツが受けているのかに関しては、記事ごとやカテゴリごとで把握できる仕組みを作ってチェックしています。読者さんに求められるコンテンツを作るのは編集部の本分ですから、どれだけ忙しくてもウォッチしなきゃいけないですからね。その優先度は落とせません。

さて、あなたのサイトでも、ルーチンワーク的にやっているアクセス解析レポートもあるでしょう。いろいろなデータを解析ツールで眺めていることでしょう。でも、仕事が多くて忙しすぎるなら、ちょっとタスクの優先度を見直してみるといいかもしれませんね。

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