ウェブマスター業務《3》サイトを効率的に運用する
ウェブマスター業務《3》
サイトを効率的に運用する
ビジネスとして運営しているサイトならば、裏側、つまりその効果に対してのコスト効率も重要となる。いくら人気のサイトでも、コストが見合っていなければ当然長続きしない。ここで、「コスト」として考えられるのは、主に更新などの、内容を拡充するための作業に伴うコストとサーバーなどのインフラコストとなる。コマースサイトなどを運営している場合はもちろんそういった費用も発生する。いずれにせよ、どのくらいの金額、規模感が妥当であるかは知っておく必要がある。
もちろん、コストには、内部コストも含まれる。ウェブサイト管理者が更新などの作業を行う場合は特に重要だろう。開発時に非常に複雑なシステムを作ってしまうと、更新時にも費用が割高になってしまうことがある。このため、サイトの構築・リニューアル時には、どんなワークフローでサイトを運営していくかについて意識しながら、開発を行う必要がある。
では、具体的な効率よく運用するための要素を見ていこう。
CMSの導入/ワークフローの効率化
一般にウェブサイトの更新作業は、情報の修正や定型の情報の追加と、不定形の情報・コンテンツの追加に分けられる。ニュースリリースやブログなどの、決まった形の情報の追加にはCMS(コンテンツ管理システム)が効果的だ(P.108やP.146も参照)。
CMSを使えばブログ入力画面のようなフォームからサイトを更新できる。HTMLやFTPの知識がなくてもサイトを更新できるため、更新の費用やスピードを大幅に効率化できる。特に、更新頻度が高い内容については、CMSを一度導入してしまえば、ほとんど手間をかけずにサイトの鮮度を保つことができるため、積極的に導入を検討すべきだろう。
また、CMSの導入によって、運用のワークフロー(仕事の流れ)を見直し、定型化できる効果もある。運用のルールを規定できれば、担当者個人の判断や融通に頼る必要がなくなり、作業者の負担を下げたり、責任の所在を明確化したりすることができる。
更新頻度が低い部分や不定形の内容については、CMSのメリットを生かしきれない場合もある。あまりにいろいろな場合を想定すると初期開発コストがかさんだり、空白のテンプレートを用意することになったりするからだ。ただし、この場合でも、サイトのバージョン管理や掲載承認プロセスのためにCMSを導入するのであればCMSの意義がある。
レンタルサーバー
ウェブサイトのコストで目に見えるものとしてサーバーやネットワークなどのインフラ費用がある。
レンタルサーバーは価格低下が続いているが、サービスの乗り換えには大きなコストやリスクが伴うため、3年ぐらいを見越しておくのがいいだろう。ただし、同じ事業者のサービスであれば、特に設定は変えなくても容量などのスペックを変更できることが多い。
また、ブログなどを用いたサイトを構築する場合、あらかじめMovable Typeなどのブログツールがサービスとして用意されているサーバーを利用することもいいだろう。また、最近ではウワモノサービスを提供するレンタルサーバーも増えてきている。商用のアクセス解析ツールやショッピングカート機能を安価に利用できる場合もあるので、有効に利用するといいだろう。
ただし、企業サイト用にレンタルサーバーを使う場合には、サーバーの安定性やセキュリティ、サポートなどの重要度が高まることを忘れてはいけない。個人情報を扱うコマースサイトなどでは特に注意が必要だろう。
CSS/ウェブ標準化
効率よく運用するためには、HTMLの記述にも注意を払おう。現在はCSSを利用した作り方が主流になっている。CSSを用いることで、HTMLの内容がより論理的になり、検索エンジンから適切にサイトを理解される効果が見込める。また、デザインの変更やコンテンツの更新が容易になるメリットもある。ただし、CSSを用いたHTML記述は更新時の難易度も上がるために、サイト設計時に対応できるかどうかを制作会社などと検討する必要がある。
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.1』掲載の記事です。
ウェブマスター2.0 — Webmaster 2.0
- Part 1 すべての業務を把握してバランスをとる
- Part 2 どのアクションをどのタイミングで実施するのか
- Part 3 具体例:コーポレートサイトの場合
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