[マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

Adobe FireflyやAI英会話アプリなど、AIサービスを使ってみて思うこと

マーケターコラム、今回は村石怜菜氏。AIサービスを実際に使ってみてわかったことを紹介します。

みなさん、こんにちは。村石怜菜です。

皆さんは仕事やプライベートでChatGPTなどのAIサービスを利用していますか?

私は現在、仕事だけでなくプライベートでもAIを活用できるように、さまざまな試みを行っていますので、今回はそれをご紹介します。

Adobe Fireflyで、マスク生活中の写真のマスクをなかったことに!

生成AIの一例として、私が最近試しているサービスの1つが「Adobe Firefly(アドビ ファイアフライ)」というアドビの生成AIです。この記事を執筆している時点(2023年7月14日)ではベータ版ですが、Webブラウザ版(https://firefly.adobe.com/)の他にも、Photoshopデスクトップ版などにもFireflyの技術を利用した「生成塗りつぶし」機能が提供されています。

Adobe Fireflyはテキストから画像生成できる技術で、画像内の特定の箇所を選択し、変更内容をプロンプトで指示するだけで、選択した箇所の画像の変更や、追加・拡張・削除が可能です。今まで膨大な時間を要していた作業が一瞬で完了するので、大変驚きました(Adobe Fireflyのサービスについてもっと知りたい方は、記事「Adobe Fireflyで生成した画像は、著作権的に問題ないって本当ですか?/アドビの西山正一さんに聞いてきた」を参照ください)。

Adobe Fireflyを使って写真を加工してみた

私がWebブラウザ版のAdobe Firefly(ベータ版)を使って加工した写真を、2種類ご紹介します。両方とも、去年の6月頃に撮影した写真です。当時は多くの人がマスクを着用しており、私もマスクをしていました。場所によってはマスクを外して写真を撮ることもありましたが、思いがけないタイミングだったり、面倒だったりしたため、マスクを外しかけた中途半端な写真になってしまっていました。

そこで、次のようにAdobe Fireflyでマスクを消してみました。

左:加工前)左肩の上に中途半端に外したマスクが…
右:加工後)マスクが消去され、道が生成されている
左:加工前)マスクを片耳に掛けたまま撮影
右:加工後)マスクを削除し、マスクで隠れていたブラウスのレースを復元し、ピアスを追加

Adobe Fireflyの使用方法は簡単です。まず、編集したい写真のエリアを選択し、「マスクを消して」といったプロンプトを入力するだけです(現在は英語のみ対応)。ただし、プロンプトの記述にはいくつかのコツがあります。単に「マスクを消して」と指示するだけでは、マスクがシースルー素材になったり、意図しない加工になったりすることもあるので、自然な結果を得るためには、具体的な指示が必要です。

 

たとえば、「マスクを消した後、その部分を周りの背景に調和させてください」といった具合です。ただし、関東地方とは思えないグランドキャニオンのような赤土の風景で埋められたり、明らかに人工的な道が生成されたりすることもあります。AIに対して「写真全体を分析して背景を生成してくれるだろう」と期待すると、期待通りの結果が得られないこともあります。

したがって、具体的な前提や詳細まで指示することが重要です。今回、私がマスクを削除するためにした指示は、「マスクを消した後、森の中の小道を埋めてください」「マスクを消して、青いレースのトップスを拡張してください」「左耳と同じようなパールのピアスを追加してください」といったものです。実は、ピアスの追加が一番簡単なように思っていたのですが、かなり苦戦しました…。

このように、生成AIを利用する際には、相手が機械であることを念頭に置いて利用することが重要だと学びました。これは、他の生成AI(たとえばChatGPTなど)を使用したことがある方なら経験したことがあるのではないでしょうか。

AIは、その特性や限界、強み、弱みを理解した上で活用したい

AIに関しては、個人情報や情報の正確性、教育や人々の発達への影響など、さまざまな視点で議論が行われています。しかし、アメリカのOpenAIが「ChatGPT」を公開したのは2022年11月であり、まだ1年も経っていないにも関わらず、この数ヶ月でAIのニュースを見ない日はないほど、AIは私たちの生活に身近になりました。

もちろん、以前からAIを活用したサービスはたくさんありましたが、一人ひとりが自分自身にとってAIを身近な存在と捉えるようになったのは、これまでにはなかったことではないでしょうか。議論や規制の検討は今後も必要だと考えますが、AIは私たちの生活の一部となり、ますます浸透していくことは明らかです。

また、ChatGPTの登場をきっかけに、日本でもさまざまなサービスにAIの機能が搭載されるようになりました。たとえば、ECサイトでは商品説明文の作成や画像編集などの機能が提供されています。

AIはさまざまな業界で革新的な変化をもたらしています。私たちが関わるデジタルマーケティングの分野だけでなく、さまざまな分野でAIの活用が進んでいます。私自身もChatGPTについてはまだ勉強中ですが、AIはあくまでもツールであり、その特性や限界、強み、弱みを理解した上で活用することが重要だと感じています。

AI英会話アプリは、コミュニケーションの練習になる?

もう1つ私の実体験からの気づきを紹介します。それはAI英会話アプリです。私はオンライン英会話を受講しているのですが、疲れていたり、初対面の先生の時は、精神的に億劫になることもあります。AI英会話アプリだったら、そのような精神的ハードルもなく、「間違っても恥ずかしくないのでは!?」と思い、試しに利用してみました。

そのアプリは発音チェックだけでなく、AI講師と会話ができる機能があります。テーマが与えられて、そのテーマの中にいくつか話す項目が定められています。たとえば、会話のテーマが「大学を卒業したら、自分はどうしたら良いのか」の場合、「何をしたいのかを聞く」「何を学んできたのかを聞く」「週末の予定を聞く」などが話す項目として設定されているのです。

この項目をクリアしていくと、ミッションクリアになります。ヒントとして例文を表示することも可能ですが、例文通りではなく、普通の人間に対して話すようにこちらが自由に会話をしても、AIは自然言語処理をして何かしらの返答をしてくれます。

人間と会話しているような自然な返答でとても驚きました。例えば、私が回答した内容について何度も質問してくるので「それは先ほど回答しました」と回答すると謝ってくれる、ということもありました。恥ずかしい、外国人と話すのはまだ怖い、という人にとってはとても良いツールだと思いました。

ただ、実際のオンライン英会話と比較してみると、どの先生も訛(なまり)がなく、アナウンサーのようなきれいな音声のため、「リスニングしやすすぎる」という印象を受けました。現実世界では、人々の声質も話し方も違いますし、オンライン英会話の場合、先生のインターネット環境が悪かったり、マイクの品質が低かったりハプニングがつきものです。

完璧な環境ではない状況の中で、相手の顔やジェスチャーを見て、相手の感情や原因などの情報を収集し、分析し、対処する能力もコミュニケーション能力の一部であることを実感しました。

定型・機械的な業務がAIは得意

さて現時点で、マーケティングにおけるAIの有効活用方法として、コンテンツ制作など、定型作業や量産系の機械的な業務があげられるのではないでしょうか。

例えば、Instagramでよく見かける「マガジン風のコンテンツ」の画像制作工程です。まず、ChatGPTにInstagram投稿用の文章を考え、CSV形式で利用できるようにプロンプトで指示し、そのCSVをデザインツールの「Canva(キャンバ)」にインポートするという手法です。

ただし、このような手法が主流になると、独自性が低いコンテンツが増えることが懸念されます。結果、そのようなアカウントのLTV(ライフタイムバリュー)は低くなり、有益な一次情報を発信できるアカウントが結果として生き残るようになると私は予測しています。

大学教授が、学生の課題をAIで書いたかどうか、ChatGPTでチェック

ところで、ChatGPTはAIで生成されたコンテンツかどうかをチェックできるのでしょうか? 5月にワシントン・ポストで投稿されたアメリカテキサス州の大学での出来事が興味深いものなので紹介します(記事はこちら)。

あるアニマルサイエンスのクラスを担当する教授が、自身のクラスの学生たちに対して、ChatGPTを使ってクラスの課題で不正行為を行ったと主張し、学生に不合格評価を下しました。教授は学生たちがAIを使って答えを作成したと考えていましたが、学生たちはAIを使用していなかったと主張しました。

記事によると、ChatGPTは現時点では、AIによって文章が生成されたかどうかを判別することはできないそうです。結局、落第したり、卒業できなかったりした学生はいなかったようで、1人の学生はChatGPTの使用を認めたそうです。

AIを利用した不正を調べるために、教授自身がChatGPTを利用するという矛盾と皮肉を感じますよね。しかし、この問題は、AIが教育において不正行為などの可能性を引き起こす一方で、テクノロジーの正しい使用方法を啓蒙・教育することの重要性も浮き彫りにしています。

日本でもChatGPTの利用を禁止する企業もありますが、完全に制限するのではなく、AIとの共存を模索する方向が良いのではないでしょうか。道具というのは、使い方次第で武器にもなるとよく言われます。AIは、野心に溢れ、やりたいことがたくさんある人にとっては、時間を有効に使い、アウトプットも増やすことができる魔法のツールにもなるかもしれません。しかし、自分の頭で考えず、AIに頼るような人は淘汰されることになるでしょう。

AIへの脅威を感じるのはとても自然な流れだと思います。私も自分の仕事が今後、世の中に残っていくものなのかどうかAIに聞いてしまいました。私の仕事は、人間が考えるべき余白があり、独創的なものであるため残っていくだろうという回答でしたが、果たして本当にそうなのでしょうか...。

自分の存在意義を将来の長期間にわたって保つためにも、自分の頭で考えること、独創的でいることを心に刻みたいと思います。

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