吉祥寺 vs ファミリー製薬——社内コンセンサス獲得の戦い/【小説】CMS導入奮闘記#3
コラム社内調整のポイント
組織内で事前のコンセンサスをつくることは、CMS導入において欠かせない作業である。しかし、その作業は必ずしも簡単なものではない。
CMS導入によってウェブサイトの運用体制は様々な部分で改善されるが、これは従来のやり方を変えなければならない場面が多いことを意味する。その変化が社内全セクションにとってプラスのものであるとは限らないし、変化自体を毛嫌いする人が組織には必ずいるものである。
CMSの導入によって大きく変わるのは、以下の3点である。
- ウェブサイトの運用ワークフロー
- 各セクションのウェブサイトに関する予算配分
- ウェブサイトに関わる人員
1については、とりわけITリテラシーが低い社員にとっては厄介事である。新たな作業や手続きを覚える過程が発生するからだ。したがって、「担当者が楽になる」という理由のみでCMS導入についての社内理解を得るのは得策ではない。導入後に、そういった社員などから「楽にならなかったじゃないか」という反発が出る可能性があるからである。
2と3は、より深刻と言っていい。コスト削減をCMS導入の理由にすれば、導入によるサイト運用コストや人員削減の具体的な実績を上げなければならなくなる。しかし、各セクションにとっては、予算や人員の削減は最も避けたい事態である。広報部が進めたCMS導入によって、営業部の予算や人員が削減されてしまった――。こういった事態が起これば、反発を招くことは必至である。
事前のコンセンサスづくりは、以上のような点を踏まえて進めなければならない。以下に、コンセンサスづくりのポイントを挙げてみよう。
目的と目標を明確にする。その場合、「効率的にする」「コストを削減する」といった方向よりも、「情報発信力を高める」「売り上げを上げる」「内部統制を実現する」など、より前向きで、規模的にも今より大きい目的を設定すべきである。
経営層や役員など、社内に広範な影響力をもつプレーヤーを味方につける。
CMS導入による改善点として、ワークフローの合理化のみを強調してはならない。従来の業務フローの変更は、各部門のエゴのぶつかり合いを生じさせる可能性がある。
関係者全員の要望を満たすCMS導入の方法はあり得ない。多くの関係者の要望を満たそうとする場合は、導入プロジェクトをいくつかの段階に分けるのが有効である。「あなたの要望は、プロジェクトの2段階目において実現させます」といった提示の仕方をすれば、コンセンサスも得やすい。
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