広告効果測定をまだCTRだけでやってるなんてバカじゃない?
あなたのサイトでは、出稿したネット広告の効果測定をどの指標で行っているだろうか? PPC広告ならばともかく、バナー広告の効果測定でCTR(クリック率)だけを見ているのならば、考え方を改めなければいけないかもしれない。
近い将来、バナー広告に関しては「まだCTRしか見てないの? あんたバカじゃない?」と言われるような時代が来るかもしれないのだ。
アドバタイジングエイジによると、米コムスコアとスターコムが発表したデータでは、2009年3月の調査では、バナー広告をクリックする人は米国ネットユーザーの16%。2007年7月の調査では32%だったので、2年弱で半分になっている。
主要クリック層をみると、全体の8%のユーザーがクリックの85%を生み出しているという。2008年の調査では16%のユーザーが8割のクリックを生み出していたので、さらにその半分に凝縮された形だ。
ここまで聞いて「やっぱりバナー広告はダメだな」と思ったあなた、それは大きな間違い。記事はさらに続く。
広告主によると、クリック数が伸びなくても、バナー広告はブランドサイト訪問やブランドキーワードでの検索を「大きく引き上げる」というのだ。たとえば、バナー広告に接触した人が1週間以内に広告主のサイトを訪れる率は、広告に接触していない人に比べて65%も高く、その率は4週間後でも45%も高いままだということだ。
つまり、やはりバナー広告は「見てもらう」ものであり、その機能は十分に果たしているので、クリック率とは異なる指標を併せて測定するべきなのだ。たとえば、
- 商品ブランドサイトの訪問者数が非出稿時に比べてどれくらい増えたか
- 訪問者の平均閲覧時間がどう変わったか
などが考えられるだろう。
記事でも、クリックは確かにわかりやすい指標だし、無視するべきだとは言わないと述べられている。ただ、クリック率だけしか見ないのならば、何の役にもたたない。消費者はネット広告だけでなく、既存マスメディアや屋外広告、イベントなどさまざまな接触点でブランドメッセージに触れているので、そうしたものと併せて、ブランディングがどう変わったかを測る指標を取り入れるべきなのだ。
ブランディングではなくもっと直接的な成果を目的としたバナー広告ならば、
- バナー広告の出稿と検索からの誘導を組み合わせて測定する
- サイト内のコンバージョンに至るチェックポイントの通過率の変化を調べる
- もっと直接的にオフラインを含めた売上の変化との相関を調べる
などのようにするといいだろう。
先週末に開催されたイベント「Web担当者Forumミーティング WAIS JAPAN」でも、ホンダの渡辺氏が基調講演で「TVCMの効果を知りたいならば、視聴率なんて見なくてもいい。Webサイトへのアクセスの推移がもっとリアルに見えるから」といったことを話されていた。視聴率が絶対だといわれていたTVCMでも、Webの出現によって、異なる効果測定がされるようになっているのだ。
刈り取り目的が中心だといわれるキーワード広告でも、グーグルはコンテンツ連動型広告で、表示されたがクリックされなかった広告接触ユーザーのコンバージョンを「ビュースルー コンバージョン」として測定できるようにしている。
クリック率は指標の1つとして大切だが、そこだけを見ていては広告効果を正しく測ることはできない。大切なのは、「このデータがとれるから見る」「こんなことができるからやる」ではない。広告やサイトそれぞれのアクションについて、「何を達成したいからこれをやっているのか、それが達成できているかどうかを調べるにはどのデータを見ればいいのか」という考えを常にもつことではないだろうか。
・Online Measurement: 16% of the Web Clicking Display Ads - Advertising Age
→ http://adage.com/digital/article?article_id=139367
・Google AdSenseのビュースルー コンバージョン
→ http://adwords.google.com/support/aw/bin/answer.py?hl=jp&answer=160784
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