急成長を続けるオールコネクトのリスティング広告活用術 ~オールコネクト 岩井氏インタビュー
インターネット上で商品の営業・販売を代行するというビジネスモデルで急成長を遂げている地方企業が福井県に本社を構えるオールコネクトだ。同社はオーバーチュアのオンライン代理店でもあり、自らリスティング広告を運用し、商品の売り上げにつなげている。同社代表取締役の岩井宏太氏に、商品を売るためのリスティング広告活用術をうかがった。
マーケティングの初期段階では
「市場を知る」ためにリスティング広告を活用
編集部● まずは御社の概要を簡単にお話ください。
岩井● 弊社はインターネットに特化した販売代理の会社になります。クライアント企業と直接代理店契約をし、Webサイトの制作費やリスティング広告費、インバウンドのコールセンター費用などをすべて弊社で負担します。代わりに商品が売れた場合、フィーをいただくという形態になっています。見方を変えれば、完全成功報酬型のWeb制作サービス会社となります。
編集部● そのようなビジネスモデルに着目した背景は?
岩井● 弊社はもともと訪問販売のビジネスをしていましたが、福井はマーケット規模そのものが小さく、なかなか成長が難しい状況でした。そこで2005年ごろにたまたまWebを通じて商品を販売してみたところ成果が出た。着目したというよりは、販売代理業としてより成果が出る方法を選んだということです。
編集部● どのような商品を販売しているのでしょうか。
岩井● インターネット接続サービスなどの回線系商品がメインです。あとは面白いところでは段ボールや個人向けのウォーターサーバーなども扱っています。
編集部● 手数料体系はどのようになっているのでしょうか。
岩井● 基本的には売上の何割かで、料率に関してはクライアント企業に決めていただいます。例えば5万円の商品があり、現状の営業コストが1万円だとしたら、それよりも低いフィーで販売代行することになります。もちろん、商品についてはネットで売れる物かどうか、弊社で精査をしています。
編集部● 精査の基準は?
岩井● Web制作と広告の費用をかけ、コールセンターに人材を配置するものですから、それを回収してなおかつ利益の出る売上規模が見込める商品かどうかが大切です。
販売する商品が決まったら、コールセンター、マーケティング、システム、デザインの4つのセクションでキックオフミーティングをし、どういったコンセプトでサイトを制作し、どのようなマーケティング施策を取るか、いつまでに何をやるかといったことを決めていきます。このあたりはWebサイトの制作会社さんと同じだと思います。実際にWebサイトを新規に立ち上げ、商品を売り出すまでには、1週間から1カ月程度かかります。
編集部● 新規のWebサイトの場合、自然検索による流入はあまり期待できません。サイトへの集客は、どのように行っているのでしょうか。
岩井● 完全にリスティング広告に頼っています。リスティング広告の運用は基本を重視していて、ABテストなどを繰り返しながら、効果の高いキーワードや広告に絞り込んでいきます。キーワードに関しては、品質インデックス、入札価格、掲載順位の三者関係を常に見ていて、どのくらいのコストをかけ、どのポジションに掲載されるのが最も効果的かを、データに照らし合わせて運用しています。
初期の段階では、売るためというよりは、市場を知るためにリスティングをやるという考え方です。机上の計算ではなく、実際に広告を出して、その結果見て市場を知り、見込客が使っているキーワードを探り当てることが重要です。
編集部● 具体的にはどのようなデータに着目して、キーワードを選んでいくのでしょうか。
岩井● 「ビッグキーワード」と呼ばれるキーワードの、コストとコンバージョンです。弊社のビジネスは、ある程度コンバージョンのボリュームを確保しないと成立しません。ですから検索数の多いビッグキーワードを、いかにコンバージョンにつなげるかがポイントになっていきます。どのビッグキーワードに入札し、どのように広告を打ち出して勝負するのかを、予算に配慮しつつ考えていきます。
例えば「インターネット 申し込み」のように、ビッグキーワードとアクションが結びついたキーワードは、定番ではありますが意外に入札価格が低く、効果も高いキーワードだと思います。
編集部● リスティング広告のタイトルとディスクリプションについても、初期段階はテストと位置づけているのでしょうか。
岩井● そうです。これも基本だと思うのですが、初期の段階では価格や品質など訴求ポイントの異なる広告を3パターンほど作成して効果を検証します。ケースバイケースではありますが、クリック率を良くして掲載順位を上げることよりも、コンバージョンを重視して広告を制作・選別していきます。
広告に関しては管理画面のデータを見るだけでなく、競合他社の広告を分析することも重要です。例えば価格を訴求している広告が多いのであれば、逆に品質を訴えるといった具合に、実際に表示されている広告の中で目立つことを意識しています。他社の広告も、クリック率などの指標を左右する大きな要因であることが、意外に見過ごされているのではないかと思います。管理画面の数字だけでは見えてこない部分があります。
掲載順位一位を取ることは、
コンバージョン向上にも貢献する
編集部● 広告の掲載順位にはこだわりはありますか?
岩井● これもさまざまな考え方がありますが、コンバージョンを考えた場合、一位を取るということが一番重要です。予算の範囲内で一位になれるキーワードを探すのが当社の基本戦略です。一番上に広告が掲載されているというだけで、安心感というブランドが生まれ、コンバージョンの向上につながるからです。
掲載順位が下位の広告をクリックしているユーザーは、その商品のことを比較しているユーザーが多いと思います。したがって商品力が本当に優れていないと、なかなかコンバージョンには結びつきません。どれも同じような商品であれば、最終的に一位に掲載されたサイトに戻って商品を購入する傾向があります。
編集部● ランディングページは、とくにどのような点に工夫して制作していますか。
岩井● 弊社はインバウンドのコールセンターを持っています。このコールセンターの電話番号を、目立つ位置に掲載することを常に意識しています。このコールセンターの存在なくして、コンバージョンの向上は考えられません。ランディングページでいろいろな情報を入力させるのは、顧客にとって相当な負担になります。弊社は広告で集客できただけで顧客と接触ができたとは考えません。問い合わせでもメルマガ購読でも何でもいいので次のステージに進んでもらって、初めて接触ができたと考えています。その接触率を高め、ひいてはコンバージョンにつなげるには、気軽に問い合わせができるコールセンターが不可欠です。弊社の場合、商品性が複雑で高額な商品を中心に扱っているせいもありますが、現にコンバージョンのうち3~4割程度は、コールセンターを経由しています。
どんな商品であっても、代表電話で構わないのでネット以外の問い合わせ先を見せておくことが大事だと思います。それによって顧客の心理的なハードルが確実に下がります。特にモバイルでのリスティング広告は、ランディングページへの電話番号掲載は必須だと思います。
編集部● ところで御社は、スポンサードサーチのオンライン代理店でもあります。広告代理店やWeb制作会社とは異なる御社が、オンライン代理店になったのはなぜでしょうか。
岩井● スポンサードサーチに関する情報を先行して得られるからです。自社でリスティング広告を運用している以上、情報は早く得られるにこしたことはありません。また地方企業にとっては、ブランド力が高まるという効果もあると思います。
編集部● ネットでビジネスをしている地方企業に対し、アドバイスをお願いします。
岩井● 地方企業はマーケット規模が小さく、ビジネス上不利な面は確かにあります。しかしオフィス賃料なども含めた「本当のCPA」を、都心部の企業より低くできるという強みもあります。ネットでのビジネスは地域に縛られずに展開できるわけですから、そうした強みを生かせるのではないかと思います。
弊社としてもインターネットを通じた営業代行ビジネスの先駆者として、もっと営業・マーケティング力と技術力を高め、ネットでの販売をアウトソーシングするという流れをつくっていきたいと考えています。
- マーケティングの初期段階では、集客ではなく市場を知るためにリスティング広告を活用する。
- 広告の表示順位は予算の許す限り一位を目指す。掲載順位はコンバージョンにも影響する。
- ランディングページの目立つ位置に電話番号を掲載し、顧客の心理的なハードルを下げる
- 地方企業はオフィス賃料など「本当のCPA」に強みがある。
株式会社 ALL CONNECT(オールコネクト)
- 本社所在地 ● 福井県福井市大和田町60-4-11
- 代表取締役 ● 岩井宏太
- 設立 ● 2005年4月21日
- URL ● http://www.all-connect.jp/
- 事業内容 ● WEB販売代行、WEBマーケティング事業、ITソリューション事業、ブロードバンドコンサルタント事業、パートナー事業
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