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『ブログがジャーナリズムを変える』

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『ブログがジャーナリズムを変える』

山川 健(ジャーナリスト)

読者と記者の境界がないジャーナリズムが理想の形
市民記者型ニュースサイト成功の可能性には疑問

ブログがジャーナリズムを変える
  • 『ブログがジャーナリズムを変える』
  • 湯川 鶴章 著
  • ISBN:4-7571-0194-5
  • 定価:本体1,700円+税
  • NTT出版

誰もが容易に情報を発信できる仕組み、ブログの普及によって今、ジャーナリズムのあり方が大きく変わろうとしている。こうした現状を踏まえ、新聞を中心とした既存メディアによるジャーナリズム活動がどう変革していくか、どのような形態が理想なのかを説き明かした。

筆者は、21世紀のジャーナリズムの最終ゴールは「読者と記者の境界線をなくすこと」といい「一般市民が取材、執筆、編集、報道のプロセスに入ってくれるようなジャーナリズムが理想」と強調する。そして具体例として、地方新聞社が行っているニュースサイトのブログ化や、読者提供の情報をそのままニュースサイトに掲載する試みなどを取り上げ「非常に画期的なこと」と評価している。

本書の随所に、既存メディア側の傲慢な発言や、既得権を守る動きが登場する。筆者は時事通信社の現役記者としてある程度の理解を示しながらも、そうした考えを捨てない限り将来はない、というスタンスを貫いている。長く全国紙記者だった私も、筆者の姿勢には共感できる。

とはいえ筆者は、韓国で現大統領を誕生させたとも言われる市民記者型ジャーナリズムについては、日本での成功の可能性を疑問視する。市民による情報発信と融合できるシステムを持つ既存メディアが今後生き残る、という考えだ。

既存メディアにとってこれからの最大のライバルはヤフーやグーグルなどのネット企業。既存メディアに大きな意識改革が求められていることは間違いない。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.3』 掲載の記事です。

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