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SHIRO、香港1号店を開設。2日間で売上2000万円、来店3200人、1人あたり購入点数は他国店舗の2倍以上

2ヶ月 4 週間 ago
SHIRO、香港1号店を開設。2日間で売上2000万円、来店3200人、1人あたり購入点数は他国店舗の2倍以上
シロでは、香港に開設した直営店1号店の滑り出しが好調だ。1人あたりの購入製品点数は3.3点となっており、他国店舗の2倍以上だという。店舗内には、好みのフレグランスを作る体験ができる「ゼロブレンダーラボ」も設置している
ohshima2026年5月14日

シロは5月1日、香港1号店「SHIRO K11 Musea」をオープンした。開店後2日間の実績は、来店者数が約3200人、売り上げが約2000万円となった。顧客1人あたりの購入製品点数は3.3点で、他国店舗の2倍以上という。香港限定フレグランスのオードパルファン(香水の一種)は約1100点を売り上げた。

香港での1号店「SHIRO K11 Musea」
香港での1号店「SHIRO K11 Musea」

来店客は長蛇の列、他国店舗を上回る反響

オープン当日は、開店直後から終日途切れることなく来店客の行列が続き、待ち時間は最大で約1時間半になったという。オープン初日と翌日の2日間の来店客3200人は、2025年4月に韓国1号店として開店した「SHIRO Seongsu」の、開店後2日間の来店者数の1.3倍となる。

香港1号店の2日間の売り上げは約2000万円で、「SHIRO Seongsu」開店時の2倍となった。顧客1人あたりの購入製品点数は3.3点となり、他国店舗と比べても多かった。

オープン当日は予定時間の約1時間前から来店客が並び、予定時間より早く開店した
オープン当日は予定時間の約1時間前から来店客が並び、予定時間より早く開店した

香港1号店で特に人気を集めているのは、香港限定フレグランス「花茶(HANACHA)」オードパルファン。香港の食文化に欠かせない花茶をイメージした香りが特長となっている。オープンから2日間で1100点を販売したほか、4月27日に先行してオープンした香港向けの公式オンラインストアでも、3日間で1000点以上を受注したという。 

ものづくり体験ができる「ゼロブレンダーラボ」を設置

「SHIRO K11 Musea」では店舗中央に、ものづくり体験ができる「ゼロブレンダーラボ」を設置している。「ゼロブレンダーラボ」では、製品化に至らなかった香料、製品化過程で生まれた試作香料、ゆずとヨモギの蒸留水、3種のアルコールから好きなものを組み合わせ、来店客が自分だけのフレグランスミストを作ることができる。2日間で241人が体験したという。

「ゼロブレンダーラボ」で使用可とする香料は、「SHIRO」の製品開発拠点である北海道・砂川の「みんなの工場」での製品開発とリンクさせ、随時変更する。

ものづくり体験ができる「ゼロブレンダーラボ」。「SHIRO K11 Musea」店舗にのみ設置している
ものづくり体験ができる「ゼロブレンダーラボ」。「SHIRO K11 Musea」店舗にのみ設置している

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[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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ohshima

サン宝石の「通販会社」から「ファンと育てるIPブランド」へ転換する成長戦略。民事再生から4年後の挑戦とは

2ヶ月 4 週間 ago
サン宝石の「通販会社」から「ファンと育てるIPブランド」へ転換する成長戦略。民事再生から4年後の挑戦とは
民事再生を経て、通販中心からIPブランドへの転換を進めるサン宝石。ファンとともに自社キャラクターの価値を育てる成長戦略を明らかにした
ohshima2026年5月14日

メモリーテックつくばはこのほど、キャラクターIP「ほっぺちゃん」などを手がけるインタラクティブコンテンツ事業部のサン宝石の事業方向性を発表した。

サン宝石の人気キャラクターIP「ほっぺちゃん」を中核に据え、価格競争ではなく知的財産を軸に、ブランド価値で選ばれる事業へ転換。雑貨、文具、アパレル、カプセルトイ、菓子、コスメ、インテリア、書籍、デジタルコンテンツなど、幅広い領域で事業を展開する。

外部の売り場やイベントなどで「ほっぺちゃん」と消費者の出会いを創出し、「ファンが見つける」→「SNSで語られる」→「新しい世代に届く」→「公式ECやイベントへ戻ってくる」の循環を作り出すことを成長戦略とする。国内だけでなく、海外への進出も視野に入れている。

サン宝石のキャラクター「ほっぺちゃん」
サン宝石のキャラクター「ほっぺちゃん」

民事再生後、通販中心の事業構造を見直し

サン宝石は子ども向けアクセサリーなどの老舗通販会社。雑誌広告で新規顧客を集め、会員に通販用カタログを送るビジネスを展開してきた。

帝国データバンクによると、収益悪化により資金繰りが限界に達し、2021年8月27日に甲府地裁へ民事再生法の適用を申請。同日に保全命令を受けた。2013年9月期の売上高は約42億6400万円だったが、2020年9月期売上高は約4億9100万円と収益が悪化。購買行動の変化、少子化、カタログ通販市場の縮小などが背景にあったという。

その後、玉光堂の子会社である聖和趣味の会とスポンサー契約を締結。聖和趣味の会が吸収合併によりサン宝石事業を吸収、法人としてのサン宝石は解散した。関連会社のみっとめるへん社にサン宝石の事業が移った後、グループ企業4社の合併で存続会社となったメモリーテックつくばがサン宝石の事業を手がけている。

現在は従来の通販中心の事業構造を見直し、自社コンテンツ「サン宝石」と「ほっぺちゃん」を軸に、EC、ライセンス、ポップアップストア、ワークショップ、SNS、アニメ、海外展開を組み合わせた新たな事業モデルへの転換を進めている。

「ほっぺちゃん」をライセンス事業の中核に

「ほっぺちゃん」は2010年にサン宝石が誕生させたキャラクター。2026年5月5日に誕生16周年となった。誕生当時は女子小学生を中心に人気が集まり、現在は当時のファンが大人になったことで再び注目を集めているという。「平成レトロ」「平成女児」といったトレンド、大人が子どものような感性を楽しむ「キダルト消費」といった時代の流れとも重なった。

民事再生後、サン宝石は通販事業のビジネスモデルをそのまま元に戻すのではなく、「ほっぺちゃん」をフックとしたIPブランドの成長をめざすことを決めた。ガチャガチャ、卸売り、ライセンス、ワークショップなどを通じてサン宝石以外の売り場やイベントにも展開。そこで出会ったファンがSNSで自発的に発信し、その声が子どもたちなどの新しいファンへ届く循環が生まれているという。

「ほっぺちゃん」をフックとしてファンとの接点拡大を図る
「ほっぺちゃん」をフックとしてファンとの接点拡大を図る

「ほっぺちゃん」の手作りワークショップ、撮影ブース、寄せ書きコーナー、限定商品、過去作品展示、従前のカタログの展示などを通じて、ファンが「買う」だけではなく、思い出す・作る・参加する・共有する体験を提供する。

海外戦略も進行し、日本ならではの「かわいい」「手作りの温かさ」「ファンとともに育つ」文化を背景に「ほっぺちゃん」を世界へ届けることをめざす。

多様性の象徴として再定義

「ほっぺちゃん」は職人の手しぼりで作られ、色も形も表情もそれぞれ異なる。この特長から、サン宝石は「ほっぺちゃん」を多様性を象徴するキャラクターとして再定義している。

職人の手しぼりで作られる「ほっぺちゃん」
職人の手しぼりで作られる「ほっぺちゃん」

着ぐるみ化、アニメ化、手作りキットでファン接点拡大

サン宝石は近年、「ほっぺちゃん」の着ぐるみ事業を開始した。着ぐるみ化によりイベント、ポップアップ、ファンミーティング、地域連携、企業コラボなどリアルな場での体験価値を広げる。

2026年1月10日からは、「ほっぺちゃん」のアニメ放送を開始。反響は「好評」だという。

「ほっぺちゃん」の着ぐるみ化、アニメ化が進んでいる
「ほっぺちゃん」の着ぐるみ化、アニメ化が進んでいる

近年は職人が「ほっぺちゃん」をしぼる動画がSNSで反響につながり、「自分でも作ってみたい」という声が寄せられているという。こうした声を受け、サン宝石はワークショップや手しぼりキットを展開し体験を提供してきた。16周年では“手しぼりキット”の再販、体験イベントの拡大、企業・クリエイター・キャラクターとのコラボレーションを通じて新たな価値創造をめざす。

「ほっぺちゃん」しぼりワークショップ(左)、「ほっぺちゃん」手しぼりキット(右)
「ほっぺちゃん」しぼりワークショップ(左)、「ほっぺちゃん」手しぼりキット(右)

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[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」

3ヶ月 ago
越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
SBペイメントサービスの調査によると、海外販売を行う企業の64.4%が、国・地域ごとのオペレーションの違いに負担を感じていることがわかった。越境・海外ECの拡大意欲は高い一方、法規制対応や決済環境の整備、日本語サポートの不足が課題となっている。
furukawa2026年5月13日

SBペイメントサービスがこのほど実施した調査によると、海外販売を手がけているまたは検討している企業の間で越境展開への関心は高い一方、国・地域ごとの決済や運用対応が大きな課題になっている。複数国で販売を行う企業の64.4%が国・地域ごとのオペレーションの違いに負担を感じたことがあると回答した。

実施中企業の相談先はJETRO、検討中企業はコンサル会社が上位

海外販売にあたっての相談先を見ると、実施中の企業では「日本貿易振興機構(JETRO)」が31.5%で最多となり、「税理士・公認会計士」が29.3%、「商社」が28.2%、「コンサル会社」が27.9%で続いた。

越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
実施中企業の相談先はJETRO、検討中企業はコンサル会社が上位

一方、実施を検討している企業では「コンサル会社」が23.9%でトップとなり、「取引先金融機関」が21.0%、「地方自治体」が17.8%、「決済代行会社」が17.4%で続いた。

販売先は東アジア・東南アジアが中心、検討先でも上位に

海外販売を実施している国・地域は、「東アジア・東南アジア」が64.4%で最も高く、「北米」が53.0%、「欧州」が43.7%で続いた。

越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
販売先は東アジア・東南アジアが中心、検討先でも上位に

実施を検討している企業でも、「東アジア・東南アジア」が43.8%で最多となり、「欧州」が29.3%、「中国」が25.0%だった。

実施中企業の課題は法規制対応、検討中企業は日本語サポート不足

海外販売を実施している企業に対し、複数国で販売を行う際、国・地域ごとに異なる対応や法規制などのオペレーションについて負担を感じたことがあるか尋ねたところ、64.4%が「感じたことがある」と回答した。一方、「感じたことはない」は6.0%にとどまり、その差は10倍以上となった。

越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
6割強が国・地域ごとに異なる対応や法規制などのオペレーションについて負担

海外事業全般で売上や事業運営に影響が大きい課題として、実施中の企業では「法規制・コンプライアンスへの対応」が33.8%で最多となり、「現地の商習慣や経済情勢、ニーズの把握」が32.1%で続いた。

越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
実施中企業の課題は法規制対応、検討中企業は日本語サポート不足

一方、実施検討中の企業では「導入・運用時における日本語サポートの不足」が22.8%で最も多かった。

海外事業全般で感じている課題に対して、最も必要な支援を聞いたところ、全体では「法規制・コンプライアンスに関する支援」が14.9%でトップ。次いで「現地市場・顧客ニーズ調査・情報提供、商習慣に合わせた対応」(10.5%)、「現地向けマーケティング支援」(9.7%)が続いた。

越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
海外事業全般で感じている課題に対して、最も必要な支援

業種別で見ると、金融・保険業では「現地向けマーケティング支援」(20.0%)、建設業では「法規制・コンプライアンスに関する支援」(23.4%)、商社・卸売業では「法規制・コンプライアンスに関する支援」(21.7%)と「導入・運用時における日本語サポート」(18.3%)が最も必要とされていることがわかった。

クレカ以外に北米はPayPal・Apple Pay、アジアはローカル決済が浸透

海外販売で現在利用している決済手段は、「クレジットカード決済」が47.4%で最多だったが、「現地銀行経由の海外送金」が35.6%、「現地のQRコード/電子マネー決済」が35.4%と続き、ローカル決済の存在感も大きい。


海外販売で現在利用している決済手段

国・地域別に見ると、「クレジットカード決済」以外では、北米で「PayPal」「Apple Pay」、欧州で「Apple Pay」がよく導入されている一方、中国や東アジア・東南アジア、南アジア、オセアニアでは「現地のQRコード/電子マネー決済」が広く使われていた。


クレカ以外に北米はPayPal・Apple Pay、アジアはローカル決済が浸透

決済課題は「手数料」「不正対策」「キャッシュフロー」

海外販売における決済面の課題では、「決済・送金・為替手数料の高さ」が31.9%で最多となり、「不正利用対策・セキュリティ対策」が31.2%、「入金サイクル・キャッシュフロー」が27.6%で続いた。


決済課題は「手数料」「不正対策」「キャッシュフロー」

また、決済課題への対応について「対応方法を検討中・対応できていない」「国・地域ごとに対応状況にバラつきがある」と回答した企業は合計47.5%に上り、約半数が十分に対応しきれていない状況だった。特に海外拠点で販売する企業では55.0%と高く、現地拠点を持つほど運用の複雑さが増していることがうかがえる。


決済課題への対応状況

対応が最も難しい国・地域としては、「中東・アフリカ」が19.4%で最も高く、「中国」が18.8%、「東アジア・東南アジア」が17.0%で続いた。販売拡大の有望市場と、決済対応の難所が重なっている点は、事業者にとって悩ましいポイントと言えそうだ。


対応が最も難しい国・地域

海外販売における決済課題に対して、最も必要な支援を尋ねたところ、全体では「決済・送金手数料や為替コストの削減」が13.5%で最多となった。次いで「不正検知・チャージバック対策」(12.0%)、「最適な現地決済手段の提案・導入」(11.5%)が続いた。


海外販売における決済課題に対する必要な支援

業種別では、コンサルティング・会計・法務・人材では「決済・送金手数料や為替コストの削減」(21.7%)と「決済データ分析による課題の可視化、決済承認率の改善」(19.6%)、不動産・宿泊業では「最適な現地決済手段の提案・導入」(19.6%)、小売業では「決済・送金手数料や為替コストの削減」(19.4%)、飲食業では「不正検知・チャージバック対策」(20.5%)、運輸・物流業では「決済手段ごとの売上データの一元管理」(20.0%)の支援が最も必要とされていることがわかった。

今後5年で4割超が海外販売を拡大へ。小売・卸・飲食では5割超

今後5年以内に海外販売を「拡大する予定がある・拡大を検討している」と回答した企業は43.5%だった。


今後5年以内に海外販売を拡大する予定

業種別では、商社・卸売業、小売業、飲食業で5割を超えており、海外販売への意欲は引き続き高い。


業種別の今後5年以内に海外販売を拡大する予定

拡大したい国・地域では、「東アジア・東南アジア」が42.3%、「北米」が41.6%、「中東・アフリカ」が41.3%で上位となった。


展開を拡大したい国・地域

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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鳥栖 剛

LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ

3ヶ月 ago
LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ
LINEヤフーは2027年3月期の経営方針として「AIエージェント化の推進」を掲げ、一般ユーザー向け「Agent i」と企業・店舗向け「Agent i for Business」を軸にAI活用を本格化する。LINEを起点にした体験進化と既存サービスのAI対応を進め、課金・広告・コマースを含む新たな収益モデルの構築も視野に入れる。
furukawa2026年5月13日

LINEヤフーは2027年3月期の経営方針の柱として「AIエージェント化の推進」を掲げ、ユーザーと企業・店舗の双方でAI体験を再設計する。具体的には、「LINEを起点とした体験進化」と「既存サービスのAI時代適合」を両輪で進め、日常利用の導線にAIを組み込むことで、利用拡大と将来的なマネタイズにつなげる方針だ。

LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ
LINEヤフーは2027年3月期の経営方針の柱として「AIエージェント化の推進」を掲げている(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

一般ユーザー向けは「Agent i」。「LINE起点」でAI利用を広げる

一般ユーザー向けには「Agent i」を展開する。各サービスをAIエージェント化しながら、対応領域を順次広げていく構想だ。特徴は、複雑なプロンプト入力を前提とせず、タップ中心で目的の情報や商品にたどり着ける“ナビゲーション型”の体験をめざしている点にある。

対象領域としては、「買い物」「おでかけ」「天気」「レシピ」「ヘルスケア」など日常生活に近い領域から、「仕事相談」「日程調整」「航空券手配」「住まい探し」「子育て」まで幅広い分野を想定している。

今後は、情報検索やレコメンドにとどまらず、ユーザーの要望に応じてタスクを代行する方向への発展も視野に入れている。

LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ
一般ユーザー向けは「Agent i」を「LINE起点」でAI利用を広げる(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

企業・店舗向けは「LINE公式アカウント」をAI化

企業・店舗向けには「Agent i for Business」を展開。LINE公式アカウントを“ビジネス向けAIエージェント”へ進化させる方針を示している。

接客領域:AIモードで顧客対応を自動化

接客領域では、LINE公式アカウントの「AIモード」を活用し、顧客対応をAIが補完する。多重同時対応や営業時間外対応を可能にすることで、ユーザー利便性と店舗側の運用効率を両立させる狙いだ。LINE公式アカウントのビジネスアカウント数は100万超としており、LINEヤフーはこの既存基盤をAI展開の重要アセットと位置付けている。

運用・分析領域:「Agent i BI」で施策実行を支援

運用・分析領域では、「Agent i BI」を展開する。マーケティング施策の立案から実行、分析までをAIが支援し、担当者の業務効率化と高付加価値業務へのシフトを促す考えだ。LINEヤフーは、こうした領域を“運用のエージェント化”と位置付けている。

LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ
企業・店舗向けにLINE公式アカウントを“ビジネス向けAIエージェント”へ進化させる(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

マネタイズは「ユーザー/クライアント課金・広告・コマース」

AIエージェント化は現時点では利用拡大フェーズにあるが、LINEヤフーは2027年3月期以降のマネタイズ方針も示している。「AI時代に即した新たなマネタイズモデル」として、次の4方向を整理している。

  • ユーザー課金:LYPプレミアム会員を基盤に、コンシューマー向けAI課金プランを拡充
  • 広告:エージェント上で「Agent型広告」を提供(現在テスト中)
  • コマース:AIによる購買支援を通じてコンバージョン改善や手数料収益につなげる
  • クライアント課金:LINE公式アカウントの「AIモード」で課金を盛り込む

単なる広告表示だけではなく、AIとの対話や提案導線の中に収益機会を組み込む構想を描いている。

LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ

現在は「利用拡大と磨き込み」を優先

AI関連コストについては、「ソフトバンクグループ全体の枠組みの中でコントロール可能」と説明。2025年度のAIコストは約100億円、2026年度も同程度を見込んでいるという。また、現時点では収益貢献よりも、プロダクトの磨き込みと利用拡大を優先する段階と位置付けている。社内KPIとしては、売上よりも「アクティブユーザー数」を重視しているとしている。

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ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上は405億円で8.7%増、EC化率は25.8%

3ヶ月 ago
ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上は405億円で8.7%増、EC化率は25.8%
ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上高は前期比8.7%増の405億6400万円だった。デジタル戦略の進展で会員基盤の拡大が進み、高額購買会員の増加や会員売上高構成比の上昇がみられた。
furukawa2026年5月13日

ユナイテッドアローズの2026年3月期におけるEC売上高は、前期比8.7%増の405億6400万円だった。単体売上高に占めるEC比率は同0.5ポイント減の25.8%。また客数は同6.9%増、客単価は同0.4%増だった。

ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上は405億円、8.7%増
EC売上高は前期比8.7%増の405億6400万円(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ユナイテッドアローズでは、デジタル戦略の進展により顧客基盤の強化が進んでいる。特に、優良顧客の会員数や会員売上高構成比が拡大しているという。

年間10万円以上購入する「UAクラブ高額購買会員」は、2026年3月期時点で約18万人となり、2023年3月期比で約60%増。売上高シェアは50.9%で、同4.3ポイント上昇した。

ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上は405億円、8.7%増
優良顧客の会員数推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

会員基盤全体でも拡大が進んでいる。アクティブ会員数は164万1000人に達し、2023年3月期比で25.6%増となった。会員売上高は844億円で同43.7%増、会員売上高構成比は54.8%となり、同5.2ポイント上昇した。

ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上は405億円、8.7%増
UAクラブ会員の推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

このほか、会員維持率は58.2%で2023年3月期から4.6ポイント上昇。F2以上の会員比率は50.8%で同1.7ポイント上昇した。クロスユーザー数は24.5万人で、同48.9%増となった。

ユナイテッドアローズは、アクティブ会員数が前中期経営計画末から33万人拡大し、会員維持率やF2以上会員比率も向上したことで、会員の定着が進んでいるとしている。

アクティブ会員数とF2以上の会員比率の推移を見ると、アクティブ会員数は2023年3月期の130.6万人から、2024年3月期に136.9万人、2025年3月期に151.0万人、2026年3月期に164.1万人へと増加した。

F2以上の会員比率は、2023年3月期が49.1%、2024年3月期が49.0%、2025年3月期が50.2%、2026年3月期が50.8%と堅調に推移している。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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ユナイテッドアローズ、持株会社制へ移行。名称は「株式会社TABAYAホールディングス」

3ヶ月 ago
ユナイテッドアローズ、持株会社制へ移行。名称は「株式会社TABAYAホールディングス」
ユナイテッドアローズは10月1日付で持株会社体制へ移行し、商号を「株式会社TABAYAホールディングス」に変更する。上場を維持しながら、グループ経営の高度化やM&Aを含む多角化を進める。
furukawa2026年5月13日

ユナイテッドアローズは10月1日付で持株会社体制へ移行し、商号を「株式会社TABAYAホールディングス」に変更する。上場は維持したまま、グループ経営の高度化やM&Aを含む多角化を進める。

ユナイテッドアローズ、持株会社制へ移行。名称は「株式会社TABAYAホールディングス」
ユナイテッドアローズは持株会社制へ移行し名称を「株式会社TABAYAホールディングス」に変更する(画像は公式サイトのトップ画面を編集部がキャプチャ)

持株会社体制への移行に向け、4月1日付で100%出資の分割準備会社「株式会社ユナイテッドアローズ」を設立した。今後、現在のユナイテッドアローズを吸収分割会社、分割準備会社を吸収分割承継会社とする吸収分割方式で事業を承継する予定だ。

これにより、現在のユナイテッドアローズは「TABAYAホールディングス」としてグループ全体の戦略立案やガバナンス強化を担い、新会社の「ユナイテッドアローズ」が既存事業を引き継ぐ。

5月11日に吸収分割契約に関する取締役会決議と契約締結を実施し、6月22日の株主総会での承認を経て、10月1日に持株会社体制へ移行する計画。分割準備会社設立による現時点での連結業績への影響は軽微としている。

持株会社体制への移行後は、TABAYAホールディングスが「M&Aを含む多角化の推進」「グループ経営の高度化」「ガバナンスの強化」「子会社経営の自立性向上」を担う。

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500mlボトルが約50円。低価格でも“増収増益”の成長を続けるライフドリンク カンパニーが重要視する3つの戦略

3ヶ月 ago

2022年頃から本格化した値上げラッシュ。飲食料品における値上げの勢いは、2025年に比べて小康状態で推移しているものの、消費者の節約意識は高まり続けている。そんななか、低価格を維持しながら「増収増益」を達成しているのが、飲料製品を製造・販売するライフドリンク カンパニーだ。たとえば「OZA SODA(オーザソーダ)」は500ミリリットルのボトルの価格が1本約50円~(2026年4月時点)で、「楽天市場」の水・ソフトドリンクカテゴリーでは5年連続ランキング1位を獲得した。ライフドリンク カンパニーの執行役員 浅井祥平氏とEC事業部の越前真央氏に、「低価格を維持するための3つの重要戦略」を聞いた。

拡大傾向の「清涼飲料水市場」。なぜ値上げが続くのか

富士経済によると、近年、国内の清涼飲料水市場は右肩上がりで伸びており、2026年は前年比4.8%増の5兆8601億円に達すると予測されている。緑茶やほうじ茶などの「日本茶」や「麦茶」のほか、健康意識の向上や止渇需要の高まりを背景に「無糖炭酸飲料」も好調だ。2026年の無糖炭酸飲料市場は、2024年比で113.5%の1480億円になると予測されている。

清涼飲料水市場は右肩上がりで伸びている(出典:富士経済のプレスリリース)
清涼飲料水市場は右肩上がりで伸びている(出典:富士経済のプレスリリース

飲料市場全体は拡大傾向ですが、品目により増減が明確化しています。生活必需品といえる水・お茶・無糖炭酸飲料は増加している一方、缶コーヒーなど需要が下がっている一部の嗜好品もあります。直近のトレンドとしては、世界的な「抹茶ブーム」が国内の緑茶市場にも多大な影響を与えています。緑茶(煎茶)の生産者が抹茶の生産にシフトする動きがあり、緑茶の生産数が減少しています。しかし、ペットボトル飲料の緑茶市場は拡大しており、結果的に緑茶の価格が高騰しています。(浅井氏)

浅井氏によれば、近年の飲食料品の値上げラッシュは、天候不良などによる原材料の高騰、為替、人件費や物流費の上昇が主な要因になっているという。データバンクによれば、2026年3月の食品値上げは684品目で、そのうち加工食品が304品目と最多になった。

たとえば、伊藤園では、緑茶飲料「お~いお茶」など138品目を2026年3月1日出荷分から値上げした。値上げ幅は5~33.3%で、主力の600ミリリットル入りボトルの希望小売価格は216円から237円に上がった。コカ・コーラボトラーズジャパンも、「綾鷹」ブランドの緑茶飲料22品目を2026年3月1日出荷分から値上げ。値上げ幅は6.3~12.1%で、650ミリリットル入りボトルの希望小売価格は税別200円から220円に上がった。

「OZA SODA(24本入り)」は、最安値の定期便だと1本49.3円(画像はライフドリンク カンパニーのECサイトからキャプチャ)
「OZA SODA(24本入り)」は、最安値の定期便だと1本49.3円
(画像はライフドリンク カンパニーのECサイトからキャプチャ)

「こうした背景により、消費者の“節約志向”が顕著に高まっています」と越前氏。ライフドリンク カンパニーの無糖炭酸飲料「OZA SODA」は、自社EC利用者の約7割が、500ミリリットル1本が約49.3円と最安値で設定している定期便を利用している。他社モールで販売している製品も、1本約60円(時期により多少変動)と類似製品と比較して低価格帯に設定しており、こちらも好調だという。同製品は、「楽天市場」の水・ソフトドリンクカテゴリーで5年連続ランキング1位を獲得した。

ライフドリンク カンパニー EC事業部の越前真央氏(画像提供:ライフドリンク カンパニー)
ライフドリンク カンパニー EC事業部の越前真央氏(画像提供:ライフドリンク カンパニー)

「脱・付加価値戦略」で万人受けを狙う

1950年にお茶の卸事業で創業し、1972年に会社として設立されたライフドリンク カンパニー。過去には氷、乾麺、運輸、太陽光発電など事業を多角化してきた時期もあるが、2015年にPEファンド(非公開株式に投資するプライベート・エクイティ・ファンドの略称)のサンライズキャピタル(東京都港区)に株式を売却し、資本業務提携をしたことを機に「ドリンク事業への一本化」に踏み切った。2023年6月には、プライム市場に上場した。

現在、売り上げの約6割を占めるのが、イオンや西友など約30社のPB商品の製造となる。残り4割は「OZA SODA」をはじめとした水、お茶、炭酸水の自社製品で、これらはECを中心に販売している。自社ECと「Amazon」「楽天市場」が中心だが、近年は、メルカリが提供する「メルカリShops(ショップス)」や「ふるさと納税」など販路を広げているところだ。

ライフドリンク カンパニーは、「水」「お茶」「炭酸飲料」を扱う飲料事業者だ(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)
ライフドリンク カンパニーは、「水」「お茶」「炭酸飲料」を扱う飲料事業者だ
(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)

そんな同社がコンセプトとして掲げるのが、日常使いしやすい「脱・付加価値」と「低価格」だ。“おいしさの中心”を意識して、赤ん坊から高齢者まで誰もが飲みやすい味わいを追求、飲料としての“本質的な価値”を満たすことを重視する。そのうえで、市場における最低価格帯をめざしている。PB製品においても同様の価値を提供しているという。

めざしているのは「おいしさの中心」で、誰にとっても飲みやすい味わいだ(画像提供:ライフドリンク カンパニー)
めざしているのは「おいしさの中心」で、誰にとっても飲みやすい味わいだ
(画像提供:ライフドリンク カンパニー)

日常のあらゆるシーンで飽きずに飲んでいただけることを重視しており、たとえば、「OZA SODA」は「プレーン」「レモン」「ピンクグレープフルーツ」「ライム」「シリカ」の5種類に限定しています。一方で、新規需要開拓を目的にターゲットを絞った期間限定フレーバーも展開していて、最近では、若年男性が好む「エナジードリンク風味」(販売終了)や女性層を意識した「ライチ」を販売しました。(越前氏)

そうした戦略が功を奏して、2026年4-12月期(第3四半期)業績は、売上高が前期比18%増の406億円営業利益は同10%増の46億円と増収増益を達成。なお、通期ベースでは2017年3月期から9年連続の増収、営業利益は2020年3月期から増益を続けている。

低価格を維持するための3つの重要戦略

飲料大手が続々と値上げを実施するなか、ライフドリンク カンパニーは、なぜ値上げ幅を抑制し、最低価格帯を維持できているのか。浅井氏によれば、次の3つの戦略が低価格を支える柱になっているという。

1. 少品種大量生産

現在、ライフドリンク カンパニーが製造・販売するのは「水」「お茶(茶葉製品を含む)」「炭酸飲料」の3領域のみ。サイズも「500ミリリットル」と「2リットル」の2種を中心としている。最も需要の多い品種のみを大量に生産することで、生産効率を最大限に高めているという。PB事業においても、低価格を優先し、得意先ごとにペットボトルやキャップの形状を変更することはしていない。ラベルだけを変えて製造している。

生産効率向上のためには、製造を止める時間を作らないのが重要です。もし、ペットボトルの形状がたくさんあるとしたら、形状を変更するたびに機械を止めて、6~8時間をかけて金型を交換しなければなりません。当社では、ペットボトルの形状を限定し、500ミリリットルと2リットルの2つのラインを設けることで、連続生産を可能にしています。(浅井氏)

ラインアップは「水・お茶・炭酸飲料」のみ、サイズは「500ミリリットル」と「2リットル」が中心だ(画像はライフドリンク カンパニーのサイトからキャプチャ)
ラインアップは「水・お茶・炭酸飲料」のみ、サイズは「500ミリリットル」と「2リットル」が中心だ
(画像はライフドリンク カンパニーのサイトからキャプチャ)

2. 製造工程の内製化

物流費の削減を目的に、「ペットボトル」の内製化も行っている。ライフドリンク カンパニーでは、海外からレジン(樹脂)を買い付け、自社工場で一からペットボトルを製造している。同様の手法を取っているメーカーもあるが、多様な形状を扱う場合、すべての製造ラインを自社で賄うのは現実的ではなく、100%の自社製造は難しくなる。そんななか、ほぼ100%のペットボトルを自社で製造していることがライフドリンク カンパニーの強み、すなわち「低価格」を支える戦略になっているそうだ。

メーカーによっては、一部は自社で製造して、残りは完成したペットボトルを購入する。あるいは、プリフォームと言って、ボトル形状に膨らませる前段階の「試験管」のような形状をした中間製品を購入する場合もあります。特に完成品を輸送する場合は、ほぼ“空気”を運んでいるようなもので、非常に輸送効率が悪いんです。(浅井氏)

ペットボトルは自社で、ほぼ100%内製化している(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)
ペットボトルは自社で、ほぼ100%内製化している
(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)

こうして輸送費を削減したうえで、製品ごとのペットボトルの厚みの調整も行っている。炭酸飲料ではガス抜けを防ぐために一定の厚みが必要だが、それ以外の製品は、品質に影響のない範囲で薄肉化して材料費の削減につなげているという。

3. 工場の全国展開

小中規模の工場を全国的に構えることも、物流費の抑制につながっている。現在、ライフドリンク カンパニーでは岩手から宮崎まで全国14か所に工場を展開。新規建設に加え、M&Aによる工場取得を積極的に進めている。2024年3月には、静岡県御殿場市に新設工場が誕生。2026年1月には、子会社の群馬ビバレッジがポッカサッポロフード&ビバレッジ・群馬工場を取得し、新たに生産を開始している。

グループ全体で全国に14の飲料工場を展開し、物流費を抑制(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)
グループ全体で全国に14の飲料工場を展開し、物流費を抑制
(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)

物流費は年々上昇していますが、工場を全国展開することで各店舗までのデリバリーコストを極小化しています。また、BCP(事業継続計画)の観点でもメリットがあり、地震などの災害時に一部工場の生産が停止しても、その他地域の工場で生産を継続できます。M&Aを拡大戦略の一つに据えているのは、新設よりも大幅に時間やコストを削減できるためです。(浅井氏)

競合より“わずかでも安い”ことが選ばれる理由に

日本のインフレ率は、2022年から上昇し、2023年には1992年以降最高となる3.27%を記録した。2026年度は1%台後半に鈍化するという予測もあったが、中東情勢悪化による影響が懸念され、野村證券では2026年半ばにも再び2%を上回ると予想している(参考:野村リサーチ「日本経済見通しを修正 原油高踏まえ、物価見通しを大幅に上方修正 野村證券・森田京平」)

そして、賃上げ率はというと、2023年以降に急上昇している。2024年は賃上げ率(全規模)で5.10%、賃上げ率(中小)で4.45%となり、約30年ぶりの水準となった(参考:中小企業庁「2025年版 中小企業白書(HTML版)」)。こうしたなか、「消費の二極化が顕著になっている」と浅井氏は指摘する。

現在は、ようやく賃金上昇が物価高騰に追いついてきたところかもしれません。とはいえ、消費者の節約志向は続いていて、「商品の二極化」がますます進んでいる印象です。嗜好品や贅沢品には相応のコストを支払うけれど、日常の食品や日用品といった生活必需品は、できる限り節約したい方が大半だと考えます。そうした領域では、競合よりわずかでも安いことが「選ばれる理由」になってきます

一方で、あらゆるコストが上がるなかで、適切に価格転嫁していくことも求められます。そのため「低価格」は維持しつつも、各小売店やECサイトの状況を見ながら随時、判断していきたいと考えています。(浅井氏)

「脱・付加価値」「低価格」の戦略を継続しつつ、今後は自販機事業にも参入していくと浅井氏は話した(画像提供:ライフドリンク カンパニー)
「脱・付加価値」「低価格」の戦略を継続しつつ、今後は自販機事業にも参入していくと浅井氏は話した
(画像提供:ライフドリンク カンパニー)

ライフドリンク カンパニーでは、引き続き「脱・付加価値」「低価格」を掲げつつ、新規顧客獲得につながりやすい数量限定商品も積極展開していく方針だ。さらに、今後は自社製品の販路を自動販売機にも広げていく。この3月に新たに設立した子会社にて、ポッカサッポロフード&ビバレッジの自動販売機事業を継承。全国にある4万台が承継される見込みだ。

※記事初出時、商品ラインアップ画像の出典元に誤りがあったため、5/18 12時00分に訂正しました。修正してお詫び申し上げます。(編集部)

この記事の筆者

[ 執筆 ] 小林 香織

フリーライター/北欧イノベーション研究家

「自由なライフスタイル」に憧れて、2016年にOLからフリーライターへ。【イノベーション、キャリア、海外文化】などの記事を執筆。2020年に拠点を北欧に移し、デンマークに6か月、フィンランド・ヘルシンキに約1年長期滞在。現地スタートアップやカンファレンスを多数取材する。2022年3月より東京拠点に戻し、北欧イノベーションの研究を継続する。

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クラダシが自社開発した“滞留予測AI”とは?過剰在庫の未然防止システムを提供開始

3ヶ月 ago
クラダシが自社開発した“滞留予測AI”とは?過剰在庫の未然防止システムを提供開始
クラダシはサービスの提供を通じて「フードロスを生まない」仕組みの構築を支援し、サプライチェーン全体の最適化を図る。従来からの事業でクラダシが買い取り、売り切ってきたマーケットプレイスとしての実務基盤を生かす
ohshima2026年5月13日

クラダシはこのほど、食品メーカー向けにフードロスを未然に防ぐための滞留在庫予測サービス「Kuradashi Forecast」の提供を開始すると発表した。いつ・どれだけ余るかを可視化し、最適な販促アクションを提示する。

運営するフードロス削減のECサイト「Kuradashi」での販売を通じて独自の滞留予測エンジンを自社で開発。食品メーカーが抱えた過剰在庫は「Kuradashi」での買い取りも提案する。

「Kuradashi Forecast」は、メーカーの在庫管理・販売管理データをAPIやCSVで連携し、滞留予測エンジンによって「滞留リスクの高い危険SKU」を早期に判定するサービス。滞留の可能性がある商品を可視化し、的確なアクションを促す。また、蓄積されるデータを導入企業が商品設計や生産計画に活用することで、「フードロスを生まない」仕組みの構築を支援する。

「Kuradashi Forecast」の主な機能と特長は次の通り。

  • 危険SKUの早期判定:在庫量、賞味期限、出荷ペースを統合し、残日数・在庫量・ 消化速度に過去の販売知見を掛け合わせ、いつ、どれだけ余るかを予測する。
  • 推奨アクションの提示:最適な「推奨売価帯」の提示、「Kuradashi」での買い取り提案など、具体的なアクションを提示する。
  • 実務データに基づくロジック:市場の価格反応に基づいた実効性の高いロジックを提供する。これまでにクラダシが買い取り、売り切ってきた実務基盤をベースとする。
「Kuradashi Forecast」の機能や特長
「Kuradashi Forecast」の機能や特長

クラダシはこれまで、フードロスの危機にある商品を買い取り、「Kuradashi」で販売する「1.5次流通」を行ってきた。発生したロスを救うだけでなく、ロスの発生を未然に防ぐアプローチも必要だという考えから、独自の滞留在庫予測エンジンを開発した。

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この記事の筆者

[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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大嶋 喜子

ハルメク、フジサンケイのBSフジと協業。50代以降女性向けのライフスタイル情報番組を放送開始【5/17から】

3ヶ月 ago
ハルメク、フジサンケイのBSフジと協業。50代以降女性向けのライフスタイル情報番組を放送開始【5/17から】
BSフジの発信力とハルメクの強みを掛け合わせ、健康・住まい・お金・旅など、50代からの女性が関心を寄せるテーマを紹介する番組を開始する
ohshima2026年5月13日

ハルメクホールディングス傘下のハルメクはこのほど、BSフジとの共同企画によるTV番組「いろどりびより ~人生を彩るトキメキの時間~」の放送を5月17日から開始すると発表した。

BSフジの発信力と、読者のリアルな声をもとに雑誌を作ってきたハルメクの強みを掛け合わせ、新たなライフスタイル情報番組を展開。自社の雑誌「ハルメク」を通じて発信してきたライフスタイル情報をテレビを通じて視聴者に届ける。


番組ロゴと、出演するお笑いコンビ「阿佐ヶ谷姉妹」

番組では、雑誌「ハルメク」で紹介している健康・住まい・お金・旅など、50代以降の“ハルメク世代”の女性が関心を寄せるテーマを取り上げる。視聴者の共感や新たな発見を楽しめる構成で、テレビと雑誌「ハルメク」の双方で楽しめる内容とする。

雑誌「ハルメク」と連動したコーナーでは、連載「リンパのミカタ」の木村友泉さんがゲストとして登場し、日常に取り入れやすいリンパケアのポイントを紹介。また、「ハルメク」2026年5月号に登場した片付けのプロ・大津たまみさんは、「かがみたくない」「時間をかけたくない」などのニーズに応える家事スタイル「ないない家事」を伝授する。

番組概要

  • 番組名:いろどりびより ~人生を彩るトキメキの時間~
  • 放送局:BSフジ
  • 放送予定 :2026年5月17日午後6時~
  • 出演者:阿佐ヶ谷姉妹(お笑いコンビ)、柳原可奈子さん(タレント)、野々村真さん(俳優)、野々村俊恵さん(タレント)、木村友泉さん(リンパケアマスター)、大津たまみさん(掃除・片付けのプロ)
  • 主な内容:健康、住まい、お金に関連するノウハウ・トピックス

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この記事の筆者

[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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大嶋 喜子

イオンの「共創型」リテールメディアの全ぼう+顧客価値創出の実践事例がわかるリアルECセミナー【5/26開催】

3ヶ月 ago
イオンの「共創型」リテールメディアの全ぼう+顧客価値創出の実践事例がわかるリアルECセミナー【5/26開催】takano-mai2026年5月12日イベント・セミナー

5月26日(火)に東京・日比谷国際ビルコンファレンススクエアで「ネットショップ担当者フォーラム 2026 春 ~ eコマースコミュニケーションDay ~」を開催します。イオン、SHEIN、キタムラ、アルビオン、アテニア、DECENCIA、キタムラなど著名企業の実践的事例や最新戦略を学べるセッションを多数ご用意! 全公演無料で聴講できます(事前登録制)。まだお申し込みをしていない人のために、編集部おすすめコンテンツの見どころを紹介します。

見どころ③ イオンの購買データ×店舗接点で実現する「共創型」リテールメディア
~メーカー連携による顧客価値創出の実践事例~

5月26日(火)10:30~11:20 A-1

セッションでは、広告枠としてのリテールメディアの販売に留まらず、「購買を動かす接点設計」を軸に、メーカーとの連携を通じたイオン流の顧客価値創出の取り組みをご紹介します。

セッションに登壇する赤坂氏は、デジタルコンサルティングや新規事業開発の実務経験を持つ人物。国内最大級の店舗網を有するイオンで、リテールメディアの推進を担っています。

サイネージをはじめとした店舗接点と購買データをどのように掛け合わせ、どのように効果検証を行っているのか、実践事例を交えて解説。リテールメディアの具体的な運用や、販促効果の可視化に関心のあるEC・小売担当者にとって学びを得られる内容を届けます。

イオン株式会社 リテールメディア推進部 部長 赤坂徳聖氏

イオングループ全体のメディア・データ基盤を統合し、リテールメディアを起点とした新たな価値創出を推進している。デジタルコンサルタント、モバイルマーケティング、新規事業開発など幅広い領域で実務・マネジメントを経験してきた実績を持つ。

ネッタヌネッタヌ

年間10兆円以上の売り上げ、年間数十億人以上の来店者、1億人以上の「WAON POINT」会員、全国1万7,000の店舗網を持つイオンさん。単なる広告事業ではなく、生活者と共に成長する“共創ドリブン型”のマーケティングをめざしています。

セッションでは、イオンさんのリテールメディアの現在地、全国のリアル店舗のネットワークを生かした取り組みなどを、実例とともに詳しく解説します。リテールメディアの活用に関心がある方は必聴の内容です!

講師との名刺交換、3講演以上聴講で豪華賞品が当たる抽選会も

会場には、Wi-Fi、電源をご用意。講演後には講師との名刺交換の時間もあります(一部講演を除く)。また、3講演以上聴講すると、和牛やワイヤレスイヤホンなど豪華景品が当たる抽選会も実施します。

セミナー後に懇親会を開催

セミナー後、5月26日(火)18時30分~20時00分まで、セミナーに登壇した講師、EC事業者、外部招聘ゲスト、スポンサー企業などが参加する懇親会を開催します。

「こんな時どうしている?」「EC運営にAIをどのように活用しているか知りたい」「横のつながり作りをしたい」など、講演者やEC事業者さん同士の情報交換、課題の共有などが行えるリアルな交流の場です。

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「次のステージへジャンプする」ためにJoshinが取り組むOMO戦略と自社サイト販売比率5割の施策

3ヶ月 ago
「次のステージへジャンプする」ためにJoshinが取り組むOMO戦略と自社サイト販売比率5割の施策
Joshin(旧上新電機)は中期成長戦略「JT-2028経営計画」で、2029年3月期にEC売上高に占める自社ECサイトの販売比率5割の実現を掲げた。OMO推進やPB商品への本格参入、実店舗改革を通じて、収益力の強化を図る。
furukawa2026年5月12日

家電量販店を展開するJoshin(旧上新電機)は、営業利益100億円超をめざす新中期成長戦略「JT-2028経営計画」を進める。ECと実店舗を融合させるOMO戦略を重要テーマの1つに位置付け、2029年3月期までにEC売上高に占める自社ECサイト販売比率50%の実現を掲げた。2027年3月期はその通過点として、自社EC比率を現状の44%から46%へ引き上げる計画だ。

「次のステージへジャンプする」ためにJoshinが取り組むOMO戦略と自社サイト販売比率5割の施策
「JT-2028経営計画」達成に向けたロジックツリー(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

「JT-2028経営計画」では、2027年3月期〜2028年3月期を「変革フェーズ」と位置付け、中長期的に勝ち続けるための基盤固めを進める。最終年度となる2029年3月期以降は「飛躍フェーズ」とし、創業100周年を見据えた“次のステージへのジャンプ”をめざすとしている。

2027年3月期は自社EC比率を46%へ引き上げ

EC戦略の柱として掲げるのは、「自社ECサイト販売比率50%の実現」と「家電販売比率の向上」だ。2027年3月期は、次の4施策を重点的に進める。

  • 自社サイトへの流入数(来店数)拡大
  • リアル店舗とECの相互利用を促進するOMO戦略
  • 家電製品の販売拡大
  • 自社サイトの成約数拡大

数値目標として、自社ECサイト販売比率を44%から46%へ引き上げるほか、相互利用稼働会員数を前期比15%増、自社サイト稼働会員数を同7%増、家電販売額を同2%増とする計画だ。

「次のステージへジャンプする」ためにJoshinが取り組むOMO戦略と自社サイト販売比率5割の施策
重点戦略とするECの取り組み(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

また、ECの配送対応については「一部離島・山間部などを除く」としながらも、リサイクルを伴う大型家電の配送・設置サービスを全国へ拡大する方針を示した。

PB商品に本格参入、家電全般へ拡大も視野

PB(プライベートブランド)事業にも本格参入する。Joshinは2025年10月、商品部内に「商品開発室」を新設。OEM協業先の開拓を進め、2026年度から中小型家電を中心にPB商品の投入を開始する。

2027年3月期に発売予定の商品として、電池、電球、ハンディクリーナー、電子レンジ、炊飯器、電気ケトルなどをあげている。2027年3月期の計画では、PB商品の売上高構成比を4.6%、PB商品150SKUの開発を目標に据えた。

さらに中長期では、PB対象を中小型家電からエアコンなど大型家電を含む家電全般へ拡大する方針。2029年3月期には、PB売上高構成比10%、PB商品数500SKU超を目標としている。

「次のステージへジャンプする」ためにJoshinが取り組むOMO戦略と自社サイト販売比率5割の施策
PB商品戦略について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

不採算店舗整理やアウトレット・リフォーム事業も強化

実店舗戦略では、「リアル店舗数に依存しない持続可能な事業体制への転換」を進める。不採算店舗の撤収やスクラップ&ビルドを進め、最大15店舗程度を整理する見通し。一部店舗はアウトレット業態へ転換し、地域競争力の強化を図る。

また、リフォーム事業も重点領域と位置付ける。従来のパッケージ型リフォームに加え、オーダーリフォーム領域へ参入。関西エリアを中心に事業展開地域の拡大を進めるほか、外部企業との協業・提携・M&Aも積極的に推進する。またJoshin店舗と自社ECサイト双方でリフォーム受注体制を整備・強化する。

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この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
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鳥栖 剛

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」

3ヶ月 ago
AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
ZOZOは、AIエージェントの普及で「検索して探す」購買行動が変わる可能性を見据え、ECを“提案の場”へ進化させる戦略を打ち出した。中期経営計画では「MORE FASHION」領域の拡大を軸に、対話型AIや着回しAIの活用を進め、検索の次の時代に対応する。
furukawa2026年5月12日

AIエージェントの活用によって「対話型検索」が一般化すれば、将来的には「検索してリンクをクリックする」といった消費行動が減っていく可能性がある。ZOZOはこうした変化を前提に、ECに求められる役割はユーザーのニーズをくみ取り、最適な商品やコーディネートを提案し、そのまま購入につなげるものへと変わっていくと見ている。こうした環境変化に対し、ZOZOは中期経営計画のなかでAIエージェント時代をリスクとして受け止めるだけでなく、「提案の場」になるチャンスをつかむ姿勢を鮮明にしている。

中計の「MORE FASHION」領域でAI対応を明示

ZOZOの中期経営計画では、事業領域を「MORE FASHION」「NEAR FASHION」「GLOBAL」の3つに整理し、「ZOZOTOWN」を中核としながら、その周辺領域にも収益基盤を広げていく方針を示した。このうち「MORE FASHION」は、既存成長の中核を担う領域と位置付ける。収益力を原資に規律ある投資を進めながら、これまで接点を持てていなかった新規ユーザーとの出会いを広げていく考えだ。

具体策としては、ポップアップストア「ZOZOTOWN NAGOYA」や、ファッションと音楽を掛け合わせた「ZOZOFES」など、リアル接点の拡大を進める。加えて、ブランド数の拡充によって、ファッションを買う場としての想起をさらに強めていく方針だ。そして、その延長線上にある重要テーマとして、AIエージェント時代への対応を掲げている。

「検索→クリック→購入」から「ニーズ→推奨→即購入」へ

ZOZOが問題提起するのは、AIエージェントの普及によって、従来の「検索→リンクをクリック→情報収集→購入」という購買導線が短縮され、「ニーズを伝える→推奨される→そのまま購入する」という流れに置き換わる可能性がある点だ。

こうした変化のなかで、ZOZOは汎用(はんよう)的な検索の最適化を追うのではなく、ファッションに特化したAIを磨き、ユーザーの「ニーズ」や「興味」が生まれる段階から関与する戦略を描く。検索される場であり続けるのではなく、ユーザーにとって最初に相談し、提案を受ける場へと進化することが狙いだ。

そのカギを握るのが、ZOZOが保有する独自データだ。流行や情緒的な商品データ、そして購買に近い顧客データを生かすことで「ファッション特化AIエージェントのチャンス」をつかみにいく考えを示している。

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
ファッション領域に特化したAIエージェントの可能性を広げていく(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

対話型AIを「服選びの相談相手」に「WEAR」やLINEで提案機能を展開

ZOZOはAI活用を、「日常の服選びを支援する提案機能」として具体化している。対話型AI(LLM)の活用を進めており、「ChatGPT」アプリ上で「WEAR」のコーディネートを提案する取り組みを展開。LINE公式アカウントでは、「ZOZOの似合うコーデAIラボくん」として、対話を通じて服選びを支援する導線も整えている。

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
ChatGPTアプリ上でWEARのコーディネート提案を行う取り組みやLINE公式アカウント活用を進めている(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

「WEAR」ではAIに学習させる「似合う」データの整備も進めている。具体的には、「好みのジャンル」「体型の悩み」「味付け」「与える印象」という4つの要素を搭載。新たにコーデごとの「味付け」や「与える印象」も加えることで、より個人に合った提案につなげる狙いだ。

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
「WEAR」ではAIに学習させる「似合う」データの整備も進めている(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ZOZO保有データとAIの掛け合わせで、“買った後”まで支援

ZOZOのAI活用は、購入前の提案にとどまらない。購入後の活用を見据えた「アイテム着回しAI」も実装。初期効果として利用者の翌月再訪問率が1.1倍になるなどの成果が出ているという。

この取り組みの特長は、AIが参照する情報が一般的なファッション知識だけではない点にある。ユーザーのお気に入り登録商品や購入済みアイテム、好みに関する情報に加え、ZOZO独自のコーディネートTipsなど、自社が蓄積してきたデータを活用することで、購入後も継続的にスタイリングを支援する構想を描いている。

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
購入後の活用を見据えた「アイテム着回しAI」も実装(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

「LYST」でも「主戦場はAIエージェントへ」

AIエージェント時代への備えは、国内の「ZOZOTOWN」にとどまらない。グループに加わった、欧米を中心に展開するファッションショッピングプラットフォーム「LYST」についても、「主戦場はAIエージェントへ」と明示している。

そのなかでZOZOは、自社が持つデータ知見やノウハウが、「LYST」の成長にも有効に働くとみている。

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
自社が持つデータ知見やノウハウが「LYST」の成長にも有効としている(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

社内でもAI活用を可視化、独自指標「AZARS」を導入

ZOZOは、AIをサービスに実装するだけでなく、社内活用の基盤整備も進めている。独自指標「All ZOZO AI Readiness Score(AZARS)」を導入し、主観的になりがちなAI活用度を全社共通の基準で可視化・評価、活用レベルの底上げを図る。AI活用を一部の部署や担当者にとどめず、組織全体の競争力として高めていく狙いがある。

現時点で送客効果は限定的

もっとも、「ChatGPT」やLINEを通じたAI関連施策の送客効果は、現時点ではまだ限定的という。ZOZOによると、「ChatGPT」ではユーザーが明示的に操作しなければ機能を利用しにくい面があり、LINEについても全面展開には至っていない。

それでもZOZOは、こうした取り組みを先行して進めることに意味があると見る。実際の対話データを元に改善を重ねることで、提案精度やユーザー体験の向上につなげていく考えだ。

なお、外部LLMへのデータ流出については、ZOZOの保有データをそのまま外部に取り込ませる構造ではなく、ユーザーの入力を自社側でファッション文脈に変換し、適切な商品やコーディネートを返す仕組みを想定しているため、大きなリスクはないとしている。

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鳥栖 剛

ChatGPT広告をセルフサービスで提供

3ヶ月 ago

オープンAIは、「ChatGPT」の広告のパイロットテストを発展させ、広告主が直接広告を管理できるセルフサービス型の広告マネージャーをベータ版として提供。また、インプレッション単価(CPM)に加えてクリック単価(CPC)での入札にも対応。コンバージョンAPIとピクセルベースの計測にも対応。

New ways to buy ChatGPT ads
https://openai.com/index/new-ways-to-buy-chatgpt-ads/

Kenji

ケーズホールディングスのEC売上倍増をめざす取り組みとは? 2027年3月期にEC刷新で新サイトをリリース

3ヶ月 ago
ケーズホールディングスのEC売上倍増をめざす取り組みとは? 2027年3月期にEC刷新で新サイトをリリース
ケーズホールディングスは中期経営計画で、EC売上高の倍増を目標に掲げている。2027年3月期中の新ECサイトリリースを軸に、出荷拠点の集約やOMOを含む店舗連携強化、アプリ刷新などを進め、EC成長を支える全社DXを加速している。
furukawa2026年5月12日

家電量販店を展開するケーズホールディングスは、2025年3月期〜2027年3月期を対象とした「中期経営計画2027」で、重点施策の1つに掲げるているのがDXによる業務効率化と売上拡大だ。なかでもEC領域では、オンラインショップの利便性向上、出荷拠点の集約、OMOを含む店舗連携強化を柱に据える。2027年3月期中にはECサイト刷新による新サイトのリリースを予定しており、EC売上高を2024年3月期比で倍増させる目標も掲げている。

ケーズホールディングスのEC売上倍増をめざす取り組みとは? 2027年3月期にEC刷新で新サイトをリリース
中計におけるDX施策の取り組み状況(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ケーズホールディングスのDXは単なるECサイト改修にとどまらない。店舗業務の効率化、本社業務の省力化、商品情報管理基盤の刷新、AI活用、人材育成まで含め、全社横断で構造改革を進めている。EC強化も、その一環として位置付ける。

中計の重点施策は「EC利便性向上」「店舗業務効率化」「システム基盤強化」

ケーズHDはDX戦略の重点施策を大きく3つに整理している。1つ目は、ECと「あんしんパスポート」アプリの利便性向上による売上拡大。2つ目は店舗業務の効率化。3つ目は、社内システム刷新による基盤強化と本社業務の効率化だ。

EC領域では、次の施策を重点的に進める。

  • オンラインショップのUI改善による利便性向上
  • 店頭受け取りの強化
  • 出荷拠点集約による物流効率化
  • EC売上高の倍増
  • 「あんしんパスポート」アプリの機能強化

EC成長を、「集客」「UI改善」「店舗受取」「物流効率」「アプリ活用」を組み合わせた複合施策で実現する考えだ。

2027年3月期中に新ECサイトをリリース

DX施策の中核となるのがECサイトの刷新だ。目的は、顧客利便性向上による売上拡大と、EC価格対応の迅速化によるシェア拡大。2027年3月期中に新ECサイト公開を予定している。

これまでの取り組みとして、インターフェースデザイン改良、商品検索性向上、価格調査体制の見直し・強化、デジタル広告強化などを進めてきた。

出荷拠点集約で受注能力を強化

EC売上倍増を支える基盤として、物流体制の見直しも進める。DX投資の1つとして、EC出荷体制強化による受注能力向上を目的に「EC出荷拠点の集約化」を推進。2025年3月期には、一部地域で発送拠点集約のテストを実施した。2026年3月期には発送拠点の集約化を本格的に進めた。

OMO推進で店舗との相互送客を強化

ケーズHDは、ECを単独チャネルとして強化するのではなく、店舗との連携を前提としたOMO施策も推進している。「ECサイト取組強化」の目的は、店舗連携による相互送客の実現。具体的には店頭受け取りを強化しており、店頭受取件数は2025年3月期に前期比6%増、2026年3月期には同18%増となった。

アプリ刷新や電子レシート導入も推進

スマートフォンアプリの刷新も重点施策の1つに位置付ける。狙いは、顧客利便性向上と個別マーケティング強化による売上機会拡大。2025年3月期には「あんしんパスポート」アプリ内の顧客情報整理を進め、2026年3月期にはトップ画面のリッチ化を実施した。また、電子レシートの導入も進める。これも顧客利便性向上と個別マーケティング強化を目的とした施策として位置付けている。

店舗DXや基幹システム刷新も推進

今回の中計では、EC強化を支える周辺領域のDXも同時に進めている点が特徴だ。店舗業務効率化では、POSシステム刷新(タブレット化)、ストアコンピュータ廃止、店舗・本部間コミュニケーションツール見直しなどを推進。これまでに、POS返品処理操作の簡素化、ネットワーク回線見直し、社内携帯見直し、タブレット型POS導入着手、社内チャットボット活用開始などを進めた。2027年3月期には、接客時の手書き商談メモの電子化もリリース予定としている。

また、社内システム基盤強化では、ECシステム刷新、本社バックオフィス効率化、商品情報管理基盤刷新、データ統合・連携、生成AI活用、クラウド活用加速、IT人材育成・増員などを推進している。2026年3月期には、商品情報管理システムの稼働開始、基幹システムのクラウド移行完了、一部商品を対象とした商品在庫管理へのAI導入などを実施した。

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この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
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