インタビュー

WCMの世界的リーダーが日本進出。グローバル、マルチ展開に強いCMS/SDL Tridion株式会社

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注目企業のネットビジネス戦略

SDL Tridion株式会社

取材・文:柏木 恵子
写真:渡 徳博

欧州を中心に500社以上の導入実績を誇る、WCM(Web Content Management)分野における欧州のリーディングカンパニーであるSDL Tridion(エスディーエル・トリディオン)が、2008年3月に日本法人を設立した。9月11日には第一回となるセミナーも開催し、日本市場への本格参入を開始している。Webサイトのコンテンツの作成・管理・配信のCMS基礎モジュールである「SDL Tridion R5」とパーソナライズ、Web分析などの追加「モジュール」によってCMS機能を強化するSDL Tridion製品は、アウトプットがマルチチャネルであること、技術者向けとビジネスユーザー向けに分割してサイトの作成や管理を行えることなど、柔軟性の高さが特徴だ。それを支える技術的な特徴や日本市場への思いについて、イベントのために来日した同社アジアパシフィック&中東営業担当 バイスプレジデントであるハンズ・ド・グルート氏に伺った。

SDL Tridion株式会社の基本的な情報は記事末尾を参照。


グローバル展開、マルチチャネル展開に強いCMS

SDL Tridion
アジアパシフィック&中東営業担当 バイスプレジデント
ハンズ・ド・グルート氏

●編集部 SDL Tridion社の概略について教えてください。

●ハンズ Tridionという会社は、1999年にオランダでWebサイト制作会社からスピンオフしてスタートしました。最初の顧客であるKLM(オランダ航空)が1990年代後半に多言語によるマルチウェブの制作が可能なツールを探していたのですが、我々がそれを提供し、スピンオフしたのです。そのときから、複数言語の複数サイトに統一したブランドイメージや使い勝手を提供するWebコンテンツマネージメントにフォーカスし続けています。

当初、欧州だけでビジネスをしていましたが、当時の顧客は製造業を中心としたいくつかのグローバル企業でした。日本企業でもキヤノンやヤマハ、トヨタといった企業の欧州統括会社がTridionを使っています。ただ、弊社は、最初からグローバル展開をするのではなく、ステップバイステップでビジネスを拡大する方針で、欧州の次の市場として2006年に米国に進出し、2007年には香港や日本などアジアへの進出の調査・検討を開始しました。我々の成長のためには、アジアは優良なマーケットで、すでに欧州ではグローバル展開するアジア企業が弊社の顧客となっています。

TridionからSDL Tridionになったのは2007年5月です。SDLは英国に本社を置く翻訳のサービスやツールを提供しているベンダーですが、Tridionの顧客でもありました。SDLは戦略としてGIM(Global Information Management)というキーワードを掲げていて、これは「持っている情報を世界に対して適切な言語で迅速に配信する」というコンセプトです。一方、Tridionは「適切な人に適切な情報を適切なときに配信する」というコンセプトで製品を提供しています。これはお互いシナジーがあるだろうということで、2007年にSDLがTridionを買収しました。現在、組織的にはSDL TridionはSDLの一部門ですが、ビジネスは独立した形で運営しています。

●編集部 日本法人について教えてください。

●ハンズ 2008年の3月に日本法人を設立しました。日本を選んだ第一の理由は、すでに欧州において日本企業が顧客だったことです。そして、米国に次ぐ世界第二位の経済大国で、膨大なポテンシャルがあります。また、日本は非常に難しい市場でもあります。日本のお客様は要求が厳しい。だからこそ、日本で成功すれば他のどの国でも成功できるでしょう。現在の人員はカントリーネージャー兼セールス担当と、技術スタッフであるプリセールスコンサルタントの2人ですが、今年の第4四半期までにヘルプデスクやサポートのような顧客とのコミュニケーションを行う部分を追加する予定です。

●編集部 2008年というタイミングには何か特別な理由がありますか。

●ハンズ 日本のWebコンテンツマネージメントの市場が成熟し、時期がきたということです。SDL Tridionも含め、欧州や米国のCMSソリューションに興味を持つようになり、市場が成長する気配があります。日本のCMSは独自に作られているものが多いが、SDL Tridionのようなものが求められていると感じています。また、日蘭外交関係開設150周年(1858年に徳川幕府がオランダとの間で修好通商条約を結んだ)という記念の年でもありますしね(笑)。

●編集部 日本法人は、どのような業種やサイズの企業をターゲットとしていますか。

●ハンズ SDL Tridionが企業としてフォーカスしているのは、まず製造業、自動車や電気ですね。あとは、金融業と航空会社を含む旅行関連です。日本でも、これらの業種がターゲットとなります。規模としては、やはり多言語のサイトを必要とするグローバル企業ですが、国内だけであっても、たとえば投資家向けと消費者向けといったように、複数のターゲット向けに複数サイトを持つような場合や、Webだけでなくメール、RSS、印刷物などのマルチチャネルで利用する企業はSDL Tridionの顧客となり得ます。あとは、Webを単なるカタログのように使うのではなく、インタラクティブで動的なマーケティングツールとして利用しようとしている企業です。

多言語サイト、マルチチャネル展開を支える2つのキーテクノロジー

●編集部 CMSの基盤である「SDL Tridion R5」の技術的な特徴について教えてください。

●ハンズ 「ビルディングブロック」と「ブループリンティング」というのがSDL Tridionソリューションのキーテクノロジーです。これは、1999年にKLMの多言語マルチサイトを始めたときからのものです。このとき、我々はXML技術を採用しました。当時はまだ誰もXMLについて知らなかったような時代ですが、我々はもし多言語のマルチサイトを作るなら、柔軟性の高いシステムが必要だと考えました。そこで、コンポーネントを保持し、それらを組み合わせて1つのものを作り上げるための技術として、XMLを選びました。競合他社がXMLに取り組み始めたのは2000年代中頃からですが、SDL TridionのソリューションはXMLがコアテクノロジーです。

これによって何が実現できるかというと、権限を分割することが容易になります。つまり、ITスタッフだけでなくビジネスユーザーにも権限を与えることができるのです。コンテンツ、プロファイル、レイアウト、アプリケーションの4つの分野にそれぞれコンポーネントとして機能を提供することで、自分に関係ない部分は触らずにサイトの更新ができるような仕組みを実現するのが、ビルディングブロックという考え方です(図1)。

図1 ビルディングブロックのアーキテクチャ。「コンテンツ」「プロファイル」「レイアウト」「アプリケーション」の機能ブロックを組み合わせてページを作成する。

たとえば、マーケティング担当者は販売戦略に関するコンテンツを管理する必要があります。彼は、コンテンツ本文の内容やさまざまな告知、ブランディングといったものには関わる必要があるでしょう。しかし、サイトのナビゲーション、ショッピングカートなどのアプリケーション、バックエンドとの接続といったテクニカルコンポーネントや、メタデータといったものは、彼は見る必要がありません。

ビルディングブロックではそれぞれのコンポーネントが互いに分離しており、それぞれ異なる人が運用します。それらが集合して1つのWebサイトを構成しています。コンテンツを更新する人はコンテンツを入力するだけなので、サイトの更新のために技術スタッフの手を借りる必要はありませんし、レイアウトを変える場合も、デザイナはコンテンツの担当者にいちいちそれを伝えて反映してもらう必要がありません。これにより、迅速なサイトの更新が可能になります。Webページの運用に特別な技術は不要で、ビルディングブロックそれぞれに、技術レベルやビジネスレベルで仕事をするためのインターフェイスを提供しています。WYSIWYGで非常に使いやすく、だれでも5分で使えるようになりますよ。

また、1つのカテゴリの中に複数のコンポーネントがあります。コンテンツのカテゴリには、異なる言語のコンポーネントがあり、英語のサイトでの更新内容は、ドイツ語に翻訳してドイツ語のコンテンツのコンポーネントに登録するといった形になります。それはローカルのスタッフが行えばいいわけです。コンポーネントは他のサイトにも流用できるので、レイアウトやアプリケーションの部分は触る必要がありません。配信はHTMLでもXMLでも、JSPでもASPでも可能です。メールやPDF、RSS、印刷物(Adobe InDesign形式)、携帯、XML、空港のキオスク端末向けなど、多様なものが出力できます。

●編集部 もう1つの特徴、ブループリンティングという技術はどういったものですか。

●ハンズ 複数言語のサイトや、WebだけでなくメールやPDFなど、マルチチャネル対応をより迅速に展開するための考え方がブループリンティングです。ブループリントとは、設計図のことです。つまり、製品が設計図に基づいて作られるように、Webページにおいても、設計図となるマスターから性質を受け継ぐ親子関係のようなものを作る仕組みなのです。マスターページが親で、その他のサイトが子どもになります。すべてのことが、親から子へ継承されます。つまりマスターページがこのサイトの設計図であり、鋳型になります。ビルディングブロックで必要なモジュールを組み合わせて、マスターであり親であるブループリントを作り、そこから簡単に子どもとなるサイトを作れるのです。

この親子関係を管理するのがブループリンティング・マネージメントです(図2)。まず、ビルディングブロックを使って、あるメインのWebページを作ります。たとえば英語のサイトですね。これがブループリントです。これを親サイトとし、子サイトとしてドイツ語やフランス語、日本語といった別の言語のサイトを作るわけですが、親サイトのレイアウトやアプリケーション、ブランディングは子サイトに自動的に継承されるようになっています。それぞれの言語のサイトデザインを一から作る必要はありません。各サイトは連携していて、たとえば親サイトでレイアウトを変更したり、アプリケーションを追加したりすれば、それは子のサイトにも自動的に反映されます。同様に、親サイトをマスターとして、メールやPDFにも、レイアウトやブランディングが引き継がれます。

図2 多言語サイト展開のブループリントのイメージ。ビルディングブロックを組み合わせて作成した親サイト(ブループリント)の構成を継承したローカルサイトを展開できる。ローカルのターゲットユーザー向けに、ローカルの担当者がコンテンツやレイアウト、アプリケーションを調整することもできる。

さまざまな機能モジュールを柔軟に組み合わせるカスタムメイド

●編集部 コンテンツの作成・管理・配信というCMSとしての基本機能の部分がR5ということですが、それ以外に追加機能としてはどのようなものがありますか。

●ハンズ コンテンツの作成・管理・配信やワークフロー管理、ロール管理、履歴といった基本的なものの他に、パーソナライゼーションとターゲティングというモジュールがあります(図3)。これは適切な人に適切なコンテンツを配信するためのものです。ビジターの興味に合わせたコンテンツを動的に提供するための方法は、2種類あります。1つは明示的手法で、Webのフォームなどでビジターに興味があるものを聞く方法です。もう1つは暗示的手法で、サイト内でのビジターの行動を解析して、その人の興味対象を特定します。最近はアンケートに答えてくれない人も多いですからね。

ブループリンティング・マネージメントによるマルチチャネルのアウトプットのためのモジュールには、このパーソナライゼーションも反映できます。また、インタラクティブのコミュニケーションを実現するためのフォームのモジュールがあります。フォームは技術的な知識があればR5で構築できますが、このモジュールを使えば技術知識がなくても簡単に作れます。作ったフォームアプリケーションはビルディングブロックとして保存され、「日本向けのサイトでだけ、ふりがなの項目を追加する」といったローカライズも可能です。その他、サイトの分析機能もあります。

もう1つの特徴が、トランスレーションメモリです。これはもともとSDLの技術で、SDL Tridion製品と統合してマーケティング部署を手助けします。技術的には、ある文書を別の言語に翻訳する際の訳語のデータベースを蓄積し、次に他の文書や同じ文書のバージョン違いを翻訳するときに、翻訳データベースを利用することで翻訳の手間を軽減したり表現を統一したりできます。たとえばリリースなどで同じ言い回しを使うことは多いので、かなり翻訳作業の効率を上げることができます。コンテンツマネージメントと翻訳ソリューションが統合されているのは、SDL Tridionだけだと思います。

アーカイブマネージャーというモジュールも、特徴でしょう。多くの組織、特に政府機関や金融業などでは、証拠としてWebに何が表示されていたか記録を残すことが求められています。アーカイブマネージャーはWebが更新されるたびにスナップショットをとり、データベースに安全に保管してくれます。何年何月何日のWebには何が表示されていたかということはもちろん、ユーザーごとにパーソナライズされた画面も保存します。これは、法的な証拠として利用するためのものです。

図3 SDL Tridionの製品ポートフォリオ。コンテンツの作成・管理・配信という、コンテンツ管理の基盤を提供するR5をコアにさまざまな機能を提供する。

ブランド統一した複数サイトを簡単構築。サイト数が多いほどコスト削減

●編集部 SDL Tridionの製品を使うことで、ユーザー企業にはどのようなメリットがありますか。

●ハンズ ビルディングブロックを組み合わせて、それぞれの部門のスタッフが他の部署の手助けを借りずにサイトを作成できるため、早期展開が可能です。これにより費用削減効果が得られます。1つ目のサイトより2つ目、3つ目のサイトの方がより簡単に早期展開できます。ある程度ブループリンティング・マネージメントが確立した後では、サイトの追加はより簡単になりますから、サイトの数が多くなるほど、すべてをイチから作る場合と比べて費用削減効果は大きくなります。

また、ブランドの統一やターゲットマーケティングを簡単に展開できます。ブランドの統一性という面では、最初にイメージを統一するというだけでなく、ブランドイメージを変えたいときも、マスターを変えれば自動的に他のサイトに反映できるので、同時期にすべてのサイトを変えることができます。また、企業はビジターの嗜好に応じたサイトを構築する必要性を感じていますが、それも簡単に実現できます。パーソナライゼーションした、複数のターゲットそれぞれに対するサイトを簡単に構築できることも、ビジネス機会を逃さないために役に立つでしょう。

サイトの数が多くなるほどWebの早期展開が可能になり
費用削減効果をより大きくできる

さらに、金融のオンライン取引や飛行機のオンラインチェックインは、そのオペレーティングにかかる人件費の削減を可能にしますが、そのような複雑なシステムは構築や運用が大変です。しかし、SDL Tridionならばビルディングブロックやブループリンティングの技術を使うことによって、そのような機能をもったサイトを複数展開するのも簡単ですし、管理が楽になりますので、コスト削減が可能です。たとえば飛行機のチケットを買う場合、旅行代理店でチケットを買ってもらった場合に企業が負担するコストは50ユーロ(7,500円)ですが、同じチケットをオンラインで買ってもらえばコストは50ユーロセント(75円)しかかかりません。すべての人がオンラインでチケットを買ってくれれば、チケットの発行コストを非常に低くできますし、お客さんの利便性も上がります。

●編集部 基本構成と典型的な導入費用や導入期間について教えてください。

●ハンズ 実現したいことに応じて、カスタムメイドでモジュールを選んで構成します。逆に言えば、不要な機能は除いて構成すればいいということです。価格はCPUの数やユーザーの数、サイトの数といったものに依存しますが、エントリーレベルで1,000万円程度、導入期間はごく一般的なもので2~3か月のプロジェクトです。もちろん、KLMのサイトのように基幹システムと連携してオンライン予約やオンラインチェックインの機能を持たせたりするならもっとかかりますが。

導入はお客様の運用や組織、要望を聞いたうえで、ワークショップ形式で弊社のコンサルタントがブループリントの設計を支援します。その後、2~3のサイトをコンサルタントが一緒に作りますが、それ以降はブループリントを使ってお客様自身が他のサイトを展開できるようになります。ブループリントの構築が一番の鍵で、ここがうまく設計できると、お客様がIT担当者の力を借りずにどんどんサイトを展開したりアップデートしたりできます。

●編集部 コンサルティングがかなり重要だと思いますが、日本法人のコンサルタントの体制はどうなっていますか。

●ハンズ もちろんコンサルタントはとても重要です。最終的には日本法人にSDL Tridionのエキスパートを採用して育成する予定ですが、最初はパートナーとなるSIerやWebサイト制作会社と共に対応します。すでに、タクトシステムズというSIerがオランダでの4週間の研修を受けています。

CMSの機能を標準化することでコスト、開発時間を削減

●編集部 競合製品というと、ECM(Enterprise Content Management)でしょうか。

●ハンズ 日本では、オープンソースなどで自社開発しているところが多いようですね。SDL Tridionは国際企業などの大企業にフォーカスしていますので、競合というと、インターウォーブンやFatWire、アシストなどでしょうか。

●編集部 スクラッチベースでイチからWebサイトを構築するという文化を、標準化されたモジュールによって構築する文化に変えたいと考えているのでしょうか。

●ハンズ その通りです。欧州や米国では大企業の70~90%がSDL Tridionのような標準化されたモジュールを使うCMSを取り入れています。SDL TridionやインターウォーブンやFatWireなどです。日本は個別対応が多いですね。しかし、標準化されたモジュールを使えば大きなメリットがあります。他のECM、インターウォーブンやFatWireと違うところは、彼らはかなりの部分をAPIベースで開発しなければならないのに対して、我々はすでに標準機能のモジュールとして持っている部分が多い。そのため、彼らの構築期間と比較して短くてすみます。

Webサイトをイチから作る場合、ある機能が必要ならば、時間とコストをかけて自分たちでそれを開発しなければなりません。しかし、その機能は私たちがすでに何年も何億円もかけて作ったのと同じ機能かもしれません。アーカイブやパーソナライゼーションの機能などさまざまな機能を、すでに我々はモジュールとして持っています。それを利用する方がずっと早い。開発時間短縮という意味でもメリットがあります。

標準化されたモジュールを使うことで
短期間かつ低コストでWebサイトを構築できる

●編集部 日本の企業は、独自のワークフローに合わせてカスタマイズを希望することが多いですが、これにはどう対応するのですか。

●ハンズ SDL Tridionのソリューションで作られたサイトを見ていただくと、たとえばキヤノンなど日本の企業の欧州サイトも非常に複雑なワークフローを実現していると思います。これはSDL Tridionの基本的なコンポーネントで構成されていますが、SDL Tridionはワークフローエンジンを持っていますので、複雑なワークフローにも対応できるのです。また、SDL Tridionは基幹業務システムなどのバックエンドとフロントエンドのアプリケーションの中間に位置し、それらと連携するAPIも提供しています。日本に限らず、どの企業もWebのインフラにはカスタマイズや独自機能の実装を求めますが、SDL Tridionは非常に柔軟性が高いので複雑な要求にも応えることができます。

●編集部 さまざまな機能のモジュールがたくさんあり、バックエンドあるいはフロントエンドとの連携を実現するAPIがあるので、最初のブループリントの設計段階でビジネスプロセスをいかにシステムに落とし込むかを明確にできれば、それを実現できると。ここでもコンサルティングが重要ですね。

●ハンズ 他のCMSのベンダーの製品は、私たちの機能はこれとこれですと固まっているところもありますが、SDL Tridionのソリューションは非常に高い柔軟性を持っていますので、お客様のプロセスを変えません。APIもありますし、企業で決まったプロセスをSDL Tridionでいかに実現するかということをきちんとアドバイスします。そういったかたちで構築していくことによって、ビジネスの観点からこのソフトウェアを使うことができるようになります。必要なモジュールだけを自由に選択できるので、無駄なコストもかかりません。

●編集部 今後の展望やビジネス目標を教えてください。

●ハンズ 数か月前に日本に進出したばかりですが、まずローカライズをしてイベントなどのプロモーションを行います。次のステップとしては、今後半年から1年で我々がターゲットとしている製造業、金融業、旅行・航空関連の企業の取り込みを行っていきます。同時に、システム構築のための専門家の育成、パートナーの開拓を行います。

今、何か物を買うときにWebで品質や価格を比較して選ぶという人が増えています。だから、インターネットユーザーの動向を見て製品の設計にも反映していきます。たとえば、ターゲット広告でも、10代の人にはどういったニーズがあるのかなど、年齢や行動に合わせてサイトを変化させるのが重要だということになれば、それを強化していきます。日本では、すでに我々が実現している非常に簡単に構築できるターゲットマーケティングをお客様に広めていきたいですし、それ以上のものとしてブログ対応などWeb 2.0の強化が日本の市場で求められるなら、それを製品に結びつけていきます。

ビジネス目標ですが、日本市場には高く期待しています。すでに進出した米国では、2年ほどで50~60社ほどのユーザーを獲得しました。日本においては、最初にお客様の信頼を得るとかパートナーの構築といったことに時間がかかると考えていますので、初年度はあまり高くないかもしれません。ただしそれらを構築した後は、非常に高い期待値を達成できると考えています。

●編集部 ありがとうございました。

SDL Tridion株式会社
  • 所在地 ● 東京都目黒区東山1-4-4 目黒東山ビル4階
  • 日本法人設立 ● 2008年3月1日
  • 日本法人代表:竹橋 幹司
  • URL ● http://www.sdltridion.jp/
  • 事業内容 ● CMS「SDL Tridion R5」の開発、提供および導入サポート。企業の戦略的Web展開をサポートし、企業およびその地域組織にプラットフォームを提供する。

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