ソーシャル広告のビューアビリティを上げるには? 改善に導く3ステップを紹介!
デジタル広告にまつわる、さまざまな疑問や現場で直面する悩みを抱えるマーケターの末広告美さんが、アドベリフィケーションの専門家・山口さんに解説してもらう連載。
第3回は「ソーシャル広告のビューアビリティが低い原因と改善のヒント」です。
山口さん! 前回学んだ対策のおかげで、
DSPとアドネットワークのビューアビリティが上がってきました!
それは嬉しいニュースですね!
でも上司が「この調子で、ソーシャル広告もお願いね」って......
今度は何をすればいいですか!?
ソーシャル広告は、各メディアの特性、ユーザーの視聴態度が異なることから、すべてにオールマイティな改善策は存在しません。
え、ええーー!
じゃあどうすれば...... 何でもいいからヒントください〜〜
メディアの特性 × 利用ユーザーで
パフォーマンスが変わるソーシャル広告
まず、本記事における「ソーシャル広告」とは、ソーシャルメディア上で配信される、さまざまなサイズ、フォーマットの広告を指します。ソーシャルメディアには代表的なものとして、Twitter、Instagram、Facebook、YouTube、TikTok、Pinterestなどがあります。一般的にこれらのメディア上で配信される広告を「ソーシャル広告」と総称しますが、それぞれ異なる特性を持ち、ユーザーの使い方(視聴・閲覧態度)も異なります。
たとえば、あるメディアは、隙間時間で利用される一方、別のメディアは何かを知る明確な目的を持って視聴・閲覧されるという具合です。これらの違いが、ソーシャル広告の低ビューアビリティの「原因と対策」をお伝えすることを難しくしています。
今回は、ソーシャル広告のビューアビリティを改善するための重要な3ステップと各ポイントを説明します。
ソーシャル広告のビューアビリティを最適化!
重要な3ステップ
ソーシャルメディアでも、広告が「ビューアブル(視聴可能)」と判定される条件は、DSPやアドネットワークと同様です。ディスプレイ広告では、広告枠の50%以上が1秒以上、動画広告では広告枠の50%以上が画面上に表示されている状態で2秒以上、広告が再生されている必要があります。これは、Media Rating Council(MRC)による業界で確立された定義で、Integral Ad Science (IAS)を含め、すべての第三者広告検証ベンダーで採用されています。この判断基準により、ソーシャル広告のディスプレイ広告(静止画)、ビデオ広告(動画)のビューアビリティも算出されます。
ステップ1 : ソーシャルメディアで達成したいKPIを明確にする
まずは、キャンペーンのKPIを明確にしましょう。たとえば、化粧品ブランドのソーシャル広告キャンペーンのKPI は何でしょうか?
- リーチ:新商品の発売に合わせて、関心を持ってくれそうな多くの人に商品の広告を届けたい場合、KPIは「リーチ」です。100万人のコスメ関心層に届ける場合、100万リーチが達成したい目標となります。
- クリック:広告遷移先で行っている懸賞企画への申し込みが目的であれば、KPIはリーチではなく「クリック」になります。
- フォロワー数:ソーシャル特有の「フォロワー数」を増やすことがKPIになる場合もあります。
ソーシャル広告キャンペーンで達成したいKPIを明確にする作業は、次のステップ、目標KPIとビューアビリティの「最適なバランス」を知る際の重要な鍵となります。
ステップ2 : KPIとビューアビリティの最適なバランスを取る
ソーシャル広告ではステップ1で明確にした「目標KPI」と「ビューアビリティ」とのバランスを意識し、改善を行っていくことが重要です。なぜならば、KPIとビューアビリティが相反する場合もあるからです。分かりやすい例では、ソーシャルにおける「リーチの拡大」と「ビューアビリティの高さ」が、相反するケースです。
末広さんは、ソーシャルメディアのフィードを、
どうやって閲覧していますか?
スマホで閲覧しているので、
片手にスマートフォンを持って、指でシャシャッとスクロールしています!
そういったソーシャルを使うユーザーの行動が、
ビューアビリティに大きく影響します。
ソーシャルメディアは、特にスマートフォンでの閲覧時、モバイル端末での閲覧時、ニュースなどの記事コンテンツを読むときよりもはるかに速くスクロールされるため、ビューアビリティが低下しやすい傾向があります。一般的なユーザーは、わずか3秒以内にフィードの10記事先まで移動するともいわれています。
コンテンツの消費速度は、広告を視聴する長さにも影響するため、モバイル経由で頻繁に利用されるソーシャルメディアでは、MRCが定めるビューアビリティ基準に満たない広告表示が多く発生し、低ビューアビリティが起こりやすい傾向にあるのです。
この傾向を考慮せず、単にソーシャル広告で高い「ビューアビリティ」だけを優先すると、広告のリーチは減少する可能性が高くなります。また、若年層ユーザーは60代以上の高齢層に比べて、何倍も速くスクロールしてコンテンツを閲覧しており、全体的にビューアビリティが低いユーザー層となります。ビューアビリティだけを追い求めた結果、意図せずに、特定の年齢層に配信が偏ってしまうことにもなりかねません。
ビューアビリティに影響する要素を計測しよう
では、ソーシャルメディアで効果を損なわずに、ビューアビリティとのバランスを取るにはどうすれば良いでしょうか?
そこで「計測」の出番です。自社キャンペーンにおける、ビューアビリティとKPIの相関関係も「計測」が教えてくれます。
ソーシャル広告は前述の通り、メディア特性によって、利用するユーザーの視聴・閲覧態度が大きく変化します。「メディア」「ユーザーの行動」に加え、実際には「ブランド」や「キャンペーンの目的」という要素もビューアビリティに影響します。
- メディアの特性
- ユーザーの行動
- ブランド
- キャンペーンの目的
わ、こんなにたくさん......
計測することによって、
これらの要素が広告キャンペーンに与える
影響、傾向が見えてきますよ!
自社ブランドが、どういった目的のキャンペーンで、どのメディアで配信した時に、どのような結果が出たのか、ビューアビリティとパフォーマンスの相関がどうだったかの知見は、計測でしか得られません。計測データが、次回の同じ目的のキャンペーンを設計する際の参考になり、継続的に計測を行うことで、ブランド全体の傾向が見えてきます。
たとえば、KPIを達成するためにビューアビリティは最低20%は超える必要があるが、60%を超えると、リーチに影響が出るからそこまでは追求しない方が良い、という知見は、過去の自社キャンペーン計測が与えてくれる、自社だけの資産になります。
トレンドを把握するためにも、
地道にコツコツ! 「計測」が必要
ソーシャルメディアを使うユーザーの視聴態度は、常に変化します。少し前までは、静止画よりも動画の方が閲覧される時間が長いというトレンドがありましたが、新しいメディアの登場によって、縦長で短尺の動画がユーザーに浸透した結果、動画に対する好き嫌いの判断はほんの数秒で行われるようになりました。好みに合わない広告はどんどん飛ばす、シャットアウトするのが今の傾向です。それに併せて、メディア側の広告配信アルゴリズムも変化します。
一年前に効果の高かったプレースメント、広告クリエイティブが、今となっては全く効果を持たない事が頻繁に起こり得るのが、ソーシャル広告です。現在のユーザーがどのメディアで、どういった行動を見せるのかのトレンドも「計測」でしか知ることができません。
ステップ3「改善する」については、次回解説しましょう!
前述の通り、全メディア、全フォーマット共通で「これをやればOK」と言う対策はありませんが、よく使われる手法を解説します。
はい! よろしくお願いします!
ソーシャルもやってます!