インタビュー

ソーシャルで重要なのは「だれが」よりも「メッセージが本物であること」/オバマ大統領選でデジタル戦略を率いたマイケル・スレイビー氏

大統領選でオバマ氏のCTOとしてデジタル戦略を担当してソーシャルルメディア活用をリードしたマイケル・スレイビー氏

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Michael Slaby
マイケル・スレイビー氏
Michael Slaby, Executive Vice President & Global Practice Chair Edelman Digital (Former Technology and New Media Advisor to the White House & Chief Technology Officer for "Obama for America")

先の大統領選でオバマ氏のCTOとしてデジタル戦略を担当してソーシャルルメディア活用をリードし、その後ホワイトハウスのニューメディアアドバイザーを務めたマイケル・スレイビー氏(Michael Slaby)。

大学では英文学と生化学を専攻し、ベンチャーキャピタルでのチーフテクノロジーストラテジストとしての経歴もあるスレイビー氏は現在、PR/コミュニケーション企業であるエデルマンのデジタル部門エデルマン・デジタルのグローバルチェアを務めています。

今回、初来日したスレイビー氏に、彼の経験をエデルマンでどう活用しているのか、そして企業ではどう活用できるかについて、話を聞きました。

ソーシャル対応チームで重要なのは
「いつ自分で判断し、いつ上の判断を仰ぐか」

●大統領選での「Obama for America」と呼ばれる大規模なキャンペーン。これはマスメディアとデジタルを駆使して展開された大規模なものでした。キャンペーンが大きな成功を収めることができた理由は何だったのでしょうか?

スレイビー氏: 大統領選では、キャンペーンのすべての活動がデジタルと密接に統合されていることが重要でしたから、キャンペーンのキーワードとして“3つのM”を設定していました。Money(資金)、Message(メッセージ)、Mobilization(動員)です。デジタル戦略が力を発揮するためには、デジタルだけの狭い範囲ではなく、リアルなコミュニケーション、現場の作業、そして資金面も含めてすべての力を統合することが必要だったのです。

●今回の大統領選挙は事実上初めてのインターネット選挙でした。そこではどのような体制で、またどういう判断で予算を投下していったのでしょうか?

スレイビー氏: 大統領選における私たちのチームは、デジタル部門という名前ではなく、「ニューメディア部門」という名前でした。立ち位置としては、旧来のメディア部門と対等な関係だったのです。つまり、メディア部門に従属するのではなく、キャンペーンの総責任者に直接レポートする立場にあったのです。そのため、多くの権限がわたしたちに与えられていました。

リソースを得る上では、実際に資金を調達できたことが重要でした。スタート当初は、新しい部門だったので、リソースもありませんでした。しかし、実際に資金を集めたり、動員に成功したりして、人々が参加していくことを実証していくことによって、リソースが集まってくるようになりました。

●選挙戦では、あらゆるソーシャルメディアサービスを活用していました。これらのツール利用の背景と、期待した成果について教えてください。

スレイビー氏: ちょうどYouTubeもTwitterも始まったばかりでしたから、幸運だったと言えます。キャンペーンで重要なコンセプトとして、できるだけ多くの草の根運動に参加(involve)することがありました。ソーシャルメディアは、それらの機会を提供し、過去に類をみないほど大勢の参加を実現しました。キャンペーンのスタート当初は、ほんとうにうまくいくかはわかりませんでしたが、できるだけ多くの人の関与が重要であると認識していたので、参加する人の後押し(empower)をすることがテクニカルサイドとして重要であったと考えていました。

●新しいチャレンジだったので、リスクも大きかったのではないですか? リスクへの対策、情報を出すのも早いし、リアクションも早かったと思います。どのような体制でそれらを実現したのでしょうか?

スレイビー氏: 戦略の総責任者として動いていたのが、いまもホワイトハウスで活躍しているデビッド・アクセルロッドでした。良い意思決定するためには、現場レベルのオペレーターやコミュニティマネージャーが、どこまで自分で判断して、いつどのような場合にエスカレーションするかがポイントになります。

そのためには、キャンペーンでは価値観を徹底的に理解し、共有することが重要でした。共通の価値観、ストーリーの一貫性をベースにした枠組みによって、私達は非常にすばやい対応が可能になったのです。

※ここでは、自分より上の責任者に情報を上げて判断を仰ぐことを意味する。

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