マーケターが知っておきたい生成AI

Web担当者が仕事で使いたい! 生成AI活用術

Web担当者は、どんなところでAIを活用できるのでしょうか。活用例を紹介します。
齋藤 康輔(シェアモル株式会社) 2023/7/14 7:00 |

AI技術の発達により、さまざまなサービスが生まれています。特に、Web領域においては、Webサイトのデザインからコンテンツ生成、SEO、マーケティング領域までAIがサポートすることが可能になり、Web担当者にとって強い味方になってきました。

今回は、AIライティングツール「Transcope(トランスコープ)」を運営するシェアモル株式会社の知見を基に「Web担当者が取り入れるべき生成AI活用術」について紹介します。

生成AI技術の台頭

生成AI技術は人工知能の一種であり、コンピュータが自動的にコンテンツを生成する技術のことを指します。

生成AI技術は、自然言語処理、画像処理、音声処理などの分野で使用されています。AIの技術革新は、1950年代のAIブームから始まり、現在は第3次AIブームと呼ばれています。

近年では、インターネット上の文章を事前学習し、その学習内容を元に文章を作成する“事前学習済み”の言語モデルであるBERT(バート)やGPT-4(ジーピーティーフォー)など、自然言語理解と生成能力を持つAIが登場しました。現在では、精度の高い画像生成AIや文書生成AIを誰でも気軽に使えるほど、社会に浸透しつつあります。

なぜマーケティングにAIを活用した方が良いか

会話型マーケティングツールなどを運営するアメリカのDrift.comが公開した、2022年マーケティング AI レポートによると、51%のマーケターがAI活用に好意的・賛成の意を示しています。また、マーケティング担当者の74%は、今後5年間でAIの活用により、タスクの4分の1以上を自動化できると考えており、AI技術に期待を寄せています。

実際、生成AI技術の発展により、Webサイトや文章などの生成だけでなく、予測分析やROI分析などの裏方の業務までサポートするサービスが多く登場しています。

“AIは仕事を奪う”と思われている方もいると思いますが、AIによって業務効率の改善を実現し、短時間で従来のマーケティング課題を解決することが期待されています。また、従来のマーケティング手法を超えた新しいアイデアが次々と生まれてくる可能性も秘めています。

目的別生成AI活用とおすすめツール

では、具体的にWeb担当者がAIをどう活用すればいいのか、目的別に分類した生成AI活用ツールを紹介します。

便利な使い方① アイデアのブレストや戦略の設計

生成AI活用ツールは、アイデアのブレストや戦略の設計に有用です。基となる情報を与えて新たなアイデアを生成したり、過去の事例やデータを基に戦略を立案したりするのに役立ちます。

その場合、会話型AIツールを活用すると良いでしょう。OpenAI社の「ChatGPT」やGoogle社の「Bard」、Microsoft社の「Microsoft Bing 」などです。

たとえば、ChatGPTで「『SEO ライティング コツ』と検索する人はどんな検索意図がありますか?」というプロンプト(質問)を与えると、下記のようにアイデアを返してくれます。

ChatGPTで「SEO ライティング コツ」と検索する人の検索意図を聞いた

便利な使い方② イメージ画像を作成

イメージ画像の作成においても、生成AI活用ツールは有用です。たとえば、画像生成AIサービス「Midjourney」を使えば、自社Webサイトのデザインやロゴ、アイキャッチを作成できます。

たとえば、以下は「banner design for flower shop」というプロンプトをMidjourneyに与えて生成した画像です。

Midjourneyで「banner design for flower shop」というプロンプトを与えた結果

以下は「web design for fashion school」というプロンプトをMidjourneyに与えて生成した画像です。WebデザインのインスピレーションをMidjourneyから得ることが可能です。

Midjourneyで「web design for fashion school」というプロンプトを与えた結果

英語が苦手でも、上記のように「(画像の種類) for (業種)」の構文でプロンプトを入力すると、画像の生成が可能ですので、ぜひ使ってみてください。また、Midjourneyを使うには、Discordをインストールし、ユーザー登録が必要です。

便利な使い方③ Web広告運用

Web広告運用に関しても、生成AI活用ツールを有効に活用できます。

広告のターゲティングや運用を自動化し、適切な顧客へ効果的にアプローチすることができます。さらに、生成AIによる広告コピーの自動生成や画像選定も実現し、効率的な広告運用が可能です。

たとえば、ChatGPTで、「あなたはWeb広告担当者です。(自社のターゲット層)をターゲットにした(商品)のWeb広告のコピーを3つ提案してください。」とプロンプトを与えると、下記のように提案をしてくれます。

専門のツールを使用すれば、更に効果的なコピーを作成できるでしょう。

ChatGPTでInstagramのコピーを3案聞いてみた

最近では、Googleが生成AIを「Google 広告」に搭載したことを発表しました。

Google 広告にもAIが搭載

該当のLPを入力するだけでGoogle AIがページを要約します。AIが、キャンペーンとの関連性が高く効果的なキーワードや見出し、キャプション、クリエイティブなどのアセットを生成してくれる機能です。

担当者の知識と「Google AI」を組み合わせて広告キャンペーンを作成する業務を効率化し、Web広告運用の簡略化に繋げられます。AIチャットも搭載されており、チャット形式で自社の広告効果を最大化させるための相談をすることも可能です。

便利な使い方④ データ分析

データ分析においても、生成AI技術は活用されています。

さまざまなデータを収集・分析し、企業のビジネス戦略に役立つ情報を抽出することが可能です。

たとえば、WebサイトのUXを改善するためのユーザー行動解析ツール「Microsoft Clarity」は、Webサイト訪問者の行動を見える化し、サイトの問題点を特定して改善するのに役立ちます。

Microsoft Clarity

類似したツールは多く登場していますが、Microsoft Clarityには他ツールではあまり見かけないインサイト機能が搭載されています。サイト上でのユーザーの行動を自動的に検出し、サマリーを共有してくれる機能です。これにより、データに基づいたインサイトを可視化することができます。無料で使えるサービスですので、使ってみてください。

Microsoft Clarityのインサイト機能

著作権への配慮も忘れずに

著作権問題は、作成されたコンテンツが既存の著作物やデータを侵害していないかどうかを確認するために必要ですし、AIツールでも同様です。

ChatGPTを例にあげると、既存の記事コンテンツなどを、ChatGPTにより新たにコンテンツを生成した場合、活用元のコンテンツに著作権が存在する場合があります。これは、企業や個人が利用する際に配慮が必要なポイントです。

OpenAI社によると、ChatGPTで生成された後のコンテンツは商用利用が可能とされています。自社で活用するAIツールの著作権周りを改めて確認しておきましょう。

まとめ

AI生成技術の発展により、多くのツールが登場しています。Web担当者はAIを有効に活用するためのスキルアップに努めることが求められます。

とはいえ、各種ツールを使いこなすことが目的になってしまわぬよう注意しましょう。大切なのは、自社のマーケティングを効率化させ、自社の成長に繋げることです。この目的を軸に、自社にとってAI技術をどう活用するかを考えていくことが大切です。

用語集
Instagram / LP / ROI / SEO / UX / キャンペーン / クリエイティブ / 訪問者
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