講座3 ニーズを拾うキーワードのワザ
文:芝野徹也 監修:紺野俊介(株式会社アイレップ)
ユーザーの検索行動は進化している
インターネットユーザーの検索行動は日々成熟している。検索行動の成熟度合いをあらわすものとして、複数キーワードでの検索があげられるだろう。
ビッグキーワード単体での検索(「通販」や「日本酒」だけでの検索など)では、キーワードの意味が広くなってしまうことは前回述べたが、意味が広すぎることにより不便さを感じるのは、広告主だけではない。検索を行うインターネットユーザー自身も、ニーズと異なる情報が混在する検索結果から1つひとつ取捨選択することには不便さを感じるものである。それゆえに、ニーズを込めた複数語のキーワードで検索するようになってきているの。これには、Yahoo! JAPANやGoogleで、関連するキーワードを提示してくれるようになったことも関係しているだろう(図1、図2)。
この傾向は、複数キーワードで検索している、つまりニーズが明確なユーザーをキーワード広告でタイミングよくつかまえるのが、費用対効果の高いキーワード広告の運用につながることを意味する。もちろん、複数語のキーワードでは検索数は少なくなるが、ユーザーのニーズを拾ったキーワードならば、よりコンバージョン率が良くなるのだ。では、ユーザーのニーズを拾うキーワードの組み合わせワザをいくつか紹介しよう。
1.地名を組み合わせる
地域の特産品を販売している場合や、特定の地域への旅行メニューがある場合などは、地名を組み合わせるのがいいだろう。さまざまな地域の商品を扱っているからといって十把一絡げに1種類のキーワードで出稿するのではなく、それぞれの地域のキーワードを組み合わせて出稿するのがいいだろう。
さらには、それぞれのタイトルや説明文にもその地名を含めて、さらにクリックして飛ぶページもそれぞれの地名に関するページを設定しておくといいだろう。
マンション 品川
りんご 青森
2.季節要因を組み合わせる
季節や時季を表す要素を組み合わせるのも、ニーズを拾うにはいい方法だ。ただし、季節の移り変わりによって消費者のニーズも変わるように、検索ボリュームは毎月変化することに注意しなければならない。特に、季節要因を意図したキーワードの場合は検索ボリュームの季節変動が大きいため、検索のピークを見極めることが重要である。
宴会 屋形船
りんご 歳暮
検索キーワードの季節変動を見極める一つの手段として、Google Trendsの活用があげられる。
オーバーチュアのキーワードアドバイスツールのような具体的な検索数は表示されないが、検索数の変動がグラフでわかる。たとえば「スノーボード」のような冬シーズンのキーワードも、まだ暖かい9月頃から検索ボリュームが増え始めていることがビジュアルに理解できるだろう。
3.イベントを組み合わせる
季節要因と多少関係するが、イベントに関連した検索も多い。次に示す例以外でも、たとえばクリスマスや父の日など、特に贈り物が関連するイベントでは通販のニーズが高まるものだ。前もって準備をしておく価値は高いだろう。
万年筆 入学
海外旅行 ワールドカップ
4.製品の特徴や性能を組み合わせる
あなたが販売している製品にはさまざまな特徴があるだろう。その製品の特徴や性能を組み合わせたキーワードに出稿するのもいい方法だ。広告のタイトルや説明文にもキーワードを含めておけば、ユーザーは自分のニーズに合った広告であることをすぐに認識できていいだろう。
カニ 浜ゆで
5.販売手法を組み合わせる
単に「DS Lite」「PSP」のような商品名単体で検索しているユーザーは、もしかしたらすでにその製品を持っていて、ソフトの攻略法の情報サイトを探しているのかもしれない。単一キーワードの場合、検索ボリュームが多い分こういったユーザーも含まれるため、あなたの広告に見向きもしない層もいるだろう。
しかし、商品名に加えて次のような販売手法に関するキーワードを含めているユーザーは、ほぼまちがいなく購入の意図があるユーザーだと考えられる。単一キーワードと比較すると検索ボリュームは少ないが、コンバージョン獲得の見込めるキーワードのため積極的に広告出稿すべきキーワードだといえる。
販売
ショッピング
店
6.低価格を表す言葉を組み合わせる
商品に関する検索で非常に多いのが、「できるだけ安く買いたい」意図が含まれたものだ。キーワードアドバイスツールで調べてみるとわかるが、価格に関するキーワードを組み合わせた検索は非常に多い。
次のようなキーワードを組み合わせておけば、そういった価格にセンシティブなユーザーのニーズをつかまえられる。ただし、あなたのサイトがそういったニーズに応えられない場合には入札は避けるべきだろう。広告からサイトへ誘導できたとしても、単一キーワードで誘導する検索ユーザーよりも価格にセンシティブな傾向にあるため、通常よりもコンバージョン獲得が困難なことが予想されるからだ。
格安
価格
キーワード広告は、ニーズとマッチさせてこそ
こういった組み合わせ方でキーワードを作ったら、オーバーチュアのキーワードアドバイスツールで検索数をチェックしてみるといいだろう。複数語による検索キーワードに込められるニーズのパターンや検索回数の多さを実感できることだろう。検索キーワードには、インターネットユーザー自身のニーズが込められているのだ。
また、インターネットユーザーの検索行動を考慮することは、キーワード選定に活用できるだけでなく、キーワード広告の効果をより高めるヒントになる。
キーワードが意味するニーズごとに広告をグループ化して、グループごとに広告のタイトルや説明文、飛び先ページ(広告のリンク先ページ、「ランディングページ」とも呼ばれる)を最適化することにより、ユーザーのニーズとの適合性をより高めてコンバージョン率をアップできるのだ。
このように、広告の受け手のニーズと、広告主のねらいとのマッチングを高められるのが、キーワード広告の魅力の1つである。
キーワードはニーズの鏡
組み合わせはもちろん、広告文や飛び先ページにもニーズを反映すべし
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