『低度情報化社会』 Ultra Low-level Information Society
BOOK REVIEW ウェブ担当者なら読んでおきたいこの1冊
『低度情報化社会』 Ultra Low-level Information Society
山川 健(ジャーナリスト)
mixi、2ちゃんねるなど溢れる無駄なネット情報
情報の洪水で溺れている現状をラジカルにえぐる
- 『低度情報化社会 Ultra Low-level Information Society』
- コモエスタ坂本 著
- ISBN:4-334-93392-0
- 定価:本体952円+税
- 光文社
高機能化したコンピュータや進歩するソフトウェア、通信技術の発達によって到来した高度情報化社会。その結果「低度情報化社会」を招いた——。禅問答のようなレトリックだが、著者がいう低度情報化社会の定義、「ITメディアの発展によって無駄な情報があふれかえり、誰もがその膨大な情報洪水のなかで溺れてしまっている社会」には納得させられる。著者独特のやや過激な言い回しでは「バカはバカとだけ交信し、もっとバカになる」社会、ということになる。
低度情報化社会の例として、mixi、2ちゃんねる、ケータイ、Google、Web 2.0、オーマイニュースなどをめぐる具体的な出来事を取り上げ、鋭い洞察力とシニカルなスタンスで批判を展開している。
「mixiは壮大な出会い系サイト」「2ちゃんねるという巨大なスラム」「Web 2.0といういかさま」など、本書からは次々にラジカルな、それでいて小気味いいフレーズが飛び出してくる。著者のIT業界での経験と広い教養に裏付けられての主張であるだけに、著者が「クズばかり」と断じるブログの書き込みなどとは違って、大いに説得力がある。そして筆者は「低度化くん」にならないために「まずはネットを捨てよ。そして、街へ出よ。現場に行け」と檄を飛ばす。
本書への反論も少なくないだろう。だが、高度情報化社会に浮かれてばかりいるのではなく、立ち止まって冷静に現状を考えてみることも必要なのではないか、と思わせてくれる貴重な一冊である。
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.4』 掲載の記事です。
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