通販とリアルの連携サービスで最たるものが商品の店頭受け取りだ。特に全国規模で店舗展開している大手小売企業にとっては、通販を行う上で「送料無料」のアドバンテージが得られる欠かせない仕組みとなっている。店頭受け取りをフックに通販顧客をリアルに呼び込むことができれば、他のO2O施策にもつなげることも可能だ。各社の運用状況や認知拡大に向けた取り組みなどを見てみる。
良品計画では店頭受け取りを通じてネット顧客との接点拡大を図っている。同社は2011年から試験運用を経て自社通販サイトの「ネットストア」で注文した商品の店頭受け取りサービスを開始。同サービスでは送料や手数料が一切かからず、実店舗で現物を見た顧客が受け取りやキャンセルを選べる仕組みで、キャンセルされた商品はそのまま当該店舗の在庫となる。実店舗がすべて直営店ではなくフランチャイズもあるため売り上げの振り替えなどが難しく、同サービスで売れた商品はすべて店舗側に売り上げを計上している。
サービス開始当初はネット受注金額に対して利用率が1%にも満たない状況だったが、翌12年には約3~3.5%まで拡大。現在は平均で3.5%~4%で推移しており、日別の多い時では7%になることもあるという。また、金額ベースでも12年と比べて30%程度伸長している。
サービスの認知拡大に向けてはネットストアのトップにバナーを付けたほか、顧客へのメールや実店舗のPOPなどでも訴求してきた。同社では利用が伸びている要因として前述のPRが奏功したほか、顧客のネットへの理解度が高く操作に抵抗がないことや配送料が無料になること、実店舗で扱っていない商品を現物で確認して購入できること、家で配送を待つのではなく好きな時間に受け取りにいけるという利便性の高さなどが背景にあると分析している。
なお、利用の傾向としてはターミナル店舗での受け取りが特に多いという。対象商品としては衣服の割合が高く、これは取り扱いがない店舗でも実際に見てサイズ感や風合いなどを確認してから購入を決められることが大きいようだ。
利用者が確実に増え続ける中で、店頭での引き渡しオペレーションを効率化することも忘れていない。ネットストアでの受注後に店頭受け取りがあったことを店舗に自動で連絡するほか、納品時にも店頭受け取り商品であることが分かるように配慮している。
店頭受け取りに関して同社では利便性向上によるブランドへの信頼アップや顧客接点の発生が大きなメリットになると説明。「ネットからリアルに」という構図ができるため、同社のネット販売活用の目的でもある「店舗送客」に大きく貢献しているようだ。


タワーレコードは2012年10月からユーザーが通販サイト「タワーレコードオンライン」で注文した際に全国の「セブン-イレブン」の店頭で商品の受け取りができるようにした。
セブン受取では、受取手数料・代引き手数料・送料がすべて無料。決済はオンラインだけでなくセブンの店頭でも支払うことができる。どちらで決済をしてもタワレコのポイントは付与される。
サービス開始時、年間で50万件の利用を目指していたが、直近ではほぼ目標通りの件数まで上昇。同社オンライン事業本部の前田徹哉本部長は利用状況について「目標値に近づいている」とし、2年目も順調に利用率を伸ばしたようだ。
セブン受取を選ぶ顧客の特徴として新規会員が多い。実際、同サービスを利用している顧客のうち新規の割合は毎月6~7割程度にのぼるという。その意味で「(セブン受取は)すごい武器になった」(前田本部長)というわけだ。
タワレコでは通販サイト上でバナーを貼ってセブン受取を告知しているほか、セブン受取の利用者がツイッターでその便利さをつぶやくと、タワレコ側でそうした声を拾って拡散させるといった取り組みを行うことにより、同サービスの認知拡大を図っている。
タワレコの実店舗を活用した施策も進めている。10年から通販サイトを通じてタワレコ店頭の取り置きサービスを開始。店頭の新譜予約と在庫取り置きの申し込みができる仕組みで、決済は商品を受け取る店頭で行う。同社店舗運営本部店舗管理部の高橋雄也氏は「オンラインで商品取り置きサービスを利用したいユーザーはかなり多い」と説明する。
3月からは店舗間で在庫を融通するサービスを始めた。店頭で商品を申し込んだり、店舗に電話をすると、その店に在庫がなければ全店を探してどこかの店にあれば社内便を使って顧客が受け取りたい店舗に商品を移動させて購入してもらうという流れだ。
ユーザーのライフスタイルやニーズが多様化するなか、タワレコでは通販サイトで購入した商品を直接自宅に届けるだけでなく、近くの「セブン-イレブン」で受け取ることができたり、タワレコ店頭で取り置おくといった具合に様々な購入シーンを想定して商品を受け取る際の選択肢を設けている。同社は今後もオンラインとオフラインを相互に活用できるような仕組みを強化していく方針だ。

セブン&アイ・ホールディングス(7&iHD)では、国内約1万7000店を擁する「セブン-イレブン」の店舗網を活かした店頭受け取りサービスの利便性で、グループ企業が手掛けるネット販売の差別化を図る構えだ。
これまで「セブン-イレブン」店頭での商品受け取りサービスは、「セブンネットショッピング」で購入した書籍や雑誌、一部専門店の商品に限られていたが、埼玉県久喜市のネット事業専用物流センターの本格稼働により、イトーヨーカ堂やそごう・西武などグループ企業のネット販売商品を同センターに在庫する体制を構築。これを受け、11月から店頭受け取り対象商品を150万点に拡充し、首都圏の約7000店舗で注文の翌々日に商品を受け取ることができるようにする。
また、各店舗への受注商品の配送は、店販の雑誌・書籍の供給で取引のあるトーハンの物流網を活用。返本のノウハウをもとに、店頭でネット販売購入商品の返品もできるようにする考えだ。
7&iHDでは、「セブン-イレブン」店頭での商品受け取りの訴求に力を入れており、今年7月から10月にかけ、「セブンネットショッピング」で購入した雑誌・書籍の店頭受け取りを指定した顧客を対象にキャンペーンを実施。期間中、店頭商品受け取り件数が前年同期比約2倍となり新規顧客の獲得にも寄与するなど成果をあげている。
7&iHDが目指しているのは、顧客が自宅の近隣や職場近くなど、日常生活の導線の中にある「セブン-イレブン」店舗を商品の受け取り場所として指定し、いつでも都合の良い時に商品を受け取るというネット販売の利用シーンの確立。「セブンネットショッピング」を運営するセブン&アイ・ネットメディアでは、キャンペーンの実施でサービスの利便性が認知され、時間や場所を気にせずに商品を受け取るというネット販売の「新しい買われ方が浸透している」と分析する。
さらに7&iHDでは、2015年以降に「セブン-イレブン」店頭受け取り対象商品を300万点に拡大し、注文当日の店頭受け取りもできるようにすることも計画。今後、商品の受け取り場所としてのコンビニの注目度が高まりそうだ。

通販で購入した商品のコンビニ受け取りはもちろん、家電やアパレルなどでは注文した商品を全国の実店舗で引き取れるサービスが増えている中、既存の商業施設を“受け取り拠点”として活用する新しいタイプのウェブサービス「tab(タブ)モール」が11月6日にスタートする。
「タブモール」はソーシャルレビューアプリを手がけるtabが運営するモバイルサービスで、購入商品を自宅などに届ける仮想モールとは異なり、消費者が近くの商業施設に欲しい商品を取り寄せ、試着してから購入できるのが特徴だ。
取り寄せ時の送料はモールに出品するブランド側が負担。消費者は試着して気に入らなければ購入しなくてもいい。実売につながった場合のみ、tabは受け取り店から手数料を得る。
商業施設は売り場のスペースや在庫リスクを気にせず取り扱いブランド、商品を増やせる。一方のブランド側も出店コストを抑えて販売機会の拡大につながる利点がある。
商圏内の競合を避けるため、受け取り店は「1エリア1拠点」を想定。第1弾として東京では松屋銀座、大阪は千趣会の「ベルメゾン暮らす服アリオ鳳店」(堺市)が受け取り店として参加する。
松屋銀座は品ぞろえの拡充と新客開拓を目的に参加。3階に受け取りカウンターと試着室を設け、婦人靴約2万点とバッグ・小物など約1000点の取り寄せに対応。松屋銀座が初めて扱うブランドもある。12月からは順次、婦人服や紳士服、などにも対応し、12月以降は月1000万円の売り上げを見込む。
千趣会は、従来から店頭での申し込みに限ってカタログ商品の衣料や服飾雑貨を対象に店頭取り寄せを実施していたが、利便性を高める目的で新モールに参加。「ベルメゾン」商品だけを取り扱う予定で、当初は「ベルメゾン」独自の婦人靴ブランド「ベネビス」をラインアップ。豊富な色やサイズから選べるようにする。その他商材の取り扱いは顧客の反応を検証して決める。
「タブモール」には通販企業も出品できるが、受け取り店として参加する商業施設が自店で扱うブランドを選ぶため、拠点によって受け取り可能なブランドは異なるという。
tabによると、来春には池袋や新宿、渋谷など都心の主要エリアに受け取り店を拡大し、商品カテゴリーも婦人服、紳士服、子供服に拡充。来年冬には全国主要都市に受け取り店を設置し商材もジュエリーやリビングなどに広げる構想だ。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:広がる「店頭受取」、良品計画、7&iHD、タワレコなどが手掛ける通販とリアルの融合事例 | 通販新聞ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム
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NECは11月11日、FashionTVと共同で、スマートフォンで服を撮影すると、そのECサイトで扱う似た商品を表示するサービス「GAZIRU-F(ガジル-エフ)」の提供を開始した。若年女性を中心にスマートフォン経由で買い物をする人が増えており、簡単にお気に入りのスタイルを検索できるサービスの提供で、EC事業者の売り上げ拡大を支援。ファッションECを展開する企業向けに提案し、2016年までに20社の導入を見込む。
スマートフォンやタブレットのカメラで服を撮影するだけで、画像から服の色や柄を認識。ECサイトで扱う同じ系統の服やコーディネートを表示する。
利用者は写真を撮影するだけで、気になった服に近いものを手軽に探すことが可能になる。ECサイト側が売りたい商品を数多く表示するような細かな設定も可能となっている。
料金はアクセス数や商品購入件数に応じた成果報酬型で販売する。NECやFashionTVなど4社で2014年10月に創刊した写真だけのファッションマガジン「persona.(ペルソナ)」にも搭載する予定。

※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:NEC、服の写真を撮るだけで似た服を表示するサービスの提供を開始 | ニュース | ネットショップ担当者フォーラム
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データというのは、いわば米の状態のものだ。そのままでは食べられない。米を炊いて、おにぎりにしたり、はたまた高級イタリアン店のリゾットにしてこそ価値がでる。そのためにも価値をつくる人を育てなければならない。ただ、そういう価値をつくる人や仕事への敬意をもつ企業文化が大事になる。
最近ベムのところには、「データ分析に、分析官を何十人も配置したが、なかなかシナリオ設計ができるところまで分析の価値をあげられない。そういうスキル開発にご協力いただけませんか?」というオファーがよく来る。
そりゃ、そうだろう。シナリオ設計とは、何らかの施策に結びつけるためのものであって、施策のプランニングや実行の経験のない人にはイメージがつかないのは当然だ。
「データサイエンティスト」というスキルセットについては、まだまだこれから定義されていくだろうが、マーケティングのシナリオ設計という領域は、そうそう簡単に出来るものではない。長い間広告マーケティングの世界に身を置いている側から言うと、そう簡単にデータサイエンティストにシナリオ設計が出来てもらっても困るという思いもない訳ではないが、そういうスキルを開発しないといけないのが私の立場だ。
ビッグデータなるものは、データの大海原なので、どうやって文脈を発見するかということでは、基本仮説立てをして、捨てていいデータを決めることになる。データは多すぎるので、「データリダクション」をしないと道筋が見えてこないのだ。
この際、捨てるデータを決めるための仮説設定には、意外とアナログな手法も有効と言える。というかむしろビッグデータと向き合うには、デプスインタビューのような生の消費者と向き合って、インサイトを探るスキルが重要なのだと言える。
そうしたスキルは伝統的な総合代理店のマーケやストプラと言われる人材が長けているはずなのだが、ちょっと違うのは「ひとつ」に修練させる従来のやり方ではないところだ。
マスを前提にした表現開発は、いったん発想を出来るだけ拡張する(コピーを100案出してみろみたいな100本、1000本ノックがあって)が、そのあとは、ひとつの表現コンセプトに修練させるのが従来のやり方だ。これはマスクリエイティブが出来るだけ多くの消費者が少しでも反応するようにつくるという「最大公約数型」になるからだ。しかし、今やるべきコミュニケーション開発とは、データからいくつかのターゲットと対のいくつかの文脈を見つける作業となるだろう。ひとつの表現で「出来るだけ多くの人が少しでも反応する」のではなくて、特定の人が「強く反応する」文脈をいくつも抽出するという作業である。
前述のデータ分析からシナリオ設計するという作業は、従来の広告代理店のストプラ作業とは似て非なるわけだ。
いずれにしても我々が必要なスキルは、今誰も持っていないものと言える。これから開発しなければならないスキルだ。
この時、センスのある分析をする人というのは大事に扱わないといけない。いい仕事とそのスキルをリスペクトしないと目指すべきスキルは育成されないだろう。
コメ農家は、付加価値を最大限に引き上げる料理人の知恵と技術に敬意をもって接して協業しなければならない。
来る12月19日(金)に「利用品質メトリクスSIG事例研究会」(全3回予定)の第3回目を開催いたします。
第三回は、HCD-Net関西支部での活動報告を中心に関係者の方に登壇頂き、活発な意見交換が出来ることを期待しております。
HCD-Net関西支部では、関西の医療機器メーカー4社によるユーザビリティの勉強会を開催しており、各社よりHCD導入事例を発表しディスカッションを行ってきました。
今年度は、その中で得られた課題などを基に4つのWGを立ち上げ、解決案の検討やベストプラクティス作りなどの活動を行っています。
本発表会では、4つのWGの活動内容と現時点での進捗を報告します。中間報告とはなりますが、実際の困りごとに基づく活動ですので、みなさんの活動のヒントになることもあるかと思います。
また、2つのWGにおいては、それぞれ、ユーザビリティ評価指標の設定、および、品質保証 視点の目標値の設定方法や判定方法が報告されます。
医療機器メーカーの事例が聞ける貴重な機会ですので是非ご参加ください。
第3回の開催予定概要
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■日時 2014年12月19日(金) 17時開始予定 (受付開始16:45~)
■会場:芝浦工業大学 芝浦キャンパス3階 307教室
※案内図 http://www.shibaura-it.ac.jp/access/shibaura.html
※3階307教室まで直接お越しください。
※当日の連絡先:利用品質メトリクスSIG事務局
携帯電話 090-3093-0340(鱗原)/090-1036-7867(事務局補佐:工藤)
■後援:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
■定員:40名(無料)
■プログラム:
17時00分~「第3回利用品質メトリクスSIG事例研究会開催について」
HCD-Net広報社会化事業部 関西支部長 水本 徹氏
17時10分~「文化や言語を超えてわかりやすい表現を目指した、企業の壁を越えた連携」
大倉 友里 氏(株式会社堀場製作所 コーポレートコミュニケーション室)
【概要】
情報を正しく伝える表現手段の検討事例の報告。
言語、アイコン、色、音などの表現について各社の取り組み事例と検討プロセスの紹介。
17時35分~「課題が見える!伝わる!プロトタイピング!」
熊内 智哉 氏(株式会社堀場製作所 コーポレートコミュニケーション室)
【概要】
医療機器・産業機器メーカーの現状に合わせた効果的なプロトタイピング手法を研究、 営業、開発、デザイン、品証など、どんな関係者がどんなタイミングで参画しても、内容を正しく理解し、正しくレビューができる「わかりやすい」仮想カタログのあり方の研究とその報告。
18時00分~ 「“使いやすさ“を具現化するために」~ユーザビリティ要求の仕様への展開とユーザビリティ評価指標の設定~
木田 親司 氏(シスメックス株式会社 品質保証本部 品質保証部)
【概要】
製品の提供価値、とりわけユーザビリティに係る要求を現実化するため具体的実現手段(仕様)へ論理的に落とし込むための方策、および提供価値の評価方法を開発とプロセスの紹介。
18時25分~ 「品質保証の視点で考えるユーザビリティの妥当性確認とは?」
登壇者:未定
【概要】
新製品に対する妥当性確認を実施している品質保証担当者との議論や課題共有を経て、効果的なユーザビリティの妥当性確認の方法について検討。
その方法の明確な妥当性確認の合否判定を開発部門にフィードバックする方法、また仮想製品をモデルとして設定し、具体的にユーザビリティの品質保証視点の目標値の設定方法や判定方法について。
18時50分~ 全体質疑
19時00分 終了予定
※終了後、懇親会開催予定です。(希望者のみ・会場未定)
■参加申込方法:
参加ご希望の方は誠に恐れ入りますが、タイトルを「利用品質メトリクスSIG事例研究会第3回 参加希望」として下記のフォーマットにてご記入頂き、2014年12月12日 12時(正午)までに、
・鱗原 urokohara@ueyesdesign.co.jp
・工藤 kudo.shigeto@artspark.co.jp
宛にご返信ください。
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氏名:
所属先名:
会員種別:正会員/賛助会員/学生会員/一般/一般学生
電話番号:
メールアドレス:
懇親会出席:参加or不参加
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よろしくお願い致します。
HCD-Net研究事業部 利用品質メトリクスSIG担当事務局 鱗原、工藤
ネクステッジ電通とは
有園:株式会社ネクステッジ電通の代表取締役社長COO、杉浦友彦さんをお招きして、お話を伺います。さっそくですが、ネクステッジ電通の設立は、2013年の5月ですよね。
杉浦:設立は5月ですが、本格的な営業開始は10月です。会社登記は2013年5月23日で、それと同時にプレスリリースを発表しました。そこから四か月は採用などの準備期間にあてて、大きく動きだしたのが10月からです。
有園:単刀直入に伺いますが、ちょうど1年ほど経過して、どうですか?
杉浦:駆け抜けている、突っ走っている感じですかね。
有園:きっと、すごく忙しいんだろうなって思っているんですが。
杉浦:ほどほどです(笑)
有園:御社のことを、まだ詳しくは、ご存じない方もいらっしゃると思うので、何をされているのか、簡単にご説明いただけますか。
杉浦:キーワードとしては、パフォーマンスマーケティングの会社と定義をしています。欧米で、そのまま直訳すると、業績マーケティングとか言われることもありますが、基本的には成果を出すための、成果に直結するためのマーケティングを行っている会社です。これって、いままでのダイレクトマーケティングが進化した形になっているかと思うのですが、明確なKPI、成果を定めて、そこに対してPDCAを回し、KPIを改善していくところに立脚したエージェンシーです。当り前のように聞こえるかもしれませんが、数値の明確な目標や、売り上げをいくら上げるのか、何件獲得するのかといったことに対して、あらゆる手段を尽くして数字を追いかけることを生業にしています。欧米だと、パフォーマンスエージェンシーと言えば、それだけで一つの業態があります。でも、日本だと、まだ、そこまで一般的に言われる言葉ではありません。いまは、デジタルパフォーマンスエージェンシーという言葉をつかうことが多いです。手段としてデジタルを使っています。そのほうが、改善のサイクルも回しやすいですし、成果も可視化しやすいので、まずはデジタルに軸足を置いています。広義な意味でいくと、あらゆる手段を講じて成果を上げていくところに立脚した事業を展開しています。
有園:そうすると、パフォーマンスメディアとよく呼ばれる分野を主に扱っていらっしゃるということで、よろしいでしょうか。
杉浦:はい。手段として、運用型のデジタル広告と呼ばれるような、リスティング広告、ディスプレイ広告、Facebook広告などが主になります。その周辺にある、バナーやランディングページなどのクリエイティブ、SEO、テクノロジーの導入や実装などが、どんどんくっついている感じです。
広告とテクノロジジー
有園:いま、テクノロジーの導入が話に出ましたが、ここ2年、3年の業界の動きとして、たとえば、サイバーエージェントでは、アドテク本部を設立しました。アドテク本部で、テクノロジーや社内ツールなどの開発をしていると思われます。ネクステッジ電通でも、アドテクといった部分は、エンジニアを抱えて自社開発しているのでしょうか?
杉浦:自社開発しており、強化しているところでもあります。我々の場合、プロダクトセールスではなく、個々のクライアント向けに、オーダーメイドでカスタマイズすることが前提でテクノロジーを導入することが多いです。
有園:ソリューションを提供しているということでしょうか。
杉浦:完全にそうです。特に大型のお客さまの場合、既存のツールだけだと、痒いところに手が届かないような場合が多いので、そこを自社開発で補完します。レポーティングや入稿、定型の入札等、運用者のルーチン業務を自動化するようなこともありますし、タグのカスタマイズ、AdWords Scriptを活用した運用の高度化なども含まれますね。テクノロジー活用の目的の1つは、コンサルタントの負担となっているルーチン業務を合理化し、考える仕事、より付加価値の高い仕事にパワーを割けるようにすること。加えて、人では不可能な大量かつリアルタイムの処理をテクノロジーによって代替し、運用自体を高度化することです。
有園:私の印象では、業界内でのネクステッジ電通の存在感が急激に高まっている。いろいろなところで名前を聞くようになりましたので、社員数も売り上げもかなり伸びていっているということですよね。
杉浦:そうですね。お陰さまで。
有園:じつは、ここ1年ぐらいの間ですが、電通のイメージが変わったという話を何度か耳にしたことがあります。マス広告の会社だと思っていたのですがデジタル広告でも真のリーダーになりつつあるのではないか、というような話を聞きました。電通というか、そこで指しているのは、ネクステッジ電通なのです。それで今回はお話しをさせて頂きたいと思ってお伺いしました。
さて、売り上げもかなり伸びているということですが、ほとんどがリスティング広告ですか。
杉浦:今はリスティング広告の比重は大きいですね。売り上げでいうと、SEMとDSPを含むディスプレイ広告が中心になります。それ以外にも、フィーベースのコンサルティング仕事や、コンテンツ制作やSEOの受注も増えています。
有園:1年で急成長されたわけですね。
ネクステッジ電通の強み
杉浦:会社設立の背景にも関わるのですが、ネクステッジ電通は、まったく新しい会社というわけではありません。もともと、電通のなかで5年から6年くらい、この領域を深掘りしてやっていたチームが母体となっています。そういった意味で、営業面でも、ノウハウ面でも、過去の蓄積がかなりありました。そこを別会社の形にして、もっと機動的に拡大していこう、もっとスピーディに経営していこうという主旨がありました。そういう意味では、ゼロからスタートかというと、そうではありません。
ネクステッジ電通の設立経緯
有園:電通のなかで「ネクステッジ電通が必要だよね」って話になったのだと思いますが、なにがきっかけで、どういう経緯があったのでしょうか。
杉浦:お客さまのマーケティング環境がデジタル化していくなかで、KPIをきちんと追いかけてPDCAを回して成果を上げることに対して、お客さまの需要が、ものすごく高まっていました。でも、総合代理店のような大きな組織には、細かい運用や、リアルタイムで、デイリー、ウィークリー、マンスリーでレポートを出してチューニングしていくといった文化が馴染みにくい部分が、どうしてもあって。
有園:デイリーで運用するとか、ウィークリーでお客さまのところへ行って報告するとかが馴染みにくいというのは、重要なポイントですね。
杉浦:いままでの、いわゆるマス広告主体のキャンペーンのサイクルとは違います。総合代理店の過去50年、100年の歴史から考えると、見るデータも違います。パネルベースの調査があって、そこからターゲット分析をして、渾身のクリエイティブをつくって、三か月間回してキャンペーンを検証してといったのが、通常の広告コミュニケーションのサイクルです。一方、デジタルの運用型広告だと、デイリーのオペレーションは当り前です。でも、それを、いままでの総合代理店の社内に抱えて急拡大することは、人材確保の問題や、文化の浸透といったところで、なかなか競合他社のスピードにはついていけない面がある。それで、外に出して、もっとスピードを上げていく、体制を拡大していくという選択肢をとったわけです。
有園:僕が外から見ていると「かなり尖がっていたんだろうな、杉浦さん」というイメージなんですよ。
杉浦:尖がっていたかは分かりませんが(笑)異質ではあったと思います。17年間ずっとデジタルを追いかけている、デジタルネイティブなんで。
1クリック10円なんて仕事ができるかよ!
有園:僕自身の経験を少し話しますと、10年ほど前の2004年頃はオーバーチュアという会社にいて、総合代理店さんの担当でした。当時、電通とも調査の仕事で関わったことがあり、一緒に仕事をすることもありました。総合広告代理店さんに対して「リスティング広告を拡販してください」というのが僕の仕事でしたが、総合広告代理店の人に説明してもなかなか理解してもらえない状況が続きました。あるとき、打ち合わせに行くと会議室に通されて、当時は社内で煙草を吸うことができた時代なのですが、担当者がいてスパーっと煙草を吸いながら「お前ら何しにきたんだっけ?」という雰囲気に包まれたことがあって。決して口ではそんなヒドイことは言わないですけど、そんな雰囲気があって(笑)で、実際に言われた言葉でいまでも覚えていることがあります。それを言った人が、いまどこで何をしているかは知りませんが「え?1クリック10円?そんな仕事できるかよ」と。どこの総合広告代理店さんだったかは伏せておきますけど。
杉浦:すごい発言ですね。
有園:ちょっと事情があって口論になった打ち合わせだったのです。「え?1クリック10円?そんな仕事できるかよ。俺たちが年間いくら売っているのか知っているか?」と言われました。それくらい、リスティング広告は相手にしてもらえない時代がありました。そんな時代なので、よくケンカみたいことをしていたのです。こっちもリスティング広告を売るために必死でしたから。もちろん、そういう本気のやり取りを通して、総合広告代理店さん、とくに、電通と博報堂にはたくさんのことを教えてもらい、苦労もしたけどその分だけ感謝もしています。
それが変わったんですよね。5年くらい前からですかね、状況がコロッと変わったというか、時代が変わったのか、僕の話を聞いてもらえるようになりました。電通や博報堂に呼ばれて、勉強会をおこなったりセミナーで話したりすることも増えて、総合広告代理店さんも、だいぶ状況が変わったなって有り難く思っています。
電通が運用型広告をやる
有園:実は僕、ネクステッジ電通には勝手に期待しているんです。
杉浦:ありがとうございます。
有園:「電通の中で運用型広告をやるんだ!」と意思表明した感じですよね。社内でやるのは難しいけれど、別会社でやるんだと。それって、僕が総合広告代理店さんにリスティング広告を苦労して売っていたころに比べると、隔世の感があります。理解してくれる人が増えることは、個人的にも嬉しいです。今後あらゆる広告が運用型広告になっていく流れからいくと、アメリカで最近でてきたプログラマティックTVで、AudienceXpress(http://www.audiencexpress.com/)という会社があります。AudienceXpressが、プログラマティックTVのプラットフォームを提供し始めていて、DSP/DMPを提供しているTURN社(http://www.turn.com/)もAudienceXpressとパートナーシップを結んだという発表がありました。ちなみに、TURN社は電通ともパートナーシップを結んだと発表されたばかりですね。このAudienceXpressやTURN社のように、徐々に、テレビのバイイングにも運用型広告に近い仕組みが入り始めているようです。あくまでアメリカの話でまだまだ初期段階ですし、RTB(real-time bidding)ではないようですけど。
杉浦:なるほど。当然、そういう流れになるでしょうね。
メディアの環境や電通の今後
有園:このようなことが起きているなかで、杉浦さんは、どういう風に、この先を見ていますか?電通の第四代、代表取締役社長に吉田秀雄という方がいます。たしか、43歳で代表取締役社長に就任しています。
杉浦:そっかあ。4つしか変わらないじゃないですか。
有園:代表取締役社長に就任したのが1947年(昭和22年)で、戦後の混乱の時期でもあり、その頃のテレビの市場は新興で、吉田秀雄が作ったようなものだと思うんです。彼一人ではないと思いますが、市場を自分で作ったので、電通がリードして作ったことで、テレビの市場を圧倒的に押さえることになったんだろうな、と思います。そうすると、これからの次の時代のルールも主導して作る人がマーケットの主導権を握っていくという考え方もあるだろうと。そういう意味では、吉田秀雄は40代で社長になり、いまの時代に電通本体で40代の社長が誕生することは難しいと思いますが、40代という世代がアクティブに次のマーケットを作っていくべきだと思っています。そういったアナロジーで、ネクステッジ電通の社長である杉浦さんは、だいたい40代ですし、今後を、どのように見ているのかなと思いまして。
杉浦:それは、メディアの環境の話ですか?
有園:メディアの環境や電通は今後どう、ビジネスをしていくべきかを伺えれば。立場的に話せないこともたくさんあるとは思うのですが、あえて、聞いてみたいと思っています。
杉浦:メディア環境については、電通の広告ビジネス全体でいくと、テレビがいつの段階で、どういうスピードで、どう変わっていくのかは、生活者の視聴態度に大きく依存するというか、左右されると思います。テレビというビジネスについて、そこまで勉強もしていないので、僕に語る資格はないのですが、マスメディアとウェブサイトの統合分析や、最終的には売り上げに、どのくらい寄与できるかといったことに携わる機会が多いなかで言うと、いまだにテレビは圧倒的なパワーをもったメディアであることは事実です。現状、多くの企業にとって、テレビは外せないメディアであり、広告手段でもあります。それが、テレビを見ない世代、YouTubeなどの動画を見ている世代が消費の中心になっていくなかで、当然、世代が変わればジワジワと、いまよりもテレビのパワーは相対的に落ちていくリスクに晒されているとは思います。ただ、日本の場合、アメリカとは環境が大きく違い、アメリカは、多チャンネルで、ケーブルテレビで、コンテンツとチャネル、ディストリビューションが分断されているなかで、コンテンツのコングロマリットが、比較的メディアニュートラル、チャネルニュートラルなスタンスを取っているのかと思います。コンテンツを配信していく、ケーブルテレビにも出す、YouTubeにも出すと、しがらみのない環境で進化しています。チャネルの多様化は、アメリカの方がはるかに進みやすいです。一方、日本の場合、地上波のテレビ局が圧倒的なコンテンツプロバイダーであり、有限な電波を利用する権利も持っており、多チャンネル化が進むスピードは非常に遅いです。過去10年、20年を見ても、地上波のパワーが圧倒的です。マスコンテンツ、マスメディアのパワーが圧倒的という流れが続いています。いまだに、最高益を出しているキー局もあります。5年、10年で、業界が崩れるといったスピード感ではないと思っています。私は、意外とテレビの未来についてはポジティブです。いまも見逃し視聴の話や、ネットにもコンテンツを出していくといったところには、着々と手を打ち始めていますし。
有園:見逃し視聴って、この前、民放連の会長が発表された、見逃したテレビ番組をインターネット上で、無料で視聴できるという話でしょうか。
杉浦:そうです。CMモデルをバンドルした形で。そういった流れなど、ジワジワと新しい視聴スタイルが提唱されています。テレビは、リビングで見るものとは限らず、スマホやタブレットでも見るなど、ユーザのコンテンツの視聴スタイルにアジャストしていけば、コンテンツのパワーは、そんな簡単には崩れないと思っています。ただ、そこに差し込まれる広告が、どう差し込まれていくのか、プログラマティックなのか、ターゲティングなのか、アドレサブルでターゲティングが可能なのか、枠でしか買えないのかといったビジネスモデルは、これから作っていくことではあります。いまの運用型広告の世界に代表されるような、ターゲティングが可能で、運用が可能で、成果が見える化されていて、それを基にチューニングを繰り返していくところの、データドリブンな、広告の配信、出稿の流れは、不可逆的なもの、止められないものだと思います。ある日、突然、今日から広告がクリックできない、出稿できない、ターゲティングができなくなってマスの枠でしか買えないということにはなりません。そこが逆行することは考えづらいです。メディア環境がデジタルでITである限りは、そこをブレークスルーするプレイヤーは出てくると思うので。そこが不可逆的な流れである限りは、それに備えるスタンスです。別に、それが3年後なのか10年後なのか20年後なのかは分かりませんが、主従が逆転するというか、電通のような会社、少なくともお客さまの期待に応え続ける会社は、あらゆる手段を使ってやっていくので、避けては通れません。トップレベルの知見とやり方を磨いておかないとダメですよね。そこの競争力は担保するってことには、こだわっています。
データドリブンなマーケティングの方向へ進む
有園:不可逆的にデータドリブンなマーケティングの方向に進み、テレビも見逃し視聴に対応するような形で、ネットにコンテンツが出ていきます。徐々に、スマートテレビになっていくと思います。いま、スマートテレビとしてインターネットにつないでいるのが20パーセントくらいと聞いています。私見ですが、2020年の東京オリンピックのときにはテレビを新しく買う人も増え、そのときにはスマートテレビしか売っていないような状況になるので、スマートテレビが日本の50パーセントくらいの家庭に入っているのではないかと思っています。そうなると、テレビというものが、これまでの放送波表示用端末ではなく、ディスプレイとしての役割を担うようになります。YouTubeを見たり、Huluを見たり、ついでに地上波も見ることができるってことになると、キー局を中心にコンテンツのパワーが強いといっても分散しますよね。
杉浦:はい、そうなるかと思います。
有園:結局、いままでテレビが強かった理由は、独占的にリーチを稼げるメディアだったからではないかと考えています。いまもそうですが、それが崩れる瞬間がくるかもしれないとしたら、スマートテレビ化されてチャネルが分散化したときでしょうか。テレビを見ながらアプリも使えるしゲームで遊べるってことが普通になってしまうとどうなるんだろうか、と。アテンションエコノミーという話が昔ありました。御社だと秋山隆平さんの『情報大爆発―コミュニケーション・デザインはどう変わるか』とか。「情報化時代」から「情報過剰時代」になって情報の価値が暴落し始めている、という話。
杉浦:はいはい。
有園:『情報大爆発―コミュニケーション・デザインはどう変わるか』にも書いてありますが、アテンションがとれるから価値があったというところが崩れ始めるような気もしていて。次のビジネスモデルとしてテレビ番組の見逃し視聴をネットでやると、どうなるのかなと。リニアなテレビ放送時と同じCMを流すのか、それとも異なる広告主のCMをネットの見逃し視聴では流すのか、タイムの番組はどうなるのでしょうか、とか、考えなければならないことがたくさんありそうですよね。きっと、いまの40代前後の方々がそのビジネスを作っていくことになるんだろうなと思っています。
杉浦:そうですね。
有園:杉浦さんの答えは、そのような変化に備えていくスタンスなのかなと思ったのですが。
手段では領域をきらない、普遍的なパフォーマンスマーケティング
杉浦:そこの流れは当然あるなかで、ネクステッジ電通が追いかけている領域は普遍的で、手段はどうなっても対応できる、どちらかというとメンタリティに近いようなものです。データを可視化し、分析し、新しい手段を常にキャッチアップしながら、トライして、改善して、マーケティングの精度を高めていく姿勢。そんなメンタリティをコアにしています。どうなっても良い部分しか追いかけていません。その意味で、今は、その手段との1つとして、リスティング広告がもっとも効果的、効率的で、シャープにチューニングができる、ということです。そこでのターゲティングや施策改善のノウハウは今後、スマートテレビに配信される広告、デジタルサイネージ、アプリ、オウンドメディアなどの領域にも応用可能です。手段では領域をきっていないのが、我々のスタンスです。なにより、そこで鍛えられた人材こそが、次の広告・マーケティング業界における主役になっていくと信じています。
有園:ネクステッジ電通は、どこに向かっていくのでしょうか。たとえば、ネット専業代理店に対抗していくのでしょうか。
杉浦:もちろん、期待される部分としては、あると思っています。ただ、ネット専業代理店に比べると、長期目線で成果を上げる方法を研究開発しながら磨いていくところが、我々の特徴的なスタンスです。いまのデジタルの運用型広告だけで解決できるとは思っていないので、いかに電通がもっている資産や強み、専門性を掛け算していくかにこだわっています。長期目線と掛け算が、専業代理店とのポジションの違いかなと。真剣に次のデジタルのマーケティングを追求しているお客さまと、ガッチリご一緒するような仕事のやり方です。お客さまと同じ目線で次のマーケティングを作り上げた結果に数字がついきますので。売上の規模は、求めるものではなくて物差しみたいなものですかね。
電通が抱える問題
有園:話せないかもしれませんが、これまで「電通に問題がある」という思いもあったはずだと思うのですが、そのあたりはいかがですか。
杉浦:過去の成功体験や守るものがあるぶん、大きく舵は取りづらくなります。それは、電通に限らず大会社のジレンマだと思います。その中で日々、変化して、ビジネス自体のパラダイムや価値観も変わろうとしていて電通本体では速やかに動かせないようなビジネスについて、外に出してやることは理にかなっているので、そこに着実に対応していくのは電通の凄い部分かなと。以前、EvernoteのCEOが100年続く会社を分析したら、80パーセントが日本企業だったと言っていましたが、100年続く会社というのはなんだかんだで浄化作用が働いていて、正しい方向に向かおうとする力だったり、そういう信念を持っている人間だったり、それを応援する人や組織が存在すると思うんです。そうじゃないと続かないので。だから、そこはあまり悲観していません。逆に、いまの電通のエネルギーの良い部分を、どう巻き込んで、デジタルネイティブの視点で変えていくかですね。仕事自体は、やりがいがありますし、お客さまのためにも、広告業界のためにも大きな意味があると思っています。
有園:電通に問題がありますか?というのも意地悪な聞き方でした。ところで、私がいつもスゴイなって思うことがあります。電通も博報堂も懐が深いですよね。たとえば、クリエイターと呼ばれる方の中には、けっこう変な人もいますよね。突拍子もないことを言い出したり、尖がったことを言ったり。そうした、いろいろな意見を吸収できるだけの包容力があるというか。新卒が生意気なことを言っても、筋が通ったよい意見は尊重されるじゃないですか。でも、他の会社では、部長が意見を言うと周りの人は何も言わなくなるような打ち合わせを見かけることもあります。上の人が何か言って、下の人から反対意見が普通にでる。それが、普通なのが広告業界というか。電通や博報堂のフラットなとてもよい文化だと思っています。
杉浦:そうだと思います。
有園:その辺は、他の業界や会社とだいぶ違うところもある。いろいろな人を許容できるっていうなかで、電通はネクステッジ電通を作って次に備えています。これも、懐の深い会社だからできることなのかなと。
杉浦:普通はやらせてもらえないですよね。
「日本の広告業界をどうするべきか」という視点で物を考える
有園:電通の人と仕事をしていて、他の代理店と一番違うなって感じるところがあります。競合他社の動きを気にするのは普通のことなので、博報堂やサイバーエージェントは「電通どうしているんだろう」と気にして、電通も「博報堂はどうしているだろう」「サイバーエージェントはどうしているだろう」と気にされていると思います。ただ、電通には、他社を気にする一方で、「日本の広告業界って、どうあるべきなんだろう」あるいは「日本はどうあるべきか」と考えている人がいます。そうしたことを考えているのは、圧倒的に電通の方に多いんです。他社で「日本の広告業界をどうするべきか」という視点で発想されている方はあまり多くないと思っています。
日本の広告業界における課題
有園:比較的、電通の方は、そうした意識があって。運用型広告とマス広告を、どうマージして、よりレベルの高い広告を日本でどのように提供していくかといった視点をお持ちである、電通の杉浦さんへ最後に伺います。今後、日本の広告業界における課題とは、なんだと思われますか?デジタルに立脚している杉浦さんの視点では、どう見えているのでしょうか?
杉浦:いろいろなところで分断が起きていることが課題です。私がやっている、デジタルのパフォーマンス領域と、電通がメインでやってきたマス寄りのマーケティングの世界が分断されているがゆえに、お客さまの課題解決に結び付かないことが多いのです。マスは電通だけど、デジタルはネット専業ってことになっていたり。クリエイティブひとつとっても、プロフェッショナルな人間がデジタルな世界に流れ込んでいるとも言えませんし、分析に関しては近づき始めたかもしれませんが、世界が分断されていて融合されていないのは、お客さまのためになりません。主従みたいな関係になっているのも課題です。主が広告主の広告宣伝部で、デジタルは運用に求められれば子会社がやればいいみたいな話になることも。そこには、対応面の違いが存在して、川上、川下という区分けで語られたり。細部に習熟した、データドリブンなマーケティングを極めている人間が、もっと業界の主役になっていく、少なくとも、それだけが偉いわけではありませんが、マスメディアのビックアイディアを作れるクリエイターと並び立つくらいの、精度を担保できるマーケッターが活躍して主役にならないと、日本のマーケティングは進化しないと思います。ざっくりしたマーケティングの域をでないと。欧米は、もっと進んでいます。デジタルマーケッターの地位の高さ、経営トップからの注目度も違います。日本も、それを是正しないと遅れをとりますね。
有園:これまで、ビックアイディアを作るのをクリエイターやマーケッターが主導してきたところに、データに基づいてマーケティングをする機能が、もっと強くならないといけないということでしょうか?
杉浦:そうですね。
有園:それって、そっくりそのまま電通の中で起こっていることでしょうか?
杉浦:けっこうなスピードで起こっていると思います。
有園:電通に、コミュニケーションデザインセンター(CDC)というのがありますよね。外から見ていると、そこにいる人たちって、すごそうなんですよ。そこで有名なCMをつくったりしているんですよね?あと、統合データ・ソリューションセンター(IDSC)ができましたよね。そこにいる人たちも、すごそうです。CDCとIDSCって、電通のクリエイティブ側の頭脳とデータ側の頭脳の両輪なんじゃないかと勝手に思っています。IDSCの流れをくむ形でネクステッジ電通があるのかなと。
杉浦:そうですね。一緒に仕事をすることはドンドン増えてきた感じです。
日本の広告業界で求められるのは「コンサルティング力」
有園:ちなみに、僕が考える日本の広告業界の課題は、あるいは、広告代理店の課題ですが、コンサルティング力だと思っています。運用型広告が出てくると、効果が下がった理由(上がった理由)を説明しなくてはならなくなります。ロジカルに説明しなくてはならない。改善案を提案する必要があります。でも、マス広告は、そういうことを日常的には要求されてこなかったと思います。コンサルティングを、きちっとする必要がありませんでした。マス広告ってそういう商品だから。でも、運用型広告が出てきて、テレビも含めて仮にスマート広告になって、テレビCMがオーディエンスターゲティングできることになったら、コンサルティング力を高めないと対応できなくなってくるかと。
杉浦:はい、その流れはあるかと思います。
有園:これから5年から6年は、コンサルティング力の有無が問題になると思います。これは、ネット専業の広告代理店においても同様です。単なるバナー広告のメニューを売っているだけでは通用しなくなりつつある。DSP/SSP/RTBの時代になり、かつ、DMPも登場し、Facebookの広告などもそうですが、運用型広告になっていく。また、デバイスもPC、スマホ、タブレット、スマートテレビ、ウエアラブルデバイス、自動運転車などと広がっていく。そのことで、必要になるのが、コンサルティング能力だと思っています。たとえば、DMPを真面目に導入しようと思うと、最低限の技術的な理解とコンサルティング能力が必須になりますしね。
杉浦:欧米に比べると、広告主と代理店の関係は違うかもしれませんが、コンサルティング能力が今にも増して必要になるのは確かだと思います。マーケティング環境も複雑化しているので、いままでどおり、CMと良いクリエイティブを用意して、ウェブはこのセオリーでSEMとSEOをといった話では通用しなくなっています。複雑化するメディア環境のなかでも、いかに芯の部分を抜き出して最適に組み合わせることができるか、ちゃんとしたコース料理にして出さないと、お客さまも納得しない。単品売りでメニューを売って稼げる時代は終わりに近づきつつある印象です
有園:そうなんですよね。
杉浦:僕らにとっては、そこは逆にチャンスだと思っています。実際に運用するのはリスティング広告だったとしても、我々のPDCAのやり方は多くの専業代理店とは似て非なるものと自負しています。リスティング広告の細かい各論の話だけではなく、全体の大きな戦略とブリッジした形で的確に説明して、そっちに、お客さまと一緒に向かっていく、発展させていく方向で、施策を細かくやるっていうよりは全体の大きな戦略に向かっていけるかどうかが、すごく重要だと思っています。ネクステッジ電通のやり方は、その違いが外から分かりにくいかもしれませんが、コンサルティング能力を高めることはポイントだと思います。なぜなら、環境が複雑化しているからです。お客さまからも、明解な説明や方向付けが求められています。いままでだと、インプレション、CTR、CVR、CPAみたいな。「コンバージョンが下がりました、なぜならCVRが下がったからです」みたいな話が、よくあったじゃないですか(笑)
有園:いまでもありますよ(笑)
杉浦:「CPAが高騰したのは、CVRが下がったからです」とかって、結局、何も言っていないのに等しいです。コンサルティングのできる人を何人育てることができるのか。それが勝負ですね。
有園:ありがとうございました。
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対談者プロフィール
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株式会社ネクステッジ電通
代表取締役社長 COO
杉浦 友彦 Sugiura Tomohiko
慶応義塾大学経済学部卒業後、1998年電通入社。2009年コロンビア大学ビジネススクール通信情報研究所(CITI)客員研究員。デジタル・マーケティング経験15年。電通フューズ、電通イーマーケティングワンなど専門会社の立ち上げに参画し、Webコンサルティングおよび、オンライン広告のROIマネジメント業務を担当。主にEコマース
、金融・保険サービスの顧客獲得支援や、IT、自動車業界向けのeマーケティング戦略立案・PDCA運用業務に携わる。併せて、マス広告×Web統合分析のメソッド開発や、オンライン広告プランニング最適化、アトリビューション分析等、独自のデジタル・マーケティング最適化ツール開発を主導。電通のデジタル・ビジネス局、ダイレクトマーケティング・ビジネス局を経て、2013年パフォーマンスマーケティング専門会社「(株)ネクステッジ電通」を立ち上げ。
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![]() | 【アトリくんの視点】 常にナンバーワンを求められる電通という企業の挟持を垣間見ることができ、思わずアトリの背筋もピンと伸びました! スマートテレビに代表されるような環境の変化によってすべての広告が運用型に変わりつつある時代に合わせ、日本の運用型広告を牽引する存在としてのネクステッジ電通のみなさんの視点の高さを感じました!杉浦さん、貴重なお話ありがとうございました! |
あなたの会社はきちんと利益を管理していますか? ネットショップは売り上げに焦点を当てて運営している企業が多く、利益をきちんと管理しているネットショップはそう多くはありません。売り上げ重視のため売上高は大きくなっているけど、ふたを開けてみたら赤字経営。倒産したネットショップは珍しくありません。EC事業者のみなさん、「利益の管理」という言葉を聞いてどのようなことを思い浮かべますか? ネットショップだけに特別な“何か”が存在するわけではありません。
今回は売り上げアップだけに着目する店舗から脱却するための数字管理を説明します。ポイントを押さえながらネットショップを運営することで、ネットショップの成長性・収益性・安全性(企業体力)を高めることができます。
利益管理に着目して店舗運営をするためのポイントを3つご紹介する前に、少し損益計算について少しご説明を。利益と名がつく項目は大きく5つです。
売上総利益(売上高-売上原価)、営業利益(売上総利益-販売費管理費)、経常利益(営業利益+営業外収益-営業外費用)、税金等調整前当期純利益(経常利益+特別利益-特別損失)、当期純利益(税金等調整前当期純利益-税)です。
どの利益に着目するのか? によって視野が変わることを押さえておきましょう。たとえば、最後の当期純利益に着目すると、日本の法人税の税率は高いので外国へ本社を移転するなどという話はよく聞きますよね。
ネットショップで見るべき数字で重要な順に挙げると、売り上げ、仕入れ、在庫、販売管理費となります。売り上げ目標を立てているネットショップはたくさんありますが、その売り上げ目標の根拠を語れるネットショップはほぼ皆無です。
そこでまずは見るべき数値の1つ「売り上げ目標」についてご説明を。
ネットショップは「なぜその売り上げ目標なのか?」を説明できるようになることがまず、利益をきちんと管理するための最初のスタートとなります。主な売り上げ目標の根拠例を挙げてみます。
そこで、売り上げ目標を作る1つのたとえを示してみましょう。
などの予測をして絞り込んでいくと、大まかな市場規模(売り上げの可能性)が予測できます。現実的には、今年の実績から●●%アップするぞ! といった売り上げ目標にするというのもありだと思います。
ほとんどのネットショップは売り上げ目標だけを設定して走り出してしまいます。ここでもう一歩踏みとどまりましょう。
仕入れ額や在庫額、販売管理費の目標とた立てると、各利益項目の目標まで計算できるようになります。
毎月月末で締めるとき、最初に見るべき数字は利益ですよ。各利益項目を最初に見る癖をつけましょう。
利益項目の次に見るのは、運転資金の増減です(売り上げはその次くらいの重要度です)。
運転資金は、売上金の回収と支払いの間に立て替えるお金のこと。支払いを立て替えている間、ほとんど商品は在庫となります。運転資金を増やすのは、売上金の回収を早めるか、支払いを遅らせるか、在庫を減らすかのどれかになります。
ネットショップの経営で重要視されることは、資金をうまく回転させることです。その回転を持続させるには、“適切な”運転資金を確保しなければなりません。
運転資金は機能的な観測で用意するのではなく、不測の事態にも耐えることを考えておくことが必要です。常に運転資金に注視し、運転資金に対する銀行預金残高がどれくらいあるのか? を年頭に入れて仕事をすることが求められます。
銀行残高と運転資金の差は、フリーキャッシュフローの「営業キャッシュフロー」という言葉で表現されます。誤解を恐れず乱暴にざくっと解釈すると、結局のところは「ネットショップの商売でお金がいくら増えたのか? 」という金額です。銀行残高から運転資金を引いた差額(ネットショップの運転で儲かったお金)となります。
まずは、「自分のネットショップで運転資金がいくら必要なのか? 」という数字を把握しないと、いくら儲かったのかがわからないのです。
「運転資金」の増減に注意しながら、回収、支払いなどのサイクルを回していくことが、ネットショップの運営に求められます。
新商品を販売すると、ライバル店は「そのお店で売れている」と見るやすぐに似たようなことをしてくるのがネットショップの世界です。ライバル店が増えて価格競争になると、商品単価を下げる、つまり利益率を落とさなければ売れなくなってきます。価格競争の始まりです。
ここで大事なのは、売れるかどうかで頑張るのではなく、利益が確保できるかどうかで考えましょう。競争が激しくなり「売り上げが減ってきた!」と感じる前に、「競争で利益が減ってきた!」と感じることができるかどうかの判断が必要です。それができるネットショップの数値管理です。
ネットショップの利益が確保できるかどうかを重視するので、販売している商品の利益が減ってきたら撤退タイミング、と思うくらいがちょうど良いです。
一度利益が落ちてきた商品で利益が確保できるようにするのと、新商品で利益を作るのとでは、どちらが効率的であるかを考えることも重要です。
利益を減らさない工夫は、一般的には新商品に切り替えるかリニューアル、リパックしたり、ネーミングを変えるといった方法で販売価格を維持するという調整を行います。
ライバル会社の商品開発スピードがより速く進化しているという認識を持ち、対策を練りながら自社の商品開発や販売に取り組めば、一定の期間利益は減らさないといったこともできるようになるでしょう。
また、販売商品の切り口(便益や活用シーン)を変えて新しいマーケットに商品を投入することも検討してみましょう。マーケットが変われば新商品となります。お客さまにとってはとても新鮮な商品となるのです。
このように利益に関係する数字を常に見る癖をつけましょう。ネットショップを運営する視点ではとても大切なことです。
一般財団法人日本電子商取引事業振興財団(J-FEC)のお知らせ
一般財団法人日本電子商取引事業振興財団(J-FEC)は11月15日(土)に定例会(場所は東京都・東大病院)を開催します。講演者とテーマは……
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オリジナル記事:ネットショップ運営は売り上げよりも利益を見ろ! 利益管理に強いECサイトになる3つのポイント | 現役EC経営者・担当者が指南する、J-FECの成功を目指すネットショップ運営塾 | ネットショップ担当者フォーラム
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来春に始まる食品の新たな機能性表示制度を見据え、日本健康・栄養食品協会(日健栄協)は10月30日、新制度活用を目指す企業を支援するプランを発表した。単独での機能性評価が困難な企業を対象に、コンサルティングを行うもの。企業の新制度活用を後押しし、健康食品業界全体の底上げを図る。
業界8団体で構成する健康食品産業協議会(関口洋一会長)の要請を受けて決めた。協会では、早ければ年内、遅くとも1月には、支援体制の構築に向けた準備室を立ち上げる。
支援事業は、「機能性評価」「安全性評価」「容器表示の確認」で構成する。協会は2011年度に消費者庁の委託事業として「食品の機能性評価モデル事業」を行ったほか、毎年、独自に機能性評価事業を継続。これまで11成分の機能性を評価してきた。「機能性評価」では、そのノウハウを活かし、「システマティック・レビュー」を請け負う。
「システマティック・レビュー」は、機能性評価事業を行ってきた「機能性評価委員会」(座長=金澤一彦東京大学名誉教授)が担当。コンサルを依頼した企業にも参加してもらい、共同作業をすることで企業のレベルアップを図る。委員会には新たにメンバーの追加も検討し、案件ごとに作業部会を立ち上げて評価を行う。規制改革会議委員の森下竜一大阪大学教授らが所属する抗加齢医学会との連携も視野に入れる。
「安全性評価」では、協会が運用する品質規格「JHFA規格」を基に、機能性関与成分の規格を策定する。また、「GMP認定制度」や「安全性自主点検認証制度」を活用し、製造管理や食経験、原料の基原保証、医薬品等との相互作用の確認を行う。「容器表示」も有識者による委員会を組織し、表示の合法性や妥当性を見る。
支援を受ける企業には、基本的に機能性、安全性、容器表示の3つの要件を満たすことを求める。ただ、すでにGMPやJHFA規格を取得する企業の場合は、コンサル費用から減額する。
費用は明らかにしていないが、「機能性評価事業」では、1成分あたり300万円前後の費用がかかっているという。これに人件費などを上乗せした金額を想定するが、収集した論文の数によっても費用が変わるとみられる。会員と非会員も区別し、「2倍ほど金額が変わるのが(従来の各事業の)通例」(下田理事長)とする。
協会と共同で評価を行ったことについて、パッケージに表示することにも「消費者の目安になり、他社と差別化も図れるのでした方が良いのでは」(同)と積極的な姿勢を示している。
新事業について全国消費者団体連絡会(消団連=事務局・東京都千代田区、河野康子事務局長)やFoodCommunicationCompass(フーコム=事務局・同、松永和紀代表)など消費者団体への事前説明を行っており、「(パッケージに)分かるように表示して欲しい。不適切な事業者の排除もしっており行って欲しいと言われている」(同)としている。
消費者庁による食品の機能性表示制度(新制度)の検討を前に、日健栄協では、自らを第三者機関とする機能性の認証制度構想を発表していた。今回の支援策は「第三者認証ではない」(下田智久理事長)とするが、「認証」から「コンサル」に形を変えてはいるものの、協会の認証ビジネスへの固執がにじむ。
新制度は、企業の自己責任で表示を行うもの。機能性評価を外部に依頼することもできるが、最終的な責任は製品の販売者である企業が負うことを基本としている。
評価の責任の所在について、この日の会見で健康食品産業協議会の関口洋一会長は“コンサルティングであること”を何度も強調。機能性評価も依頼する企業との共同作業で行い、企業側の責任で表示を行うとした。
とはいえ、コンサルしたことの責任は残る。協会では弁護士と相談しつつ、契約書を作成するとしている。ただ、事業上の責任論はクリアできても、仮に協会が関わった評価にミソがつけば“業界最大規模の団体”として、健食業界をけん引する立場にある協会の見識を問われかねない危ないビジネスとも感じる。
業界関係者の中には「企業単独で評価するのが難しい中小もいる。専門の試験受託機関からすると、一つの試験で数千万円の売り上げになるトクホ関連試験と比べ、『システマティック・レビュー(SR)』は金にならず、やりたがらない」との声も聞かれる。その意味で、協会の新事業は意味があるのかもしれない。ただ、実際にビジネスとして成立するかも不透明だ。
新制度では、企業が機能性などに関する科学的根拠の情報を消費者庁に届け出、これを公開する必要がある。
協会に高い金を払っても、これが公開され、他社に利用される可能性もある。これには「例えばSRの際、収集した論文から"なぜ除外したか、なぜ採用したか"といった理由が開示されないのであれば、他社が真似たとしてもその理由が説明できないなど優位性は保てる。開示情報がどこまでなのか、消費者庁のガイドライン待ち」(日健栄協)とする。
また、同じ原料を使った機能性評価をコンサルした場合、先行する企業の費用負担が大きくなる。追随する企業に有利に働き、協会も2社目からはコストをかけずに評価できることになる。これには「理想は、複数社が申し合わせて同原料に対して依頼してもらうこと。悩ましい問題だが、今後考えていく」(同)とする。
健康食品産業協議会の要請を受けて行い、消費者団体にも根回しするなど支援策の発表は慎重に進めた。ただ、ガイドラインを待っての発表でも遅くなかったのではないか。「お金はとるが、責任はとらない」。そんな支援策に、新制度への便乗ビジネスとの声が聞こえてきそうだ。
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オリジナル記事:新機能性表示制度の活用目指す企業にコンサルティング支援を提供へ、日本健康・栄養食品協会 | 通販新聞ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム
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