Googleからペナルティを受けずに、正しいSEOを行うには? インハウス、外注どちらがいい?

書籍『いちばんやさしい新しいSEOの教本』出版記念セミナー「Googleに愛されるSEO ~ これからのSEOの新常識」をレポートする。

Googleからペナルティを受けずに、正しいSEOを行うために気を付けるポイントとはなにか。「Googleに愛されるSEO」をテーマに、日本SEO界の重鎮、渡辺 隆広氏(アイレップ)、安川 洋氏(アユダンテ)、江沢 真紀氏(アユダンテ)、村山 佑介氏(アユダンテ)の4名が「Googleの最近の傾向」や「SEOをインハウスで行うメリット」や「SEOを外注するときのポイント」などについて語ったセミナーをレポートする。

書籍『いちばんやさしい新しいSEOの教本』出版記念セミナー「Googleに愛されるSEO ~ これからのSEOの新常識」

Googleからペナルティを受けずに、愛されるために取り組むべきSEO

――まず、SEOに取り組むにあたって、Googleはどんなサイトを評価するのでしょうか。

渡辺 隆広氏
渡辺 隆広氏
株式会社アイレップ
取締役SEM総合研究所 所長

渡辺:ここ3、4年のGoogleは賢くなってきています。以前は、SEOの観点でいうと「外部リンク」「サイト内ナビゲーション」を最適化することが必要と考えられていました。しかし、今までは、こちら側がやらなければいけなかったことを、Google側が自動的に処理してくれるようになってきました。ビジネスの観点でサイト運営をすれば、結果的にSEO的にもプラスになることが増えてきています。

一方、検索をする側の視点で検索結果を見ていると、「いつもこのサイトが出てくる」ってありますよね。「この話題に関する情報なら、必ずこのサイトが出てくる」というような、ある分野で強いサイトは、ずっと強いということが顕著になってきています。

また、検索される需要に合わせて検索結果を変えているのではないか、と取れる検索結果が増えてきたと感じています。

たとえば、2、3月の検索キーワードでは「引っ越し関連のキーワード」「バレンタインに関連のキーワード」が増えるなど、検索クエリは時期によって増減するはずです。Googleは、それらに合わせて検索結果を変更して、ユーザーにとって、タイムリーで役に立つ情報を出すようになってきています。

あとは、Googleの言語処理が賢くなってきていると感じています。今までは、同じ意味を指す「A」と「B」というキーワードを、Googleは別の言葉として認識していました。ですので、それらのキーワードを同じ言葉としてGoogleに認識してもうために、どのように処理するかといったことを考える必要がありました。

しかし最近では、「A」と「B」が同じ意味・意図を指すキーワードだと見なすことができるようになってきました。一方で、「A」を検索クエリとした時は「B」 を含むページも検索結果に出てくるのに対し、「B」を検索クエリとした時は「A」を含むページが検索結果に出てこないといった具合に、「AはBと同じ」だが「BはAと別物」とみなされることもあるので、注意が必要です。

――Googleの傾向として、ペナルティについてはどうでしょうか。

渡辺:ペナルティに関する問い合わせは増えてきています。その場合は、バックリンクなどを全て洗い出して、その中から、怪しそうなものを拾い上げるという処理をしています。

たとえば、「ワードサラダ」と呼ばれるような、文法は正しいけれど支離滅裂で機械的に作られたコンテンツは確実にアウトです。

一方で、一見きちんとした文章で書かれているコンテンツでもアウトの場合があります。これは、リンクを意図的に作る側の視点で考えてもらいたいのですが、リンクをたくさん作りたい場合は、機械的にコピペで使いまわしたいですよね。そういった、テンプレートに沿ったリンクばかりだと、昔のGoogleでは大丈夫だったものでも、今はアウトになる場合があります。

さらに、海外で話題になっているのは、リンクの張り方が問題ではなく、リンクを増やすスキームがそもそも問題になっているということです。たとえば、ゲストブログなどのリンクを増やす手順そのものを、Googleがダメといっているケースもあります。

――セミナーのテーマでもあるのですが、Googleに愛されるためには、どうしたらよいでしょうか。低品質なコンテンツとはどんなものでしょうか。

江沢 真紀氏
江沢 真紀氏
アユダンテ株式会社
SEOコンサルタント

江沢:ユーザーがキーワードを入れて、検索してきて、ページにランディングした時に、ユーザーの期待値とページの内容が合っていることはとても重要です。内容が薄い、情報が古いなど、ユーザーががっかりするコンテンツは、Googleがいう低品質なものなのではないでしょうか。

渡辺:機械的に作られているコンテンツを除くと、判断は難しいですが、自分が仕事している視点でいうと、そのサイトをブックマークしたいかどうかが重要だと思います。もう一度そのサイトを訪れたいコンテンツなのか、という基準で考えてもらいたいです。

安川:まさにユーザー中心設計ですね。グーグルが低品質と評価したサイトをユーザーが見たら、実は価値がある場合もありますし、その逆で、グーグルが高品質と評価したサイトをユーザーが見たら、価値を感じなかったということもあります。このレベルはどんどん変わってきているので、本当にユーザーのためになっているのか、ユーザーの質問にちゃんと答えているのかということを考えていただきたいです。

キーワードはツールを使って派生語をピックアップ

――最近のSEOの動向について、昔と今のキーワードにどんな違いがあるのでしょうか。

江沢:昔と比べてキーワードの傾向で違ってきていることといえば、「派生語の多さ」だと思います。また、「派生語の検索数」も増えてきています。昔ですと、SEO施策に関する問い合わせがあった時は、「ワンワードSEO」にこだわっていたお客様が多かったのですが、今では、たくさんのキーワードで対策を行いたいというお客様が増えてきています。

SEOで重要なことは、キーワードの選び方です。たとえば、「キーワードウォッチャー」や「Googleキーワードプランナー」などのツールを使ってキーワードを選んでいくのがいいですね。

安川 洋氏
安川 洋氏
アユダンテ株式会社
代表取締役

安川:キーワードウォッチャーとGoogleキーワードプランナーの使い分けはどのようにすればいいのでしょうか。たとえば、Googleキーワードプランナーは、デフォルトでモバイルのキーワードも含まれているので、「短く切ったキーワード」や「ひらがなのキーワード」も含まれますよね。

江沢:Googleキーワードプランナーは、キーワードウォッチャーと比べて「ロングテール」と呼ばれる細かいキーワードを拾いやすいと思います。

渡辺:キーワードウォッチャーは生ログを出しているので、超ロングテールと呼ばれる、3語や4語のキーワードを拾えます。コンテンツを考えるうえでこの超ロングテールは役立ちます。それぞれ特性があるので、その特性を生かして、ツールを使い分けるといいと思います。

ソーシャルメディアによって拡散しやすくなったコンテンツ

――コンテンツを拡充してSEO施策を行うことがトレンドとなっていますが、そのトレンドについてどのように感じていますか。

村山 佑介氏
村山 佑介氏
アユダンテ株式会社
SEOコンサルタント アシスタント

村山:ソーシャルメディアが普及したことによって、サイト内に作ったコンテンツをユーザーに届けることが、以前に比べるとだいぶ楽になってきたと思います。以前は「2ちゃん」や「はてなブックマーク」のようなWebリテラシーが高いユーザーの中で拡散することはありましたが、そうでないユーザーに広く届けることが難しかったです。しかし、ソーシャルメディアが普及したことによって、拡散する機会が増えたと感じています。

渡辺:昔は、「いいコンテンツを作って、自然にリンクを集めて、みんなに見てもらいましょう」というのがトレンドでした。しかし、ユーザーは大抵の場合、検索エンジンからやってくるので、どんなに良いコンテンツを作ったとしても、検索エンジンで上位表示されなければ、見てもらえないという矛盾が生じていました。

ソーシャルメディアが普及してきてからは、「ソーシャル上で拡散させて、サイトを知ってもらう」という流れが生まれてきました。そういった意味でいうと、数年前のSEOと今のSEOは変わったといえるのではないでしょうか。

安川:ソーシャルで拡散する流れが増える一方で、Facebookをメインにして、コンテンツ展開していってしまう傾向が多く見られます。オウンドメディアでコンテンツを作って、そのサマリをFacebookで紹介するようにしないと、ビジネスの観点でSEOを行う場合は、ナンセンスになってしまいます。同じコンテンツを作るといっても、ネット上でクロールされなければ意味がありません。ですので、Facebook上にコンテンツをたくさん出すのではなく、オウンドディアでコンテンツを作り、それを広告する拡散させるためにソーシャルを使うべきです。

SEOの向き不向きを見極める

――どの業種もSEOをやると効果が上がるのでしょうか。向き、不向きはないのでしょうか。

安川 洋氏

安川:SEOに向いていないサイトはあります。SEOを取り組む時は、一度、ご自身の商材がSEOで効果があるのかを確認してもらいたいです。

確認してもらいたいことは、検索結果で1位表示されて電話などの問い合わせが増えると困ってしまうようなサイトかどうかです。たとえば、横浜で板金工場をやっていて、北海道から問い合わせが来たら困りますよね? 物理的な距離が問題で問い合わせがあっても、対応できないような場合は、SEOで1位になるべきではないし、1位になることはできないです。

渡辺:ユーザーが検索するかもしれないけれど、そのキーワードの選定が難しいものも、SEOに向かないと思います。たとえば、日本に住んでいる外国人向けに携帯電話を販売するサイトがあるとします。その場合、「日本のGoogleを使って検索をするのか」「米国のGoogleを使って検索をするのか」また、「日本語で検索するのか」「英語で検索をするのか」という問題があります。このような場合は、SEOのキーワードの選定が難しいです。

さらに、キーワードそのものがないものも向きません。たとえば、面白いグッズだけを売っているネットショップなどです。実際にその店舗に行って、店内を見て回ってみると、その面白さが伝わってくると思いますが、ネット上でそのグッズを検索する可能性は低いです。「これが欲しい」という目的を持って探すものはSEOをやるべきですが、「実際に商品を見て楽しむ」ものは向かないです。

SEOはインハウス? 外注? それぞれの利点を把握する

――インハウスがトレンドになっていますが、SEOは内部で取り組んだ方がいいのでしょうか。それとも外部にお願いした方がいいのでしょうか。

安川:インハウス化(内部でSEO施策を行うこと)は、メリットがあります。しかし、SEOに取り組んでも効果が感じられないようなサイトは、やらない方がいいです。

その判断のために、1アクセスあたりいくら位かかっているのか、1件コンバージョンすると、どの位の効果があるのかを計算して、サイト全体として、会社に対してどのくらいのベネフィットを提供できるのかを明らかにしましょう。それがわかれば、1件のコンバージョンを獲得するために、いくらまでなら支払えるのかがわかります。今までのデータからそれらを分析して、ROI(投資対効果)があるならば、インハウスでSEOをすることをお勧めします。

インハウスでSEOを行う別のメリットとして、社員ならば会社のビジネスゴールをよく理解しているという点です。事業目的をしっかりと理解しない制作会社が、「サイトにアクセス数を増やせばいい」という目的でSEOをしても意味がありません。「コンバージョンしてくれる人」を狙わなければ意味がありませんよね。そういった意味で、インハウスでSEOを行うことは有効だと思います。

――外注するメリットはどんなところにありますか。

安川:インハウスで行うのと外部のSEO会社に依頼するのと大きく違うところは、時間です。やはり、インハウスは、全体的に時間がかかる傾向があります。一方、SEO会社はプロなので、たとえば、数千件のキーワードの最適化ならば数日でできますが、インハウスでやる場合は、それ以上かかってしまいます。

また、新しいキーワードを考えるときの引き出しの多さもあると思います。1つのジャンルをカバーするようにキーワードを考えていても、抜けているキーワードは必ず存在します。そのようなキーワードをいかに見つけられるか、新しい切り口でキーワードを見つけるか、ということは、専門的に行っているSEO会社の方が数多く見つけられるし、早く見つけられます。

キーワードの順位を売り買いする発想はダメ、良いSEO会社と付き合おう

――ではSEOを外注するときに、どのように会社を選べばよいのでしょうか。また、良いSEO会社に出会うためにはどのような質問をしたらいいのでしょうか。

渡辺 隆広氏

渡辺:SEO会社に依頼するときに最もダメな質問は「このキーワードで対策したいんですが、いくらですか」や「このキーワードが、今2位なんですが、1位にするにはどうすればいいですか」です。逆にSEO会社から「このキーワードで上位表示を目指しましょう」というような提案をする会社と、付き合うことはお勧めできません。キーワードの順位を売り買いするような発想をしてはいけません。

このような特定のキーワードの順位を上げるようなSEO会社を回避して、自社のビジネスを理解して、サイトにあったSEOを提案してくる会社を見つけるためには、マーケティングの観点で答えなければいけないような質問を投げることです。

たとえば、「『たき火ストーブ』といった一般向けでない商材と『デジカメや時計』といった一般向けの商材では、SEOをするときに違いはありますか」と聞くことです。一般向けの商材とそうでない商材では、そもそも、コンテンツの作り方やサイトのナビゲーションの作り方が変わってきます。

特定のキーワードで順位を上げるようなSEO会社は、大量の外部リンクを付けることしか考えていないので、そんな質問に答えられませんよね。

安川:渡辺さんがおっしゃるような質問をする以外にも、RFPを作る(Request For Proposal/提案依頼書)ことを勧めています。本の付録に付いているので、ご自身で一度試してみるといいと思います。

コンペなどをする際、どの会社に依頼するかの基準としてもRFPは有効ですが、SEOを依頼すると決まった後にも有効なのです。SEOを実施する場合は、サイトそのものを作り直すこと場合が多く、外注開発をすることがあります。その場合、RFPに記載されている通りに作ってもらう、もし記載されている仕様ができていなかったら、「バグですよね、無償で直して下さい」といったように、自分たちを守るためにもRFPは有効なのです。

◇◇◇

この他、SEOの効果の検証方法などについて説明し、セミナー参加者から事前に寄せられた質問に答えセミナーは盛況のうちに終了した。

「インハウスにチャレンジしてみよう」「SEOについてもっと学びたい」という場合は、以下の本を参考にしてもらいたい。

『いちばんやさしい新しいSEOの教本 人気講師が教える検索に強いサイトの作り方』

いちばんやさしい新しいSEOの教本
  • 著者:安川 洋、江沢 真紀、村山 佑介
  • 価格:1,580+税
  • ISBN:978-4-8443-3535-1
  • 発行:インプレスジャパン
電子書籍版を購入

セミナー感覚で学べる! 正しいSEO

目次

  • Chapter 1 SEOの目的と考え方を身に付けよう
  • Chapter 2 Webサイトの目的と訪問者の目的を考えよう
  • Chapter 3 有効な検索キーワードを調査しよう
  • Chapter 4 業種別に最適なサイト構成を考えよう
  • Chapter 5 適切な内部対策でSEOの効果を高めよう
  • Chapter 6 質の高い外部対策でWebサイトの価値を高めよう
  • Chapter 7 ソーシャルメディアからWebサイトに集客しよう
  • Chapter 8 技術的な問題を解決して優れたWebサイトを目指そう
  • Chapter 9 SEOの効果を分析してさらなる改善を進めよう
  • 付録 1 業種・ジャンル別キーワード一覧表
  • 付録 2 サイト全体のテンプレート一覧管理表
  • 付録 3 今すぐ使えるSEOのRFPフォーマット
  • 用語集
用語集
SEM / SEO / クロール / コンバージョン / ソーシャルメディア / ナビゲーション / ユーザー中心設計 / リンク / 外部リンク / 検索エンジン / 訪問者
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