講座6 足してダメなら引いてみな
文:芝野徹也 監修:紺野俊介((株式会社アイレップ))
「広告を出さない」ための工夫
キーワードを追加したり部分一致を指定したりして広告のリーチする範囲を広げたら、次はユーザーが検索する際のキーワードに込められたニーズとあなたのサイトが提供するサービスとの適合性をチェックしてみよう。そして、適合性が低い検索に対しては、クリックをさせないようにタイトルや説明文を変更しよう。
特にキーワードの検索方式オプションで部分一致を指定して広告露出を図る場合には、多様な検索キーワードに対して広告が表示されるため、完全一致方式に比べて幅広いニーズをもった検索ユーザーに対して広告が露出されてしまいやすい傾向がある。
しかし心配しなくていい。顧客化につながらない広告露出や無駄なクリックを防ぐ方法の1つとして、特定の検索キーワードが使われている場合には、そもそも広告を表示しないようにする設定があるのだ。それが“対象外キーワード”である。
ニーズに合わない検索を除外
たとえば、あなたが中古車販売に関するサイトを運営している場合、「カローラ」や「ステップワゴン」のような自動車名を部分一致方式で掲載するとどうなるだろうか。
もちろん、検索キーワードが「カローラ 中古車」「ステップワゴン 試乗」のような、あなたのサイトが提供するサービスと適合性が高い検索に対して広告露出できるメリットがある。
そのいっぽう、部分一致方式のために「カローラ リコール」や「ステップワゴン 改造」のような、リコール情報や改造車の情報を探している検索ユーザーにも広告が表示されてしまう。この場合、そもそもクリックされにくいだけでなく、もしクリックされてしまうと顧客化につながる見込みのない無駄クリックが発生して費用がかさんでしまう。
ほかの例としては、クルージングツアーなどの広告として「クルーズ」に部分一致で入札している場合、対象外キーワードを設定しないと「トム・クルーズ」の情報を探している人にも広告を表示してしまうだろう。入札キーワードと関係がないジャンルの同じ単語がまったく違う意味で使われていることもあるのだ。
これらのケースの場合、対象外キーワードとして、中古車販売のサイトならば「リコール」や「改造」を、クルーズツアーのサイトならば「トム」をスポンサードサーチの管理画面で設定すれば、指定した対象外キーワードが含まれる検索に対しては広告が表示されなくなるため、顧客化に直結しない無駄なクリックを抑制できる。
ニーズがマッチしている「広告を配信するため」のキーワードの追加ばかりでなく、ニーズが異なるインターネットユーザーへ「広告を配信しない」ためのキーワード設定が、対象外キーワードの設定である(図1)。
ニーズにマッチした絞り込み
それでは、「マンスリーマンション」を探している人向けに広告配信する場合を例に、どのような検索キーワードを想定するかを考える手順を説明しよう。
オーバーチュアのキーワードアドバイスツールによると、「マンスリーマンション」を含む検索キーワードで検索ボリュームの上位を占めるのは「マンスリーマンション 東京」「マンスリーマンション 大阪」という地名との組み合わせである(図2)。
あなたが東京など首都圏でマンスリーマンションを提供している場合、これまでに紹介した手法を活用すると、キーワード広告での対応方法は次のようになるだろう。
- 「マンスリーマンション 東京」「マンスリーマンション 横浜」を追加設定
- 「大阪」「京都」「神戸」「名古屋」「仙台」を対象外キーワードとして対象外キーワードに設定
対象外キーワードを設定することで、あなたの広告が「大阪」や「京都」のマンスリーマンションを探すインターネットユーザーにクリックされる心配がなくなる。インターネットユーザーが複数語で検索する場合の検索キーワードからニーズを予測して、「広告配信しない」方法である。
それでは、地名を含まない「マンスリーマンション」という単一の検索キーワードで他エリアの情報を探すユーザーにはどうしたらいいのだろうか。
インターネットユーザーの検索行動が成熟化しているとは言え、一般的には「マンスリーマンション」のような単ワードでの検索ボリュームは飛び抜けて多く、広告露出機会として無視することのできないものである(図3)。
単ワードのように検索キーワードからインターネットユーザーの明確なニーズが読み取れない場合は、キーワード広告のタイトルや説明文に「東京の○○」「関東エリアの○○」「首都圏限定の○○」とサービス提供地域を明示するのがいいだろう。大阪や京都などのサービス内容と異なるニーズをもっている人にとってはクリックする前に求める情報と一致しないということがわかるため、「無駄なクリックをさせない」効果が発揮されるのである。
もちろん、これにより本来情報を伝えたい相手に対しても、タイトルや説明文で広告文を通じて広告主の訴求するエリアなどのポイントを伝えられる効果もある。
土地が変われば、広告も変わる
不動産などサービス提供地域が限定されている場合は、ほかにもインターネットユーザーの所在地から判断するエリアターゲッティングの手法を活用してみるのも良いだろう。
Googleアドワーズ広告で提供されているローカルエリアターゲッティング(※)の機能では、都道府県や市町村レベルで広告配信する地域を指定できる。インターネットユーザーのニーズと適合性の高い広告を配信するために、エリアごとに広告配信の有無や配信内容の訴求ポイントにアクセントをつけるなど、一考してみてはいかがだろうか。
オーバーチュアのスポンサードサーチでも、2007年に予定されている検索広告プラットフォームの刷新時に、同様の機能が採用される予定となっている。
キーワードは増やすだけが能ではない。
対象外キーワードの設定や意図のある広告文で、顧客化につながりづらいインプレッションやクリックを防ごう
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