“Xの後釜”ではない! 進化著しい「Threads」を理解・活用している企業を紹介。現状がわかるクイズもあり!
当連載では、企業・団体のSNS担当者のみなさんにお役立ていただけそうな良質なSNS活用事例をピックアップし、「どこが優れているのか」「なぜ話題になったのか」などをやさしく解説していきます。企業・団体のSNS投稿やSNS施策のなかでも、比較的最近の事例や再現性のある事例を取り上げ、みなさんのSNSアカウント運用の参考にしていただけるような記事を目指しますので、よろしければどうぞお付き合いください。
「Xから他SNSへの乗り換え」が緊急の課題に
SNS大手の「X」ではいろいろな課題が発生し続けており、企業アカウントは他SNSに移行するかどうかの判断を迫られています。当連載でも以前「Xから他SNSへ乗り換えた/乗り換え検討中のユーザーも増えている」と紹介しました。
この流れは今も緩やかに続いているように感じます。企業や団体の公式アカウントの場合、「Xから完全に乗り換え(移行)」とまではいかないものの、「(サービス終了など)X停止時のバックアップ先」として類似SNSの活用を模索している組織も多いことでしょう。
今回は、そんな「X停止時のバックアップ先」としてよく名があがるSNSの1つ「Threads(スレッズ)」の現状と、うまく活用している企業事例とポイントを紹介します。
ここまで進化!Threadsの「今」を知る
2023年7月にサービス開始された、Metaのテキスト共有アプリ「Threads」。2024年10月には月間アクティブユーザー数(MAU)が約2億7500万人に達したと発表されました。最初の2億人に達するまで約1年かかりましたが、その後約3か月で7500万人も増加。順調にユーザーを増やしていることがうかがえます。
そして、これはまだ噂レベルですが、2025年にはThreads広告が導入されるのでは?と囁かれています。すでにX広告やInstagram広告を出して成果を感じている企業や団体のみなさまは、今のうちにThreadsの雰囲気や基本的な使い方に慣れるなどして、準備を進めておくのがよさそうです。
「そうは言っても、Xに比べるとThreadsは機能面で劣っているイメージが……」と思った人もいるのではないでしょうか。実は、Threadsはこの1年数か月で大きく進化しているのです。なかでも企業・団体の公式アカウント運用に関連する各機能の「今」をどのくらい理解できているかは重要です。
「Threadsの今」クイズ
では、「Threadsの今」クイズでチェックしてみましょう。Threadsの各機能について正しいものを(a)~(c)の簡単な三択で選んでください。
番号 | 質問 | 回答 |
---|---|---|
1 | 1投稿当たりの文字数制限 | (a)140字 (b)300字 (c)500字 |
2 | 1投稿あたりの画像枚数制限 | (a)4枚 (b)10枚 (c)20枚 |
3 | 下書き保存できる投稿本数 | (a)0本 (b)1本 (c)100本 |
4 | 投稿後の編集 | (a)不可 (b)投稿後5分以内・回数無制限 (c)投稿後15分以内・回数無制限 |
5 | インサイト(管理画面) | (a)なし (b)モバイル版でのみ利用可 (c)モバイル版/PC版で利用可 |
6 | 検索結果の表示順 | (a)「おすすめ順」のみ (b)「時系列順」のみ (c)「おすすめ順」/「時系列順」選択可 |
7 | 投稿予約(スケジューリング) | (a)不可 (b)外部ツール利用でのみ可 (c)外部ツール利用で可、かつ今後実装予定 |
8 | 1投稿あたりのタグ | (a)無制限 (b)30個 (c)1個 |
実は以上全8問、すべて(c)が正解です。みなさんの正答率はいかがだったでしょうか?
現在では、Xと比べて遜色ない、もしくはX以上の機能がThreadsでも提供されていることがおわかりいただけたかと思います。もちろん「ダイレクトメッセージ」などThreadsに今後の実装を期待したい機能もいくつかはありますが、「XとThreadsの間に、懸念すべき機能差は今や存在しない」と言って差し支えないでしょう。
Threadsを使いこなす企業の具体例
【アドベンチャーワールド 公式】- 各SNSを巧みに使い分け
和歌山県「アドベンチャーワールド」のThreads公式アカウントでは、かわいい動物たちの園内での様子をカルーセル投稿(複数枚画像を使った投稿)や動画投稿で発信しています。
アドベンチャーワールドのInstagram公式アカウントのリール投稿も、時々Threadsにシェアしているようです。なおInstagramもThreadsも同じMetaのツールですので、「他社SNSのURLを投稿に含めるとアルゴリズム上不利になるのでは」といった心配は不要です。むしろ、Instagramも運用しているのであれば、フィードやリール投稿はぜひThreadsでもシェアするとよいでしょう。
アドベンチャーワールドのThreadsアカウントでは、Instagram投稿をシェアする際にはハッシュタグを減らし、「より親しみやすいテキスト」を新たに加えるといった工夫も加えている点にもご注目ください。
参照Instagramでの同様の投稿
https://www.instagram.com/reel/DBAuvJgSlPs/
ちなみに、アドベンチャーワールドはX公式アカウント(@aws_official)も運用していますが、InstagramやThreads投稿のURLをそのまま投稿することは避けているようです。Xでは「外部リンクを投稿に含めるとアルゴリズム上不利になる(表示回数が減る)」と言われていることをご存じなのでしょう。
リンクを投稿する代わりにInstagram投稿と同じ画像や動画を使ってXに直接投稿していますが、各SNSに合わせてテキストやハッシュタグ個数を変えるなど、きめ細やかな調整が光ります。
アムールトラのこどもたちは今日も元気いっぱい!
— アドベンチャーワールド 公式 (@aws_official) November 25, 2024
一緒にごろごろタイム♪ pic.twitter.com/1GE9yKGCv4
参照Xでの同様の投稿
https://x.com/aws_official/status/1860923003112174025
参照Instagramでの同様の投稿
https://www.instagram.com/reel/DCyIbbOyVTo/
【ブルーシールアイスクリーム|沖縄(公式)】- X以外のコミュニケーションの場へ
「ブルーシールアイスクリーム」の公式Threadsアカウントでは、時々Instagram公式アカウントと同じ投稿を行いつつ、スマートフォンで撮影したと思われる画像や動画を短いテキストとともに投稿して、ユーザーに親近感を与えることに成功しています。
担当者がスマホで撮ったらしき動画に「ブルーシールのソフトクリーム食べませんか?????」と短いテキストを付けた2024年10月の投稿には、411の「いいね!」、8件の再投稿、13件の「返信」が付きました。
ブルーシールアイスクリームは、もともとInstagram公式アカウントも運用しており、その目的は「新商品やキャンペーンの認知拡大」「ブランドへの好意度向上」そして「人材採用」など、多岐にわたっています。
Instagram公式アカウントがバラエティ豊かなコンテンツの発信基地だとすると、Threads公式アカウントは、Instagramアカウントのフォロワーとコミュニケーションをとりながら親近感や好意度向上を目指す場所として運用できそうです。ただし現在のところ、同社はX公式アカウントこそ「ファンとのコミュニケーションの場」と位置付けているようで、頻繁に投稿するなど力を注いでいるようです。
とはいえ、「生粋のXユーザー」と「(Instagramから来た)Threadsユーザー」は完全には一致しません。後者に対して、今後ブルーシールアイスクリームがどのようにコミュニケーションをとっていくのかも注目したいところです。
まとめ
正直なところ、Threadsについては「まだ様子見」「始めてはみたものの模索中」という企業・団体が大多数だと感じています。Threadsは「Xの代替SNS」として語られることも多いことから、X投稿をそのままThreadsに投稿し続けたあげく、「結果が出ないので運用をやめた」ケースも多いのではないでしょうか。
前述したように、確かに機能面ではThreadsはXにかなり近づきました。ただ忘れてはならないのは「ThreadsはXの後釜になるつもりはないらしい」ことと、「そもそもXのユーザー層とThreadsのユーザー層は異なる」ということです。
たとえば、Threadsはユーザーの興味関心に沿うことを重視しているようで、つい先日も、ユーザーがフォローしているアカウントの投稿が優先的に「おすすめ」表示されるようアルゴリズムが変更されました。
つまり、みなさんのThreads投稿を多くのユーザーに見てもらうには、やはり「フォローしてもらう」ことが大切だといえるでしょう。フォロワーを増やす方法はいろいろありますが、最低限以下を試していただくことをお勧めします。
- 週に2~5回は投稿する
- エンゲージメント(ユーザーからの反応)が高まる投稿を心掛ける
- ユーザーへの返信を積極的に行う
- プロフィールをきちんと設定する
また、もしみなさんの企業がInstagramアカウントを運用しているのであれば、Threadsアカウント単独での運用を考えるのでなく、「Instagram+Threads」の組み合わせでどう運用するかを考えるのもよいかもしれません。
2025年もSNS業界には多くのニュースが流れることでしょう。X社やMeta社に大きな変化が訪れるかもしれませんし、「Threads広告スタート」がニュースの1つになるかもしれません。いずれにせよ、企業や団体のSNS担当者であるみなさんが今できるのは「備える」ことです。
Threadsやその他の新興SNSについて学び、公式または個人アカウントの作成や運用に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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