カスタマーエクスペリエンスで道は開ける~フォレスター・リサーチのWebサイト方法論

ペルソナQ&Aその2 適切なサイト規模/作成手法/フォーカスの絞りすぎ

前回に続いて、読者の方からいただいたペルソナの質問に答えます。
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ジョナサン・ブラウン

[コラム]カスタマーエクスペリエンスで
道は開ける
~フォレスター・リサーチのWebサイト方法論
by ジョナサン・ブラウン

フォレスター・リサーチのシニア・アナリストであるジョナサン・ブラウン氏によるウェブコラム。

主にカスタマーエクスペリエンスとマーケティングの側面から企業のビジネスをサポートしているジョナサン氏が、企業サイトにおけるユーザー志向の考え方や方法論をさまざまな切り口で解説します。

前回のコラムに続いて、3月のコラムで募集したペルソナに関するご意見や経験談などへの質問への回答です。質問してくださった方、ありがとうございます。

※Web担編注 質問の文章には編集を加えている場合がありますのでご了承ください。

ペルソナはどんな規模のサイトに有効?

質問

小規模サイトと大規模サイトではペルソナ戦略はどちらが有効だとお考えでしょうか?

回答

サイトで何をお客様に伝えたいかにもよりますが、どんな規模のサイトでもペルソナ戦略は有効です。

たとえばAmazon.comのようなカテゴリの多い、何百万人を満足させようとしている大規模サイトであれば、ペルソナはかなり重要です。ただしこの場合は、単にペルソナが重要だというわけではなく、各ページにどのペルソナを優先するかというのも、1つの大きなポイントとなります。

こちらは、カスタマーエコノミクスで判断している企業が多いようですが、Stapels社では調査の結果、ある2人のペルソナがサイトユーザーの36%を占め、売上の53%、利益の58%に貢献していることがわかったため、その2人のペルソナにフォーカスしてサイトを構築するようになりました。逆に、ときどきトップページにIR情報や社長のメッセージを載せている企業サイトがありますが、それはユーザーが望んでいる情報や利益につながる状態だとはいえないでしょう。

小規模サイトの場合も、ユーザーの種類やセグメントが少ないということであっても、ペルソナを作って御社の一番大切なお客様のためにサイトを作るべきだと私は思います。どのペルソナを優先するかを決めるのは、大手のサイトに比べて楽かもしれません。

ブレストで作ったペルソナと
調査して作ったペルソナの違いは?

質問

以前に、部署内でブレストをして、関係者の意見を総合して、ペルソナを作ってみたことがあります。結局そのペルソナは何となく違和感があってその後ちゃんとは使ってないのですが、やはり、ちゃんと調査をして作らないとペルソナはだめなのでしょうか? 調査して作ったペルソナだと、違和感なく受け入れられるものなのでしょうか?

ちゃんと作るとお金がかかるので、なかなか踏み切れません。

回答

コメントへの返信で以下のとおり簡単に回答させていただきましたが、もう少し詳しくお伝えします。

(前回のコメント)

コメントありがとうございます。初めてペルソナを作ろうとすると、予算がないというバリアを超えるのは大変ですね。そして、何人かの担当者が皆そのペルソナの価値を理解してちゃんと使用するように促すのも大変ですね。

担当者がペルソナを利用しない場合、なぜ使ってないか考えてみたいと思います。

  • 担当者はペルソナがユーザーを表してることを信じてないのでしょうか?
  • それともペルソナが近くにいる、本当の人であると想像できないのでしょうか?
  • それとも別の理由があるのでしょうか?

こういうストーリー、そしてこのバリアを超えた人のストーリーに興味があります。

ブレストという手法はグループから新しいアイデアを得るために適切な手法だと思います。しかし、ペルソナを作るために最適な手法ではないかもしれません。なぜなら、私たちは、ユーザーの個人的な意見、属性、好みなどを知りたいからです。そのためには個人インタービューや観察のほうが良いかもしれません。

さて、まず私が見た失敗ケースをご紹介しましょう。ユーザーリサーチをしないでペルソナを作ろうとするケースでした。

ユーザーの好みやニーズをまったく聞かずに、企業のだれかが頭の中にもっているステレオタイプの絵を描いてみんなに配ってしまうことがあります。たとえば、ある事件の犯人を捜している警察官が、現場にいた目撃者としゃべらずに似顔絵を描いて、「こんな怪しい人を探しています」と聞いて回ったとしても、犯人は見つからないでしょう。いくらその人がいかにも犯罪を起こしそうな怖い顔であってもです。実際のユーザーに基づいていないペルソナを作った会社は必ず失敗します。

なぜなら、日常的にお客様と接点をもっている人が、そのペルソナを見て、なんとなく違和感を感じたり、使いたいくない、サポートしたくないと思うからです。この反応がでるのはまだ良いほうです。悪いのは、このペルソナが本当のペルソナでないことに気づかずに多額の予算を使って、製品やサービスを作ってしまって失敗する場合です。

そもそもお客様のデータにそってないペルソナで、お客様を満足させることはできません。ちゃんとしたペルソナを作ってないのに、「ペルソナは難しい」などのイメージがついて、プロジェクトを続けたり、再挑戦したりするのが難しくなることは一番残念なことです。もし何人かのインタビューができない状況だったら、ペルソナを作らないほうがまだいいと思います。予算が少ないのであれば、とにかく本当の情報を何とか使う、もしくは会社にある情報、データをなんとかうまく活用、加工して、信頼性のあるペルソナを作るといいでしょう。

しかし、そういった動きをしても人が信じてくれない場合があります。「何人かのインタビューをして作ったペルソナでも、マーケティング部門の人から使えないと言われる」という声を聞くこともあります。そういった人を説得するためには、定量的データ・定性的データのコンビネーションが必要です。でも、そのためには大きな予算がかかります。定性、定量のコンビネーションが難しい場合は、仮ペルソナになるけれども、何人かにインタビューしたペルソナが初めの経験になるかもしれません。その場合、データを見せたり、ペルソナの作成に参加させたりすることで、関係者の同意を得やすくなると思います。試験的なペルソナであっても、ユーザーインタビューに基づいたペルソナを作ることが肝心です。

そして、その後でもっと大きなプロジェクトにトライするといいでしょう。いきなり会社のコア戦略にペルソナを適用するのではなく、あるサブサイトでトライするのがいいかと思います。

焦点を絞りすぎるのもよくないのでは?

最後に、あと1つ、よく聞かれる質問を追加します。

質問

ペルソナ戦略というのは、数少ないユーザーにフォーカスしていて、フォーカスしすぎではないのか。

回答

そもそも、それがペルソナの目的かもしれません。

これまでは、八方美人になりすぎて、世の中のだれもが満足するサイトを作ろうとする傾向がありましたが、それは無理です。最も大事なお客様を数人選んでそのお客様を満足させることによって、多くのお客様を満足させることができるようになるのです。

そもそも、最も大事なお客様が満足するが、その他のお客様があまり満足できないサイトを作ること自体は、悪いことではないのです。本当に大切な人が満足できるのですから。

◇◇◇

前回もお伝えしたペルソナスクエアですが、その後も着実に記事が増えています。ペルソナのメリット、事例、リサーチ方法、使い方など、ペルソナについてさまざまな情報を各社の専門家が記事に書いていますので、ぜひご覧ください(私の記事もあります)。

ペルソナスクエア
http://www.personadesign.net/square/

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