ファミリー製薬コーポレートサイトリニューアル
コラムRFPの詳細
良い提案依頼書の書き方のポイント
まず、RFPの一例を紹介しよう。
ファミリー製薬コーポレートサイトリニューアル
株式会社ファミリー製薬
ウェブマネジメント課
2009/XX/XX
- プロジェクト名称
ファミリー製薬コーポレートサイト・リニューアルプロジェクト
- プロジェクト概要
ファミリー製薬のブランディングガイドラインに基づいたデザインリニューアル
膨大な商品をわかりやすく整理再構成し、統一されたデザインでユーザーの導線を確保する
同時にCMSの導入で社内運用負荷の軽減を図る - プロジェクトの目標/ゴール
■目標
正確な情報配信:情報の内容や形式を統一する、すべての製品情報を正確に伝える
デザインの統一:総合トップから4クリック以内で商品情報に到達できるようにする
運用負荷軽減:製品情報を各事業部担当者にて更新できるようにする■ゴール
お問い合わせセンターへの電話件数の減少
- サイト定義
■メインユーザー
一般消費者(20~40代、とくに未就学児を子供に持つ母親)
小売店
医療関係者■競合
○○製薬
△×製薬 - 受託責任範囲(発注範囲)
■成果物
企画書
プロジェクトマネジメント計画書
テンプレート設計書
テスト報告書
CMSテンプレート一式
中間成果物(デザインデータ、htmlデータ)
登録コンテンツデータ一式■成果物の内容
企画書:リニューアルプロジェクト概要を満たすコンテンツ案を提出してください
デザイン:ユニバーサルデザインを考慮してください
HTMLコーディング:「ファミリー製薬ウェブサイトガイドライン」の規定に準拠してください
検証:一般公開されているチェックツールを使用し、クリアしてください
社外公開サイトで正しく表示できることを保証してください■留意点
ドメインは弊社(www.example.co.jp)内とします
納品後のサーバー管理は弊社システム課が行います
サイト内で使用する画像については、できる限り支給いたします
公開後も各部署での運用がしやすい作りとしてください - ウェブサイトのスコープ
■対象国
日本のみ。外国語サイトは対象外
■言語
日本語。ただし、表現は薬事法に準拠すること
- 前提条件
■公開日
2010年5月上旬(できればGW前に)
- 品質要件
ファミリー製薬ウェブサイトガイドラインに準拠してください
社外公開サイトで正しく表示できることを保証してください
高齢者・障がい者に配慮したアクセシビリティ「JIS X8341-3」の必須要件を満たしてください
Flashを使用する際は、音声読み上げとキー操作に対応してください - 技術要件
<クライアント環境>
■HTML
XHTML 1.0 Strict
■サポートブラウザ
IE6 / IE7
Firefox2 / Firefox3
Safari■対象OS
Windows 2000/XP/Windows Vista(JIS2004を考慮してください)
Mac OS X■音声読み上げ検証ツール
PC-Talker
■プラグイン
契約時の最新版のバージョンを使用してください
<Webサーバー環境>
■サーバーOS
Windows 2003 Server
IIS 6.0■サーバースペック
CPU Xeon 3.2GHz
物理メモリ 2,096,336KB
DISK C:合計 10,220MB、D:合計 30,618MB - マスタスケジュール
■提案書提出時期
オリエンテーション後2週間以内
このサンプルは、わかりやすさを優先して簡略化した内容になっているが、実際にはこれよりも詳細なものになる場合が多い。もちろん、極めてシンプルなRFPであっても、それがまったくない場合とでは雲泥の差がある。
以下、RFP作成上の主な注意点を挙げてみたい。
目的を明確にし、「ほしい機能」や「満たすべき条件」の羅列にしない
RPF作成で大切なのが目的を明確にすることだ。ほしい機能や満たすべき条件は、目的が明確になれば自ずと決まってくる。次に、決めておきたいのが「プロジェクト名称」「プロジェクト概要」「目標」の3つだ。当たり前に思うかもしれないが、これらを決めることで目指すべきところを共有して意思疎通をスムーズにできるし、頭の中を整理することもできる。
制作会社は多くの場合、情報が羅列されただけのRFPを嫌がる。そのようなRFPは、プロジェクトの質の担保とならないからである。逆に、どうしても実績がほしい制作会社は、RFPの内容にこだわらずに仕事を受注するケースが多い。目的や課題に適した制作会社を選ぶには、目的や課題がしっかり整理されたRFPをつくる必要がある。
とはいえ、必ずサンプルRFPにある項目すべてを発注側が決める必要はない。技術に詳しい担当者がいない企業では、技術要件などの定義が難しいこともあるだろう。その道のプロである制作会社に相談しながら作る方がうまくいく場合もあるので、目的が明確になった段階で制作会社に相談してみるのもいいだろう。
コスト、品質、スケジュールのバランスを考える
品質の高いウェブサイトを短期間でつくろうとすれば、それだけコストは高くなる。逆に低コストで仕上げようと思えば、品質を下げたり、スケジュールを柔軟にしたりする必要がある。RFPを作成していたとしても、プロジェクトの途中でどうしても変更が必要になる場合もあるが、そのときは、「コスト」「品質」「スケジュール」3つのバランスを考え、どれを優先するか再検討することだ。
なお、CMS導入の際には、最初にスケジュールを設定したうえで、コスト、品質という順に決めていくことを勧めたい。CMS導入のプロジェクトは規模が大きく、通常のリニューアル作業よりも多くのスタッフが関わることになる。また、人員のフォーメーションはスケジュールが決まらないとつくれない。スケジュールが確定して人員が決まれば、コストも確定するので品質もおのずと決まることになる。
社内各部署からのヒアリング内容をそのままRFPに載せない
各部署の要望はしばしば多岐にわたり、その内容は相互に矛盾したり、対立したりするものである。一方の要望を満たせば他方の要望を実現するのが難しくなるというケースも多い。そういった内容をそのまま記載すれば、矛盾に満ちたRFPができあがることになる。
現状のウェブサイトのページボリュームを把握しておく
サイトリニューアルの際には「コンテンツ移行」という作業が発生する。どの程度のコンテンツを新サイトに移行するかによって、制作費は大きく変わってくる。
依頼前に制作会社の「過去の実績」を参照する
多くの制作会社は、ウェブサイトで過去の実績を公開している。発注側と受注側の認識に差がある状態で仕事を進めても良い結果にはつながらないので、提案依頼前に過去にどのようなプロジェクトに関わり、そこでどのような役割を果たしたか、実績を確認しておこう。CMS導入であれば、過去のCMS案件についても確認する。RFP作成時、あるいは作成後に制作会社からいくつかの書類を出してもらうことになるが、その中にも、必ずその会社の過去の実績がわかるものを含めておきたい。
ソーシャルもやってます!