アドビの画像生成AIなら“安心して商用利用できる”4つの理由【Adobeイベントレポート】
アドビが「Adobe Experience Cloud」のユーザーコミュニティ「Adobe User Group」を発足。その第1回イベント「Adobe User Group Day - Insights From Adobe Summit」を、東京ミッドタウン内にあるビルボードライブ東京にて開催した。
ビルボードライブ東京で行われた「Adobe User Group Day」
会場には100名以上のユーザーが来場。ビルボードという国内最高の音響を誇る世界水準のライブレストランにて、ドラムとピアノの生演奏を挟みながら、サービスドリンクを片手に終始リラックスしたムードでイベントは行われた。
これまでにもアドビは、製品ごとにユーザーコミュニティを形成し、知見やノウハウを共有しながらユーザー同士で専門性を高め合ってビジネスの成長を加速させてきた。今回は、製品ごとの枠組みを横断し、より大きな視座で情報交換できる場としてのコミュニティ支援に乗り出した格好だ。
そんなアドビのユーザーがいま最も気になるのは、「Adobe Firefly」だろう。
画像生成AI「Adobe Firefly」で何ができるようになるのか?
Adobe Fireflyとは、テキストを入力することで画像生成やエフェクトなどのクリエイティブを生成できる画像生成AIのこと。
アドビはAIについて「人間のCo-pilot(副操縦士)としてCXやマーケティング担当者をサポートするもの」と考えている。その考えをよく表しているのがこのAdobe Fireflyだ。
西山氏によると、Adobe Fireflyは「安心して商用利用できる画像生成AIを目指している」という。安心して商用利用できると言える理由は、次の4点。
1. 素材が厳選されている
商用利用可能な「Adobe Stock」の中から厳選された素材、もしくはライセンスとしてオープンになっているものをコンテンツとして提供している。ライセンスがオープンでないものを求めるコマンドを入力しても反応しないように学習させている。
2. AI倫理に配慮している
他者の権利侵害やポリティカルコレクトネスなどに配慮し、禁止ワードも設定(たとえば「銃」「攻撃」など)。商用利用に不向きなものや問題になりうるコンテンツは出ないようにしている。
3. 透明性が確保されている
コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)により、コンテンツの帰属と検証可能な事実が明示されている。つまりその画像がどのように生成されたか出自がわかるようになっている。
4. クリエイターの味方
単なる一枚絵を出すのではなく、アドビのさまざまなクラウドの中から文脈に沿った素材を提案し、最終的なアウトプットに至るまでのプロセスを短くしてくれる。具体的には、夏素材の動画を冬景色に変えたり、3D素材を金属から革に変えたり、ポスターのテンプレート素材を並べるといい塩梅に配置してくれるなど、これまでのワークフローの延長で、クリエイターをサポートする「副操縦士」として利用できる。
こうした4つの理由から、Adobe Fireflyは商用目的のコンテンツ生成に利用できるとしている。2023年4月時点ではβ版のみ利用可能で、希望者に対して順番に招待する形で公開されている。いずれは動画やオーディオトラックの編集まで言葉によってAIに指示できる世界を目指すとのこと。
そのほかイベントでは、Forbes JAPAN Web編集長・谷本氏とアドビの祖谷氏との対談や、Adobe Experience Cloudソリューションの新機能の紹介、3月にアメリカのラスベガスで行われた「Adobe Summit」に参加したコミュニティメンバーによるディスカッションなどが行われた。
Adobe Summitとは?
Adobe Summitとは、アドビの新製品や新機能の発表、今後実施される機能の発表などを行う年に一度のイベントのこと。世界最大級のデジタルカンファレンスで、2023年は世界中から1万人以上が参加し、250以上のセッションが開催された。また、ミュージシャンのマックルモアーとRev. Run(Run-D.M.C.)によるライブパフォーマンスなども行われた。
今年のAdobe Summitで発表されたテーマは「Experience-Led Growth」。直訳すれば、「体験が主導する成長」だ。昨今、顧客体験管理が企業の業績に影響を及ぼす状況になっていること、ポストコロナにおける世界的な経済的不安定のせいで利益率の高い成長が企業に求められていることなどから、ビジネスの成長には一貫した顧客体験が重要であることが示された。
「Adobe Firefly」をはじめとするジェネレーティブAIの活用、さらにユーザーコミュニティ「Adobe User Group」を発足したアドビ。今後の進展がますます期待される。
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